日本の競争戦略/ポーター

競争戦略

日本の競争戦略
マイケル・E. ポーター、竹内 弘高 著



感想:
欠陥住宅、おいしくないチョコレート・・・。なんでそんなものがこの日本では平気で売られているのか。そんな疑問がこの本を読むと解けてしまう。保護による政策がまったく無効なばかりか、害を成す。消費者にとっても、顧客企業にとっても、そして、当該企業そのものにとっても。そりゃ、そうだ。競争なしにノホホンとしていたら、進歩しようというモチベーションさえ持続しないだろう。とりあえず売れてたら改善などしない。当たり前の話だ。

オペレーション効率と、戦略によるトレードオフ(二者択一)。日本企業は前者を得意とする一方で、何を行ない/何を行なわないかのトレードオフが苦手だという。ベストプラクティスを目指したオペレーション効率の改善は行なっても、みな右へ習えで、結局は「価格競争」に巻き込まれる。もちろん、すべての日本企業がそうじゃない。ちゃんと独自性のある戦略をもって成功している日本企業もあるわけで、日本企業がそういうことができないという話ではない。

"The Power of Dreams"はホンダの企業理念だけど、ポーター的な分析的な手法でなくても、トレードオフは可能だ。ようするに「好き」ということ。「好き」なことをとにかく一生懸命やるという集中によっても独自性のある戦略を実行と同時に形成できる。そういう話が抜けてる部分が「日本の競争戦略」というタイトルをつけてる割にはどうかなという気もするが、正確で意味ある「ダメ出し」と、競争のための構成ブロックを処方してくれているという意味においては、オススメする。

外部の視点で自国のイヤなところもちゃんと感知しようとする日本人は読むべきだね。


点数:
おすすめ度   ★★★☆☆
わかりやすさ  ★★★★☆
役立ち度    ★★★☆☆



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