SHINOBI.帝国-おむらいすの里

第二部 第11話~第15話


とってこの状況はかなり不利だ。神が2体、
しかもそのしもべの大型ロストクルゼイダーが2体。
どう考えたって袋叩きに合うだけだ。ピコラは
本能的に一歩退いた。

「ウフフ。おびえっちゃって、意外とかわいい面もあるのね。」

クィーンは余裕な表情だった。まずい。このままじゃ確実に殺される。
そんな考えが、ピコラの頭をよぎった。せめて、せめてピーカプだけは
生きて帰らせなくては。そう考えたピコラはピーカプを抱きかかえた。

「これから何かするのか?あきらめろ、貴様らはここで死ぬ運命だ。」

へビィは軽く笑った。

「それでは、死んでもらおうか!」

メタルがそう叫ぶと、へビィ・メタルの間にある目から、光線が撃たれた。

「俺もこいつも、ここまでなのか?」

ピコラはそう思った。そして、そっと目を閉じた。
しかし、一向に光線はあたらない。ピコラは目を
少しだけ開いた。するとそこにはクリーチャーが
ピコラたちを光線から守ってくれていたのだ。

「私があなたたちをこの光線から守ってあげます!
さぁ、今のうちに逃げてください!」

「・・・あなたは・・・?」

ピコラは恐る恐る問い掛けた。
わかっているのは、光文明だということだけだ。

「私については後ほど基地でわかります。
とりあえず、あの方たちと一緒に逃げてください!」

ピコラが振り向くとそこには・・・。

「待たせたなお前たち!まさかこんなところにいるとはな!」

ドライブ、アクアン、コートニーの姿があった。

「何で俺たちがここにいるってわかったんだ!?」

ピコラは不思議そうだった。ドライブは、
後ろにいるアクアンを指差して言った。

「こいつのおかげだ。」

するとアクアンは少し笑った。

「にひひひ。おまえさんたちの携帯電話に発信機が
ついているのを知らなかったのかい?召集のときに
配ったケータイには発信機がついているのさ。」

そのとき、ドライブはふと思い出した。

「クックはどうした?」

ピコラは暗い顔をしてこういった。

「クックのことはいずれこいつが話してくれるはずだ。
今はここを脱出しろ。そうあの人はいってたぜ?」

ピコラは謎のクリーチャーを指差した。

「うむ。ペトローパさま、お先に失礼します!」

ドライブたちはそういって塔を後にした。

「お前うぜーんだよ!とっととくたばれや!」

メタルがそういうと光線の威力が増した。

「私は死ぬわけにはいきません。この世界を
守るために―。そして、平和な世界を築き上げるために―。」

すると突然、ペトローパが姿を消した。
どうやら光の最新技術・ワープをつかったようだ。

「チッ、逃げたか。」

メタルはイラついていた。しかしヘビィは冷静だ。

「あんなやつら、どうってことはない。
デスさえ完成すれば、それですべてが終わる。」

へビィがそういうとクィーンが一歩前に出た。

「へビィさま。私が最後のデスの生贄になりましょう。」

クィーンは本気だった。キングはこの状況にまったく動じなかった。

「うむ。では、自ら水槽に入れ。」

へビィがそういうと、クィーンは水槽に飛び込んだ。
ものすごい泡とともに、なぞの生物が誕生した。
そう、デスが完成したのだ。

「フハハハハ!ついに完成したぞ破壊神デス!
これで、我らは完全体となったのだぁぁぁぁ!」

へビィの笑い声が塔全体にとどろいた。


「ん・・・?」

ピーカプは目を覚ました。

「おう!やっと気がついたか!おまえ3日も寝てたんだぜ!」

そこにはドライブ、キッキ、ヴァルボーグの姿があった。

「俺は助かったのか・・・?」

ピーカプは不思議そうだった。

「ピコラが助けてくれたんだよ。あとでお礼言っといてね。」

キッキは少し不安だった。

「ピーカプ、正直に言ってくれ。あの日何があった。クックはどうした。」

ヴァルボーグは優しく話し掛けた。

