ラッコの映画生活

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2007.01.07
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AL DI LA DELLE NUVOLE


アントニオーニ監督は『ある女の存在証明』(1982)撮影後脳卒中で倒れて脳障害となり、再起が絶望と言われていたが、ヴィム・ヴェンダースを補佐にして4話からなるオムニバスを撮った。本編4つをアントニオーニが、プロローグ、プロムナード(各話のつなぎ部分)、エピローグをヴェンダースが監督したということになっている。脚本はアントニオーニ自身が80年代に書いた短編小説がもとになっている。

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この作品については、過去に映画史上の偉大な作品を残し、多くの後進にも多大な影響をあたえてきた、病身の老巨匠(82才)に対する敬意があって、お茶を濁すような中途半端な批判が多いような気がする。「愛の不毛」などという言葉で有名であり、また『太陽はひとりぼっち』ではアラン・ドロンとモニカ・ヴィティの美しさでヒットしたらしいが、もともと一般大衆に解りやすい映画ではない。だから例えばソフィー・マルソーのファンが見たとしても、マルソーのヌード云々というのを外せば、映画としては簡単に面白い作品ではない。そこでひとつの評価としてこんなことを考えてみた。「アントニオーニのファンであるあなたは、この作品がなかった方がよかったですか?、それともあった方がいいですか?。」ともし問われれば、「あった方がよかった。」とボクは答えるだろう。

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(以下ネタバレ)
物語はジョン・マルコヴィッチ演ずる(アメリカの?)映画監督「私」が、映画の着想を探す旅でイタリアに到着するところから始まる。第2話では「私」をもストーリーに巻き込みながら、4話の愛を中心とした物語が語られる。「私」のモノローグは、映画ではいかに人間の真実(現実)が描けるのか、といった映画の方法論も語られ、いわばアントニオーニの分身と言ってもいいのだろう。ヴェンダースの描いた冒頭は霧の中の街で、『ある女の存在証明』を思い起こさせる。

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(第1話)
舞台はどこなのだろう、コマッキオの街か、シルヴァーノ(キム・ロッシ=スチュアート)は車を止めて自転車の女カルメン(イネス・サストレ)に近くにホテルはないかと尋ねる。教えられたホテルに泊まるとそこにはカルメンも泊まっていた。互いに興味を惹かれ合い、夜それぞれの部屋に戻るとカルメンはベッドでシルヴァーノのノックを待つが、シルヴァーノは決心し切れずに女の部屋には行かなかった。翌朝彼女はすでに出発済みで離れ離れになるが、男も女も互いに強く相手を愛したと「私」のモノローグが言う。3年後フェラーラ(アントニオーニ監督の出身地)で偶然に再会し、男は女の部屋にいく。裸で向き合うものの男は手や唇を微かに女の体から離して触れずに愛撫する。そして突然一人帰ってしまう。窓から去っていく男を見つめる女と、振り返って女を見つめる男。男はその後女に合うことは二度となかったが、生涯女を深く愛した、と「私」のモノローグ。

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(第2話)


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(第3話)
パリのカフェ。若いイタリア女オルガ(キアラ・カゼッリ)がパリに住むアメリカ人中年男ロバート(ピーター・ウェラー)に話しかける。2人は愛人関係となった。3年後ロバートは妻パトリシア(ファニー・アルダン)にオルガとは別れると言い、酒に逃げ酔っぱらった妻を抱くが、オルガの部屋を訪ねると、結局またオルガの肉体を貪る。

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パリの高層マンションの近代的なガラス張りの部屋にカルロ(ジャン・レノ)が出張から帰ってくると、部屋からは家具が運び出されていてない。妻から電話で出て行った、探さないでと。ドアのベルが鳴りパトリシアが。この部屋を借りることにした者だ、と。彼女は夫から去ってきたのだ。同じような境遇の2人に新しい愛が芽生える。

