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深海都市
メモリーズ・イン・ジ・エンド
俺は昔からいわゆる「いい人間」ではなかった。別に不良ってわけじゃないけどどうしても人にきつくあたってしまう。昔両親がずっと喧嘩していた劣悪な環境が俺の心に響いたのかもしれない。
なんだかんだで俺はK大学に進学、社会人になる一歩手前。ついにここまで来た。これからは自分を変えていければと思っていた。
一人暮らしにあこがれていた俺は早速大学の最寄り駅から3駅ほど離れたところのアパートの住むことにした。風呂とかもちゃんとあるし、最近建てたれたようで中もきれいだった。
大学生活は単調に進んだ。クラブやサークルにも入ってないので友達がなかなかできなかった。何より俺の控えめな性格が悪かったのかもしれない。
生活を維持していくためには母の少ない仕送りでは無理なのでアルバイトが必要になる。俺は大学の帰り道にある喫茶店【ふにゃ猫喫茶】に決めた。名前の意味はよくわからなかったが。
店ではそのとき一人の金持ちそうなおばさんが切り盛りしていた。その人が店のオーナー、高谷信子である。バイト中に客から聞いた話だが、彼女は東京の方に土地を持っているだけでなくアパートを経営してたりするらしい・・・。近所ではお金持ちだが陽気で威張らないので好人物として見られているようだ。
「あんたが矢上伸二郎君ね。K大学の医学部やて?すごいやないの。それはともかく仕事についてはあの由香ちゃんからきいてちょだい」
【ふにゃ猫喫茶】のカウンターで俺はエプロンを渡された。まぁ、よくある紺色のものだ。店内にはテーブルが6つ。店の奥の角にL字型にカウンターがついている。ここが俺の仕事場か・・。
高谷店長の言った由香ちゃんとは、K大学4年の西野由香のことだ。茶髪のショートカットで明るくでお姉さん的な感じの人で、彼女に店の色んな仕事を教わった。俺は意外と要領よく仕事を覚えていった。接客、コーヒーの入れ方はもちろん、いろんなメニューの調理法、掃除の仕方、数々の恋愛エピソード。話はさらに脱線していき、自分の彼氏に対する不満に代わり、さらには政治家たちに文句を言い始め・・・以下略。
「というわけであたしはデートがあるから」といって彼女は店を飛び出していった。今は正午を過ぎたあたり。店は俺と高谷オーナー、店長・・・どっちでもいいか。
初めて接客したのは気のよさそうな中年のおばさん3人組だった。彼女たちのおしゃべりに怒りがこみ上げてきた。回りも気にせず、しゃべって、食べて、飲んで・・・。大きな笑い声がする度にこぶしを握り締めた。包丁で全員刺し殺してやろうか!・・・これではいけないと思い、無視することにした。そう、俺は変わるべきだ・・・。
1ヶ月経った、あるある日のお昼時。今日は学校もなく、一緒にすごす友人もいない。バイトで時間をつぶすだけの日。由香さんはまたデート・・・。仲がいいのだろう。
そのときだった。店の入り口が開いて、そこには一人の女の子がたっていた。茶髪のロングヘアで、大学生に見えた。でも若干幼い。
「はいはい、沙織ちゃんこっちやで」店の奥からオーナーが手招きして呼び寄せた。新入りか。オーナーは俺のほうを指差してなにやらしゃべっている。おそらく俺が教えることになるんだろう。
オーナーがこっちに近づいてきていった。「彼女は、吉永沙織ちゃん。かわいい顔してるやろ?あれでもあんたの同級生なんやで。それで、いっておくことがあって・・」
高谷さんはいったん間をおいてから言った。「彼女しゃべれないんよ」
一瞬の沈黙。「しゃべれないって・・・どういうこと?」
「あの子、高校2年までは普通に生活してたんだけど、海外に旅行したときに変な菌が移っちゃったみたいで・・。でもそれ以外は大丈夫やから。頭もいいよ、あの子」
