青き天体研究所

青き天体研究所

第八話  現れたもの



フィスのその言葉と同時にリヴァウサーの長距離ビームカノンを発射しその場にいたガーリオンやバレリオンを撃墜した。

「フィス、ご苦労様。すぐにクロガネに帰還してくれ。」

「はい、セイ兄♪」

セインに誉められ少し嬉しそうにフィスはクロガネに帰還した。






リュウセイ、ブリットが初陣を果たして既に一ヶ月経とうとしていた。

ブリットの愛機であるヒュッケバインMk-2を使用しているということで連合は危機を感じ、クロガネの撃墜命令が正式に発表されたのだ。

そのため、クロガネのクルーは休む間もなく戦闘し続けているのである。

「フィス、済まなかったな。一人で出撃させてしまって。」

「いいんです、セイ兄。みんな疲れているんですし・・・それに私達の目的も教えていないんですから。」

「そうだな・・・」

そう言ってセインはフィスの頭を撫でる。

フィスはセインに撫でられて嬉しそうである。

背の差もあるがどう見ても双子の兄妹とは思えない姿であった。

「セイン、済まないが至急ブリッジに来てくれ。」

「了解した。」

レーツェルのアナウンスを聞きセインとフィスはブリッジへと向かった。

ブリッジに着くとそこにはキョウスケ、ゼンガー、レーツェル、テツヤの四人がモニターを見て何か考えていた。

「どうしたんだ?」

「来たか。これを見てくれ」

テツヤにそう言われ彼らが見ていたモニターを見てみた。

「これは・・・太平洋の中央に高エネルギー反応だと!?どう言うことだ?」

セインはその事をここにいる全員に尋ねるが全員、首を横に降るだけだった。

「分からない。だがもしかしたら連合の兵器かもしれない。」

「あくまで憶測だから何も言えんがな。」

レーツェルの解答にゼンガーは付け加える。

「俺としては確認しに行った方がいいと思う。ただの勘違いならいいがもし兵器だったら破壊した方がいい。」

「そうだな・・・。よし!確認の為にクロガネはその現場に向かおう。」

「果たして吉と出るか凶と出るか・・・分の悪い賭けだな。」

キョウスケがそう呟き、一同はその現場に行った。






そのころ、連合の方でも動きがあった。

『太平洋中央に高エネルギー反応か・・・・・。』

『そのようです。本部はDCの兵器ではないかと。』

艦長はしばし考え、命令を下す。

『よし、総員第一戦闘配備。本艦はこれより高エネルギー反応が発する場所へと向かう。

DCと戦闘になるかもしれんので準備を怠らないように』

『了解。総員第一戦闘配備。繰り返す、総員第一戦闘配備。』

そうして彼らもまた高エネルギー反応を示す場所へと向かうのであった。







その頃クロガネでは、しばしの休息を楽しんでいた。

高エネルギー反応を示す場所まで時間があるので、テツヤはパイロット達に休息を与えたのである。

パイロットの一人であるブリットはというと、竹刀を持ち一人で素振りをしていた。

ゼンガーにいわれた<一意専心>と言う言葉を物にするためである。

何十回か素振りをし、疲れたので少しの間休憩していると・・・

「ブリット君、ちょっといい?」

「クスハ、どうしたんだい。」

ブリットがいた部屋にクスハが入ってきたので、ブリットは少し汗を拭きクスハの方へと向く。

「実は・・・お願いがあってきたの。」

「?」

「ブリット君、もう・・・・・」

クスハが用件を話そうとした次の瞬間、艦内が突然揺れ始めたのである。

「総員第二戦闘配備。高エネルギー体の近くに連合軍がおり攻撃を仕掛けている。パイロットはすぐに機体に乗って出撃してくれ。」

「ごめん、クスハ。帰ってきたら聞くよ。」

「ま、待って。ブリット君!」

ブリットは艦内放送を聞くと、すぐさま格納庫のほうへ向かった。

「ブリット君・・・・どうして?」

クスハは誰もいなくなった部屋を前にして、そう呟いた。




「遅くなりました。ブルックリン=ラックフィールド、行きます!!」

既にMk-2以外の機体は出撃しておりブリットは急いで出撃した。



「あらら。今回は本当に多いわねぇ。」

「文句を言うな。気が滅入るだろう。」

エクセレンの言うとおり敵機の数はゆうに50機以上越えており、まだまだ戦艦の中にあるような感じなのだ。

「だが、・・・・本当に数が多いな。まるでここを守っているかのようだ。」

