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あすなろ日記
咎狗の血小説『絶望』
咎狗の血「絶望」
闇に浮かぶ月が俺を嘲笑うように見下ろしていた。
救いようのない喪失感と倦怠感が俺を堕落させる。
死体の腐臭が染み付くのが嫌で街をさまよい歩き、
希望の欠片もないトシマで朽ち果てるのを待っていた。
俺の人生はなんだったのか・・・もう、どうでもいい。
アキラが総てに疲れた負け犬のように座り込んでいると、
畏怖の象徴とも言うべき闇の色に染まった男が現れて、
アキラを連れ去った。
「シキ、やめてくれ。あっ、ああ・・・」
男はバスルームでアキラを犯した。前戯もなく、いきなり
背後から犯されて、アキラは苦痛と快楽の狭間で啼いた。
髪を?まれ、顔を壁に押し付けられ、両手を後ろに捩じ上げ
られた。立ったままの姿勢で男を受け入れるのは辛かった。
肉が裂けて血が流れるのを感じて、アキラは恐怖した。
「いっ、痛い。あ、ああ~。シキ、乱暴にしないでくれ。」
「負け犬が俺に指図するのか?犬は犬らしく哀願しろ。お前は
犯されるのを承知でついてきたはずだ。何も言わなくても、
お前の利用価値などそれ以外に存在しない。お前は犯される
為に存在する犬だ。犯されるのが初めてでもないくせに、
少し切れたくらいで、痛がるのか?」
シキはアキラの耳元で罵ると、激しく腰を突き動かした。
「あっ、ああ、ああああ~」
アキラは痛み以上の快楽に支配されて、達してしまった。
シキはアキラの中に出した後、こう言った。
「吠える犬ほど弱いというが、お前はまさにその通りだ。
初めて会った時のお前は目が生きていた。死んだ目つきの
者どもが集う街で、お前の目は死んでいなかった。それが
数日見ないうちに、すっかり死んだ目になっていた。俺は
それが腹立たしくて、連れて来たのだ。これからは、犬は
犬らしく飼い主に従え。俺がたっぷりと調教してやる。」
シキはアキラの左手に手錠をかけ、片方の手錠をバスルーム
の手すりに繋いだ。そして、裸のままのアキラを置いて、
去っていった。
アキラは後悔した。シキの犬として暮らす事になるとは思って
いなかったからだ。これじゃあ、まるで性奴隷じゃないか・・・
アキラはシキに何かを期待した自分が馬鹿だったと思った。
シキの放った白い液体が尻から流れ出るのを不快に感じて、
アキラは便器の横のトイレットペーパーを右手でとった。
片手で身体を拭いた後、途方に暮れて左手を見つめた。
アキラはバスルームのバスタブとトイレの間の手すりに手錠を
かけられて左手を拘束されてしまった。全裸でバスルームに
監禁されて、アキラはこれから何をされるのか不安になった。
無性に逃げ出したくなって、アキラは手錠の鎖を引っ張ったが、
びくともしなかった。手錠の鍵はシキが持っている。
「手錠はずせ!部屋にいるんだろ?シキ!!」
アキラが叫んでも、バスルームの扉は開かず、
「うるさい!静かにしていろ!」
と怒鳴り声だけが聞こえた。アキラは少し考えて、こう言った。
「トイレに行きたいんだ。手錠をはずしてくれ。」
すると、しばらくの沈黙の後、バスルームの扉が開いた。
「漏らしたのか?」
シキはアキラの足元に転がっているトイレットペーパーを見て
嫌そうに聞いた。
「ち、違う。」
アキラは焦って否定した。シキはフッと笑って近づいてきた。
「本当にトイレに行きたいのか?ならば、俺がさせてやる。」
シキはアキラの右手を掴んで床に座り込んだままのアキラを
持ち上げようとした。
「確かにちょっと距離が足りないな。」
シキは上着のポケットから手錠の鍵を取り出した。そして、
右手を掴んだまま手錠を外し、アキラをトイレに座らせた。
「大じゃなくて小のほうだよ。」
と、アキラは文句を言って立ち上がろうとした。しかし、シキは
「座ってしろ。見ててやるから。ついでに大のほうもしておけ。」
「見られてたら出るものも出ない。向うに行っててくれ。」
「断る。逃げられたらかなわないからな。」
ニヤッと笑ったシキにアキラはチッと舌打ちした。
「やはり、逃げる気だったのか?馬鹿な奴め。手錠を外した
