ASTRALPHASIA - プログレ日記(Prog Blog)

AMATA (CD)



ジョン・ウェットンが2003年4月にポーランドで行ったアコースティック・ライブを収録した
「アマータ(AMATA)」(MMP CD 0940,国内盤 MAR 04929) がリリースされました。(2004.7.25)


ウェットンのアコースティック・ライブ盤といえば、
「AKUSTIKA - Live In America」
「SUB ROSA - Live In Millan」
「HAZY MONET - Live In New York」
の3枚が過去に出されているが、
今回の作品は「AKUSTIKA」「SUB ROSA」に次ぐ佳作。


「Rock Of Faith」 や、ポーランドでのライブ盤 「AMORATA」
サポートしたカール・グルームがプロデュースを担当。


タイトルの「アマータ」(AMATA)はラテン語で女性の恋人という意味。
(元は13世紀のイタリア・ボローニャに実在した聖人の名前らしい。)


バックはファンにはおなじみのジョン・ミッチェル(g)とマーティン・オーフォード(key)。
手堅いプレイで定評のある二人が、ときには暴走しがちなウェットンをしっかりと支える。


収録曲の多くはポーランド公演からであるが、一部、数年前の南米ツアーからの音源も含むらしい。


1.The Circle of St.Giles
「アークエンジェル」(97年)のインストナンバー。
ライブが始まる前のSEとして多用された。


2.Mondrago
2003年の新作「ロック・オブ・フェイス」の1曲目で、やはりインスト曲。
ここではアコギで奏でるオリジナル・ヴァージョンを披露。
じつは99年のアコギライブ(英国)でも、すでにこの曲を演奏していた。


3.Heat Of The Moment
94年のソロ初来日公演で初めて披露したアコギ・バージョン。
今回は、ファースト・ヴァースの後にコーラスを入れていて、
曲の展開が、よりオリジナル・ヴァージョンに近くなった印象。
キーもオリジナル通り。間奏部でのオーディエンスへの掛け声が、とてもウェットンらしい。


4.Book Of Saturday(土曜日の本)
クリムゾンの「太陽と戦慄」収録曲。
90年のエイジア来日公演から披露しているアコギ・バージョンで先生の18番。
ウェットンとミッチェルが、一糸の乱れもなくユニゾン演奏する姿は圧巻。


5.The Smile Has Left Your Eyes(嘘りの微笑み)
オリジナルはとてもキーが高く歌いづらいが、ここではキーをかなり下げている。
シンセの大仰なイントロが省かれ、アコギでスタートするパターンは珍しい。


6.Hold Me Now
ウェットン流「母に捧げるバラード」。
切ない歌詞にお涙頂戴的メロディ、まさにプログレ演歌歌手の真髄発揮!(笑)
母親に思いっきり抱きしめてほしいと訴える心の叫びが、涙を誘う。


7.Emma
一転して娘を思う父親の気持ちを歌った優しいバラード。
ウェットンには娘がいないが、ジェフ・ダウンズの娘・クリスティーナの名付け親でもある。
エイジア時代にChristinaという曲も作っていて「AKUSTIKA」に収録されている。
間奏部で聞けるミッチェルによるハーモニクスを多用したギターソロが流石。


8.Battle Lines(戦線)
ウェットン流・反戦歌の一つ。
歴史映画「Chasing The Deer」のテーマソングにもなった曲で、先生のお気に入り曲。
ヴァース、コーラス、ブリッジの展開がとてもよくできているバラードの名曲。
間奏部で歌の入りを間違えているのは、ご愛嬌。(笑)


9.The Night Watch(夜警)
クリムゾンの「暗黒の世界」から。
97年の来日公演で初めて披露したアコギ・バージョン。
アコースティック・ギタリストでもあるウェットンのアレンジは流石。


10.You're Not The Only One
ソロ2作目の「Battle Lines(日本ではボイス・メイル)」のラストに入っていた曲。
98年ごろまではアコースティックセットで、よく演奏していた。
これまた挫折して孤独に陥った人へ生きる力を与えようとするメッセージ・ソング。
ジョン・レノンの「イマジン」を想起させる歌詞は秀逸。


11.I Believe In You
アンコールで演奏された「ロック・オブ・フェイス」収録曲。
絶望の淵にあっても「信じる力は永遠なり」と説くメッセージソング。
中間部の展開がアンプラッグド用にアレンジされている。


全体として声には往年の張りが感じられないものの、演奏や歌唱自体は満足できるレベル。
「AKUSTIKA」は越えられなかったけれど、
「Hazy Monet」と比べれば、おつりがくるほどの良いできです。(当たり前ですが…)

ジャケは宗教臭くて気に入りませんが、
ファンならば、買って損はないCDであると思います。

購入先 こちら



© ken_wetton 2004



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