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70年代のクラプトンを締めくくる盤 1970年代のうちかなりの間、エリック・クラプトン(Eric Clapton)のバンド・メンバーは固定されていた。ジョージ・テリー(George Terry,ギター)、ジェイミー・オールデイカー(Jamie Oldaker,ドラム)、ディック・シムズ(Dick Sims,キーボード)、カール・レイドル(Carl Radle,ベース)というのがその中心となる布陣であった。結果的にこのメンバーでの最後の録音となったのが、1978年発表の本作『バックレス(Backless)』である。成功を収めた『スローハンド』に続く盤としてリリースされ、クラプトンのスタジオ・アルバムとしては1970年代最後の作品となった。 一言でいうと、本盤は、全体的に“地味”である。神がかりなギターを聴きたいのなら、ブルースブレイカーズやクリームなどもっと昔の盤を聴けばよいし、いかにも“レイドバック”したクラプトンを聴きたいのなら、『安息の地を求めて』や『461オーシャン・ブールヴァード』をお先にどうぞ、となってしまう。とはいえ、本盤のクラプトンは何ともマイペースに我が道を行っている。 そんな中、聴きどころになりそうな曲をいくつか挙げてみたい。B・ディランの1.「ウォーク・アウト・イン・ザ・レイン」は本盤のマイペースぶりがよく表れているナンバーと思う。4.「ロール・イット」や8.「プロミセス」は、以前に「レイ・ダウン・サリー」などでも共作・共演しているマーシー・レヴィ(Marcy Levy, 出生名Marcella Levy)の参加が光る。3.「アイル・メイク・ラヴ・トゥ・ユー・エニイタイム」のように、クラプトンの“レイドバック”のお手本であるJ・J・ケイルのナンバーや、7.「アーリー・イン・ザ・モーニング」のようなトラディショナル曲もいい味を出している。 そんなわけで、さほど派手さはないし、突出した特徴を求めるなら他の盤に行ってしまいがちではあるものの、個人的には憎めない、時折思い出してはついつい浸ってしまう、そんな盤だったりする。[収録曲]1. Walk Out in The Rain2. Watch Out for Lucy3. I'll Make Love to You Anytime4. Roll It5. Tell Me That You Love Me6. If I Don't Be There by Morning7. Early in the Morning8. Promises9. Golden Ring10. Tulsa Time1978年リリース。 バックレス/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月26日
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既存の枠をはみ出る寸前のピアノ・トリオ演奏盤 スティーヴ・キューン(Steve Kuhn)の生まれ年は1938年で、1960年代から半世紀以上にわたって数々のリーダー作(さらにはサイドマンとしての参加盤も)を残している。年齢を重ねた1990年代以降の作品の方が広く聴かれる機会が多いのだろうけれど、若い頃の彼の作品に優れた盤が多い(例えばこちらの盤を参照)と思うのは、きっと筆者だけではないだろう。 本盤『チャイルドフッド・イズ・フォーエバー(Childhood Is Forever)』は、そうした点できっと多くの人の心を掴んできた盤ではないかと思う。1969年なので、キューンがちょうど30歳を超えた頃にパリで録音され(この時期、彼はストックホルムを拠点に活動していた)、初期のスティーヴ・キューンに特徴的な音色のピアノが繰り広げられると同時に、既存のジャズの枠組からはみ出す寸前の演奏を繰り広げている。 “はみ出す寸前”というのは、微妙な言い方だけれど、4ビートの枠組にとどまり続けようとするベクトルと、フリー・ジャズの方に飛んで行ってしまいそうなベクトルが交叉しながら演奏が繰り広げられている。そんな様をこのように言える気がするからである。そうした中で、一本筋が通っているのが、硬質なタッチが印象的なキューンのピアノなのである。 フリーに行きかねない方向性というのは、コルトレーンの演奏(参考過去記事)で知られる1.「夜は千の目を持つ」という選曲にもよく表れている。一方、上記の“硬質なタッチのピアノ演奏”という意味では、5.「オール・ザット・アイ・レフト」、6.「アイ・ウェイテッド・フォー・ユー」あたりがいい味を出しているように思う。