>書かれたことよりも書かれなかったことに、川上弘美の小説の核はあり、しかし、それは言うまでもなく、彼女の書いたことからしか浮かび上がってこない何かなのだ。

おっしゃるとおりですね。嬉しくなりました。
心の中の言葉にならないところを的確に書かれてあったので
あぁそうそうそういうことだったのだとすっきりしました。
(2004年04月25日 00時29分06秒)

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けいじばんZZ


初めておいでいただいた方に。


2002年06月11日
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新鮮なのになつかしい、セピア色した連作短篇が集まって、ゆるゆるとひとつのものがたりを形成してる。決して、むずかしいことばや言い回しを使わないひとだ。そこも、気に入っている。

谷崎潤一郎賞受賞!!! その前から、この作品については川上弘美の最高傑作との声が高かった。 ここには、ただ、単純な言葉づかいで綴られたせつない愛の物語があり、 文章のそこかしこから、生きることのかけがえのない喜びとためらいが・・・こんこんと涌き出てくる。

山本文緒さんや山田詠美さんなど、はるるの好きな作家たちや、評論家たちがいっせいにほめちぎる小説だったので、ずっと気になっていた。

<平凡社・1400円>

千客万来、来るもの拒まず去るもの追わず。

↓(島森路子・評 )


この人の書くものの読後感は、いつも不思議だ。リアリズムなのかファンタジーなのか、具象なのか抽象なのか、どうにも判然としないところにもって行かれる。リアリティーがないというのではもちろんない。細部の描写は実に具体的だ。が、そのくせ、その全体が、どこか春霞の中を漂っているように、儚(はかな)げで、掴(つか)みどころがない。言葉は研ぎ澄まされ、物語や登場人物の輪郭はくっきりとしているのに、そこに漂っている感覚(作品の色調)が、独特に“川上色”なのである。

人と人との間にあって“かたち”にならないもの。ましてや“言葉”になどならないもの。言葉にした途端、微妙にズレたり変形してしまうもの。そのくせ、きっとそこにあるもの。そういう、いわく言いがたい人の感情や生理の機微を、川上弘美は、行間に塵(ちり)のように漂わせる。そして、その“塵”が、読む私たちをふわりと包んで、そのくせ圧倒的に支配する。書かれたことよりも書かれなかったことに、川上弘美の小説の核はあり、しかし、それは言うまでもなく、彼女の書いたことからしか浮かび上がってこない何かなのだ。

 どうでもいいような、どこにもあるような、しぶくて、カッコ悪くて、しみったれた恋愛。けれど、ここにしかない、かけがえのない、切羽詰まった感情。晩秋の乾いた風がカサコソと吹き抜けるように、生きることの“さみしさ”が、行間からヒューヒューと吹き渡ってくる。


千客万来、来るもの拒まず去るもの追わず。

↓以下、「センセイの鞄」本文より



一人で今まで楽しく生きてきたはずだったのに、どうしたことか。

しかしほんとうに、今まで一人で「楽しく」など生きてきたのだろうか。

楽しい。苦しい。きもちいい。甘い。苦い。しょっぱい。くすぐったい。かゆい。寒い。暑い。なまぬるい。

いったいわたしは、どんなふうに生きてきたんだったっけか。

おどろおどろの西の空


###########

「育てるから育つんだよ」亡くなった大叔母が生前にしばしば言っていた。年がいっていたくせに、母などよりも余程ひらけたひとだった。「恋情なんて、そんなもんさ」

大事な恋愛ならば、植木と同様、追肥やら雪吊りやらをして、手を尽くすことが肝腎。
そうでない恋愛ならば、適当に手を抜いて立ち枯れさせることが安心。

語呂あわせのように、そんなことを言い言いしていた。


###########

動物を飼うのはお好きなんですか、と聞くと、センセイは首を横に振った。


「だいじょうぶですか」
「ひよこならね、そんなに可愛くないでしょう」
「可愛くないのがいいんですか」
「可愛いと、つい夢中になる」

かさこそと、ひよこは箱の中で動いている。

センセイはこばまなかった。
もうちょっと、泡たてて。
そうそう。
そんなふうに言いながら、わたしの酌を静かに受けた。


###########

わたしはセンセイの後ろで、星を数えつづけた。
十五まで数えたころに別れ道に来た。

「さよなら」と手を振ると、センセイも振り返って、「さよなら」と言った。

センセイの背中を見送り、自分の部屋に向かった。
部屋に着くまでに、ずいぶん小さなのも入れて、二十二個の星を、数えた。


はるるの家の前で見た流星☆


###########

林檎が食べたくなって、かごから一つ取り出した。
母と同じ剥きかたをしてみた。
途中で皮は切れた。突然、涙が出てきて驚いた。
玉葱をきざんだのでもあるまいに、林檎で、泣いた。
林檎を食べている間も、泣いていた。
しゃくしゃくと噛む音の合間に、涙が流しのステンレスにぽたりと垂れる音がした。
流しの前で、立ったまま、食べたり泣いたり、いそがしくした。

厚いコートを着て、わたしは部屋を出た。
もう何年も着ている、けばだったコートである。
深緑色の、けばだっていても、あたたかなコートだ。
泣いたあとは、いつもより寒くなる。
部屋で震えていたが、じきに飽きた。
厚い靴下にはきかえ、手袋もはめ、底が厚めの運動靴をはいて、外に出た。

オリオンの三つ星がきれいに見えていた。
まっすぐに、歩いた。
元気よさげな歩調で、歩いた。
歩いているうちに、少しだけ体があたたまってきた。
どこかの犬に吠えられて、一瞬涙が出た。
じきに四十歳にもなろうというのに、子供みたいになっている。
子供のように、手を大きく振って、歩いた。
空き缶があれば、蹴った。
みちばたの枯れ草を、何本も折りとった。
自転車が何台も、駅のほうから走ってくる。
無灯火の一台にぶつかりそうになり、おこられた。
また涙がじんわりと出た。
座り込んでしくしく泣きたくなった。
しかし寒いので、やめておいた。

