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ハード・バップ直球ながらオープンな雰囲気の盤 1935年、ピッツバーグ生まれでデトロイト育ちのポール・チェンバース(Paul Chambers)は、33歳と早くに亡くなったこともあり、リーダー作は決して多くはない。ブルーノート盤以外で目立ったものとして、今回取り上げるのが、1959年のヴィージェイ盤の本作『ゴー(Go)』である。 サイドマンとして数々の盤に出ているだけあって、メンツとしては、ある意味よくありそうな組み合わせ。アルト・サックスにキャノンボール・アダレイ、トランペットにフレディ・ハバード。リズム・セクションはピアノのウィントン・ケリーにドラムのジミー・コブおよびフィリー・ジョー・ジョーンズという、お馴染みの顔ぶれによる演奏である。マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』にメンツがそっくり?と思う向きもあるだろうが、それもそのはず。本盤の録音は1959年の2月。『カインド・オブ・ブルー』が同年の3月~4月なので、ほぼ同時期の録音ということになる。 本盤を一言で表すならば、直球のハード・バップ盤ということになるだろう。けれども、ブルーノート盤なんかに典型的なシリアスさに欠けるというのも、重要な特徴だと思う。言い換えると、弾けたりリラックスしたりという、“シリアス”の対極のような要素が演奏の随所で目立つ。それは、上記の『カインド・オブ・ブルー』と並べて聴いてみると一目瞭然だろう。 1.「オーフル・ミーン」は、冒頭からチェンバースのベースが弾け、キャノンボール・アダレイのサックスが奔放に駆ける。4.「ゼア・イズ・ノー・グレイター・ラヴ」は、上で述べた通りのオープンなリラックス感が特徴的。それに対し、5.「イーズ・イット」はもっとシリアスに迫ってくる演奏から始まるのだけれど、やはりどこかにオープンな雰囲気(途中の拍手なども含めて)を持ち合わせている。6.「アイ・ガット・リズム」も同様な特徴を持つと言えるが、個人的にはスピード感のあるこの演奏は、本盤中で特に魅かれるものだったりする。 ちなみに、筆者は通して聴いていないものの、1998年には未収録音源を含めたものが2枚組としてリイシュ―されている。[収録曲]1. Awful Mean2. Just Friends3. Julie Ann4. There Is No Greater Love5. Ease It6. I Got Rhythm[パーソネル、録音]Paul Chambers (b)Julian “Cannonball” Adderley (as)Freddie Hubbard (tp)Wynton Kelly (p)Jimmy Cobb (ds)Philly Joe Jones (ds)1959年2月2~3日録音。 【中古】 ゴー+1/ポール・チェンバース 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年09月29日
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ネルソンがまとめあげた熱狂のライヴ演奏 1971年6月18日、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの熱演は翌朝5時まで夜通し続いた。その最後を飾った演奏の収められたのが、本盤『スイス組曲(Swiss Suite)』である。この演奏をまとめあげたのは、アレンジャーでアルト・サックス奏者でもあるオリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)であった。 ジャケットには、上記の通りのライヴ演奏盤である旨(“Recorded Live at the Montreux Jazz Festival”)に加え、“Featuring Gato Barbieri & Eddie ‘Cleanhead’ Vinson”とあり、2人の写真も載せられている。 LPのA面全部に当たる1.「スイス組曲」では、これら2人のうち、まず前者のテナー、次いで後者のアルト・サックスが躍動する。とくにガトー・バルビエリ(ガート・バルビエ―リ)の方は、この同じ日のライヴ演奏が『エル・パンペーロ』としてライヴ盤になっており、その演奏後の熱い雰囲気の中、そのまま熱演を奮っている。およそ27分のこの演奏では、これら2人のとにかく情熱的で激しいプレイをオリヴァー・ネルソン率いるオーケストラががっちりと受け止めているのだけれど、聴く側の観点としては、そんな細かいことを忘れてとにかく熱い演奏にのめり込めるのがいい。 アルバム後半(LPのB面)は、名曲2.「ストールン・モメンツ」で幕を開け、オリヴァー・ネルソン・オーケストラによる合計3曲の演奏が収められている。これらの演奏も、総じて熱く、熱気に満ちたものである。個人的に気に入っているのは、上記の「ストールン・モメンツ」。次いで、ラストを飾る4.「ブルースの真実(ブルース&ジ・アブストラクト・トゥルース)」のキレのよさが特に印象に残る。 [収録曲]1. Swiss Suite2. Stolen Moments3. Black, Brown and Beautiful4. Blues and the Abstract Truth[パーソネル・録音]Oliver Nelson (as, arr, conductor), Gato Barbieri (ts: 1.), Eddie "Cleanhead" Vinson (as: 1.), Charles Tolliver (tp, flh), Danny Moore (tp), Rich Cole (tp), Bernt Stean (tp), Harry Beckett (tp), Buddy Baker (tb), Bertil Strandberg (tb), Donald Beightol (tb),C.J. Shibley (tb), Monte Holz (tb), John Thomas (tb), Jim Nissen (bass trombone), Jesper Thilo (as), Michael Urbaniak (ts), Bob Sydor (ts), Steve Stevenson (bs), Stanley Cowell (p), Victor Gaskin (b), Hugo Rasmussen (b), Bernard Purdie (ds), Bosko Petrovic (ds, vib, tarabooka), Na Na (berimbau), Sonny Morgan (congas)録音:1971年7月18日(*7月19日午前) スイス組曲(ライヴ・アット・モントルー・ジャズ・フェスティヴァル) [ オリヴァー・ネルソン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年09月26日
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魅力が伝わるライヴ演奏盤 ウディ・ショウ(Woody Shaw)は1944年生まれのジャズ・トランペット奏者。フレディ・ハバートと並ぶ奏者と言っていいようにも思うのだけれど、正当に評価されてこなかったミュージシャンだと言える。本盤『マスター・オブ・ジ・アート(Master of the Art)』は、1982年と比較的新しい吹き込みなのだが、彼の魅力を存分に伝える好ライヴ演奏盤だと思う。 内容としては、レギュラー・クインテット(ウディ・ショウのトランペット・フリューゲルホーンのほかにスティーヴ・ターレのトロンボーンを含むクインテット)に、ゲストとしてヴィブラフォンのボビー・ハッチャーソンを加えたメンバーでの演奏。このヴィブラフォンもなかなかいい働きをしていて、2.「ダイアン」はその効果を実感できる1曲だったりする。 本盤全体を通じての筆者のイチオシは3.「ミステリオーソ」。セロニアス・モンクの有名な楽曲で、並行して展開するメロディというややこしさを見事に創造的な演奏に変えてみせている。時にマイルス・デイヴィスを彷彿とさせるスリリングさすら感じるというと言いすぎかもしれないが、筆者的にはそのくらいに魅かれるものがある。 都合5つのトラックが収録されているが、実際の演奏は1.~4.で、最後の5.はウディ・ショウの肉声によるインタヴューである。彼は本盤の吹込みから7年後の1989年、地下鉄ホームから転落するという事故により、左腕を切断し、その後の経過もよくなく同年に44歳で死去した。通常であれば、蛇足とも言われかねないインタヴュー音声だが、生前の貴重な証言として自身の音楽観などについて語っているものとなっている。[収録曲]1. 400 Years Ago Tomorrow2. Diane3. Misterioso4. Sweet Love of Mine5. The Woody Shaw Interview[パーソネル・録音]Woody Shaw (tp, flh), Bobby Hutcherson (vib), Steve Turre (tb), Mulgrew Miller (p), Stafford James (b), Tony Reedus (ds)1982年2月25日録音。 JAZZ BEST COLLECTION 1000::マスター・オブ・ジ・アート [ ウディ・ショウ ] [枚数限定][限定盤]マスター・オブ・ジ・アート/ウディ・ショウ[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年09月23日
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成功を収めたデビュー盤 ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ(La Oreja de Van Gogh, 略してLOVG)は、スペイン北部バスク地方のサン・セバスティアンで結成されたポップ/ロック・グループ。メンバーは、アマイア・モンテーロ(ヴォーカル)、パブロ・ベネーガス(ギター)、シャビ・サン・マルティン(キーボード)、アルバロ・フエンテス(ベース)、アリツ・ガルデ(ドラム)の5人から成る。なお、ヴォーカルのアマイアはソロシンガーとして独立したため、2008年からはヴォーカリストがレイレ・マルティネスに変更となっている。 1990年代の末、彼らのデビュー盤となったのが、この『ディレ・アル・ソル(Dile al sol)』である。明るくド派手なポップかというとそうでもなく、ロック調かというとそんなこともない。丁寧で安定したバンド演奏とアマイア・モンテーロの個性のあるヴォーカルが適度なポップさを伴った楽曲となって並んでいる。いい意味で、ある種の“聴きやすさ”とヴォーカルの魅力が聴衆の支持に結びついたと言えるのだろう。 1.「エル・ベインティオチョ」は、彼らの最初のシングルで、いきなりヒットを収めたナンバー。