「・・・クックは・・・。」
「クックは?」

全員声をそろえて問い掛けた。

「・・・死んだよ。」
「え!?」

キッキは床に座り込んだ。

「う、うそだよね・・・?クックが、クックが死んだなんて・・・。」

ピーカプは大きく首を横に振った。

「俺の目の前で、生贄にされた。」
「なぜ、そんなことになった。」

ドライブが再び問い掛けた。

「あの後、俺はピコラ、クックと一緒に家に帰る途中だった。
ピコラがトイレに行ってる間、俺とクックは麻酔銃みたいな
もので撃たれて、どこかに連れて行かれた。で、気がついたら
あの塔いたってわけ。大部屋に行くと神が新しい神を生み出す
ために、クックを生贄にしたんだ。」

あたりは静まり返った。

「そういやその神はもう合体してたぜ。
なのにもう一体作るってどういうことなんだろう。
普通神は二体合体なんだけどな・・・。」

ヴァルボーグは少し考えてこう言った。

「まさか、三体合体の神が存在するのか?そうなると
かなり厄介だ。おそらく一体多い分、二体合体の神の神より力が
数段上だろう。この前のゼンアクとはわけが違う。」


「とりあえずアルカディアスに連絡だ。
すぐにでも対神軍の準備をしろと
言っておけ。ドライブ、頼んだ。」

「わかった。」

ドライブは急いでアルカディアスのもとへ走った。

「ピーカプ、お前は約一週間安静だ。絶対に何かしでかすなよ。」

そのことに対して、ピーカプは返事をしなかった。

そのころ。マグマハンマーとジージョが
ピコラを呼び出したようだ。

「何の用だよ。」

ピコラはちょっと不思議な気持ちだった。
なぜならこの三人で集まることなどほとんどないのだから。

「ピコラ。よーく聞け。実は最近わかったことなのだが、
お前に、ヴァルキリアスの血が流れていることが判明した。」

「はぁ!?冗談だろ!?それじゃあピーカプとほとんど同じってこと!?」

ピコラは驚いていた。

「ああ。最近発見された神伝記にもそうかかれている。」

ピコラは神伝記に気が引かれたようだ。

「その神伝記とやら、読み上げてくれねぇか?」

マグマハンマーは大きくうなずいた。

「いいだろう。古代文字は私しか読めないからな。」

マグマハンマーはその伝記を興味深い目で読み始めた。


昔。R軍がまだ発展して間もないころ。
この大きな空から、たくさんのクリーチャーが舞い降りた。
まだ争いもない時代。そんな世界で舞い降りた
クリーチャーたちは次々と他のクリーチャーを襲い始めた。
そのたくさんのクリーチャーの中にまぎれて、格段に大きい
クリーチャーが数体いた。その中でも特に大きい二体はともに
「ゼンアク」「へビィ・メタル」と名乗り、さらに神という
特別種族だと断言し、この世界を侵略し始めた。この広い世界は
あっという間に侵略され、ほとんどの領域は神の支配下となった。
しかし、たった一部だけ支配されなかった部分があった。
それはドラゴンが住む領域、通称「竜谷」と呼ばれる場所だった。
高い攻撃力とプライドを持つ竜たちは神からの侵略を防ぎ、
なんとか生き延びていた。その中でも特に知能が高い「超竜神」と
呼ばれる者たちはこの世界を神から奪還するため、神軍に宣戦布告を
果たした。予想通り、神vs竜の対決はすさまじいものとなり、
約4年も続いたのだ。両軍は一歩も譲らず、戦争は長引いて
いった。またこの戦争を「竜神戦争」と言う。ある日、竜軍は
この戦争を終わらせるため、神の基地自体を潰す作戦に出た。
そして神軍を追い詰めることに成功したのだ。それにともなって
神の頭領「ゼンアク」「へビィ・メタル」が現れたのだ。
他のドラゴンは神軍を止め、バジュラとヴァルキリアスはその
二体と対決することとなったのだ。まさに未知の領域だった。
命を落としかねない戦い。油断した方が負けるのだ。


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