だけで逃げられると思ったか?ここは4階だぞ。」
アキラは曇りガラスで外の見えないバスルームの窓を
振り返って見上げた。
「お前の考えている事くらい手に取るように分かるぞ。」
シキは嘲笑い、満足そうに見下ろした。そして、
「もし、お前が逃げ出したなら、地の底までも追いかけて、
殺してやる。」
と言った。
アキラはシキの前で困惑した。見られるのが恥ずかしくて、
出なかったのだ。
「立て。」
と、シキに言われて、アキラはトイレから立ち上がった。
「手伝ってやるから後ろを向け。」
と言われて、アキラは後ろを向かされた。シキはアキラの腰を
つかむと自らのものを挿入した。さっき切れたばかりの傷口が
開いたのか入れただけで、アキラの身体に激痛が走った。
「うっ、ううっ、あ、ああ~」
アキラは呻いた。無意識のうちに男を受け入れ易くする為、
トイレに手をついて、腰を突き出した。
「淫乱め。いいものをくれてやる。」
シキはそう言うと、アキラの腰を?んでグッと突き上げたまま
の姿勢で放尿した。生温かいものがアキラの体内に溢れ、
アキラの腸はシキによって汚された。
「ひっ、ひぁ、あ、ああ~」
アキラは少しパニックを起こしたように声をあげた。
シキは満足げに引き抜くと、
「こぼすなよ。」
と言って、アキラの尻を叩いた。
「あっ、畜生、俺は便所じゃねぇぞ。」
アキラはキッとシキを睨みつけた。
「まだそんな目ができるのか?」
シキがフンっと鼻で笑い、再び挿入してきた。
「あ、ああ~」
入れたとたん、アキラは失禁してしまった。便器に尿が放たれる
音がアキラの羞恥心を煽り、快感の波が身体を震わせた。
アキラはシキに貫かれながら、自分の中で何かが壊れた
ような気がした。シキが動くたびに体内からピシャピシャと
水の音が聞こえる。アキラは溢さないように必死で堪えた。
アキラの腹が揺れる度にぎゅるる~っとお腹が鳴って、鈍い
痛みを感じた。どうしようもない排泄感と共にアキラの腸は
うねるように動き、シキを締め付けた。
「あ、ああ~、もう、ダメだ。で、出る。」
アキラが排泄を訴えるとシキは自らを引き抜き、アキラを
トイレに座らせた。ビシャーッという酷い音と共にアキラは
排泄した。
シキはトイレの水を流した後、シャワーでアキラを洗い、
自らも洗った。バスルームの床や便器にも水をかけて掃除し、
アキラを部屋に連れて行った。シキは自分が着替えた後、
いつまでも濡れたままのアキラの身体をバスタオルで拭き、
壊れたように大人しくなったアキラをベッドに寝かしつけた。
眠りについたアキラは夢を見た。ケイスケとオムライス味の
ソリドを食べている夢だった。仲良く幸せな時間を過ごして
いたのも束の間、ケイスケが豹変し、ドライバーでアキラの
首を刺した。アキラは絶叫し、夢から目が覚めた。
「悪夢でも見たのか?」
隣で寝ていたシキが聞いてきた。アキラは黙って頷き、
もう一度眠ろうとしたが、悪夢を見た後ですぐに簡単に眠れる
わけがない。ぼんやりと壁を見つめているアキラにシキは
「眠れないなら、食事でもするか?」
と言って、アキラの寝ているベッドに水とソリドを放り投げた。
ソリドはオムライス味だった。アキラが躊躇っていると、シキは
水を口移しでアキラに飲ませた。ソリドも一口サイズにちぎって
アキラの口に押し込んだ。まるで赤子の世話をするように
シキはアキラの食事の世話をした。食事が終わった後、
アキラはシキに抱かれた。バスルームの時と違って優しく
愛撫され、ベッドの上でアキラはシキを受け入れた。
「あ、ああ、あああ~」
声を上げながら、アキラはシキにしがみついた。腰を使い、
頭の中から悪夢を追い出そうとした。しかし、快楽で麻痺する
脳裏には何故かケイスケの笑顔が浮かんでくる。激しく
シキに抱かれれば抱かれるほど、ケイスケの不器用な愛撫や
下手くそなキスを思い出してしまう。アキラはこれまでにも
数え切れないほどの男に抱かれてきたが、ケイスケはアキラ
一人しか男を知らなかった。アキラはケイスケが好きだった。
見知らぬ男に抱かれながら、ケイスケの事を想うのは今まで
何度もあった。相手に対して失礼だとかそういう倫理観が