[収録曲]1. The Night Has A Thousand Eyes2. Spring Can Really Hang You the Most3. Baubles, Bangles and Beads4. The Meaning of the Blues5. All That's Left6. I Waited for You7. Eiderdown[パーソネル、録音]Steve Kuhn (p), Aldo Romano (ds), Steve Swallow (b)1969年10月13日録音。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年02月25日
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1990年代末、コペンハーゲンでのライヴ録音盤 ジム・ホール(Jim Hall)は1930年生まれのジャズ・ギター奏者で、2013年に83歳で没している。1950年代から活動し、とりわけ1960年代には数多くの盤にサイドマンとしても参加。ビル・エヴァンスと共演の『アンダーカレント』(1962年)や彼自身の名義の『アランフエス協奏曲』(1975年)などが有名盤として知られる。 本盤『ジャズパー・カルテット+4(Jazzpar Quartet + 4)』は、デンマークのジャズパー賞受賞に際してジム・ホールが1998年にコペンハーゲンで行ったライヴ演奏を収めたものである。基本となるメンバー(カルテット編成)は、ジム・ホールのギターに加えて、地元デンマークのベース奏者トーマス・オーヴェセン、フィフス・ディメンションのドラムも務めたカナダ出身のテリー・クラーク、さらには、1971年シカゴ出身のクリス・ポッターが加わっているが、この人はパット・メセニーのユニティ・グループにも参加したテナー奏者である。アルバム表題の“ジャズパー・カルテット”とは、この4人組のことを表している。 冒頭のギターの単独演奏から始まる1.「星影のステラ」に代表されるように、ジム・ホールの相変わらぬ職人芸ともいうべきギター演奏が、何といっても本盤の聴きどころである。それと同時に、2.「チェルシー・ブリッジ」に見られるように、クリス・ポッターのテナーがなかなかいい味を発揮している。アルバム後半に当たる4.~7.には、“ザポルスキー弦楽四重奏”なるクレジットがあり、表題の“+4”というのは、この弦楽四重奏を指している。実際、4.「ゼシス」ではバンドメンバーがいったん退き、雰囲気がぐっと変化する。現代クラシック的な完成度の高い演奏だが、楽曲自体はクラシックの曲ではなく、ジム・ホール自身のペンによるものである。 そして、ストリングスを交えたまま6.「パープル・ヘイズ」が披露される。言わずもがな、ジミ・ヘンドリクスの有名曲。それをプロフェッショナル中のプロフェッショナルであるギター奏者のジム・ホールが演奏するわけだから、ロック・ファンからもジャズ・ファンからも注目の演奏になっていて、本盤の目玉になっていると言えるだろう(余談ながら、ここでもまたクリス・ポッターのサックスが効果的な演奏をしている)。 この録音時、ジム・ホールは既に60歳代後半だったわけだけれど、職人ぶりは健在で、ジミヘン曲を演奏するという冒険心も旺盛であった。ジャズ奏者の中には、歳を重ねていって“昔の名前で”的な演奏をする人もいるけれども、本盤はそれとは一味も二味も違う、耳を傾ける価値が十分にある盤だと言えるように思う。[収録曲]1. Stella By Starlight2. Chelsea Bridge3. Mr. Blues4. Thesis5. Quartet + 46. Purple Haze7. In A Sentimental Mood[パーソネル、録音]Jim Hall (g)Thomas Ovesen (b)Terry Clarke (ds)Zapolski Quartet (strings)Chris Potter (ts, 2.)1998年4月3日・5日録音。 ジャズパー・カルテット +4 [ ジム・ホール ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓
2020年02月23日
