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昨日、2時間ばかり時間があったので、だいぶ前に買っていた文庫本を
読んでみました。以前、書店めぐりしていたら、人気の作家ということでコーナーがあった。適当に選んだのが さまよう刃(やいば)。ワインの話ではありません(笑)
若い時分は、ほとんど食事もせず、3日がかりで24冊走破などやりました。今では考えられないですが。実際前は、年200冊くらいは読んでたと思います。最近はとんとご無沙汰。あまり期待せず読んでみました。
うーん。なるほど。分かりやすい。というより、読みやすいと書いた方がいいでしょうか?結局、2時間も必要なく、読み終えてしまいました。赤川次郎なみ? 東野圭吾
さんは、文章が平易。とても読みやすい書き方をする方。個人的には、もう少し凝った文章の方が好きですが…。
さまよう刃は、犯罪被害者、加害者、少年法など様々な現代社会の問題を切り取った小説。犯罪被害者による加害者(犯罪者)への復讐。テーマ自体は、現代の憂える日本社会ではタイムリーでしょう。
そういう意味で考えると、この小説はいいかもしれません。
導入は悪くありません。テーマも重く、そして哀しい。
少年犯罪をテーマにした作品はたくさん存在しますが、『さまよう刃』には人間の本音、綺麗ごとを排した感情が込められています。
主人公は、一人娘をある日突然失ってしまう。
それも犯罪によって。未成年の男たちに娘をレイプされ殺されてしまう。
あまりにも突然に失われた平穏な生活。主人公である長嶺、加害者である少年たち。事件を担当する刑事たちやマスコミ、謎の密告電話。考えると多くのキーワードが浮かび上がる。
復讐がなぜいけない?私は・・・否定できません。
主人公と同じ立場になれば、同じように行動してしまうかもしれない。現在の日本は、被害者の人権に関してあまりに配慮がたりない。諸外国と比べても量刑が軽すぎます。建前論に終始して、それは人権の侵害以外のなにものでもない。
この小説一冊で、東野圭吾という書き手を判断するのは難しいし、そんなつもりもありません。
ただ、読み終えての感想は…物足りないの一言。もっとテーマを深く掘り下げて欲しかった。この さまよう刃 に関しては、テーマや複線は悪くないが、どうにもバックボーンの描き方が足りない。人物の心情や、そこに至る過程、底に眠る人間の性。現代社会のもつ病巣・・・描写不足の感がある。
暴力一つとっても、残酷と冷酷の描き分けが甘い。登場人物の描き分けも微妙。複線になる登場人物の背景を、もっと細やかに描ければもっと良かったと思います。
かなり強引な展開も目に付く。もっとも、その分、主人公に対して感情移入はしやすいのだが。これで社会派サスペンス…?とは言いがたい。
随分前の作品だが、 高村薫
のマークスの山、レディ・ジョーカー、照柿などと比較すると軽く浅い。テーマに振り回され、消化不良になってしまっている。
言い方が悪いかもしれないが、まるで劇や二時間ドラマの脚本のよう。
深さが足りない。人間を描ききれていないのが残念。
優秀な演出家が、かなり書き込めば面白い作品になりそう。
もっと心を揺さぶる作品になったかもしれないだけに
残念で、少し厳しい書き方になってしまった。
興味がわいたのも確かなので、時間を見つけてもう少し
東野圭吾、読んでみようと思います。
ではでは。
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