「あるいは俺達と同じ目的か・・・・。」

リュウセイの言葉に付け加えてゼンガーがそう言う。

「遅くなって申し訳ございません。」

そこにブリットのMk-2が参戦してきた。

「かまわん、それより敵の数が多すぎる。よって私達は相手の様子を見て反撃を行うようにしよう。」

「レーツェルの言うとおりだな・・・。だが、ゼンガーと俺は母艦を撃沈しにいった方がいいと思う。消耗戦になったらこっちがまずくなる。」

セインがそう提案し、ゼンガーもその提案に乗る。

「確かに、我が太刀とセインの太刀で戦艦を断てば一気に戦況が変わる。」

「ですが、ゼンガーさんやセイ兄の危険性が高くなってしまいます。」

「そうだぜ。ただでさえあの数なんだ。集中攻撃されたら一巻の終わりだ!」

バレリオン一斉攻撃が始まったので避けながらリュウセイとフィスは反対する。

「ならどうする!?このままじゃ全滅だぞ!!」

セインがそう叫んで近くにいたガ-リオンを撃破する。





一方敵軍隊のほうは自分達の予測通りと確信し、攻撃を始めた。

『バレリオン隊一斉放射。ガーリオン隊はバレリオンの放射を援護代わりにし奴らを撃墜しろ!!!』

艦長がそう叫び、次々と砲撃する。

『艦長。このままでいくと後一時間後には弾薬が・・・。』

『かまわん!奴らを倒すのが先だ!!奴らを倒せば全てが終わるんだ!!!』

『了解しました!』

艦長は勝利の確信を得て、どんどん砲撃していった。





「畜生、こっちの弾薬が少ないことでいい気になりやがって・・・・・!」

「リュウセイ、文句があるなら手を動かせ!こっちも大変なんだ!!」

ビルトラプターがロックオンされていたことに気付き、スレイヤーでその元を撃破する。

「すまねぇ。」

「礼は後でいい!!いくぞ!!!」

「よっしゃあ!いくぜ!!!」

再び散って戦い始めた。

一方クロガネでは、激しい砲撃に弾幕で何とか防いでいる状態だった。

一発のミサイルがクロガネに直撃する。

「く、状況を報告しろ!」

「第三、第五ブロックに被弾!第八ブロックではその衝撃により火災が発生しました。」

「すぐに消化班を出せ!!一番から五番まで一斉放射!その後海中へ潜れ!!」

実はクロガネは海中でも航行できるため、被弾の少ない海中へ潜ることが適作だと思ったテツヤはすぐに命令する。

「了解!・・・・・!艦長、高エネルギーが増大していきます。このままだと半径10m以上が爆発します!!」

「な、なんだと!?全機にその事を通達しろ!急げ!!」

「分かりました!!クロガネより各機体へ高エネルギーが増大してきている!半径10m以上が爆発する模様。繰り返す・・・・。」

クロガネの通信が各機体に届き、全員動揺し始める。

「そんな事言われても・・・・。」

「今退避しろと言うことは難しいな・・・・・。」

ヴァイスリッターがオクスタンランチャーで何体か撃墜し、アルトアイゼンがクレイモアで一気に撃墜するがまだ数が減らなかったのである。

「・・・フィス!アレで一気に一掃するぞ!!」

「セイ兄、分かりました!」

そう言ってスレイヤーはリヴァウサーの後ろに付き、なにやら準備をし始める。

するとフィスの機体が変形し、巨大なバズーカ砲になったのである。

「「いくぜ(いきます)!!メテオブラスター!!!!!」」

そう言ってスレイヤーはトリガーを引き、発射した。

その砲撃によって一気に半分まで減少したのである。

「よし、今のうち退避を・・・・!」

セインがそう叫び、全員退避する。






全員退避した次の瞬間であった・・・・・。

強力なエネルギー波が連合、DCに直撃しほとんどの機体にダメージを与えたのである。

その半径は30mを超えており、既に退避していたはずのクロガネクルーにも衝撃が走る。

「くぅぅぅぅぅぅぅ!!全員衝撃に備えろ!!!」

その叫び声が響くなか、そのエネルギー波が止んできたのである。

「はぁはぁ、・・・エイタ!現在の状況を説明しろ!!」

「了解。・・・・!こ、これは!?」

「どうした!?」

エイタの声が急変したことからテツヤはすぐに尋ねる。

「エネルギーの発生源にアンノウンが出現しています!」

「アンノウンだと!?肉眼で確認が出来次第、現存するデータと照合しろ!!」

「了解!!」





一方、機体に乗っていたパイロット達は何とか衝撃に耐えたが機体の方は何とか動いている状態であった。

