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マミンカ(義母)も来日していたし、なんとなく異邦人から見た東京気分ってのが味わいたくてレンタル。イザベル・コイシェ監督作品なのに、なぜか邦画コーナーの下の方に置かれていて、探すのに苦労したわい!@近所のツタヤ
昼 間は築地市場で働いている菊地凛子の殺し屋が、ターゲットのスペイン人男性(セルジ・ロペス)に情を持ってしまうという話です。これは・・・一言で言う と、実に珍味な映画だったなああ~。こういうテイスト、すごい好きです。例えるならば・・・10%の「キル・ビル」と20%の「ロスト・イン・トランス レーション」と同じく20%の「 ラスト、コーション 」をカツオだしでとったラーメンのスープの中に入れて混ぜた・・・みたいな感じ?
一体どこから話せばよいのやら・・・。冒頭で女体盛りが出て来て、「 お前もか・・・ 」と少し心が折れそうになるが、過剰なエキゾチックジャペーン演出はこれだけでホッとする。
少 し暗めな夜の東京が良い。庶民的な居酒屋やラーメン屋も良いし、浅草や新宿西口や下北が良い。今まで洋画の東京って言うと漢字やひらがなのネオン!みたい な感じだったけど、普通にみんなが知ってる東京の夜、でもイザベル監督の目を通しいるので、ちょっとだけエキゾチック、そして登場人物の心情を投影してか ちょっと寂しげな東京・・・というこのさじ加減が良いのだった。原題「Map of the sounds of Tokyo」もよいが、邦題もなかなかよい。
そして二人が密会をするラブホテル「ホテルバスティーユ」が東京キッチュ、ここに極まれり!と いう強烈な印象を残す。部屋にはそれぞれパリの広場の名前がついているのだが、二人が選んだのはなぜか日本の通勤電車の車両を模した変形部屋。窓から見え るのはパリの風景という・・・休憩と言うよりプレイの為の部屋なのであった。バックに流れる昭和な歌謡曲もイイ(美空ひばりだって)!ここらへんキル・ビ ルぽいのであった。
ここでやっと登場人物の話へ・・・。黒いコートを着て、黒髪ロング、赤い口紅の菊地凛子はまるでお人形のよう。いちごの 餅(いちご大福?)が好きで、武器をツモリチサトの小さいバッグに忍ばせるというガーリーな一面も持っている殺し屋なのだった。昼間は築地市場で働いてい る謎の殺し屋。菊地凛子の繊細そうでもありサディスティックでもありなイメージとぴったりで、フィクショナルな設定でも馴染む。
ターゲットのスペイン男がセルジ・ロペスなんだけど、この人は「 パンズ・ラビリンス 」 に出てた血も涙もない将軍じゃないか~!すごくコワイ軍人の役だったので、普通に東京にいるのが不思議な感じ~。「 ミドリハ、ワタシノ、ジンセイダッ タ・・・ 」って日本語もユマ・サーマンばりにヘタクソで「プッ・・・」と。本当に日本で商売やってるのか?ってくらい下手だったな(その後、セリフはほぼ 英語で進行)。
しかしセルジ・ロペスの自殺した彼女があびる優って!!!ものすごいミスマッチなんだが・・・。セルジ・ロペスって普通のオッサンですよ?あびる優とも毎週ラブホ行ってたって言ってたから援助交際的な感じ?ここも何とも言えない味っちゃ味なのだった。
そうそう、押尾学も出演していたが例の事件で出演シーンはすべてカットだったらしい。しかし一体どんな役だったのだろうか?でも押尾学がいなくても話は全然成立していたので問題なしだな(笑)。
菊地凛子の唯一の友達であるおじいさんを演じていたのは田中 泯さんという方で、「 メゾン・ド・ヒミコ 」 でヒミコ役を演じていた方でした。このおじいさんのモノローグでお話が進行して行くんだけど、彼のモノローグが映画全体に輪郭を与えているというか、全体 を締めていてものすごくよかったです。セリフひとつひとつが、程よい重みがあって美しいのですな・・・なんとなく「大分麦焼酎 二階堂」のCMみたいな感じだと思いました。
結局、どうして菊地凛子が身代わりになるまでセルジ・ロペスを好きになったのかは、いまいちというか全く分からずじまいだったけど(孤独な魂同士が惹かれ合った的な感じだろうか?・・・と予告編を見て補完)。しかし、それを置いても独特のトーキョー感を持ったこの作品に魅了されたことに変わりありません。最近同じような映画ばっかで飽きちゃった、何か変わった映画が観たいなってときにオススメです。
イザベル・コイシェ監督のインタビューを見つけました( こちら )。アメリカ批判をしたりして、なかなかパンチが効いており素敵な方とお見受けします。
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