ホシミスト3013の天体撮影記

ホシミスト3013の天体撮影記

2018年04月23日
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カテゴリ: 銀河

出張から無事帰ってきました。
 出張中にまとめようと思っていたのですが、
 最近夜更かしができませんねぇ(^^ゞ

 出張前にやっていたこと、それは超短時間露光で、
 CMOS動画カメラを使って銀河を撮ってみる、
 1年ちょっと前に始めたことを、キャッツアイ星雲の処理で
 だいぶやり方の道筋が見えてきたので、
 またやってみよう、という気になってきたのです。

 超短時間露光による撮影は、見た目には明るさを表現できていないものの
 光を受け取った、というデータとして残っており、
 これを多数枚重ねることで、ノイズの海からわずかな信号を拾い上げる、
 という処理をすることができ、
 短時間であることからガイドエラーや大気の揺らぎの少ない画像が得られること
 がメリットになります。
 また多数枚あるのでエラーや揺らぎの大きいものは捨てて、
 よりエラーの少ない画像を選ってスタックすることで、
 通常の長時間露光よりも、よりシャープな画像に仕上げることができる、
 とされています。

 もう一つのメリットとして、赤道儀の軽量化にもつながります。
 長時間ぶれない、巨大かつ堅牢で高精度、の赤道儀ではなく
 短時間ぶれなければよいので少し赤道儀をサイズダウンできる、という考えですね。

 そういう理由で、高感度、かつ拡大率の高いCMOSセンサーで
 その撮影方法を実践してみたわけです。

 デジカメで撮影する場合、F4で20秒、F6で50秒、F10で120秒
 というのが短時間露光の目安なのだそうですが
 今回はさらに超短時間で、しかもキャッツアイを撮影した5秒ではどうか?
 という話です。

 で、その画像は・・・

(楽天)




(フォト蔵)
20180419のM88 5秒
20180419のM88 5秒 posted by (C)ホシミスト_3013
2018.04/19 M88
MT160+ASI290MC Gain490Gamma60Exp5秒 1207Fr×75%
EM200 半自動ガイド(ほぼノータッチ)
自宅庭より
FireCaptureでDark20Fr適用、AS!3でスタック
CS2 SI8 NeatImage


 どうです?結構出るでしょう??

 始まりは2016年の年末なんですが、
 そのときは15秒露光でM109を撮ってみました。

(楽天)




(フォト蔵)
20161231のM109 15秒
20161231のM109 15秒 posted by (C)ホシミスト_3013
2016.12/31 M109
MT160+ASI290MC Gain430Gamma50Exp15秒 395Fr×90%
EM100 半自動ガイド(フレーム間に手動補正)
自宅庭より
DSS(L355D20F0DF0B0) KappaSigmaClippingSat12
CS2 NeatImage


 ただし、15秒ともなると結構ピリオディックモーションで点像には写せないものです。
 そこで今回は5秒でM88を撮ってみたわけですが、
 さすがに淡い腕は厳しい印象で、ノイズも結構出るなぁ・・・という感じ
 そこで10秒だとどうだ?と思いたちましたが、
 残念ながら薄雲が通過したようで、
 200コマしか使い物になりませんでしたので、
 撮影枚数があまりに少なすぎかな?と思います。

(楽天)




(フォト蔵)
20180419のM61 10秒150Fr
20180419のM61 10秒150Fr posted by (C)ホシミスト_3013
2018.04/19 M61
MT160+ASI290MC Gain450Gamma70Exp10秒 200Fr×75%
EM200 半自動ガイド(ほぼノータッチ)
自宅庭より
FireCaptureでDark20Fr適用、AS!3でスタック
CS2 SI8 NeatImage


 見た目はともかく、画像処理は
 5秒より10秒、10秒より15秒の方が幅が広い、つまりいろんなことができる
 という印象です。

 さて、そうなると15秒の撮影で極力ぶれないようにしないといけないわけですが
 大きな問題はピリオディックモーションのほかにもう一つ、
 極軸、が挙げられます。
 赤緯方向のずれは、機械的なPEにくらべ、自分で何とかできますからね。
 そこで、知り合いに頼みこんでPoleMasterを貸し出してもらいました。

(楽天)