ちらりと彼女と目があった。見とれてしまいそうなきれいな目だった。・・・だがくそったれ矢上伸二郎は心の奥底にある障害者への差別感情を隠せなかった。俺は彼女を無愛想な表情でにらんでしまった。彼女はすぐに目を伏せた。
あれからさらに1ヶ月。俺は彼女といっさい関わりを持っていなかった。あの後、由香さんが突然帰ってきて(彼氏が約束をすっぽかしたらしい)、沙織に教えることになった。あの時、「俺がやるからいいよ」となぜいえなかったのか?悔やんでも仕方がないのに、ずっと引きずっている俺がいる。
ある日の夕方、店には俺と沙織だけだった。客は2,3人。気まずい雰囲気。彼女は淡々と皿洗いをしている。彼女はよく見るとすごい美人だということに気づいた。高谷オーナーが「看板娘になるわ」といって(由香さんは怒ったが)から、客が増えてきたような気がする。中にはずっと沙織のことを眺めている気味の悪い客もいた。
店に一人の酔っ払いが入ってきた。ひどいにおいだ。彼は酒瓶を片手に持ちどかっとテーブルに着いた。客たちはそそくさと出て行った。勘定はもう済ませてあった。
「おい!酒をもってこいやぁ!金ならなんぼでもあるぞぉ!」そういって瓶をガンガンとテーブルに打ち付けた。ここは俺が行くしかないだろう。
「お客さん、ここは喫茶店です。酒は置いてません」
すると何を思ったか、酔っ払いは逆上して酒瓶で突然俺の頭を殴った。衝撃が走ってその場に倒れこんだ。「おお、かわいこちゃんがいるじゃねえか」
「何をびくびくしてんだ?邪魔者はいないぜ、へへ・・・」朦朧とした意識の中で俺は彼女のほうに向かっていく男の足が見えた。止めないと。
ふらふらと立ち上がった俺は、やつの肩をつかみ殴りかかった。「うせろ、くそじじい!」
何が何だがわからなかった。ただこの酔っ払いに対する怒りとストレスが爆発して疲れて動けなくなるまで殴った。顔が血だらけなのにも気づかなかった。
次に目覚めたときは病院のベッドの上だった。ぼんやり目を開けると沙織がいた。俺の手をぎゅっと握っていた。
「病院か・・・。あの野郎は?」
沙織はさっとペンを動かしてメモ用紙か何かにあの晩あったことを書いてくれた。
『あのあと、私は道路に出て通行人に警察を呼んでもらった。あの酔っ払いは最近よく出没して迷惑をかけていたそうよ。警察も店のことを考えて内密にしてくれるって。あたしは、あなたが守ってくれたから大丈夫。ほんとありがとう』
沙織はにっこりと微笑んだ。この調子なら1秒で傷が全快しそうだ・・・。不思議と心に心地よさが広がっていく。いまなら何でもいえるような気がした。
「そうか・・・。それで、その・・今言うのもなんだけど、回復したら一緒に・・・ご飯でも食べに行こう・・・」顔がなぜかほてってきた。彼女のほうもそうだ。・・・彼女は大きく首を縦に振った。
数週間後、俺たちはよくあるレストランで昼食をとった。彼女と食べるだけで最高にうまかった。彼女はいつもメモ帳を持ち歩いていて、俺が質問すると彼女が紙に書いてくれた。彼女のほうから紙に書くこともあった。
『初めてキスしたのはいつ?』なんてことを書かれたときは死ぬかと思ったよ、いや、まったく!紙の上だからそんな大胆になれるのか・・・。もちろん、俺にそんな経験があるわけがない。
そのあとは映画を見て、二人でいろんなとこを歩いて回った。もはやどこにいくとか何をするかは問題じゃなかった。俺は完全に彼女に惚れていたんだ。最初から・・・。
途中で沙織は腕を組んできた。照れ隠しにずっと顔を伏せていた。今思えば、あの日は人生で最高の瞬間だったと思う。
夜になって俺は彼女を家まで送り届けた。俺の家よりもすこし大学に近い。俺の帰るついでいくことができた。彼女の家は実家だったが、誰も帰ってきてなかったようだ。
沙織は玄関口でもじもじしていた。俺は「じゃぁ」といって帰りかけた。彼女と離れるのがつらく感じた。・・・彼女の手が肩に置かれ俺は振り向いた。初めてのキスだった。
