アサハカな論考もしくは非生産的妄想

アサハカな論考もしくは非生産的妄想

May 3, 2004
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テーマ: 新撰組!(307)
カテゴリ: カテゴリ未分類
新選組はある面から見れば、改革派諸士の弾圧により近代革命の実現を遅らせた超武闘派の「守旧」抵抗勢力である。そして、自らの規律を維持すべく激烈な内部粛正が繰り返された「前近代的な」血なまぐさい殺人集団である。


このうち「抵抗する理由」については、本人たちは時代に逆らっているという意識は毛頭ない。個人的事情に由来する「信念」が勇を突き動かし、その他の隊士は心酔する勇にただひたすら追随するのみであって、政治的思想云々とは別次元の情熱がその原動力となっている。このことは、上京以前の時代からこれまでの間で存分に描かれているものと僕は評価する。

そして今回からは、いよいよ内部粛正劇とその苦悩が語られようとしている。これこそがある意味このドラマの最大のテーマといってもよい。

端緒は、物語の本筋とは何ら関係がないと思われた阿比留栄三郎からもたらされた。
殿内の暗躍を知った芹沢は、殿内を斬ると息巻き、いったんは翻意したものの結局彼を斬殺したのだ。

だが、芹沢は根っからの悪人ではない。竹トンボに興じ、純粋無垢な総司に心を開き、そんな自分の姿に気づくと悪人ぶる。本当の悪人は「俺は悪い奴だ」などとは言わないし、殿内の真の意図を知っても狼狽の表情を見せたりはしない。自らの過去の罪状が彼に暗い影を落とし、どこかで自責の念に苛まれている。

勇にいたってはなおさらのこと。これから信念に従ってともに大仕事を遂行する仲間である以上、内輪の諍いは到底許せることではない。歳三に強く慰留され、まったく納得できないながらも芹沢の罪を揉み消すことにしたが、その席で粕谷に痛烈な言葉を浴びせられる。

 私はこれを恐れていた

 その先に待っているのは・・・地獄のみ

自らの理想から全く予想しない現実が独り歩きしていく。勇は暗澹たる気持ちになり、居たたまれない。と、先に席を立ったはずの芹沢と不意に目が合った。絶望的に悲しい目。
同じようなことは今後も繰り返されるだろう。そして、その運命は自らが引き受けざるを得ない・・・。芹沢も勇もそう予感していたに違いない。

そして、そんな勇の葛藤する姿を見て、歳三は今後憎まれ役をすべて自分が引き受けることを決心する。自分たちが力をつけるまでは芹沢たちを利用するしかないと力説し、そのために勇に重荷を背負わせてしまった責任を明確に自覚した歳三もまた、今後起こる悲劇的な運命を予感したひとりであった。

最初の粛正は誤解だった。
誰もが不本意だった。
だがそれは、彼らにとっては必然だった。

光明がひとつ。
原田左之助が天性の人の良さで八木家の久さんに気に入られた。
このことが、必然たる悲劇的運命をいくらかでも和らげてくれるものであってほしい。





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Last updated  May 19, 2004 03:05:06 PM
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