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優雅で安定したピアノ・トリオ盤 ダグ・ホール(Doug Hall)は、1959年テキサス州ダラス出身のピアノ奏者。幼い頃からピアノに熱中し、ジャズに傾倒していったという。そんな彼が1996年に発表した、おそらく最初の名義盤が、この『スリー・ウィッシズ(Three Wishes)』である。その当時からレア盤扱いされていたようで、筆者の手元にあるCDもどこで見かけたのかひょっこり中古盤で入手したように記憶している(現在は2006年のリイシュー版も出回っている模様)。 テキサス出身というイメージにはあまり合致しないかもしれないが、この人のピアノは、繊細なタッチが何よりも印象的である。そのせいでよくビル・エヴァンスが引き合いに出されるのだけれど、時にエヴァンスのピアノが語りかけてくるようであるのに対し、ダグラス・ホールの演奏は、包み込んでくるような安定感のある優雅さが特徴であるように感じる。 概ねどの曲も4~5分程度のコンパクトな演奏時間だが、通して聴いていると流れるように各曲が進んで行く。なので、全体を通して聴くのがよいとは思うものの、いくつか気に入った曲を挙げるなら、1.「スウィート・セヴン」、2.「ザ・リスナー」、4.「オディッセイ」、6.「リメンバー」、10.「スリー・ウィッシズ」といったところだろうか。 なお、ダグ・ホールは2008年の復活祭の日曜日(3月23日)に48歳で亡くなっている。脳腫瘍による闘病の末だったとのことだが、若くしての死去が惜しまれる。[収録曲]1 Suite Seven2 The Listener3 Downside Up4 Odyssey5 The Sprawl6 Remember7 The Star Croosed Lovers8 Lonely Reward9 Off Senter10 Three Wishes[パーソネル、録音]Doug Hall (p), Marc Johnson (b), Bruce Hall (ds)録音年月不明(NYCのThe Power Stationにて録音)。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月21日
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BGM用ジャズっぽいが、それは制作の意図通り? 良い悪いとは別に、正直、個人的に“騙された盤”というイメージが強い一つがこの『ジャズ・フォー・リラクゼーション(Jazz for Relaxation)』である。こういう言い方をすると、最初から印象が悪いかもしれないけれど、特にジャズのアルバム(無論ジャズには限らないけれど)は、勝手な印象でもって、購入者が勝手に思い浮かべた内容を期待するというケースが多いような印象を受ける。いわゆる“ジャケ買い”と呼ばれるのが、その典型例であるが、本盤は、ソファに横たわる全裸女性という、中途半端にエロチックなジャケット写真である。 その上で、ピアノ奏者のマーティ・ペイチ(Marty Paich)を筆頭に、本盤のジャケットには3人の名がプリントされている。筆者はピアノ・トリオ盤だと思って最初に手にしてしまった。ところが、聴き進めると、突如としてヴィブラフォンが響き始める(そのうちにギターも入ってくる)。リラックスしてマーティ・ペイチの本領発揮のピアノ盤かと思いきや、どうやらまったく異なる意図の盤らしいと気づくのにさほど時間はかからなかった。 結論から言えば、意図的に作られた“BGM盤”と言えるように思う。その内容は、西海岸風テイストを存分に活かし、さらりと聴かせるアルバム。収録時間もやたら短く、アルバム全体で20数分という収録時間で、各曲の演奏時間も短いので、通して聴いても“あっという間の体験”となる。 ちなみに、ヴィブラフォンを担当しているのは、ラリー・バンカー(2., 3., 5.)、ギターはハワード・ロバーツ(7., 8.)である。ジャケットには、3人(ピアノのマーティ・ペイチ、ヴィブラフォンのラリー・バンカー、ベースのジョン・モンドラゴン)の名があるが、上記の筆者の思い違いは、ラリー・バンカーをドラムスと思ってしまったことだと判明するには、演奏者のデータにたどり着いてからのことだった(苦笑)。[収録曲]1. Dool's Blues2. Jump for Me3. There'll Never Be Another You4. The Lamp Is Low5. What's New6. Theme from Lighthouse7. Lullaby of the Leaves8. I'll Remember April[パーソネル、録音]Marty Paich (p), Joe Mondragon (b), Frank Capp (ds), Larry Bunker (vib: # 2, 3, 5), Howard Roberts (g: # 7, 8)1956年録音。 【輸入盤】Jazz For Relaxation [ Marty Paich ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月19日
