青空部屋

青空部屋

ルーズリーフください。




あの人と席が隣になってから、もう一ヶ月が過ぎようとしていた。
本当は大好きで大好きで声をかけたいのに、かけられずに過ぎた日々。
交わした言葉は「有難う」そして「ごめん」と、小さな挨拶。
「あ、ノート・・・・・」
チャイムが鳴り出して気付く。
数学のノートがなくなっていたこと。
私はルーズリーフ派じゃないから、こういうときは困る。
いつもは麗からもらっているけど、でも、でも・・・・・
「あ、あのさ!」
私は思い切って、隣に座っているルーズリーフ派の彼に声をかける。
「・・・・・何?」
私の大好きな彼の髪は少し茶色がかっていて、後ろからの太陽の光で美しく輝いていた。
「あ、あのね、広川・・・」
頑張って、頑張って震える掌を彼に見せる。
「・・・ルーズリーフください」
其の言葉に少し驚いて、そして小さく噴出して、彼は自分の机をあさり始める。
「・・・あった、はいどうぞ」
そう言って渡してもらったルーズリーフ、三枚。
「あ、有難う!有難う!」
慌てて小さく頭を下げる私を見て、広川は優しく言った。
「どういたしまして」
其の時にかっと笑った顔を私は忘れることが出来ない。
其のルーズリーフは、まだ持ってる。
「ねぇ広川此処意味わかんない」
「意味わかんないって言う前に努力しろ馬鹿」
「馬鹿って言うほうが馬鹿」
「そう言ってるほうが馬鹿」
「う~・・・もう!」
今はいっぱい喋ってるんだ。
来週は席替え。
また、また近くの席になりたいよ。
あの時のルーズリーフ、毎日ファイルに入れて持ってきている。
其の三枚目の右下隅、其処に書いてあった広川からのメッセージに気付くのは、この日から一ヶ月くらい経った、雲の綺麗な日だった。

『綾瀬、ずっと喋りたかった。俺から喋りかければ良かったのに、御免な?やっぱ喋りかけるの、すげぇ緊張したんだもん。有難う。 卓』

いつから私がルーズリーフを貰うと、彼に分かっていたのか・・・。
別に何時だって良い。
このメッセージを見つけた次の日、私は広川から呼び出された。
これから幸せになろうね、卓。

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初ですね、恥ずかしいです。
でもこの二人は結構お気に入り。
卓が、可愛い・・・笑
ちなみに名前の由来はありません、適当です。
愛がねぇ~・・・。
感想などはBBSに頂けちゃったりしちゃったりしちゃうと、幸せですv


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