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(第4話)
エクス・アン・プロヴァンス、「私」の泊まるホテルの向かいの扉から若い女(イレーヌ・ジャコブ)が出てきたのを若い男ニコール(ヴァンサン・ペレーズ)が追い、話しかける。女は清澄な笑顔をたたえている。女は教会のミサに急いでいた。教会の中で眠ってしまうニコール。外に出ると路面の花の模様を女はしゃがんで指でなぞっている。雨が降り出し、2人は走って彼女の家に向かい、途中で彼女は滑って転んでしまうが、屈託なく笑う。女を追って階段を登るニコール。部屋のドアの前で「明日もあえるね?」と問うと、女は「明日修道院に入る」と答える。

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最後にヴェンダースによる映像。ホテルの部屋の窓が外からいくつか映り、それぞれの室内の様子をかいま見させるが、人様々の人生があると。

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ところでこの最後の部分、ヴェンダースによるキェシロフスキ 『デカローグ』 へのオマージュ、ないし引用ではないだろうか(そうでなければパクリ)。人それぞれの人生が窓の中の各部屋の中で展開されているというのは『デカローグ』全体のテーマであり、また映像自体は『デカローグ・第6話』そのもの。ベッドで女が来るのを待つ3番目くらいの室内の男はどこか『デカローグ・第3話』のヤヌーシュに風貌も似ていた。

そういうことから書き始めるなら、第1話から映像はアントニオーニの世界だ。画面をいくつかの部分に区切る構図、人物を画面中央ではなくズラして配置するあり方とか、足もとだけ写すのとか。しかし単なるアントニオーニのスタイルで、旧名作とは違い、それによる表現的意味は薄い。『太陽はひとりぼっち』などではフレームに入っていないフレーム外とかも意味を持たされていた。第3話のところの2枚目に引用した写真は夫婦がガラス越しにキスをするシーンだが、これは『太陽はひとりぼっち』にも出てきた。

この映画、4つの物語を個別に見ていると、なるほど退屈するほどではないにしても、どうして?、だから?、が描かれてはいない。その意味で最も詰まらないのは第3話だ。でもどうなんだろう。もともとこの映画の額縁は、「私」なる映画監督の新しい映画のための素材の取材だ。その枠で接した4つの人生模様であり、それぞれは1本の長編映画になる素材として捉えたらどうだろう。例えば第2話の若い女は何故父親を殺したのか、なぜ「私」と簡単に寝てしまうのか、そういうことは描かれない。それは観客が映画を作るつもりでイマジネーションを働かせることなのだ。映画監督の「私」は様々な人生を捉えること、そして真実にそれを映画に描くことを自問している。そこに観客は身を置くべきなのではないだろうか。映画を作っている監督が映画作りの疑問をただ描くのではなく、観客にその立場に身を置くことを要求した映画とは言えないだろうか。

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その上で4つの小話全体での意味がある。第1話の2人は深く愛し合ってはいるが肉体関係に至らない。それはセックスや同居という日常的に現実的な男女関係になってしまえば、その後に待っているのは「愛」の終焉でしかない。第2話は、人と人のある一時の人間的相互共感があれば、いわゆる愛がなくともセックスを必要とし、それが可能だということだ。これは肉体的快楽という意味ではなく、もっと精神的なこと。第3話はいちばん普通に俗世的な男女の営み。そして第4話は俗世間の人間的悩みから超越(逃避?)すべく神に自らを捧げようという若い女。彼女は螺旋状の階段を昇っていき、いちばん上の部屋が彼女の家だ。そこを天にいちばん近い場所と言っていいのだろうか。追ってきた男はその最上階までは昇らない。その少し手前で「明日修道院に入る」と女に言われ、ドアの中に消えた女を後に、彼はまた階段を下界に向けて降りるしかない。4つの物語を通して投げかけられた監督の問いは全く明解そのものではないだろうか。



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Last updated  2007.01.07 20:52:44
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