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2020年02月16日
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安心して聴ける演奏 表題の“安心して聴ける”というのは、大西順子というピアニストを評するのにしっくりこない言葉だと思う人も多いかもしれない。前にも書いたように(過去記事はこちら)、そもそも彼女の演奏には“自由奔放”という言葉の方がよく似合うし、よく評されるように(あまり好きな言い回しではないが)“男性的な”力強さや豪快さが彼女のピアノの特徴であるからだ。 けれども、ここで敢えて“安心して聴ける”という見出しをつけてみたのは、そういう彼女のイメージや先入観が既にある、そんな聴き手にとって、“安心して聴ける”という意味においてである。そんなアルバムが1996年の複数のライヴ演奏を収めた本盤『プレイ・ピアノ・プレイ〜大西順子トリオ・イン・ヨーロッパ(Play, Piano, Play: Junko Onishi Trio in Europe)』であると思う。 全編を通じて、力強さ、ドライヴ感、自由奔放さが文字通り全開である。早いテンポの曲もバラード曲も、とにかく“深さ”や“奥行き”、もしくは“立体感”に満ちたピアノ演奏が繰り広げられる。収録曲順で言うと、冒頭の1.がドイツはシュトゥットガルトでの演奏、続く3曲がフィンランドでのジャズ・フェスティバルの演奏、最後の3曲がスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルでの演奏で、いずれもが同じ月(1996年7月)の録音である。メンバーは純和製トリオで、このトリオとしてヨーロッパの演奏旅行を行った。収録曲のうち1.と2.以外は自作曲である。 全編通して聴くのが断然いいけれど、敢えて気に入った演奏をいくつか挙げておこうと思う。まずは冒頭のエロール・ガーナーの1.「プレイ・ピアノ・プレイ」。原曲の旋律のよさに頼るのではなく、それを生かして自由なプレイというのは、ある種彼女らしさをよく表した演奏に仕上がっている。4.「トリニティ」は、何とも表題もカッコいいのだけれど、早いテンポで進みながら途中でテンポを落としてスイングするところが特にカッコいい。それから、6.「クトゥービアにて」は、圧倒的にたたみかける感じがいい。ともあれ、“自由奔放”である大西順子のピアノを“安心して”聴ける盤、というのが、本盤に対して筆者が抱いているイメージだったりする。[収録曲]1. Play, Piano, Play2. How High The Moon3. Slugs4. Trinity5. Portrait In Blue6. Kutoubia7. The Jungular[パーソネル、録音]大西順子(p), 荒巻茂生(b), 原大力(ds)1996年7月11日(5.~7.)、7月18日(2.~4.)、7月20日(1.)録音。 プレイ・ピアノ・プレイ〜大西順子トリオ・イン・ヨーロッパ/大西順子[SHM-CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2020年02月14日
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初のセルフ・プロデュースによるセルフ・タイトル盤 1998年にデビューしたスペイン人女性シンガー、マルー(Malú)のスタジオ盤第5作となったのが、2005年リリースのセルフ・タイトル作『マルー(Malú)』である。それまでの作品のヒットで既に国際的スターとなり、前年には初のライヴ盤もリリースしていたが、この盤もまた大きなヒットを記録した。 録音はマドリードとロンドンで行われたとのことだが、何より大きな変化は、マルー自身がプロデュースにも参加した点にある。筆者はこの時期よりも後に初めてマルーのことを知ったので、本盤も遡っての“後聴き”なのだけれど、デビューの頃に比べて落ち着きが感じられ、本盤では歌唱力を活かした好曲が多いという印象を持っている。その分、ポップさを求める聴き手には少し物足りないかもしれないけれど、個人的にはこのくらい落ち着いた曲が含まれている方が好みだったりする。 注目曲をいくつか挙げていきたい。冒頭の1.「テ・コノスコ・デスデ・シエンプレ」は、上で述べたような落ち着き払った感じが気に入っていて、さらりとした曲調がいい。