亜矢羽ノ国

038+蜘蛛の巣



黒い糸の世界へようこそ。


この世界の住人達は。

自分の糸を張り巡らせ。

獲物が引っ掛かるのをまっている。


そこへ引っ掛かってきたのが君だ。

君は私の糸で運が良い。

「なぜか。」って?

それは。

私が優しく紳士的に振舞う者だからじゃないか。


君みたいに美しいお嬢さんは。

すぐに食べたりはしないよ。

生かしておいてあげるさ。


痩せ細っていく様を見ていたいからね。


それに。

さっき食べたところなんだ。

そんなに沢山食べられないからね。


だから。

君は観賞用さ。

いや。

非常食とでも言おうか?


もちろん。

食事が無いわけではない。

次に引っ掛かった獲物を分けてあげるよ。

食べられたらの話だけどね。


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