バル対策本部  元帥の間

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序章 堕ちた心と腐った信念 第三話 前編




かかって来い・・・・・

殺してみろ

俺の渇きを満たしてみろ



序章 堕ちた心と腐った信念 第三話 前編



「どうした?来ないのか?

 恨み代行だろ?賞金稼ぎ共

 獲物を目にしてびびったのか?」


向かって来させようと挑発する悪食

6人は挑発に乗るより先に怖気づいていた

敵の威圧的な雰囲気に逃げ出したい気持ちが入っていた


「あ、相手は1人だ・・・皆、行くよ」


「1人だって・・・こいつなんかヤバイよ・・・」


「あぁ、関わらない方が良いって感じで・・・」



流石は5Mごときで集まるPTといった所

本当に寄せ集めのゴロツキ共のようだ

全員レベル70以下

一番強くて63ソードマン

悪食は拍子抜けしながらこう言った


「つまんねぇよ・・・

 なんで来ないんだよ・・・」


つまらなさそうな顔をし、歯翼月牙を遠くに投げ捨てた

かなり離れた場所の地面に突き刺さる歯翼月牙

これでは武器を取りに行く前にやられてしまう

そして悪食はまたニヤつき

軽く手招きをした


「あいつ・・・武器捨てたぞ!」


「なに考えてんだ?」


「でも、チャンスだ・・・これなら一斉にかかれば・・・」


「よ、よし!」


武器を構えた6人のPC達が一斉に悪食に飛び掛った

悪食はなにもせず、ただ澄ましているだけ


「やっと来たか・・・

 フフフ・・・」

悪食の背中から巨大な黒い鋼の翼が現れ

悪食を覆い隠し

6人のPCの武器は翼に弾かれた


「え!・・・」


「翼?・・・なんだ、あれ・・・」


危険を察知しまた距離を置こうと離れる6人

だが、翼が開き、悪食の姿が見えたと同時に

逃げ遅れた二人のPCが捕まった

二人は顔面を鷲掴みにされ

悪食の両腕はいつの間にか黒い鋼の腕に変わっていた


「ッ・・・!離せ!!」


「ぐぁああああああ!!!!」


ミシミシと音が鳴るほど力を入れる悪食

ゲームのPCの痛みではなく

リアルの痛みに二人のPCは悲鳴を上げる

その悲鳴を待ち望んでいたかのように

ケラケラと笑い続ける悪食


「おい!どうした!?

 なんでそんな叫んでんだよ!?」


「本当に痛いわけないだろ!!?

 なぁ!?大丈夫か!!?」


他の4人のPCは捕まった二人の異変に気付き始めた

まるで本当に痛みを感じているのではないのか

顔面を鷲掴みにされ

悲鳴を上げながらじたばたと足掻く二人を見ると

そう思うほか無かった


「ぐぁああああああ・・・・」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛離せ!はな・・・・」


あんなに喚いていた二人が突然動かなくなった

振りほどこうと必死に動かしてた手足も

力無くぶらりと下がった

悪食は二人の様子を察し


「気絶か・・・まぁ、こんなもんか

 さて、次は誰だ?」


そう言うと気絶した二人を投げ捨て

他の4人の方を向いて

にやつきながら手招きをした



さっきの二人はページとハンターか・・・

4人の中にクレリックが居るが

無意味だろうな・・・

あとはアサシン、ソードマン、スピアマン

どこまで足掻いてくれるか

楽しみだ


「う、うわぁあああああああ!!!」


1人のスピアマンが悪食に向かって突っ込んできた

恐れからか、少し狂っているようだ


「おい!?1人で突っ込むな!!!」


「スピアs!!危ないよ!!!!」


仲間の声を完全に無視し

ただ悪食に向かって突っ込んでいくスピアマン


「なにも考えずただ突っ込んでくるか

 馬鹿が」


スピアマンの槍が悪食の体を貫いた

だが貫いたと思っていたスピアマンは絶句した


「残念だったな

 俺は・・・普通じゃないから」


悪食の体を覆う黒い鋼の鎧

貫いたのではなく

槍の先端が鎧に当たり、先端が砕け散っていた


「あ・・・あぁ・・・

 そんな・・・なんで・・・・」


先端が砕け散った槍を見つめながら

有り得ない出来事にその場で座り込んでしまうスピアマン

もうすでに戦意喪失していた


「殺しはしない

 あの日から誰も殺さないと決めたからな

 痛めつけるだけなら良いんだ

 正しいさ・・・俺は」


そう言い終え

悪食は見た事も無い二本の槍を取り出した

一本は白く透き通ったパルチザン

もう一本は黒く禍々しいパルチザン


「白光槍・・・闇黒槍・・・」


彼らの安住は、今日で仕舞いとなる


「行くぞ・・・ルシファー」



後編へ続く



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