たいへん恐縮ですが、前々回使った写真を再び使わせていただきます。ご容赦ください。
■その理由は、左端にいる法政大の 安慶名舜
主将(4年、興南)の異常な頭の下げ具合がとても気になったからなんです。開幕以来7連敗を続けた法政は、やっとこの日に初勝利を挙げました(対明治大2回戦)。写真は、試合終了後、応援団に挨拶した時の一コマです。安慶名は「応援ありがとうございました」と言いつつも、「こんなチーム成績ですいません・・・」と謝っているようにも見えます。
現在、主将という大役を担っていますが、スタメンで名を連ねることはまずなく、途中に代打出場というのが定番です。残念なことに、快打を打つシーンはあまり記憶にありません。しかし、彼が打席に立つたび、そして粘った末に四球を選んで出塁するたびに、グラウンドの空気が妙に引き締まる不思議な空気を持った選手だと思っていました。そんな折、下の写真を見て、ますます安慶名という選手に興味を持ちました。
(写真)今季初勝利を決めた後、応援席に挨拶する安慶名舜主将。進んで全責任をひとりで負っているようにも見えます・・・(対明治大2回戦)
(写真)代打で途中出場した安慶名。この試合は2打席2四球。
■たまたま手元にDVD「2010年センバツ決勝、興南vs日大三」があったので、それを見てみました。下の写真はこの決勝戦のスタメンです。ここにも安慶名の名前はなく、高校時代も代打要員だったことを知りました。背番号は「16」。
この試合、安慶名の出番(代打)は試合終盤にやってきました。しかし残念ながら凡打。そして試合は延長戦に入り12回表、一死満塁の場面で再び安慶名に打順がまわります。すると4球目を必死の思いで叩きつけた打球が三塁へ。平凡な当たりでしたが、三塁手の横尾俊建(現・慶応義塾大)が捕球後に本塁へ悪送球。走者2人が生還して、結局この一打が優勝を決める決勝打になりました。
グラウンドに立つ時間は他選手より短い安慶名ですが、しっかりと存在感を示したひとコマでした。まるで現在と同じ。さらにレフトに飛んだ(甲子園優勝の)ウイニングボールをグラブに収めたのも、この安慶名でした。
■不思議な魅力をもった安慶名。その秘密が雑誌『大学野球2014春季リーグ戦展望号』(ベースボールマガジン社)に書かれていて、思わず納得してしまいました。不思議な魅力は、彼のこれまで味わった苦い経験を、彼なりに「強み」に醸成しているのだと知ったから。
記事には、こんなことが書かれていました。以下、前述の『大学野球ー』より引用。
(興南高時代)我喜屋監督が言ったこの言葉が、特に心に響いた。「今レギュラーでない者は、大学、社会人になる中で、レギュラーだった者を部下で使うくらいになると思っている」。その言葉が、主将になった安慶名を支えている。
高校時代を振り返って思うことがある。
「春夏連覇を達成し、チームとしては良かったけれど、僕の中では悔しさが上回っていました」。なぜなら、4度出場した甲子園では先発出場ゼロ。今でも野球を続ける原動力は、その苦みにある。「やはり優勝したのはレギュラー9人。控えの僕が同じ気持ちではいけないと思う。ほかのメンバーより回り道しました。でも、そこが僕の強みでもあるんです」。
控えの背番号「16」にしてこの意識の高さ。興南野球部の象徴は、もしかしたらこの男なのかもしれない。
(写真)スタメンに安慶名の名前はない。(NHKより。以下も同じ)
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