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201922
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とある田舎の喫茶店
めんどくせえ
耳をすませば聞こえてくるこの街の象徴たる川のせせらぎも。
ときおり耳に届く小鳥のさえずりも。
街を行き来するPCたちの談笑の声も。
そのすべてが台無しになっていた。
「おーい、じゃあ今日の獲得目標言うぞー」
ギルドマスターであるダイスさんの大きめの声が、ギルドのホーム内に響いた。
商業ギルド「恵比寿」
七福神の一人、恵比寿様が商いの神様ということでこの名前がついたらしい。
メンバーがエリアに繰り出しさまざまなアイテムを手にいれ、それをギルドショップで売って利益を得る。
私はそんなごくありふれたギルドのメンバーだ。
この世界――The worldの中には同じようなギルドが幾つも存在する。
その中で私がこのギルドを選んだのは一重にダイスさんの人柄による。
彼の人柄に惹かれ入団したギルドのメンバーたちは皆良い人たちばかりだった。
たった一人をのぞいては。
「ふわあ~~、さっさと話終わらせてくれよぉ~」
私のこめかみに青筋を立てさせるには十分すぎるほどにやる気のない声。
その声の持ち主を横目で見れば、予想どおり眠たそうに目をこすっていた。
当然ギルドメンバー20人ほどに話をしているダイスさんの言葉など耳に入っていないだろう。
「……えーと次はウィッツェ、スゴロクと一緒に Λ 絶叫する 月下の 聖女 で『道化師の帽子』を獲ってきてほしい。このエリアに出現するテンプルナイトは魔法耐性を持っているから気をつけてくれ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいマスター!」
後半部分はきれいさっぱり頭に入らなかった。
それほどに前半部分には耳を疑わざるを得なかった。
「ん? どうかしたのかいウィッツェ、何か用事でもあったかな?」
「行くのは別にいいです! でもなんでよりにもよってスゴロクさんとなんですか!」
「おやおや、おおっぴらにそんなことを言うのは感心しないな。……君がスゴロクのことを良く思っていないのはわかっているよ。でもだからと言って君たちの仲ばかり考慮しているとみんなに迷惑がかかる。わかるだろう?」
「でも!」
「ウィッツェ、君はまだレベルが低い。そんな君をエリアに行かせるには必然的に高レベルのメンバーをともに行かせなければならないんだよ。そういう点ではスゴロクはこれ以上ないメンバーのはずだよ」
ダイスさんのやさしい笑顔。だからこそ逆らえない。嫌味のひとつでも言ってくれればこの場から逃げ出せるのに。だけどできない。
私はこの人に惹かれてこのギルドに入ったのだから。
私の無言を半ば強引に了承と受け止め、ダイスさんは残りのメンバーの担当を言い終えると皆に解散をうながした。
散り散りになるメンバーたちの流れに乗るままに、私はホームの外へと出た。
いつもどおり多くのPCたちが視界を横切っていく。
そこに
「はあ~めんどくせぇ~。そこらへんの誰かが持ってたりしてねえかな~」
いつの間にいたのか、真横から声がした。
私はそちらへと顔を向けて――しかめた。
寝起きのような髪型に、閉じているとしか思えない眠たそうな目。目じりには涙が見える。
そしてむにゃむにゃと波打つ口。
言動からも外見からも見事にやる気というものが感じられないこの男こそ、私が毛嫌いするPC、スゴロクだ。
ギルド創設時のメンバーで高レベルプレイヤーという話だが、私は未だにそれを信じられない。
私が知る限りでは大概が寝ぼけ眼で人の話をまったく聞いていないし、聞くところによると店番をしていると必ずどこかに行ってしまう。おまけに口癖は「めんどくさい」なのだそうだ。
そんな男が「恵比寿」をダイスさんと共に作っただなんて信じろと言うほうに無理がある。
フラフラと酔っているかのような足取りでカオスゲートへと向かうスゴロク。
私は一言も彼と言葉を交わさないまま、嫌々その数歩後ろをついていった。
■
Λ 絶叫する 月下の 聖女
私がスゴロクという男が嫌いなのには理由がある。
もともと不真面目な男が嫌いだったというのが理由のひとつだ。
小学校時代に学級委員長をやっていて、掃除の時間に箒をバットに見立てて野球をする男子を見たのがきっかけだろうか。いくら注意しても言うことを聞かない男子に、私はそんな男が大嫌いになった。
