出張から無事帰ってきました。
出張中にまとめようと思っていたのですが、
最近夜更かしができませんねぇ(^^ゞ
出張前にやっていたこと、それは超短時間露光で、
CMOS動画カメラを使って銀河を撮ってみる、
1年ちょっと前に始めたことを、キャッツアイ星雲の処理で
だいぶやり方の道筋が見えてきたので、
またやってみよう、という気になってきたのです。
超短時間露光による撮影は、見た目には明るさを表現できていないものの
光を受け取った、というデータとして残っており、
これを多数枚重ねることで、ノイズの海からわずかな信号を拾い上げる、
という処理をすることができ、
短時間であることからガイドエラーや大気の揺らぎの少ない画像が得られること
がメリットになります。
また多数枚あるのでエラーや揺らぎの大きいものは捨てて、
よりエラーの少ない画像を選ってスタックすることで、
通常の長時間露光よりも、よりシャープな画像に仕上げることができる、
とされています。
もう一つのメリットとして、赤道儀の軽量化にもつながります。
長時間ぶれない、巨大かつ堅牢で高精度、の赤道儀ではなく
短時間ぶれなければよいので少し赤道儀をサイズダウンできる、という考えですね。
そういう理由で、高感度、かつ拡大率の高いCMOSセンサーで
その撮影方法を実践してみたわけです。
デジカメで撮影する場合、F4で20秒、F6で50秒、F10で120秒
というのが短時間露光の目安なのだそうですが
今回はさらに超短時間で、しかもキャッツアイを撮影した5秒ではどうか?
という話です。
で、その画像は・・・
(楽天)
(フォト蔵)
20180419のM88 5秒
posted by (C)ホシミスト_3013
2018.04/19 M88
MT160+ASI290MC Gain490Gamma60Exp5秒 1207Fr×75%
EM200 半自動ガイド(ほぼノータッチ)
自宅庭より
FireCaptureでDark20Fr適用、AS!3でスタック
CS2 SI8 NeatImage
どうです?結構出るでしょう??
始まりは2016年の年末なんですが、
そのときは15秒露光でM109を撮ってみました。
(楽天)
(フォト蔵)
20161231のM109 15秒
posted by (C)ホシミスト_3013
2016.12/31 M109
MT160+ASI290MC Gain430Gamma50Exp15秒 395Fr×90%
EM100 半自動ガイド(フレーム間に手動補正)
自宅庭より
DSS(L355D20F0DF0B0) KappaSigmaClippingSat12
CS2 NeatImage
ただし、15秒ともなると結構ピリオディックモーションで点像には写せないものです。
そこで今回は5秒でM88を撮ってみたわけですが、
さすがに淡い腕は厳しい印象で、ノイズも結構出るなぁ・・・という感じ
そこで10秒だとどうだ?と思いたちましたが、
残念ながら薄雲が通過したようで、
200コマしか使い物になりませんでしたので、
撮影枚数があまりに少なすぎかな?と思います。
(楽天)
(フォト蔵)
20180419のM61 10秒150Fr
posted by (C)ホシミスト_3013
2018.04/19 M61
MT160+ASI290MC Gain450Gamma70Exp10秒 200Fr×75%
EM200 半自動ガイド(ほぼノータッチ)
自宅庭より
FireCaptureでDark20Fr適用、AS!3でスタック
CS2 SI8 NeatImage
見た目はともかく、画像処理は
5秒より10秒、10秒より15秒の方が幅が広い、つまりいろんなことができる
という印象です。
さて、そうなると15秒の撮影で極力ぶれないようにしないといけないわけですが
大きな問題はピリオディックモーションのほかにもう一つ、
極軸、が挙げられます。
赤緯方向のずれは、機械的なPEにくらべ、自分で何とかできますからね。
そこで、知り合いに頼みこんでPoleMasterを貸し出してもらいました。
(楽天)
(フォト蔵)
PoleMaster
posted by (C)ホシミスト_3013
極軸望遠鏡の先に、極軸キャップと同じねじ山のアダプターを介して取り付けるのみ。
極軸合わせ操作も簡単なものでした。
(ただし赤道儀の高度はともかく、東西の動きは、微動ではなく粗動なので
なかなかぴったり!というわけにはいきません)
それでも、ほぼ極軸の目盛通りに導入したキャッツアイ星雲撮影時は
まったくノータッチであれば、40分少々で↓これだけ↓ずれていたものが
(楽天)
(フォト蔵)
2000mm焦点距離のガイドずれ、PoleMasterなし
posted by (C)ホシミスト_3013
PoleMasterを使って極軸を合わせたM88の時は、ずれは40分でわずかに↓これだけ↓
(楽天)
(フォト蔵)
ノータッチのガイドずれPoleMasterでの設定の場合
posted by (C)ホシミスト_3013
(キャッツアイが2000mm、M88が1000mmの鏡筒なので、
M88は2倍に拡大しています)
ピリオディックモーション方向以外のずれはほとんどないことが
わかっていただけるでしょうか?
(フルサイズのデジイチで撮影したと換算したら、2000mmではなく
12000mmほどの焦点距離であることをお忘れなきよう!!!)
