| 花の雨が降るさんの名言(5/8日記より) |
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| 鬱病に苦しむ人は、誤った価値観に束縛されています。 誤った価値観とは、自分自身に向けられる、 「ねばならない」という発想を言います。 精神が健康であればあるほど、自分自身に対して、 「ねばならない」と考えないものです。 例えば、 「きちんとしているから成功する」 という価値観は間違っています。 鬱病は、自己否定するところから起こりますが、 こういう価値観を持っていると、 自己否定の根拠を与えてしまいます。 きちんとしているから成功する。 (ねばならないという誤った価値観) ↓私は失敗した。 ↓私はきちんとできない人間だ。 ↓私は悪い人間だ。(自己否定から鬱になる) この誤った価値観は、 親や尊敬する人から与えられています。 カウンセリングで良くあるやりとりを提示してみます。 カウンセラー 「あなたはどうしてきちんとしなければならないと考えるのですか?」 患者「きちんとしなければ、 成功しないのが人生でしょう。」 カウンセラー「そうですね。ですが、 たとえあなたがきちんとしていても、 運が悪ければ失敗します。」 患者「そうです。」 カウンセラー「それに、きちんとしている人よりも、 おおらかな人の方が成功していませんか?」 患者「そうですね。」 カウンセラー「それならば、きちんとしていれば成功するは間違っていませんか?」 患者「そうですね。」 カウンセラー「では、あなたはどうしてきちんとしていれば成功すると考えるのですか?」 患者「親にそう言われたからです。」 カウンセラー「では、あなたは親の言うことが すべて正しいと思いますか?」 患者「そうは思いません。」 カウンセラー「それならば、親に押しつけられた この価値観が、間違っていることもあります。」 患者「そうかも知れません。」 カウンセラー「健康な場合、こういう発想はせず、 もっと軽く物事を考えるので すが。」 患者「そうなのですか?」 カウンセラー「そうです。あなたがもし、 他の親に育てられていたら、 このような価値観を持ちませんでした。」 患者「私は親の間違った価値観に束縛されていたのですか。」 カウンセラー「そのようですね。だから、今、鬱になっているのです。」 患者「・・・。」 カウンセラー「他にも、自分自身に対してねばならないと考えておられるのでしたら、それはすべて間違いです。」 一般的に鬱の人は、 「ねばならない」という価値観に束縛されていることに、 気がついていません。 認知療法では、 この間違った価値観に気づいてもらって、 なるべく持たせないようにして、 肩の荷を降ろしていきます。 そして、 物事をなるべく軽く考える癖をつけてもらうことで、 鬱病の再発を防ぎます。 間違った価値観で多いものをあげておきます。 ・学歴があれば成功する。 ・努力すれば成功する。 ・きちんとしているから成功する。 ・勉強すれば成功する。 ・優しいと結婚できる。 ・相手の感情に配慮すれば成功する。 ・自信があれば成功する。 ・強ければ成功する。 ・仕事をうまくこなせば成功する。 ・いつも笑顔ならば成功する。 ・たばこを吸ってはいけない。 「ねばならない」という意識に束縛されていると、 人に対しても「ねばならない」を強要してしまい、 人から煙たがられて、敬遠されます。 そして、どんどん卑屈な考え方を身につけてしまい、 何事もうまくいかなくなって、 自己否定を深めてしまいます。 「ねばならない」と考えるのではなく、 「ねばならない」を 「~したい」「~になりたい」と考えるようにして、 自己否定を行わないように心がけて下さい。 過去を振り返るのは、過去に抑圧された感情を 表出するためと、この誤った価値観に 目を向けさせるためであって、 最後は辛い過去を忘れることが大切です。 鬱の人は、過去に生きています。 例えば、朝に喧嘩をして、昼までムカムカしている場合、 昼に楽しいことがあっても、楽しめません。 それは、意識が過去にいるからです。 健康な場合、意識は今現在にあって、過去は忘れています。 カウンセラーに対して、正直になれないのは、 過去に自分が会った人と、 目の前にいるカウンセラーを同一視するからです。 カウンセラーは何を言っても 受け止めてくれる存在であって、 過去に会った人と全然違う人で 価値観も考え方も違うのです。 これも、意識が過去に生きていることを示す 典型的な例です。 また、心の病を抱えている人は、 人格が分かれていて、 理想の自分を演じている自分がいます。 そのために、自分の感情を殺すのです。 正常な場合、人の感情に配慮する前に、 自分の感情に正直です。 この場合、相手には許せて、 自分には許せないことを抜き出してみて、 自分自身のことをよく振り返ってみることが大切です。 健康な場合は、相手に許せないことは、 自分にも許せないし、相手を許せることは、 自分も許せます。 感情の表出も十分で、 「ねばならない」という 間違った価値観のついても十分に考察してもなお、 鬱がなくならないならば、 親からの自立と労働を心がければ良くなります。 