このアルバムに収録されていてシングル発売されたナンバーは8曲もあるのだけれど、そのうちで最も大きなヒットとなったのが、2.「クエンタメ・アル・オイード」。こちらの曲の方は、スペイン国内のシングル・チャートで1位を記録し、スペイン・ポップスの代表的なナンバーの一つとして定着した。 6.「ドス・クリスタレス」は、演奏もヴォーカルも聴きごたえがある注目曲の一つ。表題曲の9.「ディレ・アル・ソル」は、テンポのよさと小気味よさが光る。12.「ソニャレー」は、軽妙なリズム感とヴォーカルのよさがうまく生かされた好曲。全体として、後のアルバムと比べるとまだ荒削りな部分も残されているものの、バンドとしての演奏力の高さに加え、アマイアのヴォーカルで聴き手が魅了されるというこのバンドの特徴はすでに明確に表われている。デビュー盤ということを考えると、完成度の高さが際立っているし、上に挙げた以外にも聴き逃がせない曲が多く、おすすめの好盤と言えるように思う。[収録曲]1. El 282. Cuéntame al oído3. Pesadilla4. La estrella y la luna5. Viejo cuento6. Dos cristales7. Lloran piedras8. Qué puedo pedir9. Dile al sol10. El libro11. La carta12. Soñaré1998年リリース。 ↓ベスト盤です↓ 【中古】 La Oreja De Van Gogh ラオレハデバンゴッホ / Lovg: Grandes Exitos / La Oreja De Van Gogh / BMG Import Argentina [DVD Audio]【ネコポス発送】 ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】【新品】La Oreja De Van Gogh / Dile Al Sol【LP2023/4/28発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年09月20日
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ここ1カ月ほど滞ていましたが、INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A)へ → つづき(B)・つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-Q)・つづき(R-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもあり がたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2025年09月16日
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年齢を重ね、安定感と安心感に満ちた好作 パブロ・ミラネス(Pablo Milanés)は、1943年キューバ出身のミュージシャン。2022年に79歳で没している。シルビオ・ロドリゲスらとともに、キューバの新しいトローバ(ヌエバ・トローバ・クバーナ)を牽引した人物で、スペイン語圏の音楽界では実に人気の高い存在である。 1970年代以降、彼は数多くのアルバムや楽曲を世に送り出したが、2000年にリリースされた『ディアス・デ・グロリア(Días de gloria)』は、個人的にリリース直後から繰り返し聴いたこともあり、愛着のある作品の一つとなった。もう少し客観的な言い方をするならば、50歳代後半になったパブロが、以前と同様の安定感と安心感に満ちたパフォーマンスを見せた好作品ということになるだろうか。 おすすめの曲としては、まず表題曲の1.「ディアス・デ・グロリア」(“栄光の日々”の意)。この演奏は通常の弾き語り(アコースティック演奏)だが、アルバム末尾には“トリオ・ヴァージョン”(11.)なるものも収められている。2.「クアンド・ジェガス・アウセンテ・ア・ミ」(“君がいなくなってしまった時”)はテンポよく安定した演奏と歌唱がいい。5.「エン・サコ・ロト」(“破れた袋に”)はアコースティックながらラテンのリズムというキューバ人ならではの曲調が印象的である。 7.「ノスタルヒアス」(“郷愁”)は、いかにもパブロらしい回想的な詞と曲調の、個人的には気に入っているナンバーの一つ。9.「シ・エジャ・メ・ファルタラ・アルグナ・ベス」は、“もし彼女がいなくなったなら”、“もし彼女が私を愛さなくなったなら”、“もし彼女が歌うことを忘れたならば”、などと歌い、“僕がこの歌を書くことはないだろう”と締めくくるラヴソングとなっている。アルバムを締めくくるのは、上記の通り、表題曲のトリオ・ヴァージョンである11.「ディアス・デ・グロリア」。トリオと言っても、本盤全体を支配するアコースティック調を崩さない雰囲気の演奏で、こちらのバージョンも結構気に入っている。[収録曲]1. Días de gloria [acoustic versión]2. Cuando llegas ausente a mí3. Canto a victoria4. Deborah Winsky5. En saco roto6. Masa7. Nostalgias8. Éxodo9. Si ella me faltara alguna vez10. A dos manos11. Días de gloria {trio version}2000年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年09月14日
