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英国は日本と同様、原発で使った核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」を進めてきた。在庫量は世界最大だ。その国が「資源」だったプルトニウムを「廃棄物」として捨てる。政策の大転換だった。
英国には、日本の電力会社が持つ約22トンのプルトニウムも保管されている。現地や東京の同僚と取材を進めると、日本分は廃棄の対象外だとわかり、2月2日付朝刊で報じた。
核燃料サイクルの中核を担う日本原燃の増田尚宏社長は、直後の記者会見で「日本ではプルトニウムは有用な資源」とサイクルに理解を求めた。
英政府は2011年、プルトニウムを核燃料として使う方針をいったん決めていた。その後も
(1)核燃料として使う
(2)地中に捨てる
(3)貯蔵し続ける、
の三つの選択肢について検討を進めた。そして 「長期保管は、安全保障上のリスクと核拡散の懸念という負担を将来世代に残す」 と結論づけた。手の届かない場所に置くことで、負担を減らせると判断したのだ。
私は、18年に原子力委員会がプルトニウム保有量を減らす方針を決めたころから、この問題を取材してきた。当時、日米原子力協定の改定を控えていた。米国は日本に対し、削減に向けた具体策を示すよう水面下で働きかけていた。
プルトニウムは核兵器に転用できる機微な物質でもある。日本にとってはエネルギー資源である物質が、核拡散や核テロリズムのリスクがあるとして、国際社会から厳しい目にさらされていることを実感した。
日本のプルトニウム保有量は約44トン。26年度に完成予定の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)が稼働すれば、年に最大で約7トン増える。
一方で、その出口はおぼろげだ。電力業界は30年度までに少なくとも12基の原発でプルトニウムを燃料として使う計画を持つが、4基しか実現できていない。
英国が捨てるプルトニウムを、日本はこれから巨費を投じて生産し、核のリスクも抱えることになる。 将来世代の負担は避けられない。政府や電力業界は、とくに若者が納得できる説明をする必要がある。
(くらし科学医療部)
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<おがわ・ゆうすけ> 埼玉県出身。長崎総局、西部報道センターなどを経て、現在は原子力担当。2021~22年に休職して米ジョージワシントン大で核や原子力を学んだ。福岡県警担当だった半年余り前、この取材をさせてくれた仲間に感謝。
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