親からの自立とは、 親から離れて自分の責任で生きていくこと。 また、労働は人間の精神にとってとても重要です。 周りが働いているのに、自分だけ悶々としていると、 無意識的に焦りとストレスを感じています。 自己分析を進めて、鬱からくる無気力がなくなったならば、勇気を持って労働してみて下さい。 自分を強いと考えているのならば、 それは大きな間違いです。 自分が実はすごく弱い存在だと気づけば、 誰よりも自分自身を守らなければと考えるようになります。 そうなれば、人のことよりも、自分自身の感情に より素直になれます。 また、無意識にばかり気がいくのも、 鬱病を悪くします。弱い無意識を守るのが自我であって、 無意識も、自我を配慮してあげないといけないのです。 自我は、無意識の持つ感情を大切にし、 無意識は自分を守ってくれている自我を大切に思うことが 重要です。 本当の自信は、学歴や権威や武器にあるのではなく、 無意識が自我を信じるところから生まれるのです。 鬱が軽減されて、動けるようになったら、 頭の中をぐるぐる回るうるさい思考を 一切やめるように心がけましょう。 頭の中がうるさいことに気がついたら、 心を落ち着けて、 うるさい思考を停止するようにしましょう。 鬱がなくなって動けるようになったら、 自己分析は、もう必要ありません。 自問自答をやめて、主観的に過去と現在と未来を みることができるようになれば、 ストレスのない以前の生活が戻ってきます。 強い不安感に襲われた時は、 何も考えないようにして、 ゆっくりと睡眠を取るようにして下さい。 不安に追いつかれても、死ぬわけではありません。 人生に抜け道はいっぱいあります。 人生は長いのですから、走り続ける必要はないのです。 今日は休む日と決めて、十分に休息をとって下さい。 のんびりしていることに罪悪感を感じる必要はありません。 ゆっくりしている人を非難する人が間違っているのです。 ゆっくりしている人を非難する人は、 遅かれ早かれ潰れます。 歩いている人は、 道ばたの草や鳥の声に気づくことができて、 いつも心が豊かです。 人生もそれと同じです。忙しい職場にいて、 バリバリしている人だけが成功するわけではありません。 忙しい職場にいながら、 のんびり落ち着いている人もたくさん成功しています。 人が走っていても、 自分のペースをしっかりと守ることは、とても大切です。 走りたい人は走らせておけばいいのです。 人が走っていても、自分は歩くようにしてください。 そうしているうちに、 次第に行動力がたまって自分も走れるようになってきます。 人に会いたくないときは、素直にその感情を認めて、 仕事が終わったら、 なるべく人に会わないようにしましょう。 電話がかかってきても、出なくていいのです。 今日は人に会わない日と決めて、 ゆっくり自分の時間を満喫しましょう。 誰だって、一人になりたいときはあるものです。 罪悪感を感じる必要はありません。 人には、心の調子のいいときに会えばいいのです。 鬱を治すために一番必要なことは、休息なのです。 休息を仕事と思うようにしてください。 鬱が長引くと、想像以上に体力が低下しています。 でも鬱の人は、疲れるという感覚が麻痺していますので、 どこまでも動ける気になります。 仕事をしていて、やたら肩が凝ったり、 走れなくなったら、体力がないのだと認識して、 淡々とその日の仕事をこなすようにしましょう。 自己分析を深めることによって鬱が軽減されて、 なお残るストレスは、自分に負けない生き方をすれば 取り除くことができます。 ストレスぐらい、少々の病気ぐらい、 「なにくそ」 「負けるものか」 と精神の力で引っ張ることが大切です。 ストレスの強いときは、自分に負けないと思っても、 なかなかできません。 それをすると、逆に感情の起伏が激しくなってしまいます。 それは、自分を縛り付けている価値観に 気づいていないからです。 ですが、その価値観に気づけば、 それを打ち破っていくことができます。 そして、そうしているうちに、 次第に動けるようになってきます。 自己分析を進めて、自分を大切にするようになると、 今度は過剰に自分を守るようになってしまいます。 それでは、本当の自信は生まれてきません。 自信は、過去の自分の行為を信じて、 クヨクヨと振り返らず、 先を見すぎて走らず、今のこの瞬間を、 自分に正直に生きることから生まれてきます。 自信のなさからくるストレスをなくすためには、 「なにくそ」が必要なのです。ストレスへの耐性は、 この「なにくそ」から生まれてきます。 また、ストレスを解消するには、仕事や交遊や趣味に打ち込むことが大切です。 自分が楽しいと思うことをすればするほど、 ストレスはなくなっていきます。 鬱の人は、自分が楽しいと思うことを抑圧しているので、 楽しいことは何もないと考えますが、 過去を振り返れば、 楽しいことが必ずあったはずです。 それを無理矢理にでも何度もやってみて、 機嫌を損ねた無意識をあやしてあげて下さい。 |