アキラには欠けていた。激しく突かれて、アキラの快楽の波が
絶頂に達した。
「あ、ああ、ああああ~ケイスケ、ああああ~」
一瞬、頭の中が真っ白になった後、アキラはしまったと思った。
恐ろしい形相でアキラを見つめるシキの顔がアキラのすぐ
目の前にあった。
「俺に抱かれながら、ケイスケのことを考えていたのか?」
シキはアキラに問いかけたが、アキラは黙って答えなかった。
シキは怒って、アキラをベッドから突き落とした。裸でベッド
から転げ落ちたアキラはシキに日本刀を向けられた。
「死ぬのが怖いか?」
緊迫した空気の中、嘲るように言うシキにアキラは
「殺せ。」
と低い声で言った。
「あんたのペットになるくらいなら死んだほうがマシだ。
殺せよ!」
アキラはシキを睨みつけて言った。
「その目だ。俺が望んでいたのは今のお前だ。お前には
死ぬよりも辛い屈辱を与えてやる。俺を愚弄した罰だ。」
シキは複数の鎖がついた気味の悪い首輪をアキラの首に
つけた。そして、両の手首に手枷を嵌めて、首輪の左右の
鎖に繋いだ。シキは右の胸の突起を指で摘むとクリップを
つけた。鈍い痛みにアキラは反応し、
「あっ。」
と声をあげた。シキはクリップと鎖を繋ぎ、左も同じようにし、
2本の鎖の先に綿棒の大きさの先の丸いガラスの棒を取り
付け、大きくなりかけたアキラの先端にゆっくりと挿し込んだ。
「あ、ああ、あああ~」
アキラが声をあげると、
「こんなところまで感じるのか?淫乱。」
とシキが言った。アキラは顔を真っ赤にして、咄嗟にシキを
蹴ろうとしたが、シキに足首を?まれて、足枷を嵌められて
しまった。シキは左足と右足の間の鎖をアキラの首の後ろに
かけた。足を大きく上げさせられたアキラは全てを曝け出される
形となった。シキは満足げに見下ろすと、足の親指でアキラの
蕾をいたぶった。シキが軽く蹴るように足を動かすたびに
ズブズブと親指が突き刺さる。アキラはその屈辱に啼いた。
「あっ、あ、あ~」
「気持ち良いか?」
アキラはイヤイヤするように首を振った。
「もっと、良くしてやる。」
シキがバイブをアキラに突き挿した。
「あ、ああ、あああ~」
アキラは姿勢を崩して仰向けに倒れてしまった。寝転がった
まま足を開く形でアキラはバイブに責め立てられた。シキが
アキラを踏みつける。ガラスの棒が入ったまま踏みつけられ、
アキラは悲鳴を上げた。シキはフンっと鼻で笑い、根元から
袋にかけて軽く何度も踏みつけた。
「や、やめっ、あ、ああ~」
アキラが嬌声を上げながら、懇願すると、シキはバイブの
スイッチを強にして、部屋を出て行ってしまった。
数時間後、部屋に戻ってきたシキはアキラが部屋を出る前と
同じ格好で床に寝転がっているのを見て呆れたように言った。
「逃げなかったのか?」
アキラは黙って喘ぎながら、虚ろな瞳でシキを見つめた。
「部屋の鍵はかけていなかったのだ。逃げようと思えば、
逃げられたはずだ。何故だ。何故お前は逃げなかった。
それとも、よほどバイブが気に入ったのか?」
シキはアキラの腹に飛び散る白い液体を見て、蔑むように
言った。シキはバイブに喘ぐアキラにこう言った。
「俺の犬になるって決めたのか?良い心がけだ。逃げたら、
殺すと言った言葉を覚えていたのだろ。お前にも少しは
学習能力があったのだな。もっとも手枷足枷をつけられた
人間が裸で逃げ出したところで無事ケイスケの待つ家に
帰れる保証はないがな。」
「ケイスケは死んだよ。」
「・・・そうだったのか。」
「俺を待っている人間はもういないんだ。」
アキラは苦しそうに喋った。
「だから、俺は・・・帰る場所がないんだ。あっ、ああ・・・」
「そういうことか。」
シキはフッと笑うと、バイブのスイッチを切って、アキラから
抜き取った。アキラを苛む道具、手枷足枷、首輪を外すと、
真剣な顔でこう言った。
「俺はケイスケの代わりにはなれない。だが、お前が俺の
所有物になるのなら、お前が望むものをくれてやる。お前は
何が望みだ。」
アキラは一瞬、考えたように俯いたが、やがて語りだした。
「子供の頃はずっと、自由が欲しかった。でも、自由を手に
入れると、自分が何をしたいのか分からなくなって、何もかもが
