やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2007年04月27日
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カテゴリ: 読書感想
ヘンリー・ジェイムズの 『ねじの回転』 を読んで、怖いことは評判どおりだけど、ぐるぐると考えが引き回され、難解でもあるとの評もうなずけた。

単なる幽霊譚の怪奇だけではなく、心理劇がプラスされればこんなにも印象深くなる、というヘンリー・ジェイムズの物語手法のすごさは、この文庫版(創元推理文庫)に併録されている短編( 「古衣装の物語」「幽霊貸家」「オーエン・ウイングレイブ」「本当の正しい事」 )を読み、ますます確認でき、魅了もさせられる。

夏目漱石もヘンリー・ジェイムズを愛読していたとかで、なるほど漱石のまわりくどいような書き出しも似ている。その影響ばかりではないだろうが。 『こころ』 など「先生」が主人公なのか、慕う「私」が主なのかわからなくなってくる。

読書中の 『彼岸過迄』 も読みはじめがややこしい 。『三四郎』『それから』『門』 の三部作もそう。

『翳りゆく夏』 はすーっと溶け込むような導入部だった。現代という時代の臨場感だけではないと思う、手法だろう。口あたりのよいワインというところか、ミステリはおもしろかったが。

登場人物たちの「記憶の超能力」に興味があった。私も記憶には自信があるので共感した。トランプの「神経衰弱」が得意なところも同感。

ところでエミリーブック( 『可愛いエミリー』『エミリーはのぼる』『エミリーの求めるもの』 )のエミリーも感がするどく、物語のクライマックスで発揮するのでおもしろい。こちらはスコットランドの言い伝えだの、魔女的な雰囲気もちょっと加わって、モンゴメリも興味があったのだと知る。

そういえば夏目漱石の 『夢十夜』 も怪奇めいている、とまた話はもどるが、まわりくどいといえば、森瑤子の 『情事』 もこんなに愚痴めいたものだったか?

正直、なんだか息苦く再読した。「夏が終わろうとしていた。」という、この本の35歳の年令は今の45くらいにあたるのだろうか。どこまでもどこまでも夫とは冷めた冷めたとの繰り返しである。20年前に読んだ時、斎藤茂男の 『妻たちの思秋期』 という本も流行っていたから、そんな時代だったかな。

この春は気候不順もあったけれど、風邪気がなかなか抜けず咳が止まらず、肋骨の辺が痛み出し不愉快この上なかった。そんな4月中の読書記録である。とりとめないけれど。






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最終更新日  2019年03月01日 09時15分02秒
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