MOOMIN KINGDOM 2

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1・3 タロおじさん

電話を切ってすぐ、タロおじさんは僕のもとへやってきた。

「雅人~!」

あの人はいつも元気がいい。

本当にどこからそんな力が湧いてくるのだろうというくらいに元気だ。

「タロおじさん、やっぱ早いですね。」

「おっちゃんめっちゃ走ってきたしなぁ。興味めちゃめちゃあるから気になってしゃあないねやぁ」

「さすがですね。早速なんですけど、この状況どう思います?」

「う~ん、そやなぁ・・・」

―おじさんが状況を把握している間にタロおじさんの紹介をしておこう。

ずっとおじさんと呼んでいるが、親戚というわけではない。

彼との出会いは僕がまだ小学生だったころ・・・

僕はいつものように学校から帰っていた。

すると前からたくさんの怪しい男の人が僕に近づいてきた。

「坊や、おじさんと遊びにいかないか?」

「えっと・・・」

まだそんな対処の方法も知らない年頃、当然彼らに近づくべきでないことは分かっていた。

でもそれだけじゃ彼らをふりきることなんてできるわけがない。

「ご飯たべさせてあげるから、さぁおいで。」

「いや、あの・・・」

今考えると原始的な誘い方である。

こんな事に乗せられる子供がごろごろいることに今となっては憤りを感じる。

そこから先の記憶がないのだ。

気付いたら小さな部屋の中にいた。

ここはどこだろう・・・。

気付かれないように目を開けると、僕の横に一人の男性が座っていた。

僕をじっと見ている。

どうやらさっきの怪しい人ではないようだ。

一安心して完全に目を開けると

「おっ気付いたかぁ。ぼく、大丈夫か??」

「えっと・・・おうち・・・は・・・おうちに・・・かえりたい・・・」

「おうち??ここぼくのおうちやで。ほら、お母さんや、分かるか?」

「雅人?分かる?お母さんよ。いったいどこに行ってたの??」

「ぼくの・・・おうち・・・?」

「そうよ、雅人のおうちの雅人のお部屋。」

僕は起き上がって周りを確認した。

確かに、ここは僕の家の僕の部屋。

間違いないけど、このおじさんは・・・?

「このおじさんが雅人を連れて帰ってきてくれたの。ちゃんとお礼言いなさい。」

「ありがとうございました。」

何もつかめず、何もわからずただ言葉を並べた。

でも、そのとき僕はなぜか彼らの思いが分かった。

僕を本当に心配していると・・・。

それがタロおじさんとの出会いだ。―

「おじさん、どうです?」

「どうなんだろうなぁ・・・こんなことがありえるんやろか・・・」

「といいますと?」

「いや昔な、有名な研究者の人がこんなこと言ってたんや。『地球上である一定の力を一緒に集めれば様々な時代、世界から同じ場所に人を集めることができる』ってな」

「そんな話通用するんですか?」

「いや、不可能や。時を越えることなんかできるわけない。しかもそんな莫大なGをここに集めるなんてこと現実的か?」

「そうですよね、でも・・・」

「うん、実際現実になってる。もうちょっと調べてみる価値ありそうやな」

「どうしましょう?また別の日にもう一度調べますか?なんか警察の方も騒がしく動いてますし・・・」

「そやな、じゃあまた連絡するわ。ママによろしゅうな。」

「はい分かりました。ではまた・・・」

警察が動いている。

報道陣の言う怪奇現象のターゲット達が保護・・・というよりも仮設された施設に収容されている。

今日から警察の取調べが始まるのだろう。

タロおじさんは現役の刑事である。

彼ならきっとこの場にも自由に出入りできるだろう。

僕も同伴でいけそうな気がする。

ぜひ彼らにも会ってみたい、話してみたい。

少し怖い気もするがなぜか僕にはできる気がする。

僕にしかできないような気もする。

とりあえずやってみないと始まらないんだと思う。

明日もまた頑張ろう・・・


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