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最近、私の贔屓にしているチームが、相手のカウンター攻撃を受けると、 ディフェンスが戻りきれずに失点するパターンが続き、 近年では記憶にないほどの連敗を喫してしまった。 それで思ったのは、「本当にディフェンスは難しいなぁ」ということ。 本著の副題は「ゾーンディフェンス論」。 著者は、ヴィッセル神戸でプレーしていた松田浩氏。 現役引退後、神戸でコーチ、福岡や神戸、栃木で監督を務めた経験を持つ、 確固たる守備戦術を駆使できる、希少な指導者である。そして、彼が推奨する「ゾーンディフェンス」とは、次のようなものだ。 ボールの位置、次に味方の位置を見ながらそれぞれの守備のポジションが決まる- これが欧州では当たり前に共有される守備の考え方であり、 スタンダードに用いられるゾーンディフェンスの守備の肝である。(p.020)さて、本著の中で、私が特に興味を持ったのは、『セレッソ大阪 最少失点の要因 鍵となるリトリートを読み解く』。初出は『フットボールサミット第17回』(カンゼン社)で、2013年12月に掲載された記事である。 やはり、柿谷の動き出しは、初速の速さ、タイミング、駆け引き、 いずれも日本でトップクラスですよ。 セレッソにボールを奪われた瞬間はこちらの守備も脆弱だし、 ディフェンダーも対応する時間がないので 相手の速いカウンターに対する判断を誤ることがある。 それにカウンターに対する守備は練習ではできても、試合ではできないことが多いんです。 試合では練習のときほど冷静でいられないし、 自分たちの攻撃中の準備ができていないことが多い。 練習では2対2でもゴールは奪われないのに、試合では一瞬でもパニックに陥ると 4対2の数的優位な状況ですらやられてしまうことがあります。 やはり、セレッソが志向するリトリートの守備はサッカーでは強いんです。(p.160)リトリートとは、ほとんどの選手が自陣に下がりゴールを堅く守る戦術のこと。私の贔屓にしているチームは、ポゼッションフットボール志向で、見ている分には、やはりその方が楽しい。でも、痛い目にあうのは、リトリートのチームを相手にした時なんだなぁ。次は『日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? ポジショニングから見る4失点の要因』。日本がブラジルに0対4で敗れた試合についての内容で、初出は『サッカー批評issue59』(双葉社)に、2012年11月に掲載された記事である。 ゾーンディフェンスであれ、マンツーマンディフェンスであれ、 カウンターの局面ではいかに早く十分な数の体を帰陣させるか、 それだけしかないんです。 僕はその意識付けを促すためにDのポジションの重要性を選手に伝えている。 ペナルティーアークがDの形をしているから僕はDと呼んでいるんだけど、 DF3枚とボランチ1枚で3と1の形を作る。 クロスに対してこぼれ球を拾われてズドンなんて場面があるからDを押さえるわけです。 カウンターの局面ならば『誰でもいいからDに戻れ』と。(p.169)やはり、全員で攻め、全員で守るという意識が大事。攻守の切り替えを、どれだけ素早くできるかが問題。求められるのは、『ボール周辺の雲行き』を読み、ハードワークをすること。でも、皆が皆、センスに溢れ、無尽蔵のスタミナを持つ選手ばかりではない。続いては『2013コンフェデレーションズカップ 日本代表の守備はなぜ崩壊したのか?』。これも日本がブラジルに0対3で敗れた試合を振り返ったもので、初出は『フットボールチャンネル』(カンゼン社)で、2013年7月に配信されたものである。 最初の5分は”クリティカルフェイズ”と呼ばれる、重要な局面。 僕は前半開始5分と前半終わりの5分、後半開始5分と後半終わりの5分、 それと得点でも失点でもゴール後の5分間。 それをクリティカルフェイズと呼んでいる。 失点しても相手がフワッとしていればすぐに同点にすることもできるし、 逆にこっちがしょぼんと沈んでしまったら、相手が傘になって攻撃をしかけてきて、 そこで連続失点して試合が終わってしまうこともある。 だからその時間帯は気をつけないといけない(p.186)これは、昨日観戦していた試合が、まさにこれだった。相手の攻撃を粘り強く耐えていたのが、前半終了間際にとうとう先制点を許すと、その直後、さらに得点を重ねられて、前半を終えたため、後半には、どうにも立て直しようがない状況になってしまった。まぁ、これはサッカーに限らず、日常の色々なことについても言える。「最初が肝心」とか「終わり良ければ総て良し」とか。車の運転なんかでも、出発直後や到着間近のトラブルは結構多い気がするので、私は、結構気を付けるよう心掛けている。 日本人が日々、温室と形容される甘やかされる環境のなかで、 ぬくぬくと育ってきたことも大きな影響を与えていると個人的には考えています。 日本の社会環境そのものが温室で、それがサッカーの現場にも相通じてしまうものがある。 一方で、海外の育成の現場では、温室とはまるで真逆、 ボールの奪い合いを激しくやっています。 それをメッシやハメス・ロドリゲスらはくぐり抜けてトップ選手になっている。 日本にその激しさを持ち込もうものなら、『子どものうちはそこまでやるなよ』 という反応が返ってきてしまうのが現状の日本サッカーに携わる人たちの感覚であって、 つまりそれが日本サッカー文化なのだと思うのです。(p.232)これも、サッカーだけの話ではないような気がする。世界を相手にするときは、どんな分野でも、国内で発揮する以上のタフさが求められる。
