2004年12月14日
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カテゴリ: 雑考生活
「マナーを守りナサイ!」という、妙にカン高い男の声が響いた。
鳥肌実 によく似た50過ぎと思われる背広姿の男が吊革を持ったまま立っていて、真下に座っている主婦らしき女性に何やら怒っているのだ。「マナーを守りなさいと言ってるのがワカランのか、この△○×△!」と、鳥肌男はさらに金属的なカン高い声で、女性に向かって激しく怒鳴った。どうやら女性は、携帯でメールを打っていただけのようなのだが、これ以上この男から攻撃を受けるのはよろしくないと思ったのか、静かに携帯を閉じてバッグにしまった。

と思ったら鳥肌男、吊革から手を離すと、今度は数メートル前方で同じく携帯メールをしていた予備校生風の男子のところまでツカツカと歩いて行き、グッと顔を近づけると「車内のルールを守りナサイ!」と叫んだ。予備校生は、うっせーな、という表情で鳥肌男を睨みつつ、メールをやめようとしない。すると「車内には、ビョーキのヒトもおられるんデスヨ!電源を切りナサイ!早く切りナサイ!」とヒステリックな金切り声をあげる鳥肌男。ほとんどの乗客が、「アンタこそビョーキの人じゃないの?」という眼で鳥肌男を見ている。

そりゃまぁ確かに、この車輌は「携帯の電源オフ車輌」ということになっていて、鳥肌男の言っていることは間違っていない。壁面には注意を促すステッカーも貼ってある。もしかすると、すぐ隣にペースメーカーをつけた人だって乗っているかもしれない。しかしだ。こうして毅然と正論を主張し、注意をして歩く正義の鳥肌男が、どう見てもビョーキの人に見えてしまうのが現実である。聞いた話では、ペースメーカーを装着している人にとっては、「誰が携帯を使っているかわからない満員電車に乗り込むのはまさに恐怖である」とのことらしいが、実際の携帯電波の影響度はともかくとして、ペースメーカーを装着している人のそうした恐怖感にほとんど想像が及ばないのはワタシを含めて、世の中の大半なのではないだろうか。現実的なことを言えば、そんな状況下で「車内では電源オフ」といくら言ったって、その「危険度」が想像できない限りは個人のモラルアップなど望めない。とすると、一番良いのは強制的に電車内では携帯の電波が入らないような仕組みを作るしかないだろう。 ◎参考記事


それにしても、恐るべしは鳥肌男である。その後も彼は精力的に車内をわっせわっせと走り回り、あっちに行っては「電源を切りナサイ!」、こっちに行っては「マナーを守れ、マナーを!」と相手かまわず、正義の指導員として大忙しなのである。

ちなみにワタシは先日、駅のホームでつい考え事をしながら満員の「女性専用車輌」に乗り込んでしまい、気がつくと周囲の女性軍から圧倒的な「死ね死ね光線」を浴びて泣きそうになったことがある。そんなところをこの鳥肌男に見つかったりしたら、「今すぐ電車から降りナサイ!」などと激しく詰め寄られて、もう窓から飛び降りるしかないですな。





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最終更新日  2004年12月15日 03時58分21秒
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