そしてもう一つ理由がある。
それはあんなにも素晴らしいマスターがいるギルドに、ギルドのことを微塵も考えないこの男がいることが許せないというものだ。
スゴロクよりも後から入った私が言えることではないのかもしれない。
けれど彼よりも私のほうがよっぽどギルドのことを想っていると自信を持って言える。
「はあ~めんどくせえ~」
「だったら帰ってもいいですよ。私一人で採りに行きますから」
我ながらなんて喧嘩腰なんだと思った。だけど今からアイテムを採るまでのあいだ、横で「めんどくさい」を聞き続けるよりはずっとマシだと思ったから、あえて強い調子で言った。
そんな私の言葉にも彼は事も無げに返してきた。
「そうは言われてもなぁ~このまま帰っちまうと後でダイスに説教くらうしな~」
ブチッ。私の頭の中でそんな音が響きわたった。
この男は自分のことしか考えていない。
ギルドのことなんかまるで頭にない。
「お、ダンジョン入り口はっけ~ん」
私は間延びした声に苛立ちを覚えながら、ダンジョンへと入っていった。
■
ダンジョン内は城のようなレンガづくりの通路で出来ていた。
二人分の足音だけがむなしく響く。
タウンで私が本人のいる前で「スゴロクとは行きたくない」と言ったことを気にしていないのだろうか?
特に緊張や気まずいといった雰囲気はあちらにはなく、ときおり「めんどくさい」が大半の独り言を言っている。
それともタウンのときはリアルで寝入っていてよく聞いていなかったのだろうか?
正直タウンでの私の発言はまずかったと思うが、それでもこの男の態度を認めようとは思わなかった。
同じギルドのメンバーであるためメンバーアドレスこそ知っているが、私にとっては赤の他人と等しい存在だ。
内心で私とこの男を組ませたダイスさんの思惑を考えていると、道が丁字路に突き当たった。
右か左か。私は迷うでもなく、はじめから考えていたことを口に出した。
「二手に別れましょう」
「おお? 俺はともかくお前はここの敵だときつくねえか?」
「おかまいなく。私は大丈夫ですから。じゃあ全部探索し終えたらここにもどってくるってことで」
スゴロクの返事を待つこともなく、私は右の部屋へと入った。
部屋へと入り、後ろを向く。
そこには真っ暗な出入り口があるだけだ。
この先にいるだろうあの男は、今いったい何を思っているのだろうか。
「身勝手な女だ」とでも思っているのだろうか。
それとも「このままふけちまおう」とでも思っているのだろうか。
どちらにしろ「頑張って『道化師の帽子』を見つけよう」などとは微塵も思っていないに違いない。
「早いとこ見つけちゃおうっと」
幾分か晴れ間を見せた心に気合をいれ、ダンジョン探索を開始した。
■
「ギリウクルズ!」
大きく杖を真横へと振りながら呪紋を唱えると、でかい犬の姿をしたモンスターが倒れこんだ。
これで3回目の戦闘が終わった。
「思ってたよりきついかも……」
思わずそうつぶやいていた。
甘かったと言わざるを得ない。
アイテムを駆使すれば負けることはないと思っていたが、予想以上にモンスターが強い。
まだ到底高レベルプレイヤーとは言えない中途半端な呪紋使いにはこのレベルのエリアを一人歩きするのは無理があったか。
こんなことなら意地を張って二手になんか分かれなければよかった。
そう一瞬思ったが慌てて首を振った。
「だれがあんな男の手なんか借りるもんか」
妖精のオーブを使って開いた地図によると、私が来たルートにある宝箱はほとんど開けてしまっている。
とするとスゴロクが行ったルートのほうにある可能性が高いが・・・。
「まだ後一つある」
この次の部屋。
ひとつの魔方陣とともに宝箱が置かれているのが見て取れた。
「よし、ラスト」
今一度気合を入れて次の部屋へと入った。
視界の先に魔方陣が見える。
この距離ならばまだ開くことはないようだ。
目を凝らすとゆっくりと回転する魔方陣の向こう側に宝箱が見えた。
「アタリでありますように!」
願いつつ魔法陣へと前進した。
魔方陣が紐解かれるように開いた。
出現したのは
「テンプルナイト!」
叫んで、思わず足を止めた。
「テンプルナイト?……なんか聞き覚えが…」
そう思ったがすぐに我に返った。
考え込んでいる場合ではない。
幸い敵は一匹。倒せない相手じゃない。
「オラジュゾット!」
地面から巨大な木々が出現する。
だが
「き、効いてない!? こいつ魔法耐性もってんの!?」
そこで気づいた。
「そういえばタウンでマスターが魔法耐性持ってるテンプルナイトに気をつけろとか言ってたっけ…」
だが後の祭り。呪紋使いである私とは最悪の相性だ。
「あ、そうだ、魔法防御力をダウンさせるアイテムがあれば……!」
アイテム欄に目を走らせそのアイテム、魔獣の封印を探す。
だが嫌な予感は的中した。
「持ってない……」
最悪としか言えない。
魔法耐性があっては手も足もでない。
物理で細々とダメージを与えることも考えたがすぐにその考えを捨てた。
所詮一桁のダメージを与えたところで、あの鋭い刃で一瞬にして葬りさられるのがオチだ。
「どうしよう」
後退しながら考えているうちにもテンプルナイトはゆっくりと迫ってきている。
宙を浮きながら静かに向かってくる姿は今や死神にしか見えない。
そしていつの間にか部屋の出入り口までさがっていた。
「絶体絶命のピンチってやつ……?」
来るな来るなと願うがそんな願いをモンスターが聞き入れてくれるわけもなく、無情にもテンプルナイトの腕が大きく振り上げられた。
■
たぶん、今が私の人生において、もっとも気まずい時間だ。
「おお、『道化師の帽子』ゲット~」
宝箱を開けたスゴロクの声にはどこまでもやる気がこもっていない。
だが今の私に、その声に対してイラつく余裕はなかった。
「あ、あの…」
「んあ? どした、獲るもん獲ったし、さっさとタウンにもどろうぜ」
あっけらかんとするスゴロク。自分との内心のギャップを感じて私は焦ってしまう。
結局テンプルナイトにあっけなくやられてしまった私は、その後現れたスゴロクに蘇生をしてもらった。
その時の当然のように蘇生をするスゴロクの姿といったらこちらが呆然としてしまうほどだった。
「蘇生してくれ」と言ったわけでもないのにスゴロクはアイテムを使ってくれたのだ。
「あの、スゴロクさん!」
「ああ?」
「あの―――なんでそんなに平然としているんですか!?」
まず「ありがとう」と言わなければいけないのに、口をついてでたのは私が本当に聞きたいと思っていたことだった。
「平然? それどういう意味?」
首をかしげるスゴロク。私はその目をしっかりと見据えた。
「私、タウンであんなこと言ったり、弱いのに二手に別れようなんて生意気なこと言ったのに、なんでスゴロクさんは平然としているんですか? 今だって当然のように蘇生してくれて……普通だったら嫌な顔のひとつくらいすると思うんですけど……」
勢いで言い出したのはいいものの、尻すぼみになってしまった。意味は伝わっただろうか?
するとスゴロクはまったく表情を変えずに平然と言ってのけた。
「嫌われているから自分も嫌うとか、そういうしがらみってめんどくさくねえ? 同じギルドのメンバーだと余計によ。それにお前が俺を嫌ってても、別に俺がお前を嫌う理由なんかねえし」
言い終えるとなんでもないといったようすで背を向けて出口へと向かっていった。
その間私はただただ呆然とスゴロクの背中を見ていることしかできなかった。
普段とまったく変わりないスゴロクの姿を見て、私はなんとなく思った。
めんどくさいという言葉はそれほど悪い言葉ではないのかもしれない。
■
「おーい、ダイス~、例のもん獲ってきたぞー」
「ただいまもどりましたマスター」
「お、スゴロク、それにウィッツェ、おかえり」
ホームではダイスさんがいつもの優しい微笑みをもって迎えてくれた。
その顔を見るだけですっと心が軽くなるような気がする。
ダイスさんにバレないようにその顔をできる限り眺めていると、ダイスさんはスゴロクの顔を一度見てから私に視線を移しおもむろに一言。
「仲良くやったかい?」
「う……」
思わず言葉につまった。
ホームにもどってくるまでの間で私は気づいていた。
スゴロクはめんどくさいめんどくさいと言いながらもしっかりと仕事をこなしていた。
逆に私はスゴロクのことを嫌ってばかりで、ダンジョンに入れば二手に別れようと一人で勝手に決め、しまいには蘇生した後には失礼なことを聞いてしまった。おまけを言うなら蘇生してもらったことへのお礼もまだ言っていない。
嫌な人間がどちらかなんて誰かに聞くまでもなかった。
ダイスさんの質問に顔をうつむかせることしかできない。
なんてごまかそうか。それを考えようとしたとき
「ああ、それなりにな」
スゴロクがそう答えていた。
反射的に横にいるスゴロクを見れば、心の中ではやっぱりという思いがあった。彼は平然とした顔をしていた。
まさか私の失態を報告してダイスさんをがっかりさせないように気遣ってくれたのだろうか?