2016.06.26
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「自分が否定された」という感覚に陥りやすく、 「自分の敵か味方か」を区別したがり、 「自分の気持ちを素直に打ち明ける」ことが苦手で、 「自分の領域」と「他人の領域」の区別がつきにくい。 こんな「女」が作られる背景には、 女性が「男性から選ばれる性」であり、「外的なもの(外見)」が重視され、 それ故「相手との関係性(相対評価)」に目がいってしまうということがある。 そんな「女」にとって、「言わなくても察してもらえること」は、とても重要。本著は、そんな「女」たちに、女性がどのように接していけばよいかを述べたものです。様々な事例に対し、「巻き込まれない(とりあえずの対処法)」「自分を守る(攻撃の対象にならないよう、自分の身を守る方法)」『「女」を癒す(本当の意味で、相手とよい関係を築くには)』の3点が説かれています。例えば、誰かが嫉妬して張り合ってきたとき、他人のライフスタイルを非難してきたとき、誰かにほめられたとき、友人が結婚したのに自分が喜べないとき、いない人の悪口大会になったとき、ミスを指摘したら悪口を言いふらされたとき、ママ友で仲間はずれになってしまったとき、誰かに”オススメ”されて困ったとき、等々です。そして、目指すべきは「女」度を下げて、ストレスを減らし、毎日を豊かにすること。他の女性のことを気にせずに、「人はそれぞれ」と考え、誰の前でも、裏表なく自然体で振る舞い、公平で、陰口やネガティブな噂話はせず、「人に好かれること」を気にしすぎないで、排他的にならず、一人でいることも良しとする。確かに、カッコイイ、皆の憧れの的となる女性は、「女」度が低い人のような気がします。
2016.06.26
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前巻は、やはり序章に過ぎなかった。 松岡さんが書きたかったのは、やはりこの事件だったのだ。 そう、世間を騒然とさせた捏造疑惑。 そして、その不可解さ。 ……だとしても、それがどうしたというんだね。 捏造実験だとでもいいたいか? STEP細胞と称して、 実はES細胞を混入させてた事件と同列に扱いたいか?(p.255)本著第1刷発行は2016年2月13日。『STAP細胞はなぜ潰されたのか』は、まだ発行されていない。そして『あの日』発行の約半月前。なので、この作品は『あの日』を目にする前に書かれたもののはず。巻末の「解説」で『捏造の科学者』については取り上げられており、松岡さんも、これは読んだ上で、この作品を書いたと思う。が、理研が発表した「STAP現象の検証結果」はどうだろうか。その上での、「ES細胞を混入させていた」という台詞だろうか。このお話は、あの事件をベースにして作られていることは、誰の目にもはっきりしている。しかし、今となっては、少々悪乗りが過ぎたのではないかとも思える。それとも、松岡さんは、今なお、あれは捏造だと断じ切るのだろうか。なので、次巻も読んでみることにした。
2016.06.22
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研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース。 平成25年8月に文部科学省に設置されたこの機関が舞台。 もちろん、松岡さんはあの一連の出来事に着想を得たのだろう。 こんなやりとりが、お話の中に出てくる。 やがて檜木が咳ばらいしていった、 「まずはSTEP細胞問題に関する最終確認と行こうか」 すると、瑞希がふいに目を輝かせた。 「あー。あのいんちきの」(p.70)この水鏡瑞希が、本シリーズのヒロイン。文部科学省の一般職事務官だが、総合職の官僚にも臆するところがない。また、大学生の頃には、国家公務員試験の「判断推理」と「数的推理」対策のために、鴨井探偵事務所で学んだ経験を持つ。さらに、阪神大震災の被災者でもあり、祖母と弟は失踪宣告を受け、店舗つきの借家で同居する父母は、災害援護資金の返済を続けている。そして、このお話での初登場シーンは、東北大震災の仮設村。同僚である澤田翔馬とも、そこで出会う。国と電力会社への抗議のため、仮設村から引っ越そうとしないという男の虚偽を見破ると、ナチュラリー・レストア・セルズ・プラントの動画データの捏造や、CSVS(総合的震源パラメータ変動要因解析システム)、宇宙エレベーター、事故回避支援システム、バイオメトリクス遠隔監視捜索システム等のトリックを暴いていく。つまり、このお話はヒロインが次々にトリックを暴いていくというもので、『万能鑑定士Q』や『探偵の探偵』と同じ流れの作品。しかし、キャラとしては岬美由紀はもちろん、凜田莉子に比べると弱いかな。もちろん、シリーズが長く続くことになれば、そうではなくなるのだけれど。
