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昨年9月に劇場で観たばかりの「パターン」が、CSムービープラスの、今月の“ハマる!インド映画”枠で放送。劇場では勿論、字幕版で観たのだけど、今回は吹替版での放送というのがミソだった。作られていたんだねえ、しかし、字幕版でもいずれやるのかな?とまれ、昨年のベストワン級1作だから、間を空けぬ再見でも楽しめた。敵役であるジョン・エイブラハムは登場の度に、“ララララ〜ラ”というテーマ曲が流れる。いきなりスペインでのロケで、シャアルク・カーンとディーピカー・パードゥコーンの、初対面とは思えぬ濃厚な踊りのミュージカル。もうお約束のボリウッドでたまりませんね。ドバイやロシア、パリも舞台になり、トルコでも撮影したそう。氷上のチェイスはバイカル湖?って風景だけ撮ってCG合成したんじゃないの?シャアルクがディーピカーの裏切りにあってロシアに囚われるまでが前半。そのロシアからの脱出にひと役買うのが、タイガー=サルマン・カーンである。「タイガー」は未見なのだけど、“スパイ・ユニヴァース”というのは本作からの後付けらしい。「タイガー」はすでに3作目が間も無く日本でも公開のようだけど、前2作がGW中にBSで放送されるそうなので楽しみ。今思えば、敵役が奪おうとするのが新型の天然痘のウィルスという、やはり、コロナ禍を意識した設定。インドとパキスタンの対立を描きながらも、敵役は、愛国心は持たない純粋なテロリストとして描いていて、政治には深く踏み込んでいかないところも、娯楽映画としては絶妙の持ち味。まあ、前回観た時に書いたようにCGや描写も他言語のインド映画と違って抑制が効いていたかどうかは、ちょっと微妙だったけど。この映画も派手は派手。でも、とにかく、シャアルク主演の王道ボリウッド映画が改めて存在感を示したのは、何よりめでたいと思う。というわけで、「タイガー」は、しっかり録画して楽しもう。で、3作目の沖縄での上映は・・・やっぱり予定なしかい(溜息)。
2024年04月22日
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2月のCSムービープラス“ハマる!インド映画”で放送の「兄貴の嫁取物語」'14を録画視聴。160分のそこそこのタミル語映画。これは面白かったよ!4人の暴れ者の弟を率いるのは、街の顔役的存在でもあるアジット・クマール。髪に白いものがあるヒーローというのはインド映画でも珍しい感じするけど、ロマンスグレーという呼び名がハマる二枚目ではある。悪を許さない姿勢は評価できるけど、罪人たちに飯を食わせては戦わせて、それを見物するというのは、ちょっとサディスト的傾向?5人兄弟の体育会的家族、女っ気は一切なし、かと思いきや、弟たちは、それぞれ彼女がいるのだけど、兄貴の手前、その恋を成就できない。では、兄貴にも嫁を取らせればというコメディで展開するのだけど・・・一方で、市場を牛耳るボスとの対決がある。そういうサスペンスとアクションも織り込みつつ、クマールの理想にハマる彼女探しに奔走する兄弟たちと、兄弟同様の家族の弁護士。のっけのミュージカルは、このオヤジ連中勢揃いのむさいナンバーだ。そこに遺跡修復の職人のタマンナーが登場。「バーフバリ」等でもお馴染みのこの人、キャリア長いんだね。当然、次のミュージカルは、クマールとタマンナーのペアで。クマールは年齢的にガシガシ踊る人ではないけれど、あのルックスでくねくね踊るのは可愛らしい。タマンナーは、変わらずたまんなーいね。彼女との仲が家族にも認められ、非暴力を貫く父親にも迎えられる。しかし、今度は、タマンナーの一家を狙う一群との戦いが。武器を捨てたはずのクマールらが再度立ち上がる。後半は、コメディ・リリーフ的な甥の存在がうざいけど、程よく、ロマンス、アクション、コメディ、ドラマが散りばめられたウエルメイドと言っていい内容だ。原題は“ヴィーラ”(勇者)。クマールの映画を初めて見たけど、この人は、ヴィジャイのライヴァル的存在で、ラジニ様らの跡目くらいのポジションの人らしい。この人の映画はもっと見てみたいなと思わせる存在。弟たちは案外弱くて大したことなかったけど、後はタマンナーの魅力で映画は保っていた感じ。文句なしのハッピーエンドも嬉しい。熟年ロマンスも悪くないね。
