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フランソワ・オゾン監督による女性讃歌映画。主演は「8人の女たち」でも仕事をしたカトリーヌ・ドヌーヴ様。原題は「Potiche」で、辞書を引いてみると「1.大型陶磁器(壼、花瓶などの置物)2. (実質的権限のない)名誉職の人、飾り物」とある。居間の暖炉の上に飾ってある装飾的な用途に特化した大きな壼(花を生けたりするためではなく、飾り)のことで、転じて「綺麗なだけで、中は空っぽのお飾り」みたいな意味らしい。
邦題は、若かりしドヌーヴが主演した傑作ミュージカルの「シェルブールの雨傘」を意識していることは言うまでもない。そういえば、「ブルーバレンタイン」について タマフルポッドキャスト で「鬼畜の所行なり」←(褒めてる)って言われてたけど、「シェルブールの雨傘」も鬼畜だったなあ・・・。戦争のせいで愛し合ってた男女が見事にすれ違っちゃうんですが、 シェルブール、鬼畜の所行なり・・・。
この映画は、今までブルジョワな専業主婦をしていた女性が、夫が社長をしていた傘工場のストライキを彼にかわって収め、新トップとして頭角を表して行くという細腕繁盛記的なお話。女だからって家庭に押し込められていたけど、実際やってみたら私にだって出来た!人生やってやれないことはないのね、と気付く女性の話でもあります。
赤ジャーを着てランニングするドヌーヴ様に仰天(しかも髪にベージュのネットを被せてるw)!森の動物たちにも挨拶してたりして、メルヘンなオ・バ・チャ・ン!大御所がやるから面白い!って言うギャグが最高です。昔は退廃さえ感じさせる氷のような美貌の伝説的スターで、今は昔のイメージを逆手に取り、笑わせどころをしっかり押さえた美熟女として現役で活躍。日本で言うと松坂慶子みたいな感じかなあ?
ジェラール・ドパルデュー(左翼の市長)や、ファブリス・ルキーニ(男尊女卑の夫)のキャスティングも最高~。劇中で、ドヌーヴ様とドパルデューの若い頃の写真が出てくるんだけど、やっぱり二人とも素晴らしいんですよ。当時の美貌といい風格といい。確かに全盛期に比べて容色は衰えた。しかし今の二人は、ますます輝いている!!人として円熟しているんですよ。それがすごくよく伝わってきました。
ただの善良な奥様かと思いきや、実はしっかり恋愛も楽しんでいたってのが「 フランスやな~ 」って感じがしましたが(笑)。息子の結婚相手の女の子が実は「異母兄弟」かもしれないから、結婚は絶対ダメ!と言う夫に、「それはないから大丈夫よ」ってさらっと言うドヌーヴ様。「夫に裏切られる前に裏切っていたんだけど、結局それでよかったんじゃない」と、最高です。そういや息子はピッチピチのパンタロンとか履いているので、いつカミングアウトするんだ?と見ていたら結局ナシだった。70年代ってみんなこんな感じの服だったのかな。
話も傘工場再建で終わるんじゃなくて、更なるステップを目指しちゃうのがすごい。花開く熟年て感じで、将来に希望が持てました。昔のディスコミュージックみたいな音楽( Viens faire un tour sous la pluie )も良いです。この映画、母親世代におすすめかも。
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