2016.06.19
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本著1版1刷は、2016年2月17日。 その後2月25日に、産業革新機構による「東芝との家電部門統合案」が退けられ、 3月30日には、台湾の鴻海精密工業の取締役会が、シャープ買収を決議した。 そして5月12日、堺工場への本社移転と ホンハイ副総裁・戴正呉が新社長となることが正式発表された。 さらに先日、元液晶事業トップ・方志教和氏のJDI副社長就任が大きく報じられた。 再建へ道は険しく、今後一波乱も二波乱もありそう。 シャープ・ブランドは、今後も生き残るのか。 それとも、サンヨーと同じ運命をたどることになるのか。 ***シャープ創業者である早川徳次と、彼を番頭として支えた後、2代目社長となった中興の祖・佐伯旭。この佐伯の娘(次女)婿の実兄が、3代目社長・辻晴雄であり、同じく佐伯の娘(長女)婿が、4代目社長・町田勝彦である。この町田の側近が、副社長・浜野稔重であるが、5代目社長となったのは片山幹夫であり、浜野とは対立関係にあった。片山が社長に就任している時期は、元社長・町田と副社長・浜野の意見も無視できず、その三頭政治は「キングギドラ経営」と呼ばれた。片山は、社長の座を6代目奥田隆司に譲って会長となるが、その後、復権を狙って奥田降ろしのクーデターを仕掛ける。片山の復権はならなかったものの、7代目社長となった高橋興三は、3代目社長・辻や4代目社長・町田らを会社から遠ざけることに成功する。本著は、社長退任後も、会社で強い発言権を持ち続けた人たちと、その中で、様々な思惑を持つ人々が繰り広げた権力闘争を描くものである。この不毛な闘争が、シャープ凋落の元凶となったことは間違いないが、ただ、それが全ての原因というわけでもないだろう。液晶や太陽電池での失敗を、ずるずると引きずり続け、何の手も打てないまま赤字経営から脱却できなかったことにこそ、問題はある。「衰退の五段階」を着実に進みつつあるシャープ。ここからの「回復と再生」を果たすことが出来るのだろうか。
2016.06.19
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「現代の日本は、バッシングの対象をつねに探しています」 東京五輪エンブレム問題の佐野研二郎さんや STAP細胞問題の小保方晴子さんが異常な叩かれ方をしたことについて、 著者の和田さんは、p.31でこう述べています。 自己責任論の背景にある「自分たちは正義である」という強い考え方や、 清濁併せ持った存在やグレーの部分を認められない認知成熟度の低下が、 その原因としてあると言います。 そして、その元凶となっているのがテレビ局です。 全局一致団結して叩くというテレビの存在は、正義とマジョリティの混同も引き起こします。 このふたつは、まったく違うものです。 たとえば長年の介護疲れによる殺人事件があったとします。 介護で疲弊していない90%の人間は、「どんなことであれ殺すなんて許せない」と、 自分が正義であると信じ込み、そうでないマイノリティの人間を叩きます。 もちろん、私は殺人が許されるなどというつもりはありません。 しかし、誰もが明日から介護に追われる身になる可能性があります。 疲れ切って疲れ切って、それでも最後まで自宅で肉親の面倒を見たいと思うあまりの悲劇、 それは決して他人事ではありません。 そうなる前に社会のサポートはなかったのか、 そうした議論をせずに犯人を叩き、弱者への配慮を失ってしまうのです。(p.36)こういった想像性の欠如こそが、「この国の冷たさの正体」だと思います。それは、次のようなケースについても同様です。 パチンコ依存症の人が借金苦になって自殺しても、 ギャンブルを黙認した国の責任や、パチンコ会社の責任を問う人は誰もいません。 アルコール依存症で酒造メーカーを訴える人もいません。 だらしない人間だ、でおしまいです。 そこには、意思が強ければ、パチンコや酒など止められるはずだという思い込みがあります。 それが自己責任論の根拠です。 しかし、依存症になっているときには、自分の意思なんてほとんど関係がありません。 というより意思を破壊される病気なのです。 依存症患者は、快楽を追求して依存状態になっているわけではありません。 本人はほとんど強迫観念に突き動かされているのです。(p.44)この部分は、精神科医らしい著者の指摘であり、このことを、世間の人たちはもっと正しく理解しておかなければならないと思います。「民意」や「自己責任論」を振りかざし、「弱者」を叩くだけでは、本当に大切なものを見失い、やがて自分自身の首を絞めることになってしまいます。
