BLUE MOON

BLUE MOON

「衣」


居並ぶ誰よりも 眩しく 美しい

幾重にも重なる煌びやかな衣を 身に纏い
嘘の光に輝く  硝子の靴を履き
誘いの指先は  惑わしの風を放つ

氷でできた微笑みのその瞳は
荒んだ灯火を宿し
何ものをも写すことなく 夜を彷徨い 宙を彷徨う

一度だけでいい  貴女に抱かれたい

口づけを交わしながら 貴女を見つめて
動かない瞳に  僕を写して
凍てついた指が僕をなぞり  
凍てついた腕が僕に絡みつく

貴女に  衣は似合わない
貴女は  貴女だけが相応しい

この世で一番美しい  
素肌の貴女に   抱かれたい
貴女に抱かれて  眠りたい


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