「何だったの・・・。今のは?」

「さぁな。さて、出てきたのは物は吉なのか凶なのか・・・・。」

キョウスケの言葉を聞き煙が出ている場所に目を向ける。

段々と煙は晴れていき、現れた物は今までに見たこと無い銀色で包まれた機体であった。

「何なんだ・・・・?あの機体は?」

「か、かっこいい・・・・・。」

レーツェルの反応とは違い、リュウセイは素直な感想を述べた。

「リュウセイ・・・・、今はそんなこと言っている場合じゃないだろ。」

ブリットは突っ込みながらも現れたアンノウンに目を離さなかった。

「何とか地上に着いたようニャけど・・・・。」

「思い切り戦場に出てきてしまったようだニャ。」

「シロ、クロ。静かにしろよ。無傷でこっちに来れただけでもありがたいと思えよ。」

どうやらこのアンノウンには三人乗っているらしく緊張感なく話していた。

「何なんだ。こいつら・・・。」

「さぁ?」

その会話を聞いてクロガネクルーは全員唖然していた。

『は、今がチャンスだ!あのアンノウン共々撃墜しろ!!』

敵艦長がやっと我に帰り、全機に命令を下す。

その言葉に敵パイロットも我に帰り攻撃を始めた。





「済まないが聞きたいことがある。」

その攻撃を無視しアンノウンはクロガネに尋ねる。

「あの・・・シュ、シュウ・・・・。ああ!うぜえ!!」

アンノウンのパイロットが話そうとするたびに被弾しそうになり、アンノウンはそれを避けるため話が出来ないのである。

「シロ、クロ。いくぜ!サイフラッシュ!!!!!」

アンノウンがそう叫ぶと、先ほどのエネルギー波が現れて連合軍の機体を次々と破壊していったのである。

ただ違う点はクロガネやその他に機体にはダメージが無いのである。

エネルギー波が止んだ頃には、既に連合軍の機体は全滅していた。

『ば、馬鹿な!!全滅だと、一瞬で!!!』

一瞬で全滅してしまったことに敵艦長はただ驚くばかりである。

その隙を逃さなかったゼンガーとセインは艦隊に突っ込んでいき、艦隊を沈めたのである。




「やっと落ち着いて話せる。聞きたいことがあるんだ。」

アンノウンが仕切りなおし再び答えようとする。

「少し待て!」

「何だ?お前達も答えねぇって言うのかよ!?」

レーツェルの言葉にアンノウンのパイロットは少しキレ掛かっていた。

「そうではない。我々の機体がボロボロになってしまいこのままじゃ支障が出る。済まないが我が戦艦で話してくれないか?」

「ち。仕方がねえか。この損傷もサイバスターが出たときに出来たみたいだしな。」

そう言ってアンノウンが言った『サイバスター』はクロガネに着艦した。




『サイバスター』から17歳位の少年と黒い猫と白い猫が降りてきた。

「ブリッジに来てくれないか。そっちの方が君の知りたい情報があるかもしれない。」

「分かった・・・。」

そう言って彼はレーツェルたちについて行った。

「まず君の名前を教えてくれないか?」

「マサキ=アンドウ。正真正銘の日本人だ。」

マサキと言った少年はそう答え、エイタはそれを調べる。

どうやら彼の言っていることは当っているらしく、データベース上に存在していた。

「ねえねえ、何か名古屋弁で話していた人がいたみたいだけどその人は何処言ったの?」

エクセレンが何気ない質問をする。

「失礼ニャ。訂正するニャ。」

「ニャーたちはニャ古屋弁じゃないニャ。」

「コラ!シロ、クロ喋るんじゃない!!」

マサキの言葉は既に遅く、クロガネクルーはその場で固まってしまった。

「「「「「「「「猫が喋った!!!」」」」」」」

ゼンガー、セイン、キョウスケ以外そう叫び、マサキに関したは頭を抱えている。

「どうしてみんな叫んでるのニャ?」

「シロ・・・。地上の猫は喋らないんだ・・・。」

「そうなのかニャ?」

「前も言っただろう・・・・。お前がファミリアだとしても絶対に喋るなって。」

そう言うとマサキはため息をついた。






やっと全員が落ち着き話を元に戻した。

「で、君の聞きたいこととは?」

「実はある男を捜しているんだ・・・・。」

そう言ってマサキは一枚の写真を出す。

「シュウ、シュウ=シラカワって男を知らないか?」


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: