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ドミ来る その2

ドミ来る その2


シーズーの子犬を買うと決心してから、マニュアル人間である私は、子犬の育児本を2冊ほど買い込んだ。それを家族中で回し読みして、基礎知識を蓄えてみたのである。

どの本にも、「子犬を迎える前に、必要な物品は揃えておきましょう。」と書かれている。もちろん、必要物品も列挙してあるが、アドバイザーがいないと、サークル一つとっても、どのくらいの広さが必要なのか、さっぱりわからないのだ。そこで、叔母の登場である。叔母、母と私の3人で、とりあえずお買い物に出かけてみた。

「餌はね、ここのを使ってるの。サークルはこのくらいの大きさがあったほうがいいわよ。冬だから、子犬用ベッドの下には、ペット用ホットカーペットがあったほうがいいわね。」

一つ一つ、アドバイスを受けながら必要物品を買い入れる。サークル、ベッド、ホットカーペット(ちなみに、父が一番不快感を示したのはこれであった。「甘やかし過ぎじゃないか?」わかる、その気持ち。)犬用トイレとトイレシーツ、ドライブ用キャリーバッグ、ドッグフード、犬用シャンプーとリンス、グルーミング用の櫛とブラシ。

餌入れと水入れはあらかじめ、育児書で推奨されているステンレス製の物を買ってある。しかし、水入れは吊るしておいて、舐めて飲むタイプの給水器の方がいいと叔母に言われる。口の周りの毛が濡れないし、子犬が暴れてもこぼれたりしないので、留守の間に子犬がびしょびしょになって、健康を害する可能性が少ないとの事であった。なーるほど、と給水器を一つ買う。

叔母と母が実用品を物色している間に、今まで縁がなかったペット関連用品売り場を歩き回っていた私は、子犬の噛み噛み用おもちゃを見つけた。いろいろ吟味した結果、パイル地で、中に鈴が入っているニンジンの形のおもちゃと、太い綿ロープの両端を結んだおもちゃを選択した。

そして、黄色い首輪と茶色のロープのリード。子犬のうちから時々使っておかないと、大きくなってからでは慣れるのに時間がかかるのだと本には書いてあった。

大荷物を私のポチ(RAV4)に積み込んで、実家に帰る。箱をばりばり開けまくって、リビングの隅に子犬のプライベートスペースを整える。綺麗にレイアウトして、出来上がり。

そして、ドミはやって来た。やってきてもどっしり落ち着いているのは、さすが牡の子犬だが、サークルに入れると、きゃんきゃん鳴き出す。育児書では「サークルに慣れさせるため、最初は鳴いても外には出さずに、我慢しましょう。」と書いてある。

その通りに、外からはあやすけど、サークルからは出さずにしばらく様子を見ることにした。当然、水と餌はケージの中に入れておく。特に餌は、叔母の家で食べていた缶詰めの幼犬用ペットフードと同じ物を買ってきてある。兄弟のチョコが食が細いのに比べて、ドミははぐはぐと良く食べる。

食べたらトイレでおしっこをする。買ってきたニンジンのおもちゃは気に入った様子で、はみはみと噛んで遊ぶ。そしてベッドで一眠り。…いい仔じゃない。手、かからないんじゃないかな。と思ったのが浅はかだったことは、後に判明する。

さて、子犬が来てから、我が家の生活はかなり変化した。まず、みんなが早く家に帰ろうと努力するようになった。うちの家族は全員仕事に出払うので、ドミは昼間、一匹でお留守番である。

とはいっても、朝は母と弟が面倒を見、昼は父が帰ってきて面倒を見、夕方は私がなるべく早く帰って面倒を見る。人間様の都合で子犬をほったらかしにしておく時間が長いので、居るときはなるべくかまって、よく遊んであげるようにはしてはいた。

しばらくして我々は気がついた。ドミはすっごく気が強い子犬だった。確かに、2匹しかいない兄弟なのに、チョコを押しのけてルー(母親)のお乳を飲んでいるのは見た。住み慣れた環境から離してきても、それほど甘え鳴きしないのには感心した。

その分、負けん気で気が強く、ちょっと凶暴なのがわかってきた。鳴くと言うより吠える、噛みつく、引っ掻く、リビング中にマーキング替わりのおしっこをする。うーん、どうしたものかいな。

育児書には来たその日からトイレトレーニングを始めると書いてあったので、トイレに行きたそうにするとサークル内のトイレに連れていったり、外でおしっこをしたときは、それからサークルに入れて少しの間閉じこめた。

噛み癖もつけてはいけないと、噛んだら叱るようにはしていた。しかし、「体罰は絶対にいけません。」と書いてあったので、体罰だけはしないようにしていた。

そして、ロープの追いかけっこや引っ張り合いっこをして、なるべく遊んであげるようにしていた。

我々家族は高を括っていた。まだまだ赤ちゃんなんだし。昼間ほったらかしなんだし。そのうちおとなしくなるよ。育児書通りにしつけなんて出来ないもんなんだって。我が家にドミが来てから我々が行っていた「しつけ」というものに、たくさんの重大なまちがいが含まれていることに、この段階ではまだ我々は気付いていなかった。


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