そのまま駅に向かって歩いた。
いつも見慣れている道が、よそよそしかった。
長く道草をして、日が暮れて、家までの道がぜんぜんちがうもののように感じられた子供のころに、すっかり戻っていた。

センセイ、とつぶやいた。
センセイ、帰り道がわかりません。


不安なゆうぐれの街


############

かすかに春になりかかっている空気の中を、ゆっくりと歩いてゆく。
月が、金色に光っている。

眼の前はみどりまみれ


############

何日か雨がつづいた。
若葉は急に色を増し、窓から眺めると視界はまみどりだった。

タイランド*2

****************
最近読んだ・読んでる本
*********************

(5月末から6月始め)

室井祐月
「LOVE GO GO」
「ああ~ん、あんあん」

川上弘美
「センセイの鞄」

菅浩江
「夜陰談」

白石一文
「不自由な心」

北野勇作
「どーなつ」

清丸恵三郎
「出版動乱・ルポルタージュ本を作る人々」

筒井康隆
「天狗の落し文」
「愛のひだりがわ」

椎名誠
「ハリセンボンの逆襲」
「からいはうまい」

荒俣宏
「アジアまぼろし画報」

恩田陸
「劫尽童女」

中山可穂
「感情教育」

南伸坊
「装丁」

岡崎大五
「だましだまされ生きるのさ」日本に帰るお金も無くなってしまった旅行者が、バンコクの街で抱腹絶倒のサバイバル!

アレグザンダー・ケント
「提督ボライソーの最期」帆船時代の海の英雄を描いた人気シリーズ24巻目。はるる、1巻目から読んでるけど、もうここまで20年も(笑)経ってる・・。栗本薫のグイン・サーガよりはマシだけどさ。

松本隆
「成層圏紳士」伝説のバンド、はっぴいえんどのメンバーだった昔から、数々のヒット曲を生んだ作詞家としての日常、そして現在までの様々なシーンでのエッセイ集大成。

井上尚登
「キャピタル・ダンス」旧き上海を舞台にした横溝正史賞のTRYのあと、革命の英雄ゲバラにちなんだCHEと来て、期待の新作はビル・ゲイツをふった女性の話からスタート。

目黒孝二
「笹塚日記」別名、あの北上次郎の日常とひたすらの読書日記。

林真理子
「紅一点主義」このひとは、おのれをよお~く知っている。だから、自慢しまくっていても、いやみなく何時でもオモシロイ。

谷口裕貴
「ドッグファイト」第2回日本SF新人賞受賞作。センスオブ・ワンダーあふれる、遠未来の何処か遠くの星と、荒廃した地球人類の軋轢。犬好きなひとには、人間と犬たちのテレパスによる密度の濃い精神の交流が、なかなかこたえられない内容で、泣かせる。





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最終更新日  2005年04月13日 17時33分43秒
コメント(10) | コメントを書く
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Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美(6/11)  
ananan  さん
すてきーーーーーーーー
なんて 心に問い掛けてくる文章でしょうーo(*^∀^*)o
私も 早速本屋さんにいこうかなー (2002年06月11日 08時54分01秒)

こんにちは!おひさしぶりです。カツオです。  
おひさしぶりです。
大阪は今朝から台風4号の為、変な天気です。
当家は経営不振の為、今年は海外見送りです。
やっぱり、海外の空の色は、違いますね。
磯野家の話で、此の頃サザエさんが出現で、盛り上がりました。
それでは、また来ます。 (2002年06月11日 10時54分00秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美(6/11)  
ああ、また読みたい本が。。
はるるさんって本当に本探しが上手ですよね。。
また今回はぴったりの写真を載せてくれるから憎いですよね。。
雨降りの日本のこの時期はお部屋でゆっくり本を読みませう!!(今ごろ宮部みゆきのあかんべぇを読んでます) (2002年06月11日 14時26分26秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美(6/11)  
kumachannn  さん
先生♪~トゥルッツゥル~

言っておきますけど
小学一年生のときのはやり歌ですからね・・
(2002年06月11日 20時01分12秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上  
おせいどん  さん
高サうですか!

読んでみたくなりました! (2002年06月12日 09時40分53秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美(6/11)  
はじめまして。書き込みありがとうございます。
川上弘美さんいいですね。
絵本も書かれているのですか。
それは、探してみようと思います。
それでは、どうも。
(2003年01月18日 21時36分08秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美☆!(06/11)  
のどあめ。  さん

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美☆!(06/11)  
ひなた2292  さん
ご訪問、ありがとうございました。

原作も、あわあわ、ほわほわした感じが、素敵ですね。
やはり、購入して読んでみたいと思います。
でも、映像から入った私は、ツキコさんは、キョンキョン、センセイは柄本明さんになってしまうのでしょうけど(笑) (2004年04月28日 20時24分57秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美☆(06/11)  
何度もよみかえしてみたい本となりました。
文庫で読んだのですが、ハードカバーが欲しくなりました。あわあわとした二人の日々。癒されます。

PS TBありがとうございました。 (2005年04月16日 00時06分02秒)

Re:ほわほわと切ない『センセイの鞄』川上弘美☆(06/11)  
たこたこ☆  さん
トラックバックありがとうございます。
しばらく実家に帰っており、こちらに来るのが遅くなりました。
「センセイの鞄」素敵なお話ですよね。
私は川上さんの本は他には読んだことないんですけど、
気になる作家の一人になりました。 (2005年11月23日 11時26分50秒)

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