スパニッシュ・ギターが効果的に使われている2.「ディレス」は、歌唱力を前面に出し、叙情的な歌声と曲の盛り上げ方が特徴である。この手の曲や演奏は彼女の本領発揮と言えるのだけれど、この曲は特に筆者としてはお気に入りの一つである。以降も、同じ路線の叙情系のナンバーが続くが、その中でも筆者が特によいと思うのは、5.「フラヒレス」、6.「アブラメ」、8.「イ・シゴ・プレグンタンドメ」、10.「ソブレジェベー」。 正直、初めて聴く人には、“なぜこんなにフラメンコ風?”と疑問がわくかもしれない。実は、このマルーという人は、かのパコ・デ・ルシーアの姪っ子で、父もフラメンコの歌い手で、その事実を知れば納得といったところだろうか。このテイストは、彼女のポップスの特徴になっていて、筆者が気に入っている部分だったりする。[収録曲]1. Te conozco desde siempre2. Diles 3. Eres el agua4. Sabes bien5. Frágiles6. Háblame7. Amor de hielo y sal8. Y sigo preguntándome9. Lo que no sabes10. Sobrellevé11. Perdida2005年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ 【送料無料】 Malu / Malu Grandes Exitos 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年02月10日
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80年代から90年代へ、貫禄が感じられ始めた作品 メキシコのロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)が1990年にリリースしたスタジオ・アルバム6作目が、この『ウナ・レジェンダ・ビバ・ジャマーダ・エル・トリ~生きた伝説(Una leyenda viva llamada El Tri)』という盤である。1984年のメジャー・デビューからそれなりの年月が経過し、ちょうどこの前後から“貫禄”のようなものも感じられるようになったと言えるように思う。 とはいえ、音楽的には守りに入ったわけではなく、むしろ全体的にテンポがよく、前へ前へと押してくる感じが強い。1.「カサ・コミーダ・イ・スステント(家と食糧と生活費)」や5.「アルギエン・パラ・アマール(愛する人が必要)」、6.「メ・ボイ・ア・スイシダール(自殺してやる)」(この曲の表題の直訳するとこうなるが、今どきの世の中だと何かと問題になりそうなタイトル…)なんかがその典型例と言えそうである。 歌詞の内容に目を向けると、相変わらず日常を歌ったものもあれば、社会的・風刺的なものも同時に目につく。上記1.もそうしたテーマだが、他にも4.「エル・デセンプレアード(失業者)」、10.「ヌエストラ・レアリダー(俺たちの現実)」といった表題のナンバーが並ぶ。そうした中でもとりわけ聴き逃がせないナンバーとしては、8.「ミジョネス・デ・ニーニョス(何百万人もの子どもたち)」。高級車に乗り札束に埋もれんばかりの政治家がのさばる一方で、行き場もなくその辺でチューイングガムを売り歩く子どもたちがいる現実をストレートに詞にしている。 最終的に、抜きんでてこれが彼らの最高作という盤ではないかもしれない。けれども、この後1990年代を通してEL TRIが大きな成功を収めていったのは、この頃から余裕のあるパフォーマンスが見られ始めたあたりに原点があると言えるのかもしれないと思ったりする。[収録曲]1. Casa, comida y sustento2. Viejas de vecindad3. Otra garrapata más4. El desempleado5. Alguien para amar6. Me voy a suicidar7. Ríe8. Millones de niños9. Como una lombriz10. Nuestra realidad1990年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ Lo Mejor De El Tri【中古】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年02月08日
