2005年05月08日
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カテゴリ: 映画生活
劇場公開を見逃したのでDVDが出るのを待っていたロシア映画 『父、帰る』
「ヴェネチア国際映画祭グランプリ金獅子賞、新人監督賞授賞!」というフレコミであったが、これがもう期待を裏切らない名作だ。
12年間も消息不明だった父親が、10代の兄弟と母親のもとに、ある日突然姿を現すところから、ストーリーは動き始める。言っておくが、母親「あんた・・・今までいったい・・・」。父親「おぉぉ、ちょっとそこのパチンコ屋でなぁ・・・」なんてギャグなど一切立ち入るスキのない、硬質で秀逸な、現代ロシア映画の傑作なのである。
寡黙な父親は、それまでどこで何をしていたのかを一切話さない。が、帰って早々、父親は2人の息子を誘って旅に出ようと言う。兄弟は戸惑いながら応じるが、旅の途中から親子、兄弟の関係はおかしくなっていく。やがて訪れる、驚くべき結末・・・。

この映画の魅力は、何と言っても映像の美しいこと。巷では「タルコフスキーの再来」などと言われているようだが、確かに雨のシーンや湖など随所に「水」を意識させる演出からは、その傾向が伺える。
またこの作品、場面ごとの構図の良さもさることながら、ストイックなまでに抑えた全体の色調が、映画の舞台となるロシアの自然の風景の重厚さを、非常に効果的に醸し出している。
それでいて、このストーリー展開の緊張感はなんだ。ほとんどハードボイルドと言ってもいいぐらい。常に、次のシーンで何が起こるかと気が気でなく、最後までノンストップでまったく目が離せなかった。(内容の解釈については観た者同士で、後日、語りませう。)
そして役者もいい。父親役の渋さも凄いが、兄弟の演技力がまた良い。兄役の少年は、映画の公開前にロケ地である湖で溺死してしまったという悲しい曰く付きでもある。ちなみにワタシは母親役のどことなくエロチシズム漂うアンニュイさに、かなり惹かれますた。



まぁ好き嫌いはあるかもしれないが、色んな意味で見応え十分の作品である。
とにかく、かなりお薦め。





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最終更新日  2005年05月10日 01時04分06秒
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