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【楽天ブックスならいつでも送料無料】真木栗ノ穴 [ 西島秀俊 ]
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こんな映画があったなんて、西島さんのフィルモグラフィー(あ、 サヨナライツカ は抹消ね)をチェックするまで存在すら知らなかった・・・。マイナーぽいから近所のツタヤに、 あるかな、あるかな~ ←(稲川淳二風)ってオドオドしながら行ったら、 あったー!!! 即レンタル。
売 れない作家の真木栗(西島秀俊)が住むボロアパートの隣室に若い女(粟田麗)が引っ越して来んですが、彼女に妄想力をかき立てられた真木栗は、官能小説を書き始めるのです。ボロアパートには壁に穴が空いていて、そこから彼女を盗み見ては、創作意欲を刺激する真木栗。運送屋や置き薬のセールスマンと彼女の情事 を妄想し、小説を発表していくのだが・・・というお話です。ホラー小説が原作だそうです。
いや~・・・・ 俺、これ好き! ←(キムタク風に)設定が江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」ぽくてエロチックで面白いってのもある。それに、こういう西島さんがいいのよ!!!こういうのが見たかったのよ!!!って言う私のツボをグイグイ刺激してくれました。ポイントは以下の5つですな。
1.クリエイティブ系フリーランサー(貧乏)
2.独身一人暮らし
3.なんとなくフラフラしている
4. 人間味がある
5. 母性本能をくすぐる
西島さんの真の良さは、 大企業勤めの駐在ヤリ◯ン野郎 なんかでは、到っ底表現することが出来ないわけなんですよ。西島さん自身もこういう役の方がイキイキして見えるしさー。そう言った意味でも、サヨナライツカの良い口直しになりましたわ~。 本当によかった~。
ま ず舞台設定なんだが、木造風呂トイレなしの 昭和枯れすすき風 のアパートに、西島さんはどんなに暑くても長袖シャツという服装。置き薬屋も出て来るしで、いったい時代はいつ???と思ったら出版社にはパソコンもあるので現代らしい。でもこの映画に漂う 昭和的清貧レトロ感 がたまらんのです。
うっすらと無精髭をはやし、本当に貧乏でどうしようもない作家なんだけど(DVDパッケージでは、精悍な感じだけど劇中は結構トホホな感じ)、西島さんが生来備えている品の良さみたいなもので、それはそれはキュートに見えるのですよ。編集者がいなくなったらサッと電気を消して、隣室に通じる穴をヨガのような姿勢で覗くシーンは本当に受けま した。
官能小説を書く作家の生活っていうことで、この映画には濡れ場(西島さん自身の濡れ場は残念ながらナシ)が出てくるんですが、それもなんか昭和の香り漂うエロスって言うか・・・出入り業者と奥さんの昼下がりの情事っつーベッタベタな設定も いとをかし 、という感じ。
隣 室に越して来る若い女は、小西真奈美を小熊ちゃんにしたような感じの女優さん(粟田麗)で、初めて見たときは「すげー地味だよな~」と思ったけど、その地味ぽ さもだんだん味に思えてきて、この役は彼女以外ありえないなあ~って思うんですよね。服装も日傘に小花を散らしたワンピースみたいな清楚ルックで昭和っぽいし。ところで粟田麗 さんは、 ちょっと私に似ていませんか・・・? (顔の造形は私の方が全然雑だけど・・・)リアル友人の人、感想求む。
私がこの映画で一番「 これは・・・ 」 とゾクゾクしたのが、トマトのシーンです。隣の美女がトマトをいっぱい買ったので、西島さんのところへお裾分けに来るんですよ。で、熟れたトマトを床に落 としてしまってトマトの汁が脚や服に飛び散ってしまうのです。それを西島さんが拭いてくれるんですよ(当人はエロス無意識)。萌え~。こういう間接的なエロス表現、いいよねいいよね~。洋画だと、この後ゼッタイにむさぼるようなセックスシーンになるけど、「(トマト)冷やして、召し上がって下さい・・・」と伏し目がちに言って部屋に帰ってしまうあたり、 奥ゆかしくっていいよね~。
脇役のキムラ緑子(中華屋のパート)、北村有起哉(隣のボクサー)、松金よね子(中華屋のおばちゃん)、利重剛(編集長)もみんな良い。担当編 集役の木下あゆ美はちょっとイマドキっぽすぎた感じがあるが、粟田麗の昭和風美人との対比だとまあこんな感じだろうか。
結局最後は、西島さんどうなったの??って思ったけど。最後の最後で、メッセージが出て(世界的に著名な知識人のコメント引用?)、「じきに、この世界は一人の男の妄想の中にあるということが発表されるだろう・・・」みたいな内容で、「 ああ妄想力・・・ 」と妄想愛好家としては胸熱になったのでした。
切ないピアノの調べも良くって、梅雨時におうちでゆっくり観るのにぴったりだと思います。しかし、私が褒めちぎったから期待値が上がってしまったと思うので、期待せずに観るのがポイントです。
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