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驚愕のアウトテイク集~4枚目 CD4枚組という、かなりのヴォリュームで1998年に発売されたのが、アメリカン・ロック界のボスことブルース・スプリングスティーンのアウトテイク集『トラックス(Tracks)』だった。今となっては、デラックス版とか〇〇周年記念エディションとか、果ては未公開音源をありったけ収録したような蔵出しのリリースが、様々なアーティストによって相次いで発売されたけれど、このアウトテイク集の量と質はそこいらの未発表音源発掘盤にはない高いレベルをいまだに誇っていると思う。 さて、今回取り上げるのは、その『トラックス』4枚組のうちの4枚目である。大部分が1992年リリースの『ヒューマン・タッチ』のアウトテイクから成る。同盤およびそれと同時発売だった『ラッキー・タウン』のところにも書いたように、この頃の創作意欲というか勢いは凄まじいものだったが、このアウトテイク集を見ると、1.~9.、11.と12.が『ヒューマン・タッチ』のアウトテイクで、1990~91年にかけてじっくりと腰を据えてアルバムの準備が進んでいたことがわかる。一方、『ラッキー・タウン』は最後になってアイデアが湧き出てきて一気に制作されたとされるだけあって、アウトテイクの数は少ない(10.のみが同盤のアウトテイクとして収録されている)。中にはシングルのカップリングとなった曲も含まれているが、ほとんどが当時未発表のナンバーだった。 1990年代初頭のスプリングスティーンらしいナンバーとしては、1.「リーヴィン・トレイン」や4.「サッド・アイズ」が特にいい。シングルB面の既発表曲としては、「57チャンネルズ」にカップリングされていた11.「パート・マン・パート・モンキー」が印象に残る。あとは、末尾の2曲に触れておきたい。これらは1995年にE・ストリート・バンド再結成による吹き込みで、13.「バック・イン・ユア・アームズ」は貫禄のバラード。そして、14.「ブラザーズ・アンダー・ザ・ブリッジ’95」は、80年代にアウトテイクとなっていた(『トラックス』では3枚目に収録)ナンバーの新テイクとなっている。 本ブログで最初にこのアルバムのことを書いたのは、10年近くも前のことだった(参考過去記事前編・同後編)。スローペースゆえ、最終的に4枚分ぜんぶを取り上げるまでに長い時間がかかってしまったけれど、それは中身の濃さゆえと言い訳しておきたい。ともあれ、これでようやくCD4枚分すべてを見たことになるので、ご関心の向きはぜひ過去記事もご覧いただきたい。[収録曲]1. Leavin' Train2. Seven Angels3. Gave It a Name4. Sad Eyes5. My Lover Man6. Over the Rise7. When the Lights Go Out8. Loose Change9. Trouble in Paradise10. Happy11. Part Man, Part Monkey12. Goin' Cali13. Back in Your Arms14. Brothers Under the Bridge '951998年リリース。[参考過去記事]Tracks ~disc 1~Tracks ~disc 2~(前編)・同(後編)Tracks ~disc 3~Tracks ~disc 4~(本記事) 【輸入盤CD】【送料無料】Bruce Springsteen / Tracks(4CD Boxset)(ブルース・スプリングスティーン) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月05日
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私的にはパットの代表盤に数えられるべき一枚(後編)(前編からの続き) パット・メセニー(Pat Metheny)の2枚組作品、『80/81』のレコーディングに際し、最初にパットが声をかけようとしたミュージシャンにはソニー・ロリンズ(実際には連絡がつかず実現しなかった)がいたという。その一方で、サックスには、マイケル・ブレッカーに加え、オーネット・コールマンの流れを汲むデューイ・レッドマン(テナー、ジョシュア・レッドマンの父)も起用している。さらに、後々に共演を繰り返すことになるチャーリー・ヘイデン(ベース)と組んだのも本盤が最初である。これらの面々の名前の組み合わせからは、言ってみれば、既存音楽の解体と再構築という意図が感じられる。そして、その結果として出来上がってきた音楽は“フュージョン”という語でラベル付けするよりも、はるかに現代的な意味での“ジャズ”そのものになったと言えるように思う。 収められた楽曲についていくつか見ていきたい。