青き天体研究所

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第十一話  絶望の予兆



クスハはリュウセイ、ブリットの時より著しく成長していったのである。

その間もなお連合の攻撃は続いていた。

ゲシュペンストの飛行タイプが出たことにより、クロガネクルーは苦戦を強いられるようになったのである。

何とか撃退しているものの段々と弾薬が減ってきている。



「たく。最近攻撃は激しくなってきているな。」

「仕方が無かろう。奴らにとって我々は邪魔な存在なんだ。早く潰してしまった方がいい。」

最近の攻撃の激化によってパイロット達に疲れが溜まってきているのである。

「そういえばセイン。あれから全然顔を見せないけどどうしたんだろう?」

リュウセイに言うとおり、セインはあれから全然部屋から出ないのである。

2日間、のまず食わずでいるため心配になってきているのである。

「フィス。何か知っているか?」

「いえ。セイ兄は自分の事はあまり話さないんで・・・・。」

フィスも実の兄の事を心配しているのだが、勝手に入る訳には心配しているのであった。

(もしかしてあの事と関係あるのかなぁ)

クスハは心当たりを探すもののあの時のこと(第十話)しか思い出せずにいた。

「彼の事だ。心配は要らないと思うが・・・・。」

レーツェルが言おうとした矢先であった。

突然警報が鳴り始め

「第二戦闘配備!敵、ゲシュペンストおよびアンノウン!」

「またかよ!しつこいな!!」

「ホント、しつこい人は嫌われるんだから♪」

文句を言いながらも彼らは戦場に向かっていった。




その頃セインはと言うと・・・・・

「はぁはぁ・・・嫌な予感がする。・・・行かないと。」

胸を掴みながら格納庫へ向かおうとするのだが、力なく倒れてしまった。

(ちくしょう・・・。力がでねぇ。せめて痛み止めがあれば・・・。)

這いつくばりながらドアを開けたのだが、そこで力尽き気を失ってしまった。







「何なんだよ、あれは!?」

「ゲシュペンストの次はヒュッケバインMk-2ぅ。まったく節操無いわねえ。」

アルトやヴァイスたちの前に立ちはだかる機体は白い色をしたヒュッケバインMk-2であった。

ただし、ブリットのヒュッケバインMk-2と違いテスラドライブを装備し、その他の武装を簡易化してあるのである。

『フハハハハハ!これは我が連合が独自に開発した量産型だよ!!さぁ今日こそ終わりだ、クロガネ!!』

「あらら。相手からネタバレしてくれるなんて自慢しているのかしら?」

「さあな。だが・・・・。」

キョウスケが言いかけたその時であった。

連合の言った量産型ヒュッケバインMk-2はレクタングルランチャーを構え、一斉に発射した。

それに気付いたパイロット達はすぐさま拡散し、砲撃を避けていった。

(マオ社でも開発されていない量産型。これは何か噛んでいるな。)

