あい・らぶ・いんそん

再会6



やがてパーティーが終わりジェミンとスジョンはロビーにいた。  

「疲れたか?」
「大丈夫よ」
「コートをとってくるから、ここで待っていろ」

ジェミンはそう言ってスジョンを座らせて、クロークに向かっていった。

そこにジェミンの会社の社長夫妻が通りかかり、スジョンは立ち上がって
挨拶をした。

「本当にきれいだわ・・」

社長夫人も韓国人なので、なおさらスジョンをかわいがっていた。

「これじゃ、いくら他の女に言い寄られても見向きもしないはずだよ。」

社長のパクが言うと、妻のリュジンがたしなめた。

「あなたと違ってチョンさんは愛妻家なのよ」

そこにジェミンがスジョンのコートをもって戻ってきた。

「何か悪いことでも言っていますか?」

「いいや・・君が女子社員に人気者だと教えていたんだよ」

「スジョン、本気にするなよ」

少しおどけてジェミンが言うと、スジョンも笑った。

「それじゃぁ・・・あっ、ミスター・チョン」

帰りかけたジェミンを呼び止めた。

「君には本当に感謝をしているよ。君が来てからの我が社の
成長は目を見張るものがある。今後ともたのんだよ。」

ジェミンは嬉しそうに笑って、握手を交わした。

「良かったら、一緒にラウンジで少し飲まないか?」

しかし、ジェミンは一刻も早くこのホテルから離れたいと思っていた。
エレベーターの人影が、何故か気になって仕方がなかったのだ。

するとスジョンが
「私は大丈夫よ」
と言って、ジェミンの腕に自分の腕を絡めた。

「あぁ・・・それなら少しの時間だけ」
と言って、4人はラウンジへとあがっていった。

ニューヨークの夜景が一望に見えるラウンジは、見事に美しかった。
「それじゃあ・・改めて乾杯だ」

飲み始めてまもなく、ジェミンの携帯が鳴った。

「ちょっと失礼・・」

ジェミンはラウンジの入り口まで行って、電話をとった。

「やぁ、ショーンか・・何だ?今終わったよ・・今から?今日はやめ
ておくよ・・ああ・・スジョンも疲れているから、又にしよう。ジュリ
にもよろしく言ってくれ。ああ・・お休み」

席に戻ろうと振り返ったときに、カウンター越しにじっとスジョンを見
つめる男が目にはいった。それは紛れもないイヌクの姿だった。

ジェミンは暫く凍り付いたように立ち止まり、スジョンから視線をはず
さないイヌクを見つめていた。

暫く考え込んでいたが、意を決したジェミンは何事もなかったように席に
戻り

「申し訳ありませんが、急用で呼び出しが・・今夜はこれで失礼します」

と言って、スジョンを促してラウンジをあとにした。

スジョンは大きく目を見開き急なジェミンの態度に驚いていた。

あっけにとられる社長夫妻がただ呆然と見送っていたのだった。

「どうしたの?急に・・失礼だわ・・急用って何?」

ジェミンは悟られまいと作り笑いをしていった。

「ショーンたちがパーティーの帰りに店に寄らないかって・・。」

「そんなこと?」

スジョンがあきれて笑った。するとジェミンは

「本当は早くおまえと二人になりたかっただけだよ」

とおどけるように言って、スジョンを抱き寄せた。

エレベーターを待つ背中で、イヌクの視線を感じながら、ジェミンは
平静を装っていた。

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