春を売る幽霊
春 を 売 る 幽 霊
その路地を行くと暗い物陰からたくさんの幽霊が出るんです
｢いい子がいるんだ遊んでいかない」今日もまた淋しそうな
声を出して俺を誘うんだ
もっと健全な遊びがあるでしよう
ほかにやることがいっぱいあるでしょう
若い男はいいんだろうが君たちの美しい
ヴィーナスがだめになる
こんな仕事やめろよ骨の髄までボロボロになるじゃないか
もっとよく考えてみろよ
真剣になってみろよ
恐ろしい闇の中で物悲しく生きていないで
明るいところへ出ようじゃないか
春を売る幽霊たちの生き様は俺を悲しくさせる
色も恋もなき幽霊たちよ俺には情けなんかはない
君たちに逢いたくもなければもう見たくもない
陰湿な蜜室の君たち幽霊の囁きはもう聞きたくもない
俺は君たちの世界に誘われないで生きるのだ
今日も一人仲間が死んだらしい
春を売る女はいつも悲しいのだ
そんな幽霊たちに勧告する
俺の通る道には二度と出ないでおくれ
悲しい汚れた幽霊たちのメロディーが今日もまた
その路地裏に流れている
今日もまた仲間のひとりが死んでしまった
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