なぜマネジメントなのか

なぜマネジメント

なぜマネジメントなのか―全組織人に必要なマネジメント力
ジョアン・マグレッタ  著



感想:
「初心者にとって格好の入門書であると同時に、エグゼクティブにとっても完璧かつ総合的な内容だ」と、あのピーター・F・ドラッカーも絶賛したというマネジメント本。「計画」と「実行」の2部構成による本書は、マネジメントの方法論を説くことよりも、タイトルどおり、「なぜマネジメントなのか」という視点から、マネジメントの重要性、有効性について論じている。

第1部である「計画」の部では、「価値の創造」、「ビジネスモデル」、「戦略」、「組織」という4つのキーワードを用いて、計画におけるマネジメントの重要性を説く。組織にとってまずはじめに考えなくてはならないことは、外から内への視点での「価値の創造」に関することであるとし、「価値の創造」こそが組織にとっての目的、使命であることを明確に論じる。
また、第2部の「実行」の部では、「どの数字が重要か、それはなぜか」、「使命と評価基準」、「イノベーションと不確実性」、「まずは焦点を絞ること」、「人をマネジメントする」という5つの章において、実行におけるマネジメントがいかに数字や手法などのツールを上手に使いながら、それらの力に溺れることなく、もっとも重要な資源としての人材を有効に活用するかについて書かれている。

結局のところ、マネジメントとは人に対する科学である。それがこの本を読むときわめてよくわかる。さまざまな人間が集う組織という集団の生産性を、いかにして高めるかといったことに関する科学である。すでにマネジメントを行なうためにはさまざまなツールや手法が用意されているが、それを使うこと自体がマネジメントなわけではない。ましてや、人を管理することがマネジメントだと考えたら大間違いだ。本書はそんなマネジメントに関する誤解や偏見を一掃させてくれるという意味で、非常に重要な本だと思う。
マネジメントのない組織は機能しない。組織に働くすべての人がそれを理解し、マネジメントに協力するためにも、ぜひ、すべての組織人に読んでもらいたいと思う。

また、マネジメントに対する誤解を解き、真に有効性をもったマネジメントの意味をわかりやすく論じた本書は、経営やMBAを勉強する前にぜひ読んでいただきたいと思う。
※実際、この本は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科のMBAプログラムに入学する学生に対する、入学前の必読書として指定されたとのことだ。


点数:
おすすめ度   ★★★★★
わかりやすさ  ★★★★★
役立ち度    ★★★★☆



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