どうでもよくなった。自由の先にあるものが見えなくて、俺は
不安になった。すると、今度は大人に抑圧されていた子供の
頃のように縛られたくなった。誰でも良かったんだ。俺を愛して
くれる奴だったら、誰でも・・・酷いことをされてもいいから、
不安を忘れさせて欲しかったんだ。世の中に絶望した頃に
俺はケイスケに抱かれた。ケイスケは俺を愛してくれたし、
四六時中まとわりついて束縛してくれた。でも、ケイスケが
死んで、分かったんだ。やっぱり俺はケイスケのことが好き
でも愛してはいなかった。あんたが望みを叶えてくれるって
言うなら、俺を愛してくれ。あんたは他の奴らと違って、
ケイスケの名を呼んだ俺に怒っただろ?身体だけが目当てで
やらしてくれるならなんだっていいって男は星の数ほどいる
けど、本気で怒った男はあんたが初めてだ。だから、俺は
逃げなかったんだ。」
「わかった。お前の望みを叶えてやろう。俺がお前の所有者
となり、骨の髄まで愛してやる。」
シキはアキラに口づけをした。舌を吸い上げるように絡め
合わせ、アキラを抱きしめた。そして、アキラを横向きに
抱え上げ、ベッドに連れて行った。
「何も考えられなくなるくらいの痛みと快楽を与えてやる。
だから、もうお前は何も考えるな。」
とシキは言った。アキラは美しいシキの瞳を見つめて、コクリと
頷いた。アキラは首筋から胸へ下腹へと這い回るシキの舌に
くすぐったさを覚えながら、歓喜の声をあげた。シキはアキラの
立ち上がりかけたものを口に含むと、先端に舌を挿し入れる
ようにして、幹全体を吸い上げた。
「あ、ああ~、あ、シキ、いやぁ、やめっ、もうイク。」
アキラが達する瞬間、シキは顔を離して、アキラが放つのを
眺めた。そして、下腹部に飛んだ白い液体を指で拭うと、
アキラの口元に持って行き、
「舐めろ。」
と命令した。アキラは自分の放ったもので汚れたシキの指を
舐めた。シキは嗤うと、アキラの蕾に指を2本入れた。
「あ、ああ、ああ~」
アキラは喘ぎ、無意識に腰を浮かせて悦んだ。いつの間にか
指を3本、4本と増やされて、5本目をねじ込もうとするシキに
「いっ、痛いっ、ああ~、5本は無理。入らないって。あ~」
と、アキラは顔を歪めて苦痛を訴えた。
「フィストはした事ないのか?」
「あ、あるわけないだろ。」
「では、やめておこう。」
シキは指を全部抜き取ると、代わりに己の欲望をアキラの
身体にねじ込んだ。
「あっ、ああ~、あああ~」
アキラは嬌声をあげてシキにしがみついた。身体の奥底から
湧き上がる快感がアキラの思考能力を止めた。淫らに腰を振り、
貪るようにシキを締め付けた。激しく突かれて、アキラはまた
イキそうになった。愛する人に抱かれる事が総てを奪い去り、
頭の中が真っ白になるほどの快楽をもたらすものだとアキラは
知らなかった。シキに愛を求めて、初めて自分がシキに何を
望んでいるのかをアキラは知った。アキラは愛する人が
欲しかったのだ。シキは魅力的で出会った時から死に対する
恐怖とは裏腹に魅かれるものがあった。闇の色に染まった
シキに真紅の薔薇に染めて欲しいという願望がアキラの中に
蠢いた。呪われた血をたった一つ浄化する方法は自らを
薔薇色に染め上げて地獄に落ちることであるとアキラは
最初から知っていたのだ。シキを愛することで地獄への扉が
開かれるとアキラは予感していた。逃げ出したくなるほどの
恐怖と絶望の中で愛は燃え上がる。シキへの愛はまるで麻薬
のようにアキラを侵し、絶望で満たされる欲情を開花させた。
アキラは愛するシキを感じながら、絶頂に達した。シキは
アキラの中に放つと、アキラに口づけした。甘く優しい口づけは
アキラを狂わせた。夜が終わりを告げて、静寂な朝を迎える前に
アキラはシキにもう一度抱かれた。身体が動かなくなるまで
シキに愛して欲しいとアキラは願った。欲望の果てにアキラが
見た世界は今までとは違う穏やかな世界だった。窓から見える
トシマの空には太陽が昇り、闇は消え、空の総てが薔薇色に
染まっていた。
(完)
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