2~娘ネコとの生活始め



04-04-01_23-43.jpg初代ネコのももたがいなくなってから、その娘発見(白ネコでしかも顔が似ている、という理由だけで)!という感動の出会いがあったのですが、目が合った途端に逃げられました。

ももたがいつ帰ってきてもよいように、という淡い期待もあって、わたしはベランダにいつもキャットフードをおいていたのですが、しばらくすると、それが減っていくようになりました。

ベランダのガラス戸越しに見ると、確かに白いものがうずくまってカリカリしているのです。
うれしくなって、戸を開けた瞬間には、もういませんでした。

そんなことが続きましたが、それでもわたし達は少しずつ馴染んでいき、半径30cmまで許されるようになりました。そのうちに、わたしが仕事から帰って部屋の明かりを付けると、ベランダに浮かぶ白い影が『にゃ~(あけれ)』という声と共に入ってきて食事をとり、(ネコは夜行性なのでは?というわたしの淡い知識を覆すかのように)ベッドで眠って、朝になると『にゃ~(あけれ)』といって、出て行く…という生活に変わってゆくのでした。

そのネコに、わたしは初め『宮沢さん』という名をつけました、愛らしい顔とスッとしたスタイルで、人間界で言えば『宮沢りえ』並みだろうと思ったからです。
ついでに下の名前もつけました『つれ』(あまりにツレナイ性格なので)。後に、『み』を足しました(女の子なので)。
別な所では、別な名前があったのかもしれませんが。

実は彼女は、首に茶色の汚い紐を巻いていたのです、よくよく見ると元は『緑色のリボン』だったというのが分かりました。
しかし、飼い猫にはとても見えない警戒心の強さでした。

うちにはその頃、『ぼんぞう(体の大きなボンボンという感じなので)』と『タクミくん(見た感じが何となく)』というネコたちも出入りしていましたが、宮沢さんは小さなタクミくんをいじめて追い出してしまいました、わたしは驚き腹を立てて宮沢さんを叱ったら、逃げられしばらく帰って来なくなりました。

彼女は帰ってこなかったのではなく、帰ってこられなかったのです。

いなくなってからも、わたしはあまり気に掛けずに「その内に帰ってくるさー」くらいに思っていました。
5日ぶりだったでしょうか、ベランダに出ていたら(本来)真っ白な(筈の)生き物がズルズルと這っているが、目に入りました。

生き物…とりあえず、それは動いていたのでそうだろうと思っただけです。
それが宮沢さんだとは、すぐには結びつかなかった…彼女は変わり果てていました。

猫の匍匐前進を初めてみました。

それはまるで、切り株を引きずって帰ってきたチョビのようでした。

匍匐前進で、彼女はうちのベランダに帰ってきたのです。

うちに帰ってきたくせに、慌てたわたしが駆け寄ると、反射的に逃げようとするんです、やっぱりかわいくないのです。

でも、相手は弱っているので勝負はすぐにつき、あっけなく抱きかかえられると後は箱の中でジッとしていました。

車に轢かれたのでしょう、下半身が平たくなっている、丸かった顔は半分の大きさにゲッソリしている。
右足は酷い怪我でした。

『無理だ』と思いました。
『何とかしなきゃ』とも、思いました。
『何とかしても、無理だ』と思いました。

こんな状態、見たことない。

それから、高速バスで40分の動物病院通いが始まるのでした。


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