第7官界彷徨

第7官界彷徨

詩-白の時代



「貝がら」
沖縄の平和大会に行ったともだちが
辺野古の海でひろってきてくれた貝がらは
うすいピンクやねずみ色で
人工の海岸しか持たない私たちが
とうに忘れてしまった海の色をしていた

1945年4月あの海を覆い尽くすように押し寄せた軍艦
それから始まったのは十数万人の人たちの死にいたるまでの悲劇と
生き残った人たちの辛酸の日々
町を焼かれ父を焼かれ母を焼かれ
日本軍に追われ米軍に殺されていった人たち
夏の日差しさえ届かない暗い豪の奧で飢えとマラリアに苦しみ
日本兵の命じるままに抱いていた我が子を殺した母親は
死にきれなかった我が身をかかえ
怒りと悲しみと悔恨の50年を基地の島となったふるさとで過ごし
自分たちの島に基地はいらないと
遺言のように語り始めた
たくさんの声が力となって
もう自分たちの島から人殺しの軍隊を世界のどこにも送り出したくないと
住民投票は答えを出したのだ

移転先がなければ
基地を移せないとか
そういう問題ではない
基地はこの国のどこにもあってはいけないと
住民投票は答えを出したのだ

戦争で傷を負ったまま50年以上も耐えてきた人々の心と
豊かな沖縄の自然に住むたくさんの小さないのちを犠牲にして
押し進められようとしている海上基地問題
小さないのちの住めないふるさとは
やがて人間だって住めないふるさとになってしまうから
千葉に住む私たちも連帯の思いをこめてみつめよう
あの海に
いつまでも
うすいピンクやねずみ色の
きれいな貝が棲めるよう

沖縄の未来は私たちの未来
沖縄のたたかいは私たちのたたかい
明日は
基地のない平和な日本にするための
名護市長選挙の日・・・・


「どの子も平和の空の下に」
遠く離れた国から
爆弾を積んだ飛行機が来て
杏の花咲く村をこわした
戦禍に追われた難民キャンプ
お菓子もクレヨンも絵本もないけれど
疲れ切ったかあさんの
胸に抱かれたあの子が
小さな手に握っているのは
あふれるほどの未来
その瞳でみつめているのは
数え切れない夢
子ども達はどこの国でも
愛と平和に包まれて
幸せに育つことを
わたしたちは願います

戦争と貧困と飢えのない
どの子も平和の空の下に

家族の絆
涙のないくらし
信じ合える仲間
戦争をしない勇気

母親達が手をとりあって

次の世代に
贈りたい
残したい
大切なもの
    2001/12/8平和のための戦争展に寄せて


「女たちは戦い続ける」
      ー2003・国際婦人デー千葉県集会によせてー
クリスマス寒波押し寄せるホワイトハウス前
湾岸戦争で打ち込まれた劣化ウラン弾のために
白血病で苦しむ少女の写真を胸に抱いて
座り込みを続ける女性たちがいる
3月8日の国際婦人デーまで
イラク攻撃反対の座り込みを続けると

春待ちの1月
きさらぎの2月
戦争反対の声は世界中に広がって
ロンドン200万人
マドリード200万人
バルセロナ150万人
ローマ300万人
ニューヨーク ベルリン 東京 ヒロシマ
集会にデモ行進に集まる人たちは
確実に増え続け
国をも動かす力になった

そして弥生の3月
今日 国際婦人デー
世界中の女性たちがそれぞれの町で
ミモザの花を胸に集まり連帯し
デモの隊列に並んでいる
私たちも
アメリカ政府に日本政府に
イラク攻撃ノー 平和を守れの声を届けよう
今日上げた声を力にして
有事法案を廃案に追い込み
明日からまた戦い続けよう
愛と勇気を武器にして
平和のために


「決意を込めて」
   ー2004年国際婦人デーに寄せて
乳飲み子を抱えて泣く母親の髪に風花が舞い
傍らの幼い子どもは隊列の父親に不安そうに手を振る
不況にあえぎ就職先もない北海道の
「教え子を再び戦場に送るまい」と
平和を願う教師たちの集まりで
イラクに派兵された教え子の名前が18人も報告された
昭和のニュースの巻き戻しのように
日の丸の小旗に送られて
若者たちは戦場に狩り出されて行った
米軍の暴力とテロが繰り返されるイラクから送られてくる
寒さと緊張に頬こわばらせる若い自衛隊員の映像は
その18人の中の一人かも知れない

世界中の母親の願いをふみにじり
アメリカが引き起こした戦争を日本は支持し
憲法に違反してまで海外派兵を強行した

地中貫通爆弾ジェイダムは
少年が水を汲むわずかな湧き水の地下水脈を破壊し
ロケット砲は病む母の病院を粉みじんに打ち砕く
劣化ウラン弾の放射能は地表を覆い
その地の人の
命や歴史や文化や人権を軍靴が汚(けが)す

私たちは今日
世界に連帯する国際婦人デーに集まり
大いなる決意を込めて
イラク戦争反対  平和憲法守れと声を上げる
「国益」と「正義」をふりかざして出ていったこの前の戦争で
まわりの国々のそして日本の
たくさんの不幸な死の代償として与えられた
この平和憲法と民主主義を
無傷のままで次の世代に手渡すために
死に物狂いにたたかって
政治の流れを糺す責務が私たち女性たちに課せられた

「沈黙は共犯」
「平和を望むなら行動を」
「私たちは決して失望しない」
春を告げる黄色いミモザの花を胸に
たおやかに華やかにたたかいつづけた
先輩たちの遺したことばに励まされ
受けついだ平和のバトンをしっかりと胸に抱いて
今日からまた力を合わせて歩きはじめよう
暴力の連鎖を絶つことができるその日まで


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