ミックスジュース

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講演「みんなちがって みんないい」

「みんなちがって みんないい」


20世紀は、「私が・・・。」と自分を主張する時代だった。
自分中心の時代だった。
しかし、金子みすゞさんに出会って、ショックを受けた。
彼女のまなざしは、いつも自分より相手なのだ。
「私とあなた」ではなくて、「あなたと私」なのだ。

英語で理解するという意味を「understand」という。
これは、相手の下に立って理解するということ。
人間同士がお互い理解するには、相手を思いやることが大切なのだ。

この世は、何事も表と裏があるように、2つで1つだと金子みすゞさんは言っている。
喜びと悲しみ、幸せと不幸、生きることと死ぬこと、目に見えるものと見えないもの、そういうものがあることに気づいて欲しい。

だから、あなたがいるから私がいるってことに気づいて欲しい。
そういうまなざしで物事をみると、優しい気持ちで相手を思いやれる。

医者とか看護師だと言っても、患者さんがいるから医者や看護師なのだ。
患者さんがいなければ医者でも看護師でもない。
子供がいるから、親になれたのだ。
だから、子供に感謝する気持ちを持って欲しい。
そういう気持ちは大切だ。

子育てにおいて、言葉を「こだま」(反復)することは大切だ。
子供が「痛いよ。」と言う。大人は、「痛いね。」と反復する。そして、「我慢できるかな。」と声かけをする。このことが大切なのだ。
「痛いよ。」と言ったら、「それくらいのこと、我慢しなさい。」と言う親が増えている。でも、子供は親の前ではいい子になりたい、親の期待に答えたいと思っているから、「でも痛いの。解ってよ。」と言う言葉を飲み込んで心の中にしまいこんでいる。
しまいこんでいる言葉がいっぱいになったら、子供は1度にそのいっぱいになったことを捨ててしまう。
そのときに「あのいい子がこんな事件を起こして・・・、信じられない。」と言うことになてしまう。そういう子供は、学校や社会が悪いのではない。親が悪いのだ。

今は、親の言うことを聞く子供がいい子だよと言って育てている。
そうではないのだ。
昔の親は、何度も子供に「お前は私の宝だよ。」と言って育ててきた。子供がいるから親は幸せなんだよと言うことを伝えなければいけない。

言葉は大切だ。
しかし、今の言葉のやり取りはドッチボールのようで、相手に当てることばかりを考えている。そうすると、相手は当てられまいとして逃げることばかり考えてしまう。
子供が言うことを聞かないのは、ドッチボールのように言葉を投げているからだ。

言葉はキャッチボールでないといけない。
相手が投げたら、やさしくキャッチする。そして、相手が取りやすいように投げ返す。
お互いが理解しあうために、何度でも繰り返す。
そうすれば、気持ちは必ず通じる。
相手のことをいつも考えながら投げること、つまり「あなたと私」の精神が生きているのだ。

辛いという漢字の上の縦棒に横棒を付け加えると、幸せと言う字になる。
でも、幸の下は一本の棒で支えている。
辛いときも、人がよりそって支えてこそ、その辛さが和らぐ。そういう意味でも、幸せは「倖せ」と書いたほうがいいのかもしれない。

優しいという漢字も、憂いを人がよりそって優しくなれると言う意味からできている。

倖せも優しさも、1人ではできない。
人と寄り添わなければなれない。
相手を思いやる心、「あなたと私」の気持ちを持っていればできる。

「あなたと私」
あなたがいてくれたからこそ私は倖せだと思うこと、そうすれば倖せは自分に返ってくる。
「あなたと私」
自分中心のまなざしが和らいで、優しい気持ちになれると思う。




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