Dolly&Dolis

Dolly&Dolis

2013.07.03
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テーマ: お勧めの本(7418)
カテゴリ: 本・雑誌


「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」

 生誕130年のフランツ・カフカ。そのカフカの絶望的な言葉をあつめた「絶望名人カフカの人生論」
 人生の応援メッセージには到底ならないであろう、悲観的すぎる考え方はいっそ笑えてしまうほど。

 これがネットの文章なら「甘えだ」「自己責任だ」とばっさり切り捨てられそうなものだが、ツイッターもも2○んねるもなかった時代。カフカさんは手紙やノートに苦悩を綴る。現代みたいにちょっとした発言で炎上してしまうような時代に生きていたら、カフカのように神経の細い人は死期を早めてしまうのではなかろうか。

 「努力すれば必ず報われる」というようなことを強調する名言集と違って、不安な気持ちを素直に言葉にしているところに好感が持てた。ほんとうに傷ついた人は説教くさい言葉でさとされるより、落ち込んだ気持ちにそっと寄り添ってくれるような存在がほしいのだ。
 人間、駄目な時はとことん駄目だもの。 

 今日、カフカは20世紀でもっとも有名な作家のひとりである。7月3日の生誕130年を祝うグーグルロゴは代表作の「変身」だ。
 人気作家の百田尚樹さんが、ほとんどの作家は死後10年以内に作品が絶版になると言っていたが、カフカの作品は90年近く経った今でも読まれている。

 それだけ才能があって異性にモテたカフカでさえ人生に絶望してジタバタしていたのだと思うと親しみがわいてくる。そこにいるのは文豪ではなくひとりの悩める若者の姿だ。






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Last updated  2013.07.03 21:04:03


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