そよかぜにっき

そよかぜにっき

サッカー



月(2)


きのうの夕方は、小学2年の息子とサッカーをしました。

グランドで、ボールを蹴っていると

1年生位の見たことのない男の子がやって来て、

「へたくそ~、もうちょっとちゃんとやれ~ おれもやるぞ~」

と言うので、一緒にボールを蹴ることになりました。

 小さな体から、ものすごいパワーを出して

ガンガン遠くまで、ボールを蹴ります。

そして、蹴りながら、一人ごとを言い続けていました。

「おれはな~ 転校生でな~ 引越してきたとこなんじゃ~

おかあさんとな~ おとうさんがな~ けんかしたんじゃ~

それでな~ おとうさんがおらんようになったんじゃ~

おとうさんはな~ やさしかったんじゃ~

虫取りにつれていってくれたんじゃ~

運動会にも きてくれたんじゃ~

水族館にも連れていってくれたんじゃ~

ほんとにやさしかったんじゃ~」

行き場のない思いをパワーにして

男の子はずっとずっと強くボールを蹴り続け

夕闇にすっかり包まれてきたころ、

「もうかえる・・・。さようなら。」

と言い残して帰っていった。

あたりが暗くなっていたから良かったけど、

「おかあさん 目が赤いよ。」

そう息子に尋ねられたら、私は、たぶん答えにつまったと思う。



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