(フォト蔵)
PoleMaster
PoleMaster posted by (C)ホシミスト_3013

 極軸望遠鏡の先に、極軸キャップと同じねじ山のアダプターを介して取り付けるのみ。

 極軸合わせ操作も簡単なものでした。
 (ただし赤道儀の高度はともかく、東西の動きは、微動ではなく粗動なので
  なかなかぴったり!というわけにはいきません)
 それでも、ほぼ極軸の目盛通りに導入したキャッツアイ星雲撮影時は
 まったくノータッチであれば、40分少々で↓これだけ↓ずれていたものが

(楽天)




(フォト蔵)
2000mm焦点距離のガイドずれ、PoleMasterなし
2000mm焦点距離のガイドずれ、PoleMasterなし posted by (C)ホシミスト_3013

 PoleMasterを使って極軸を合わせたM88の時は、ずれは40分でわずかに↓これだけ↓

(楽天)




(フォト蔵)
ノータッチのガイドずれPoleMasterでの設定の場合
ノータッチのガイドずれPoleMasterでの設定の場合 posted by (C)ホシミスト_3013

 (キャッツアイが2000mm、M88が1000mmの鏡筒なので、
 M88は2倍に拡大しています)

 ピリオディックモーション方向以外のずれはほとんどないことが
 わかっていただけるでしょうか?
 (フルサイズのデジイチで撮影したと換算したら、2000mmではなく
 12000mmほどの焦点距離であることをお忘れなきよう!!!)

 さて、超短時間露光で銀河が写る、と書くと、
 わずか5秒なんてそんな簡単に銀河が写るのか!と思いこまれる方が非常に多い
 ということは知っています。
 それはそれで困るのですが、5秒ごときで銀河が写るもんか!と思われるのも
 ちょっと残念です。
 でもまぁ、確かに1枚では↓この程度↓、なんですよね

(楽天)




(フォト蔵)
M88 5秒露出 1枚物
M88 5秒露出 1枚物 posted by (C)ホシミスト_3013

 もし、試してみたいと思っている方がいらっしゃれば、
 1枚当たりこんなものでちゃんと銀河が見えてくるのか?
 と心配になるでしょうが、これでも結構見えてくるものなんです。
 多数枚スタックすることで、ノイズの海に沈んでいたシグナルが
 浮かんできますから!

 500コマを普段はAS!2かAS!3でスタックするのですが、
 今回は試しにRegistaxでスタックしてみました。↓これ↓がそう。

(楽天)




(フォト蔵)
M88 5秒露出500Frスタック
M88 5秒露出500Frスタック posted by (C)ホシミスト_3013

 ノイズが格段に減ることがわかると思います。
 ノイズが減るとシグナルが浮かび上がりますからね~~!
 しかしそのためにはこの画像では500コマ・41分撮影しているわけで、
 (最終的には1200コマ・100分撮影しています)
 5秒の撮影で次々と対象を変えて撮れるわけではない
 というところを間違えないでください。

 たとえばRegistax上でざくっとレベルを変えてウェーブレットをかけると
 1枚の画像ではあんなものだった画像でも、500コマもスタックすると
 結構なもの、だと思いませんか?

(楽天)




(フォト蔵)
M88 5秒露出500Fr Registax Waveletあり
M88 5秒露出500Fr Registax Waveletあり posted by (C)ホシミスト_3013

 さて、この画像を見てみなさんお気づきと思いますが、背景の斜めノイズ!
 やっぱり出るんか~~い!と思いますよね。
 それはCMOSですから、ピリオディックエラーと赤緯方向のわずかなずれの方向に
 当然斜めノイズは出ますね~~。
 あまりにガイドのずれがないので放置しましたが、やはり手動ディザは必要です

 もう一つ裏技を。
 実はこのCMOSセンサーは、ときどき真横に走るノイズが
 浮かび上がってくることがあります。

(楽天)




(フォト蔵)
横縞ノイズ
横縞ノイズ posted by (C)ホシミスト_3013

 これはセンサー特有のものだそうで、撮影技術ではどうにもならないそうです。
 ということは当然その対策ソフトもあるわけで・・・(笑)
 みなさんお使いのAS!2やAS!3、
 メニューバーにImageCalibratinというプルダウンメニューがあり
 その中のRowNoiseCollectionをクリックすれば、