2016.06.19
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まさに今時の一冊。 私も、こうやってパソコンの前で作業をしているとき、 ふと気になることがあったのだが、 なぜか、このことについて扱った書物は、ほとんど世間に出回っていなかった。 副題は「そのパソコン遺して逝けますか?」。 死後、自分の胸の内(パソコンの中)に秘めていたことが、 どんどん、色んな人の知るところになってしまったりしたら、 それはやはり、ちょっとどころではなく、かなり困った問題だろう。さらには、自分の中だけで完結するはずだった事柄が、自分という存在がなくなってしまうことによって、保留状態となり、それが原因で、周囲の色々な人に色々な形で迷惑をかけることになるとしたら、それも大いに困った問題だ。それらについては、第1章で7つの例が取り上げられている。故人のシークレットファイルを開けてみると、不倫の記録が出てきてしまったとか、故人が急死の当日に行っていたFXの損害が、遺族に降りかかったりとか、ネットオークションの取引が完結していなかったので、遺族が残務処理をしたりとか。そして第3章では、遺族が故人のパソコン・スマホにどのように対応すればよいかが示される。インターネットにおける預金や金融商品、通販、オークション、有料サイトを確認し、ホームページやSNS,メール、写真・住所録に外部デバイス、クラウドも確認、対処する。こうなると故人は丸裸状態で、使用者はそうなることを覚悟して使用する必要があるということ。なので第4章では、パソコン・スマホの使用者が、自分が死んだとき(丸裸にされること)に備えて、やっておくべきことが示されている。パソコン・スマホのパスワードやロックナンバー、金銭がらみのデータ、写真・住所録は、遺族が分かるよう、エンディングノートに書き残しておくようにするのだ。 繰り返しになりますが、秘密は「墓場まで持っていく」覚悟と責任がある、 というのが私の考えです。 遺された家族を傷つけることがあってはならないと思うのです。 プライベートな画像をはじめ、誰にも言えない、知られたくない秘密は、 デジタル機器内にも「遺さない」が基本です。(p.147)付録として「デジタル遺品」対策便利ツール・参考サイトも掲載されており、パソコン・スマホを使う現代人には、必読の書と言えるだろう。
2016.06.11
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『STAP細胞はなぜ潰されたのか』を読んだ流れで、 たまたま見つけた本著も読んでみました。 外国の方が書いたものということで、 ちょっと違った視点からの記述を期待していたのですが…… ちょっとどころではなく、かなり変わった視点から書かれていました。 STAP細胞に関する一連の出来事については、それほど深入りすることなく、 「常温核融合」や「ブラウンガス」「ローマン・コンクリート」といった これまであまり目にしたことがなかった技術について述べられています。 世界を救う「夢の技術」がいかに封印されてきたか、ここまで紹介してきた。 なかでも暗躍する勢力として、第1章ではビッグファーマを頂点とする医療業界、 第2章では重化学工業を母体とした軍需関連企業、 そして第3章ではDARPAを中心とした、軍需機密のネットワークをとり上げてきた。 ここで勘違いしてほしくないのは、これらの企業や組織もまた、 さらにその奥にいる「黒幕」のツールにすぎないという点だ。 彼らは「表の部隊」。 裏から指令を出している連中が存在している。(p.110)そして、ここからの展開は、とてもノンフィクションとは思えないもの。その結末は、次の通り。 アトランティスの末裔たちによって、 人類の文明も「カーゴカルト化」されてきたことを忘れてはならない。 彼らの高度な技術を目の当たりにした先祖は、 そのまま彼らを神として崇め、彼らの不思議な力にひれ伏してきた。 「高度に発展した技術」とは考えず、 「魔術」や「神の奇跡」と信じこみ、真実に目を向けることをしなかった。 そうして「世界を救う技術」は次々と封印され、 人類の発展は遅らされてきた。 封印された未来技術を解き放つためには、 まずこのことを正しく「認識」することが必要なのだ(p.271)著者は、ノンフィクションを装いながら、本当は、フィクションの世界を読者に呈示しているのでしょうか?
2016.06.08
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