そのしらせが飛び込んできたのは突然だった。あのデートの後、お互い忙しくて数回しかデートできていないのに・・・。その知らせは彼女が入院したという知らせだった。
「お見舞いに行くのもいいけど、あんまり刺激しちゃだめよ。いまは安静にしてなくちゃいけないんだから」情報源の高谷さんは俺に念を押したけど、それを聞いた後にはすぐ店を飛び出していた。
病院での彼女の姿は痛ましかった。いろんな器具がつけられ、死んだように眠っている。医者の人からしばらくは様子を見たほうがいいといわれた。彼女が謎の病気にかかっていたことを再認識させられた。数週間後、やっと面会が許可された。それでも完全防護をしてだ。彼女のそばに行きやさしく声をかけた。
「沙織、俺だ、わかる?」彼女は弱弱しくうなずいた。彼女は以前に比べて痩せていた。涙があふれそうになる。
「俺がついてたらすぐ直るからな!なんたって医学部だから、神様がお前を助けて俺にキスさせようとするんだ」
自分でも何をいってるのかわからなかったが、沙織が笑ってくれたのでよかった。彼女も、俺も心の奥底ではもう長くないとわかってたんだ。
7月16日、彼女の心拍数が急激に低下した。医師たちの懸命な治療により、一命は取り留めた。
7月25日、沙織の心臓が完全に停止した。午後3時42分25秒、医師によって吉永沙織の死亡が宣告された。
俺の生きる意味がなくなった。沙織がいなくなった瞬間からまさしくすべてが崩れ落ちていった。病室で彼女の最期を見届けた俺は部屋を飛び出し何回も壁をたたいた。
「くそったれ!くそったれ!くそったれ!なんでだ!なんで・・・バカヤロウ・・・沙織」
しばらくして俺は病室に戻った。彼女の母親が片手にテープレコーダーを持っていた。「これ、沙織から預かったものよ・・死んだときに渡してくれって」
俺は無言でそれを受け取った。でもしゃべれない彼女がなぜ?俺は「再生」ボタンを押した。
『・・・あたしは吉永沙織・・これを・・やが・・みしんじ・・君にささげます』
必死で言葉を紡ぎだしている・・・それはまさしく彼女の肉声だった。テープレコーダーを持つ手が震えていた。
『やがみくん・・だま・・っててご・・めん。ほんとうは・・はな・・せたけど悪化する・・か・・ら、しゃべるなってい・わ・・れだの。
これ・・を・・のこぞう・・とおもったのは、あな・・たに・・この・・声で伝えたかった・・から・・ハァ・・ハァ・・。
わたしは、正直どこにいっても・・じゃま・・ものあつ・・か・・いされると思ってた。死のうかとも思った。店での・・最初の1ヶ月も・・たのしくなかった。でもあの日からわたしは変わ・・・・った。あなたは私の王子様・・だったの。一緒にいると・・・ほんとうにたのしくて・・・』
「もういいんだ・・沙織・・いいんだ」涙が止まらなくなっていた。これ以上彼女の必死の声を聞くのはつらかった。
『店の・・ひと・・も、あなたが変わったって・・・言ってた。ハァ・・ハァ・・。あたしも変われるとおもって・・・あなたとずっと一緒に居たかった。でも・・病気の進行は・・とまらなかった・・。だから・・・これを録音・・したの
矢上君・・あなたは私の最愛の人です。世界で一番・・大好きな・・人・・結婚したいと思った人・・・ありがとう・・ほんとうに・・ありがとう・・大好きだから・・愛してる』
テープレコーダーはここで終わった。俺はただひたすらその場に立ち尽くした。・・・涙で動くことができなかった。
医者となった俺は癌に関する研究を進めつつある。沙織のような人を二度と出したくない。彼女のテープレコーダーは永遠に守り抜く・・・。
いまじゃ期待の若手なんていわれたりして。海外研修にもいっている。お前のために世界を変えてやるよ、沙織。
(完)
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