さて、超短時間露光で銀河が写る、と書くと、
わずか5秒なんてそんな簡単に銀河が写るのか!と思いこまれる方が非常に多い
ということは知っています。
それはそれで困るのですが、5秒ごときで銀河が写るもんか!と思われるのも
ちょっと残念です。
でもまぁ、確かに1枚では↓この程度↓、なんですよね
(楽天)
(フォト蔵)
M88 5秒露出 1枚物
posted by (C)ホシミスト_3013
もし、試してみたいと思っている方がいらっしゃれば、
1枚当たりこんなものでちゃんと銀河が見えてくるのか?
と心配になるでしょうが、これでも結構見えてくるものなんです。
多数枚スタックすることで、ノイズの海に沈んでいたシグナルが
浮かんできますから!
500コマを普段はAS!2かAS!3でスタックするのですが、
今回は試しにRegistaxでスタックしてみました。↓これ↓がそう。
(楽天)
(フォト蔵)
M88 5秒露出500Frスタック
posted by (C)ホシミスト_3013
ノイズが格段に減ることがわかると思います。
ノイズが減るとシグナルが浮かび上がりますからね~~!
しかしそのためにはこの画像では500コマ・41分撮影しているわけで、
(最終的には1200コマ・100分撮影しています)
5秒の撮影で次々と対象を変えて撮れるわけではない
というところを間違えないでください。
たとえばRegistax上でざくっとレベルを変えてウェーブレットをかけると
1枚の画像ではあんなものだった画像でも、500コマもスタックすると
結構なもの、だと思いませんか?
(楽天)
(フォト蔵)
M88 5秒露出500Fr Registax Waveletあり
posted by (C)ホシミスト_3013
さて、この画像を見てみなさんお気づきと思いますが、背景の斜めノイズ!
やっぱり出るんか~~い!と思いますよね。
それはCMOSですから、ピリオディックエラーと赤緯方向のわずかなずれの方向に
当然斜めノイズは出ますね~~。
あまりにガイドのずれがないので放置しましたが、やはり手動ディザは必要です
もう一つ裏技を。
実はこのCMOSセンサーは、ときどき真横に走るノイズが
浮かび上がってくることがあります。
(楽天)
(フォト蔵)
横縞ノイズ
posted by (C)ホシミスト_3013
これはセンサー特有のものだそうで、撮影技術ではどうにもならないそうです。
ということは当然その対策ソフトもあるわけで・・・(笑)
みなさんお使いのAS!2やAS!3、
メニューバーにImageCalibratinというプルダウンメニューがあり
その中のRowNoiseCollectionをクリックすれば、
(楽天)
(フォト蔵)
AutoStakkertでRowNoiseCllection
posted by (C)ホシミスト_3013
見事に消えてくれるんですよ
(楽天)
(フォト蔵)
ASで横縞ノイズ除去後
posted by (C)ホシミスト_3013
残った斜めノイズは、撮影者の手抜きで、ディザリングしなかったため浮かび上がってきた、
PEとわずかな南北方向のずれによる斜めノイズです。
次回の撮影はここは手を抜かないようにしないと(笑)
さて、M109、M88、M61と、淡い腕を持つ銀河で試してみましたが
実はM108、M82などの不規則銀河、M51などのもともとかなり明るい銀河
には、この非冷却CMOSカメラの超短時間露光は、めっぽう強い印象を持っています。
(楽天)
(フォト蔵)
M108 20170101 15秒露出
posted by (C)ホシミスト_3013
2017.01/01 M108
MT160+ASI290MC Gain350Gamma60Exp.15sec×215Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage
15秒露出だと、やはり気流やガイドのブレによって
多少ピントが甘いような画像になることもありますね・・・
(楽天)
(フォト蔵)
M82 20170101 15秒露出
posted by (C)ホシミスト_3013
2017.01/01 M82
MT160+ASI290MC Gain350Gamma60Exp.15sec×280Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage
やっぱり15秒程度では、噴出するジェットを描出するのは難しいのかな?
それとも市街地での撮影ということが邪魔しているのか?
でも内部の微細な構造はよく見えると思います。
(楽天)
(フォト蔵)
M51 20161231 15秒露出
posted by (C)ホシミスト_3013
2016.12/31 M51
MT160+ASI290MC Gain400Gamma50Exp.15sec×360Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage
M51ほど明るいと、15秒露出でも結構インパクト大きく写せますね。
ただし子銀河の周囲にある淡い腕は、画面上方左の外側まで続いているのですが
その淡い腕を出すには、露出が足りないのか、
光害のないところで撮る必要があるのか・・・
これからいろいろ試行錯誤すれば、
結構このカメラでも銀河が楽しめるのでは?と思いますが
時間が許すのであれば、設定や撮影、処理、のすべてにめんどくさい、
冷却モノクロCMOSで1分くらい露出したものの方が、
仕上がりはきれいな気がしてはいるんですよね~~。
(楽天)
(フォト蔵)
M94ひなぎく銀河20180310
posted by (C)ホシミスト_3013
2018.03/10 M84
MT160+ASI 178MM-Cool Gain330Gamma70Exp60SecTemp-15℃
L74D30 RGB11D30(2x2bin) Ir42FrD30(2x2bin) Takahashi EM200(AGS-1L) FC60(D60f500)+ASI290MC+PHD2
自宅庭
DSS PSCS2 Registax AS2(RowNR) StellaImage7 NeatImage
この先銀河をどう撮っていくか、悩みどころではありますが
まずはPoleMasterのおかげでガイド成功率が上がりそうだ、ということと
高温多湿の時期に冷却CMOSが結露するようであれば、この方法もありかな?
と思っているところです。
さて、PoleMaterは、私は ここ で購入しました
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