本丸より (42)

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unforgettable

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ボストン美術館

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old love,
leave me alone

old love,
go on home...

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人は忘れるから生きて行けると、言う。

けれども、忘れてしまいたいことほど、脳裏に焼き印を押したかのように、案外、いつまでもいつまでも、本当は忘れたくないのではないかと思うほどに、そこに留まる。

わたしの記憶の中には、できるものなら、まるでパソコンの " delete " キーを押して、いや、それよりも、その記憶自体を初期化して消し去りた、いや、初期化でもどこかにそれは残っているだろうから、その道の専門科に、根こそぎ、抹消して欲しい、そんな記憶、つまり「経験」が今でも、脳の奥の、海馬のその奥に居座っているのが、わかる。

その部分だけ、記憶喪失になってしまえればいいのに、とさえ思うことだったはずなのに、時間とともに、それは多分、わたしの中でひとつの「学び」として芽を育み、「不信」という欠点を残しつつも、何かきっと自分の一生の中の、短く、甘く、苦く、辛く、悲しく、せつなく、悔しい一こまとして、いつか、懐かしいとさえ思える時がくるのだろう。

人はきっと、そういうふうに、出来ているのかも知れない。

2月になると、この冷たい空気の中に白く漂う吐息と、この冷たい雨と、冷たい風と、時折舞う粉雪が、2月に失った、最愛のディノを思い出させる。

あれから5年という時間が経過したにも関わらず、あの日、握りしめていた前足の体温が、徐々に冷たくなっていく感触を、忘れることはない。

それと同時に、記憶の中のディノが徐々に、ソフトフォーカスをかけたように朧になり、記憶の表面から、奥の方へと移動していることも自覚している。

ディノのことは、消し去りたい「経験」と正反対に、いつまでも「保存」していたいことのひとつと言える。

「忘れるから、生きていける」

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I can see your face
But I know that it's not real
It's just an illusion
Caused by how I used to feel

And it makes me so angry
To know that the flame still burns
Why can't I get over?
When will I ever learn?

                               ------------ old love

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