そう思いながらキョウスケはリボルビングバンカーを使い一体一体確実に破壊していった。

「くそ、前衛にゲシュペンスト。後衛にMk-2もどき。これじゃ攻めこめねぇじゃねえか!」

「そう言うな、リュウセイ。気が滅入るだろ。」

ゼンガーがそう突っ込むと、被弾することもかまわずにゲシュペンストを数機、一刀両断する。

この攻撃法は装甲の高いグルンガストタイプだからこそ出来ることであって、パーソナルトルーパーに乗っているリュウセイにはとても出来ない攻撃であった。

「すげぇ。よし、俺も!!」

その掛け声と共にリュウセイはビルトラプターの速度を上げミサイルを乱射した。

ゲシュペンストはその予想外の攻撃に対応できず撃墜される。

「よっしゃあ!どんどんいくぜ!!」

リュウセイは調子に乗り始め、次々と撃墜していくのであった。

一方、クスハ達は苦戦を強いられていた。

乗り始めて2日であると言うブランクを持つクスハは、

量産型ヒュッケバインMk-2のレクタングルランチャーを避けながら倒していくことが難しく何度か被弾してしまう。

「きゃ!このままだとまずいわ。何とかしなくちゃ。」

クスハは何とか体制を整えなおして、ゲシュペンストにスパイラルアタックを使い直撃させる。

それを繰り返し何とか戦っているのである。

ブリットはヒュッケバインMk-2の運動性を生かしてチャクラムシューターとライトソードを使い撃墜していくのである。

「ち、クスハの元にもいけない。どうする!?」

彼の顔には焦りの色が見えていた。

(こんな時にスレイヤーとリヴァウサーがいれば・・・。フィス、早くセインを見つけてくれ。)

