音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016年09月12日
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テーマ: 洋楽(3402)




 ジェリーフィッシュ(Jellyfish)は、1980年代から共に活動していたサンフランシスコ出身の2人(アンディ・スターマーとロジャー・マニング)が1989年に結成したバンドである。翌1990年にデビュー盤をリリースし、1993年にはセカンド作を発表するも、1994年に解散してしまい、時間的にはごく短期間の活動に終わってしまった。

 2枚しか残されなかった彼らのアルバムのうち、本盤『こぼれたミルクに泣かないで(Spilt Milk)』は、セカンド作にしてラスト作にあたる。彼らの代表作であるだけでなく、1990年代を代表する名盤としてもよく名が挙がる作品である。

 その名盤評としては、ビートルズを引き合いに出して、本盤のマスターピースぶりが評価されることも多いが、個人的にはどうもそれに違和感がある。ある部分ではビートルズ、ある部分ではビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)、ある部分ではE.L.O.、ある部分ではクイーン…といったように、もっともっと複雑な遺産の上に本盤は存在しているように感じるからだ。特定アーティストの名を出さずに言ってみるとすれば、60年代のポップセンスと実験性、70年代~80年代のジャンルとして拡大していった種々のロック&ポップス、90年代を迎えた頃の一巡しきったロック性…。長々と述べだすときりがなくなりそうなほど、彼らの作品には先人の築いた様々な音楽性がとりこまれ、共鳴しあい、そこに独自の解釈が施されているんだと思う。

 そのようなわけで、完成度の高い作品そのものを聴くのもよし、各楽曲の各パートを吟味しながらいろんなアーティストとの連関を考えつつ聴くのもよし。初めて聴いた時から、100回目、200回目に聴いた時まで(自分では200回も聴いていないと思うが、200回聴いた暁にもきっとそうだろうと思う)、楽しみ続けることができる奥の深い作品だと思う。

 短期間でのこのグループの解散の理由は、アンディとロジャーの音楽性の違いと言われるけれど、2人とものやっていることの質が高かったからこそ、ハイレベルな作品になったわけだし、互いの意見も早々に違ってきてしまったということだろうか。本盤に関して、アンディはプロデュースのやり過ぎとかアレンジのやり過ぎを気にするコメントを後にしているようだが、弾き語り志向が強かった彼をして“誇れるアルバム”とのことだから、そこからもアルバムの出来のよさがうかがえる。


[収録曲]

1. Hush
2. Joining a Fan Club

4. New Mistake
5. Glutton of Sympathy
6. The Ghost at Number One
7. Bye Bye Bye
8. All Is Forgiven
9. Russian Hill
10. He's My Best Friend
11. Too Much, Too Little, Too Late
12. Brighter Day

1990年リリース。




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こぼれたミルクに泣かないで [ ジェリーフィッシュ ]




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Last updated  2016年09月12日 22時06分07秒
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