スゴロクの横顔へと視線を向けたそのとき、ダイスさんの普段より若干明るい声でそちらへと向き直った。
「そうか、それはよかった。今回のアイテム探索は大変だったかい?」
「ええ、それはも……」
「そりゃもう大変だったさ。こいつ、俺の言葉には何にも反応してくれねえんだぜ。ダンジョン入って分かれ道になったときなんて『二手に分かれよう』とか言って勝手に一人で行こうとか言うし、ひとりじゃきついだろって俺が言ったら「大丈夫」って言っておきながら後でこいつんとこ行ったら見事に死んでるし」
おそらく、今の私は相当な間抜け面だろう。それくらいに口があんぐりと開いているのがわかる。わかっていて閉じることができない。
今さっき思った「スゴロクさんって案外いい人かも」などという考えが一瞬にして吹き飛んだ。
「そ、そうなのかい? ウィッツェ」
自分の名前を呼ばれたことではっとしてダイスさんの顔を仰ぎ見た。
そこには苦笑を浮かべているダイスさんがいた。
私が決して向けられたいとは思わない顔だ。
さびついたロボットのように、私は視線をダイスさんからはずしてスゴロクへと向けた。
スゴロクは当然のように平然とした顔をしていた。
嫌味も、からかいも何もない。ただいつもどおりの、何も考えていない顔。
だけどそれゆえに、私はその顔にむかっときた。
「ま、まあそういうこともあるさ。あんまり強く言ってやるなスゴロク。……じゃあ僕はショップのほうを見に行かなくちゃいけないから」
待ってくださいと声をかける前に、ダイスさんはそそくさと背をむけてホームから出て行ってしまった。
最悪だ。
きっとわがままだとかお子様だとか思われたに違いない。とにかく私の評価が落ちたことはまず間違いないだろう。
私は鋭い視線を横にいる男へと向けながら口を開いた。
「スゴロクさん! どういう……」
「俺はお前に嫌われても、お前を嫌ったりしないけどよ。だからと言って、俺を嫌っているお前に、俺が気を遣わなければいけない理由なんかないだろ」
「なっ――」
本日何度目のあんぐりだろう。
なんて言い草だ。そう考えて
―――考えて、反論できないということを理解した。
私はギルドのメンバーの前でスゴロクのことを嫌いだと言ったのだ。そんな私にスゴロクさんが気を遣う理由は―――たしかにない。むしろ嫌味をいくら言っても足りないくらいだと私自身思う。
だけど
「じゃあな、俺ちょっと街、ブラついてくるわ」
だけど到底「はいそうですか」なんて言えない。
だから私は、ホームを出て行こうとするスゴロクへと大声で言ってやった。
「私! やっぱりあなたのこと、嫌いです!!」
するとスゴロクは振り向きもしないで、片手をこちらへとヒラヒラさせながら言った。
「おお、そうかい。俺はお前のこと嫌いじゃねえぜ、お嬢さん」
スゴロクが消えたホームの出入り口を見つめたまま、私は今一度自らの心に刻み付けていた。
私は不真面目な男が大嫌いだ。
~~あとがき~~
なんだかいろいろなものが破綻しているような気がします。
まず男の名前がスゴロクって。ええ、おもいつきですよ。
この名前のせいで全然きまりませんね。
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