「The+単数形の普通名詞」によって事物全般を指すのは「科学・技術などについて述べるときの堅い表現によく用いられる」と文法書にある。 上記の(3)について述べたように、「抽象的なニュアンス」があるからというのがその理由だと思うが、とくに科学技術などについては、それが出てきたときに、人々の話題となり、それに言及するときは「例の」「いわゆる」という意味の冠詞をつけたい「キモチ」になってしまう、と考えてもいいかもしれない。 The cellphone is one of the greatest innovations for modern people. (あのいわゆる)携帯電話(というモノ)は現代の人間にとって最大の革新の1つである。
例外(と見えるもの)のひとつに、「映画に行く」というときの映画がある。 「映画に行く」はgo to a movieか、go to the movies かのどちらかとなる。上の説明で行けばむしろ、go to movies となりそうなものだが、それは使わない。その理由はいまのところ私には説明できないのだが、ことによるとそもそもmovieとはもともとは「moving pictures」すなわち「動いている何枚もの絵」(フィルムにはいくつものコマ、すなわちいくつもの絵がある!)の略であって、それが「1本の」映画となってもmovies と表された、のかもしれない。つまり映画全体としてはmoviesでも「単数」みたいな概念だったのである。その上で、「あのいわゆる映画ってやつ」と人々の話題に上る。…というわけでthe movies。これは私の勝手な推測だが、当たっていたりしないかな?