(楽天)




(フォト蔵)
AutoStakkertでRowNoiseCllection
AutoStakkertでRowNoiseCllection posted by (C)ホシミスト_3013

 見事に消えてくれるんですよ

(楽天)




(フォト蔵)
ASで横縞ノイズ除去後
ASで横縞ノイズ除去後 posted by (C)ホシミスト_3013

 残った斜めノイズは、撮影者の手抜きで、ディザリングしなかったため浮かび上がってきた、
 PEとわずかな南北方向のずれによる斜めノイズです。
 次回の撮影はここは手を抜かないようにしないと(笑)

 さて、M109、M88、M61と、淡い腕を持つ銀河で試してみましたが
 実はM108、M82などの不規則銀河、M51などのもともとかなり明るい銀河
 には、この非冷却CMOSカメラの超短時間露光は、めっぽう強い印象を持っています。

(楽天)




(フォト蔵)
M108 20170101 15秒露出
M108 20170101 15秒露出 posted by (C)ホシミスト_3013
2017.01/01 M108
MT160+ASI290MC Gain350Gamma60Exp.15sec×215Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage


 15秒露出だと、やはり気流やガイドのブレによって
 多少ピントが甘いような画像になることもありますね・・・

(楽天)




(フォト蔵)
M82 20170101 15秒露出
M82 20170101 15秒露出 posted by (C)ホシミスト_3013
2017.01/01 M82
MT160+ASI290MC Gain350Gamma60Exp.15sec×280Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage

 やっぱり15秒程度では、噴出するジェットを描出するのは難しいのかな?
 それとも市街地での撮影ということが邪魔しているのか?
 でも内部の微細な構造はよく見えると思います。

(楽天)




(フォト蔵)
M51 20161231 15秒露出
M51 20161231 15秒露出 posted by (C)ホシミスト_3013
2016.12/31 M51
MT160+ASI290MC Gain400Gamma50Exp.15sec×360Fr
EM100半自動ガイド
自宅庭より
AS!3 CS2 NeatImage


 M51ほど明るいと、15秒露出でも結構インパクト大きく写せますね。
 ただし子銀河の周囲にある淡い腕は、画面上方左の外側まで続いているのですが
 その淡い腕を出すには、露出が足りないのか、
 光害のないところで撮る必要があるのか・・・

 これからいろいろ試行錯誤すれば、
 結構このカメラでも銀河が楽しめるのでは?と思いますが
 時間が許すのであれば、設定や撮影、処理、のすべてにめんどくさい、
 冷却モノクロCMOSで1分くらい露出したものの方が、
 仕上がりはきれいな気がしてはいるんですよね~~。

(楽天)




(フォト蔵)
M94ひなぎく銀河20180310
M94ひなぎく銀河20180310 posted by (C)ホシミスト_3013
2018.03/10 M84
MT160+ASI 178MM-Cool Gain330Gamma70Exp60SecTemp-15℃
L74D30 RGB11D30(2x2bin) Ir42FrD30(2x2bin) Takahashi EM200(AGS-1L) FC60(D60f500)+ASI290MC+PHD2
自宅庭
DSS PSCS2 Registax AS2(RowNR) StellaImage7 NeatImage


 この先銀河をどう撮っていくか、悩みどころではありますが
 まずはPoleMasterのおかげでガイド成功率が上がりそうだ、ということと
 高温多湿の時期に冷却CMOSが結露するようであれば、この方法もありかな?
 と思っているところです。

さて、PoleMaterは、私は​ ここ ​で購入しました






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最終更新日  2018年04月24日 13時53分09秒
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15年ぶりに趣味の世界に帰ってまいりました。はたして天体写真の腕が上達するのか?その足跡を残しておきたいと思ってはじめたブログです。
最近は、DeepSkyStackerというフリーソフトを使えるようになり、画像が格段によくなってきましたが、その分庭からでなくなってしまいました。暗いとはいえ住宅地からどれくらい星が写せるのか、も見ていただけたら、と思います。
なお、梅雨など、星が写せないときには遠景や花など、節操無くアップしますのでご容赦を。
(^^ゞ

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