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サイケとラテンが融合した独自路線のロック テレグラフ・アヴェニュー(Telegraph Avenue)は、ペルーのロック・バンド。1969年、ワロ・カリーヨ(ドラムス、元ホリーズ)とボー・イチカワ(ギターとヴォーカル)の出会いに始まり、その後、ジェリー・ラム・カム(ベース)、チャチ・ルハン(ギターとコンガ)、さらにはベーシストがアレックス・ナタンソン(ベースとヴォーカル)に交代し、4人組の布陣が固まった。このメンバーで1971年にリリースされたのが、セルフ・タイトル盤の『テレグラフ・アヴェニュー(Telegraph Avenue)』である。なお、テレグラフ・アヴェニューというバンド名は、イチカワがサンフランシスコ滞在中の住処の通りの名前に由来する。 音楽的な方向性でいうと、“サイケデリック・ロック”に分類されうるのだろう。けれども、このバンドの面白いところは、ラテンのリズムが感じられるというところにある。カリフォルニアで触れたサイケを志向しているのだけれども、根はラテン。音楽を細かく分類するのは嫌いなのだけれど、“ラテン・サイケデリック・ロック”と言ってもいいような感じである。 注目の曲をいくつか触れておきたい。ラテンのリズムとサイケ音楽の融合という点では、3.「スイート・ホワットエヴァー」、5.「サンガリガリ」(←こう読むのでしょうか?)がその特徴をよく表している。他に6.「レット・ミー・スタート」は、楽曲自体もよくギターも効果的な好ナンバーで、こうした楽曲もよく聴くとリズムにラテンな部分が見え隠れするのは興味深い。アルバムを締めくくるセルフ・タイトル曲の8.「テレグラフ・アヴェニュー」は、コーラスが印象的で、どこか哀愁を漂わせるこれまた好曲である。ちなみに、CD化によって、現行の盤ではボーナス・トラックとしてもう1曲、9.「イッツ・OK」という曲が加えられている。[収録曲]1. Something Going2. Happy3. Sweet Whatever4. Lauralie5. Sungaligali6. Let Me Start7. Sometimes In Winter8. Telegraph Avenue9. It's OK [bonus track]1971年リリース。 【中古】米CD Telegraph Avenue Telegraph Avenue CD2007 Lazarus Audio Products /00110 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年09月11日
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シカゴのオリジナル・メンバーによるソロ第二作 ロバート・ラム(Robert Lamm)は、テリー・キャスらとともに、ブラス・ロック・バンドのシカゴの創設メンバーである。彼は、1970年代のシカゴのソングライティングの重要な部分を担った。しかし、時の経過とともに、シカゴはAOR路線へと向かっていった。これによって、彼が曲を作らなくなったかというと、そんなことはなかった。バンドとしてのシカゴが“甘い”路線をとる中、彼は相変わらず自作曲を作り続けていた。そうした曲が日の目を浴びることになったのが、1993年発表のソロ・セカンド作『マイ・ネイバーフッド(Life is Good in My Neighborhood)』である。 アルバム表題の元になった1./11.「マイ・ネイバーフッド」は、シンプルかつ往年のシカゴっぽさを残す“ヴァージョンA”(トラック1.)と、少し肩の抜けた南国風な感じのする“ヴァージョンB”(トラック11.)が収められている。この表題曲のほかに前半で注目したいのは、3.「オール・ザ・イヤーズ」。往年のシカゴらしい曲調のナンバーで、シカゴのアルバムの中でも聴いてみたかったと思わせる1曲だったりする。5.「ジェシー」は、ラム節が生かされた曲で、シリアスでドラマチックな雰囲気がいい。 アルバム後半では、7.「タブラ」と9.「ホエン・ウィル・ザ・ワールド・ビー・ライク・ラヴァーズ?」が特にいい。前者は、シリアスなナンバーだが、曲の精度が高く、完成度もとりわけ高い。後者は、個人的にはアルバムいちばんの出来で、シカゴそのものといった雰囲気のナンバー。詞の内容も早い時期のシカゴを彷彿とさせるものだったりする。[収録曲]1. My Neighborhood (Version A)2. When The Rain Becomes3. All The Years4. Murder on Me5. Jesse6. Ain't No Ordinary Thing7. Tabla8. In This Country9. When Will the World Be Like Lovers10. My Neighborhood (Version B)1993年リリース。 【中古】CD ロバート・ラム マイ・ネイバーフッド WPCP5519 Reprise Records /00110 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年09月09日
