2 クロネコ




☆ クロの赤ちゃん ☆



こうしてクロとの生活が始まって、と言うより工場の中でこのクロは過ごす。

いつしか子供の猫から大人の猫へと変わって来ていた。

私になついて居てもうクロと私は、離れるに離れられないものに、

いつしかなっていた。

仕事場の中に猫が生活をする、そして働いている人たちがサポートする。

猫を中心に、いつしか緊張もほぐれ、争いも無く、

仕事も順調に進んでいく、

ペットも人と人の調和をとり、癒してくれるそんなクロになっていたのだ。




春が来る


クロの身体の様子が少し変化してきた、

誰が気づいたのかクロのお腹が大きくなっていたのだ、

そう妊娠していた。

私は正直に困っていたのだ、仕事場に何匹も猫がいては、

仕事に差し支える、

このクロにとって初めての体験 これを断ち切ることは、

私には出来ない、このまま自然に任せてあげよう・・・

働いている人たちにも説明をして 見守ることに賛成してくれた。


日にちが経つにつれお腹は大きくなり出産まじか・・・

クロも工場の中で出産場所を見つけたらしく、

その場所に入って出産の準備をしているが、

私達にはどうする事も出来なく、無事に出産してくれる事を

祈ることしか出来なかった。



数日後、クロが顔を出した。

見るとお腹が元に戻っておりどこかやせて見える。

無事に出産を終えたらしく、皆に挨拶でもするかの様に、

仕事をしている人たちに姿を見せていた。



誰かが「クロ良かった・・良かった・・子供が生まれたカ~・・」

と声をかけると、

みんな仕事の手を止めてクロに近寄りみんなで喜んだ。

もちろん私もである。

そうは言っても、猫の赤ちゃんを誰も見ていない、

みんなの気持ちは分かっている事は、



”赤ちゃんが見たい”


そこへ一人の人が、

「今無理にのぞくと親猫は赤ちゃんをくわえてどこかに

引越ししてしまうからもう少し我慢しよう。」

その言葉に我に返ったかのように、

仕事に戻ったのだ。



クロは子育てに自分の巣に入っているが、

日にちが経つに連れて巣を開ける事が多くなってきた。

そんなある日にクロが表に出て行ったのを見計らって、

みんなで巣を覗き込んだのだ・・・

みんな覗き込んで顔を合わせて・・・

「4匹いたヨ~・・・・・」



そして満足な顔で感動していた。

もう見るだけでは収まらない、誰かが一匹巣から出して抱いていた。

それを見たみんなが先を争って残りの3匹を、

巣から出して取り合い・・・



もう仕事も忘れて一時のお祝いムードになってしまった。

喜んでいるさなかにクロが帰ってきた。

みんなは親猫の帰ってくることを忘れていたのであろう。

クロを見つけるともう言葉が無い・・・


クロが

”ニャ~ゴ・・・”と一泣きすると、子ネコを抱いていた人達

言葉を出さず黙って巣に返している。

そして仕事に戻るのである。



みんな猫の気持ちが分かるんだ、

普段きつい事を言う人でもクロの赤ちゃんを見ると触ると

みんな優しくなりみんないい人なんだ~・・・と そのとき思った。



この事により仕事場も明るくなりしごとも順調に進んで行くいい方向にと

向かってきた、この職場である。



日にちと共に子ネコも仕事場で遊ぶようになってくる、

そして1ヶ月が経つ頃に、クロを病院へ連れて行き、

避妊手術をしてきた。が

今いる子猫の里親を探して、2匹が引き取られた。

残りの2匹はデパートにつれて行きそこで里親を探してもらう。

朝一番に店に入りカゴに入れてお客さんに引き取ってもらうのだ。



その手数料が1匹=2000円、合わせて4000円を支払い、

デパートを1時間ほどウロウロしてあづけた所に戻ってみると、

私達の子ネコはもういなかった。



嬉しいような、どこか寂しくも複雑な気持ちにさせられていた。

このお店では一匹500円で売られている、

もう二度と逢えない子ネコたち・・・



ともあれ子ネコが行った先で幸せになる事だけを祈り、

家内と無言で自宅に向かう。



親猫と子ネコを人間の都合で引き離してしまう・・・

悪い事と知りながら、それをしてしまった自分だ、

これからはクロを大事にするからと自分に言い聞かせて、

また元の生活に戻して行くのだ。



クロの生活へ つづく

^^^^^^^つづく^^^^^^^^^^     04/o7/25 更新  


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