世界で一番愛する人と国際結婚

南に浮かぶ小さなお伽の島 -モルジブ- 4




毎日夜明けと共に目が覚める。


暗闇の中、東側の水平線がオレンジ色に染まり、

あっという間に周りを眩しく照らし、

目が開けていられないほどの日差しが差し込む。



十数時間後には島の反対側、西の空を

真っ赤に燃やした夕日が水平線に沈み、

空が赤から紫、藍色、そして漆黒に変わる頃、

また反対側の東の空からまん丸い月が優しく照らす。



月空を眺めて眠りにつくと、

数時間後にはまた眩しい朝日が迎える。



毎日毎日がそれの繰り返しなのだ。

360度をぐるりと美しい水平線に囲まれた、

天然のプラネタリウムの中にいた。


まるで、この星に住んでいるのは、この島にいる私達だけのような
錯覚にまたとらわれ、はっとする。


東京でも毎日繰り返される、

ごく当たり前のことなのに、今まで気がつかなかった。

こんなに美しい星に住んでいたことに。




私達の出発日前夜、昨日までの明るい満月が姿を消していた。


いつも月夜に照らされて、キラキラ光っていた水面が、その日は
とても静かだった。


島の小さなバーも終わり、もう明かりはなかった。


私達は、何気なく天を仰いでみた。

信じられない程の、おびただしい数の星が降ってきた。
息が止まる、瞬間。



「明日の夜はここを発つんだね、もっといたいね。」


「僕も、もっといたいよ。一緒にずっといたいよ。」



私達は息をすることも忘れて、満点の星空から降ってくる、
無数の星屑を、いつまでもいつまでも見つめていた。



つづく



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