マンハッタンは小さな島で
ブルックリンブリッジ
マンハッタンブリッジ
ウィリアムズボロウブリッジ
クイーンズボロウブリッジ
トライボロウブリッジ
ジョージワシントンブリッジ
の6つの橋と
リンカーントンネル
ホーランドトンネル
ミッドタウントンネル
の3つのトンネルだけで
マンハタンが本当は小さな島だと忘れることができる。
別の言い方をすると
その9つの接点を閉鎖してしまえば
この島はいつでもただの小さな孤島になれる。
あの事件の日にそうなったように。
*
とても大切なものを失った時
本当に目の前が真っ暗になってしまう。
きっと
そんな感覚を知っている人は多いはず。
とても大切なもの。
たとえば
恋を失った時。
大切な人を失った時。
大切だった人の気持ちを失った時。
愛する犬を死なせてしまった時。
この世が終わりを告げた訳ではなく、
たったひとつのことがだめになっただけなのに、
いっそ
この世が終わってしまうほうがずっと小さなことのように
思ってしまう。
*
時に人は
『明日の朝、いっそ目が覚めなければいいのに』と
そんな思いを抱えたまま眠りにつくことがあるもの。
それくらい、つらいことが
生きていると、どういうわけか
起こってしまう。
だけど明日はやってきて、人はやっぱり目を覚ます。
だけどね
必ずあると思っている明日は
本当はもうないかもしれない。
望むと望まざるとに関わらず
人は見えていると勘違いしているだけで
本当は明日のこともわからなければ
一瞬先のことだって見えていない。
そう思うと
絶望はもっと深くなるけれども
明日、もしかしたら
とってもいいことが起こることだってあるかもしれない。
だれれども、
時としては、もう二度と目覚めないほうが
ずっと幸せなような気になってしまうことがあるもの。
さようならさえ言えないまま消えてしまいたくなる。
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