どんな困難にも的確な指示を与えていた彼がいない今、不安に満ちているのであった。








フィスはレーツェルの命令でセインを探しにクロガネをうろついていた。

「たぶん部屋にいると思うんですが・・・。」

フィスは不安に満ちながら彼の部屋に向かう。

「セイ兄!どうしたの!?」

フィスがセインの部屋を訪れてみるとセインがドアの前で倒れていたのを発見したのである。

「フィス・・・か・・・」

力無く返事をするセイン。

「セイ兄、しっかりして!」

「痛み止めを・・・頼む・・・」

セインに言われ医院室から痛み止めを持ってくる。

フィスの持ってきた痛み止めをセインは服の上から腕に打つ。

なんとか落ち着いき、セインはすぐに状況を確認する為にブリッジに向かう。

「状況は・・・どう・・・なって・・・いる?」

ブリッジにいたクルーはセインの姿を確認すると戦況を説明した。

「連合がヒュッケバインMk-2と思われる機体を使い攻撃を受けています。」

「分かった・・・今から・・・俺も・・・出る・・・」

セインの発言に驚き、フィスは止めようとする。

「何言っているんですか!?痛み止めを打ってここに来ているんですから止めてください。」

「アレは恐らく量産機だ・・・このままじゃ・・・やられる」

「でも!!」

フィスの言葉を無視し格納庫に向かおうとするセイン。

するとテツヤがセインの前に立ち腹部を強打する。

「がは・・・」

「少しは仲間を信じろ。それに、そんな奴を出す訳にはいかないんでな。」

セインはその衝撃で気絶してしまった。

「フィス、今すぐ出撃してくれないか。兎に角あのヒュッケバインMk-2を如何にかしないと話にならん。」

「了解しました。セイ兄を頼みます!」

そう言ってフィスは格納庫に向かっていった。

「5番から10番一斉発射!リヴァウサーの出撃の援護をしろ!!」

「了解!!」

発射された砲撃は量産型ヒュッケバインMk-2を何機か沈めることに成功し、リヴァウサーは出撃するのであった。







『なかなかやるな、旧式を使っている割には。』

『相手はベーオウルフに白銀の堕天使です。そう簡単にやられないと思います。』

『それもそうだな。主砲発射。1番から10番まで一斉発射。目標敵艦、クロガネ!!』

敵艦長が指示しその攻撃がクロガネに向かっていった。

「艦長、敵の攻撃がこちらに向かってきます。数30です。」

「緊急回避!艦全体にバリアを張り衝撃に備えろ!!」

テツヤはの判断によりクロガネの損害は軽微である。

「クロガネが!総員に告ぐ。ゲシュペンストを全機撃墜し次第、あの量産型ヒュッケバインMk-2を叩く!!」

その言葉が終わり次第、アルトアイゼンが量産型ヒュッケバインMk-2へと向かっていった。

「一発一発がチタン製だ。ありがたくくらえ!!」

その言葉と同時に肩のクレイモアを発射する。

クレイモアから発射された弾丸とレクタングルランチャーから発射された弾丸がぶつかり合い煙幕が張られる。

しかしそんなときであった。

アルトアイゼンの腕や足などのパーツが壊され墜落したのである。

「な!」

「キョウスケ!!!!」

エクセレンがアルトアイゼンに駆け寄ろうとした次の瞬間、再びレクタングルランチャーが発射されヴァイスリッターに直撃した。

「きゃ~~。」

「エクセレンさん、大丈夫ですか?」

ブリットは通信でエクセレンの安否を確認する。

「な、何とかね。死んではいないわよ。」

エクセレンが生きていることを確認しホッとしているのもつかの間、いまだに攻撃を続けている。

「行くぜシロ、クロ!ディスカッター、ハイファミリア!」

マサキがそう言ってサイバスターから剣を出し突っ込んでいく。

その援護に先ほど出したハイファミリアを使っていく。

「くらえ偽者野郎!!ディスカッター、連続切りだぁ!!」

サイバスターはその機動力を生かし次々と量産型ヒュッケバインMk-2を切り裂いていく。

そしてディスカッターを鞘に収めた瞬間、切り裂いた機体が爆発を起こし撃墜していった。

「風の魔装機神はダテじゃないんだよ!!」

マサキの活躍により量産型ヒュッケバインMk-2の数は4分の1まで減少していった。

『このままでは、全速前身!!本艦はクロガネに特攻を仕掛ける!!』

敵艦長は量産型ヒュッケバインMk-2が全滅することを恐れ敵本艦であるクロガネを撃墜することにした。

「艦長。敵艦が突っ込んでいきます!」

「慌てるな!クロガネの先に付いている物を忘れたか!?」

エイタはハッと気付き、クロガネの艦首を敵艦に向ける。

「全速前身!艦首のドリルを回転させろ!!」

クロガネの艦首に付いてあったドリルが回転しだし敵艦に直撃させる。

『ば、馬鹿な!こんなことが!!』

「戦いは機体の能力じゃない!機体をよく知り、それを十分に活用することだ!!」

クロガネは敵艦を貫き、撃墜させた。

それを見た残りの量産型ヒュッケバインMk-2は撤退していった。








その後破損したアルトアイゼンとヴァイスリッターを回収。

エクセレンは軽傷であったもののキョウスケに関しては4箇所の骨折と重傷であった。

クロガネのクルーはキョウスケ達の生存に喜んでいた。

「あれで生きているとはすごい悪運ですね。キョウスケさん。」

「まぁ今に始まったことじゃないからな。キョウスケの悪運の良さは。」

と、戦闘を終えたパイロット達のひと時の幸せが流れえていた。

その頃フィスはセインの所に行っていた。

「セイ兄、何処行っていたの?精密検査を受けた方が・・・・。」

「大丈夫だ・・・・。問題ない。」

フィスはセインのことを心配しているのだが、セインはそれを無視し部屋に向かう。

「でも・・・。」

「いいから!ほっといてくれ!!」

セインはそう叫ぶと部屋に入ってしまった。

「セイ兄・・・。どうして?」

フィスは今まで見たこと無いセインの姿に少しどぎまぎしていた。

一方部屋に入ったセインはと言うと部屋の鍵を閉め、ベットに倒れこんだ。

「すまんな、フィス。こんなもの・・・見せたくないんだ・・・・。」

そう呟き、眠りに付いた。








『どうやら量産型Mk-2でも倒せなかったようだね。』

『済みません○○○○様。ですが次は確実にいけるでしょう。』

連合軍の本部でなにやら話していた。

一人は軍服を着ているが、もう一人は異質な服を着ており明らかに軍服を着ている人より偉そうであった。

『行っとくけど君達は必要の無い駒なんだからね。そこのところを忘れないように・・・。分かった?将軍様。』

そう言って部屋を出て行った。

将軍と言われた彼は何処かへ電話をする。

『あれは発掘できたか?』

『はい。発掘は済みましたが、起動のほうは・・・・。』

『まあいい。量産型ヒュッケバインMk-2で足止めをしておく。すぐに起動させるんだ。』

『了解しました。』

話が終わり電話が切れると将軍は笑みを浮かべた。

『半生体兵器か・・・・。まさかあのような物が埋まっていたとはな・・・・。』

彼は勝てる確信を得たのか大きな声で笑い始めた。


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