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ペトラプト・パルテプト
第2話 夕焼け その4
『 おかえりなさい! 』
第2話 夕焼け ~ Abendröte ~ その4
部屋に戻ると鞄がひとつ置いてあった。
鞄の中には人形が1体とゼンマイを巻くネジがひとつ。
その人形は眠っているようだったが、泣いているようにも見えた。
どうして人形が…。大きなフランス人形かしら?
顔には涙のあとにも見える汚れがついている。
「巻くって、このことかしら?」
そっとネジを人形に差し込み、ゼンマイを巻いてみた。
キリキリと心地よい音を立ててゼンマイがまわる。
「動くの…かな?」
いっぱいまで巻くと不思議と軽くなったような気がした。
あれ?
こっちを向かせようとして人形を持ち上げたら、動き出したので驚いて手を離してしまった。
コトンと落ちると、人形はゼンマイのまわる音を立てながらゆっくりと起き上がってきた
最初はギクシャクした動きだったが、次第に滑らかになる。
この人形は泣いていたのだ。そう直感した。
人形は眼をこすりながら、私を見上げた。
それだけなら私も不思議に思うことはなかっただろう。
その人形は喋った。
「Corinne…!?」
何を言っているのかわからない。
人形は聞きなれない言葉で話しかけてきた。
『コリンヌじゃない…。』
私の顔を見て、そうつぶやく。落胆したかのような顔…。
人形はやがてがっくりとうなだれて、ぐっと握り締めた手を見ている
『契約が切れたのね…。』
私はなんだか気味が悪いように思えた。
ゼンマイ仕掛けの人形にしては動きがおかしい。まるで人間の子供のようだ。
「あぁ…。」
声にならない声をあげてしまった。
何か話しかけた方がいいのだろうか?
その疑問は一瞬で打ち破られる。
『あ、あなたはだあれ?』
人形は顔を上げてまた私に話しかけてきた。
私にはその人形が何を言っているのかわからない。どこかの国の言葉なのかしら。
喋る不思議な人形。でもその表情はどことなく寂しげで、気味が悪いというより哀しい感じがした。
どうしていいかわからなかった。それでも何かをしてあげたかった。
話しかけてあげたくなった。
「あの…、えーっと…。」
人形はじっと私を見つめている。
とにかく何でもいから話しかけてあげようと思った。
「あなたはだあれ?」
こんどは聞き取れる。たどたどしいがまちがいなく日本語だからだ。
そして不安げな視線で私を見つめる。
「私? あぁ私は巴。柏葉、巴…わかるかな。」
口ではそう言ったものの、本当にこの人形に通じるのだろうか。
「トゥ・モ・エ…?」
人形は口に指をあてて首をかしげる。言葉を覚えようとしているみたいだった。
「うーんっと、私はKleine Beere 。あっ、えーっと…ヒナ…雛苺。」
話すことが出来る不思議なお人形。自分のことを雛苺だと言った。
「ひないちご? かわいい名前ね。そっかー、雛苺っていうのね。よろしくね雛苺。」
私がそう言うと雛苺の顔が一瞬明るくなって、
「うん。」と返事をした。
でもすぐに元の悲しい表情に戻る。そして雛苺はうつむきながらこう言った。
「巴…巴は…ヒナとお友達になってくれるのかしら? お友達になって一緒に遊んでくれるのかしら?」
その答えを聞くのが怖いかのように悲しげな顔…。
「えっ…!? あっ…あの…。」
一瞬どう答えていいのかわからなかった。人形がそんなことを聞いてくるとは思わなかったからだ。
でも、すぐに心の中では答えは決まっていた。断る理由もない。
「もちろんよ、雛苺。私でよければね。友達になってあげる。よろしくね。」
雛苺の顔に笑顔が戻った。
窓からやわらかいオレンジ色の西日が雛苺の後ろから差し込んでいて、その笑顔を包む。
あたたかい笑顔だった。
「うん!mercy…、巴ありがとうなの!」
雛苺はそう言って両手を広げ、私の胸に飛び込んできた。
私はそっと受け止め、抱きしめてあげた。雛苺の髪からはその名の通り甘い苺のいい匂いがした。
「えへへへ…、巴…ありがとう。ヒナね、うれしいの。」
小さな雛苺の手がぎゅっと制服の端をつかんだ。
私の胸に顔をうずめている雛苺の目から涙がこぼれる。
もう雛苺が人形だと思えなかった。だってこんなに泣いているんですもの。
「ど、どうしたの雛苺!?」
「あのね巴…。ヒナね、ずーっと、ずーっとね鞄の中で一人ぼっちだったの…。」
「ずっと…、一人ぼっち!? そっかーそうだったんだ…。さびしかったのね雛苺。」
私は雛苺の頭をやさしくなでてあげた。
「巴?」
「元気のおまじないよ、雛苺。」
「元気の…おまじない…?」
雛苺はきょとんとした顔で私を見上げた。
「そうよ。だから泣かないで。これからは私が友達だからずっと一緒にいようね。」
「うん!えっと、えっと、や、約束してくれる?」
「ええ、約束よ。二人だけの約束ね。」
部屋中が夕日に満たされた感じだった。
雛苺はもう泣くのを止めて笑った。私もその笑顔を見て笑った。
そして暖かいオレンジ色の光に私たちは包まれていた。
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