一緒に歩こうよ。~特別養子縁組しました。~

一緒に歩こうよ。~特別養子縁組しました。~

誕生と終焉と

笑顔が見たかっただけなのに

プリンとぱんだが帰宅して3日目に
いっぱいの写真を持ってぱんだの母の入院してる病院を
尋ねた。とはいえプリンは老人病院ということと
本当はまだ外出を控えなくっちゃいけない新生児を
無理に車に乗せているってこともあって
車で待機していた。
車はこの春に新車でミニバンを購入した。
義母が前の車は外車ということもあってドアが重く
あけるのにも苦労していたので電動スライドドアのものに
替えたのだった。
その日写真でみた孫にすごく喜んで早く退院しなくっちゃって
笑顔で言っていたそうだ。
主治医もあと10日ほどでの退院を認めてくれて
なんだかこれから家族が輪になって過ごせるはずだったのだが・・

ぱんだが病院からかかってきた電話にでて
一瞬で顔色が変わった。
「すぐ行きます」
それだけしか声が出なかった。
「どうしたの?」
「かあさんが意識が戻らないって・・
今から行ってみる。プリンはラオウと一緒に家にいて。
なんかわかったら電話入れるから」
「わかった」

すぐにぱんだは家を飛び出していき
プリンは待つことしか出来なかった。小一時間もしないうちに
ぱんだから電話。
義母は昼食のあとお茶を飲んでいてそれを気管支に
詰まらせたみたいでむせている間に
意識を失ったらしい。
ナースコールも押せなかったようで、顔見知りの掃除の
おばさんがたまたま覗いて気がついたみたいだった。
今は呼吸器をつけているが意識が戻らない状態。
ぱんだの声が涙声になっているのがわかった。
ぱんだの父もいっしょだけど
もう打つ手すらないと言われたらしい。
意識が戻っても脳に酸素が行ってなかったので
元の様には戻らないだろうという答え。

それからの10日は本当にあっという間に
過ぎていった。
翌日義母は意識が戻らないままこの世を去った。
一度もラオウを見せてあげれなかった。
触らせても抱かせてもあげれなかった。
写真だけ見せてあげただけ・・
ものすごい後悔だった。
ぱんだと義父はもう泣いているだけで何にも判断が
できなかった。
なのでプリンはベビーシート(車用のだけど切り離してクーハンとして
使用可能なものを買いました)にラオウを乗せて
手続き類をすべてこなした。
葬儀社の手配。連絡。遺体の搬送。
息つくひまもない。でもやらなくっちゃいけなかった。
実母が亡くなったときに同じようにショックのあまり
何もできなかった自分を知っているので
ぱんだや義父がどれだけつらいかも知っているので

仮通夜の夜からぱんだは葬儀所に泊まりこむことになった。
義父は体調が悪いのでいったん帰宅。
翌日にプリンが迎えに行くことにした。
そして自分の兄弟にも連絡して手伝いを頼んだ。
ぱんだは親戚が少なくしかも少ない親戚もすべて
関東在住。
葬儀の日にだけやってくる。
近所付き合いも少なかったぱんだの父だけど
義母と仲の良かった人が受け付けを
手助けしてくれた。
助かった。

でもラオウを火葬場までつきあわせることには躊躇した。
そうしたら実姉が
プリンの家でラオウの一日をみてくれるとのこと
子供が2人いるのに早朝から我が家に来て子供とわんこの世話を
してくれるというのだ。
ありがたくって涙が出た。
姉の旦那様も実兄も一日斎場でお骨あげまで付き合ってくれた。
そんなこんなで
ラオウが我が家に帰宅して1週間もたたないうちに
いろんなことを経験することになった。
お葬式が終わって実家に祭壇を設けてやっと一息ついた。
ラオウは一日おとなしくしていてくれたみたいで
実姉は沐浴もすべてきちんとこなしていてくれた。
感謝だった。
葬儀が終わってからといっても
除籍手続き・葬儀代金の支払い・年金解除の手続き
それ以外にもたくさんのやることがあった。
義父は体調を崩していたこととやる気がまったく
なくなりすべてプリンに投げ出してしまった。
ぱんだは会社からお休みをもらえたけど
手続きは一週間では終わらなかった。

葬儀から1カ月
やっと手続きも葬儀のお返しなんかもすべて終わったころに
義父が倒れた。
ぱんだは仕事の責任もありなかなか早く帰ることもできないまま
プリンがやはり子供をかかえて
病院につれていったり様子を見に行ったり・・。
プリンはそのころまだ2時間おきの授乳のラオウを抱えていて
ぱんだは仕事が忙しく早朝出社・帰宅が終電っていうのも
沢山あった。日曜日は休めたけど義父の様子をみるだけで
終わってしまう。忙しかった。
そんな中
家庭裁判所に特別養子申請を行うことになった。
実母さんの戸籍などを送ってもらい
書類に自分たちの気持ちを記入して家庭裁判所に
提出しに行った。プリンがラオウを抱えて・・
ラオウがわが子になるまでにいろんなハードルを越えて
いかなくっちゃいけない。
それの一歩を踏み出すことになった。

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