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完成度が高く、エネルギーに溢れた作品 パティ・スミス(Patti Smith)は、1945年シカゴ生まれ、ニュージャージー育ちのミュージシャン。“パンクの女王(クイーン・オブ・パンク)”と呼ばれ2007年にロックの殿堂入りしている。彼女は1975年にデビュー盤を発表し、これに続く第2作(パティ・スミス・グループの名で発表したアルバムとしては最初)となったのが、1976年の『ラジオ・エチオピア(Radio Ethiopia)』(なお、かつての邦盤タイトルは『ストリートパンクの女王』)だった。 彼女の作品の中ではロック色が濃い作品で、ジャック・ダグラスをプロデューサーに起用して商業的成功を狙ったものだったという。本盤最大の魅力は、何よりもパティのとんがり具合というか、前衛的・実験的なことも普通であるかのようにこなしていくパワフルさと実力にある。 アルバムは、ロック曲として完成度の高い1.「アスク・ジ・エンジェルス」から始まる。続く2.「エイント・イット・ストレンジ」や4.「ピッシング・イン・ア・リヴァー」に見られるうねりやアンダーグラウンド感にも、実は背後に安定感と完成度の高さが隠れているように思う。 本盤のハイライトは、アルバム表題曲の7.「ラジオ・エチオピア」。実際には「ラジオ・エチオピア」と「アビシニア」という曲のメドレーないしは組曲形式になっていて、12分超えの大作。既存の概念の打破、もしくは破壊と再構築という意味では、モダンジャズからフリージャズに行ってしまうぐらいの衝撃と吹っ飛びようである。とにかく熱く、しかし手が込んでいて、既存のスキームでは語れない“ロック”が展開されていると言えるように思う。 さて、こうしてこの人の作品を聴いていると、“パティ・スミスは女でありパンクである”という言い方は正しいのだろうか、という疑問が浮かび上がってきてしまう。彼女の音楽に耳を傾けると、“女である”ことも、“パンクである”ことも、ある種どこかで無意味化されてしまう。筆者としては、そんな気がどうしてもしてしまうのである。[収録曲]1. Ask the Angels2. Ain't It Strange3. Poppies4. Pissing in a River5. Pumping (My Heart)6. Distant Fingers7. Radio Ethiopia~Radio Ethiopia/Abyssinia1976年リリース。 ラジオ・エチオピア [ パティ・スミス・グループ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2025年09月07日
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完成の域に達した推奨盤 21世紀に入ってから20年余年のメキシカン・ロック界でこれはというバンドを挙げるとすると、断然、筆者はソエー(Zoé)の名を挙げたい。このバンドは、1990年代に形成され、2001年のセルフ・タイトル盤でデビューした。 本盤『レプティレクトリック(Reptilectric)』は、前作(2006年)の成功に続いて制作された4枚目のスタジオ盤で、2008年にリリースされた。ソエーと言えば、2019年の『アストラン』でのグラミー受賞が知られるが、この作品と前作はラテン・グラミーにノミネートされていたし、11年のライヴ作もラテン・グラミーの受賞作となっていた。何が言いたいのかというと、この頃には既にソエーのサウンドは完成されたものになっていたということである。 実際、筆者的にも、これまでのところ上記の『アストラン』と並んで彼らの最高作と思っているのが本盤である。分野でタグづけするなら“ラテン・オルタナ・ロック”ということになるのだけれど、彼らにしかできない幻想的というか宇宙的なサウンド、ラテン系ロック独特のリズム感が演奏面の特徴になっている。そして、こうしたサウンド面の特徴だけが売りなのでなく、何よりも楽曲のよさが際立ち、この作品を特別なものにしている。 何としても聴き逃がせないナンバーとしては、まずは表題曲の1.「レプティレクトリック」。レオン・ラレーギ(ヴォーカル)がマヤの預言者の本に着想を得て思いついた造語で、古代神ケツァルコアトルを連想させる詞になっている。5.「ポリ」は初恋をテーマにした楽曲であるが、センチメンタルな感じは全然せず、浮遊感のあるサウンド、シンプルながら馴染みのいいメロディ、独白的な詞と三拍子揃った好ナンバー。なお、これら1.と5.はシングルとしてリリースされた。 長くなってきたけれど、他にどうしても外しがたい曲としては、3.「ソンブラス」、4.「ノ・アイ・ドロール」、政治批判的な7.「ネアンデルタール」、10.「ウルティモス・ディアス」。全編通じて好曲が並び、挙げだすときりがない。ソエーのアルバムとしてだけでなく、ラテン系ロックの作品としても名盤リストに入るべき作品だと言えるように思う。[収録曲]1. Reptilectric2. Nada3. Sombras4. No hay dolor5. Poli6. Resiste7. Neandertal8. Fantasma9. Luna10. Últimos días11. Babilonia2008年リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2025年09月04日
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