1-1.「トゥー・フォーク・ソングズ」は冒頭のギターが連想させる広大な風景に軽やかなメロディがピタリとはまり、曲が進むにつれて“フリー”な演奏が炸裂する。このバランス感覚が本盤らしさをよく表しているように思う。表題曲の1-2.「80/81」も、ある意味において同様で、軽やかに聴きやすい部分と既存音楽の解体を意図した創造的部分の組み合わせがミソになっているように思う。 他方、“聴きやすさ”あるいは“とっつきやすさ”も大事な要素である。2-2.「プリティ・スキャッタード」や2-3.「エヴリデイ(アイ・サンキュー)」なんかを聴くと、結局は複雑な展開になるにもかかわらず、序盤の入りやすさで聴き手の心を掴むという意味において、うまく作られているのだと思う。 最後に、余談ながら、本盤を最初に手に取った時(要はパット・メセニーをあまりよく知らなかった頃)、“パット・メセニーっていいかも”と思わされた。かなり昔の記憶でそう言っているのだけれど、いま現在、考え直してみると、実はチャーリー・ヘイデンの存在感が大きかったのだろうという気もする。別に、メセニーを貶めるつもりはない。でも、その後の筆者の音楽経験も含めて考えると、“パット・メセニーだからいい”ではなくて、実は本盤は“トータルでよかった”のかなと思ったりもする。[収録曲](Disc 1)1. Two Folk Songs2. 80/813. Bat4. Turnaround(Disc 2)1. Open2. Pretty Scattered3. Every Day (I Thank You)4. Goin' Ahead[パーソネル、録音]Pat Metheny (g), Charlie Haden (b), Jack Dejohnette (ds), Dewey Redman (ts), Mike Brecker (ts)1980年5月26~29日録音。 【送料無料】 Pat Metheny パットメセニー / 80 / 81 (2CD) 輸入盤 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年02月03日
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2020年02月02日
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パットの代表盤に数えられるべき名作(前編) パット・メセニー(Pat Metheny)は、1954年、ミズーリ州カンザスシティ郊外生まれで、ジャズ/フュージョンを代表するアメリカのミュージシャン。13歳でギターを独学で始め、18歳でバークリー音楽大学の講師を務めたというから驚くべき勢いである。そして、70年代半ばにはレコーディングのキャリアを積み始め、やがてパット・メセニー・グループを結成。このグループやソロ、あるいは他のミュージシャンとの共演で様々な作品を発表してきた。 さて、パット・メセニーという人は、大きく評価が分かれるミュージシャンであると言えそうだ。現代ジャズという枠組みでは、ウィントン・マルサリスなんかと並んで、大絶賛から酷評まで、いろんな風に評価がなされているように思う。筆者はというと、正直なところ、案外嫌いではないといった感じ。メセニーなら何でも崇拝するというほどの熱烈なファンでもないわけだけれど、これを受け入れられないなんてことはまったくなく、むしろいくつかの愛聴盤がある。中でも以前に紹介した『ミズーリの空高く』とともに最高の出来で、彼の代表盤に数えるべき名作と思っているのが、本作『80/81』である。 元来、パット・メセニーの持ち味は、良くも悪くも“軽やかさ”だと思う。そして本盤はその“軽やかさ”が軽薄ではない形でうまく表現されているという点において、実によくできているように感じる。本盤では、本来のパット・メセニー・グループとは別の編成で、ビ・バップに発するジャズと、後のフリー・ジャズの要素を取り込みつつも、それらをただ再現するのではなく、いったん解体して組み合わせた、という点が成功の理由だと言えるように思う。 何だか全体的な話を少し述べただけだけれども、このままだと長くなってしまいそうなので、記事を改めて、後編で本盤の内容について見ていくこととしたい(曲目等のデータは後編に掲載しています)。 【輸入盤】80 / 81 (2CD) [ Pat Metheny ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年02月01日
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