2024年04月04日
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今月のCSムービープラス“ハマる!インド映画”は、バレンタインデー特別篇(笑)ってことで、映画ではなく「バーフバリ」のプラバースが出た、インドのトーク番組の放送だ。「アンストッパブル・ウィズ・NBK」のNBK(ナンダムーリ・バーラクリシュナ)は、テルグ映画界のベテラン俳優だそう。アメリカの「トゥナイト・ショー」等のノリだけれども、こっちはもっとミーハーな内容だな。以前もムービープラスでは、「コーヒー・ウィズ・カラン」という番組で、プラバース、S・S・ラージャマウリ、ラーナー・ダッグバーティの「バーフバリ」トリオを招いた回を放送したことがあったけど、そこそこトークだったあの番組に対し、こっちは更に俗な作りで、とにかく、独身のプラバースのお相手は誰なんだというところばかりツッコミを入れていく。番組は2022年の放送だったようだけど、その時点でもプラバースは42歳。確かに、この年齢のインドの人で独身を貫いているって珍しいのではないか。割と普通の服装の感じで現れたプラバース、背は高く、足のサイズは31.75もあるそうな。「カラン」でもそうだったけれど、やはり、かなりシャイな人のようだ。プラバースがブレイクしたのは2000年で、ラージャマウリとの「チャトラパティ」も2005年。既に結構なキャリアの人で、番組のオープニングでの取り上げられようは、もうラジニ様らにも匹敵する大スーパルスターの扱いだった。ダーツのゲームで、いきなりラーム・チャランに電話をかけて、司会者がラームにプラバースの相手は誰かを問い詰めたりする。ラームといえば、あの「RRR」の人だ。テルグ映画のスターたち、何気に繋がっているのだ。しかしまあ、何だかなあって作り。前編の1時間はどうにか見たけど、後半はもういいやと(苦笑)。そういえば、最近、リティク・ローシャンとか特定のインドスターの誕生日を勝手に?祝う集いとかが有料で催されたりしているよう。ちょっと、韓流ブーム時代のファンミのようなノリだね。時代は変わったねえ。尤も、肝心のインド映画は、最近、劇場では久しく観られてない気がする。まあ、以前ほどの大物はないけれど、たまたま沖縄ではこのところ上映されてないだけみたいなので、ナイチの方に行けば、また・・・
2024年02月26日
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年末特別企画じゃないけど、10月にムービープラスで放送された、インド映画「炎」'75を録画視聴。“ショーレイ”だね、これ見るのは10数年ぶりだと思う。アミタブ・バッチャンは、この時点ではクレジットでは4番目。しかし、この映画が決定的な出世作となって、ビッグBとなったのは周知の通り。クールだけれども人情と友情に厚い、好感溢れるタフガイとしての魅力が炸裂。改めて、プロットは「七人の侍」及び「荒野の七人」だね。そこにマカロニウエスタン風味も加え、更にインド映画ならではの要素もたっぷり。インドでしか作り得ない、てんこ盛りの娯楽作品だ。リマスターされたらしい映像はクリアで、音楽やクレジットも作り直されたよう。アミタブとダルメーンドルによるバイクとサイドカーに乗っての友情ミュージカル。ヒトラーのような所長をやり込めての刑務所脱走。舞台の村では、二人が「七人の侍」の3、4人分を兼ねるキャラクターを演じる。冒頭の鉄道アクションも迫力たっぷり。アクション描写の巧さは特筆物だ。ただのおしゃべり女に思えたバサンティ(ヘーマー・マーリニー)、盗賊ガッバル(アムジャド・カーン)に捕らえられたダルメーンドルを救うために献身的に踊り続ける。なかなかグッとくる場面だ。そして、アミタブのプラトニック・ラブ、その相手が自身の奥さんとなるジャヤー・バードゥリーなのだった。ジプシーたちの村でのアイテムアンバーもあったり、ちょっと余分かなとも思える娯楽色もたっぷりなのが、あくまでインド風。最後にガッバルを仕留めるのは、アミタブでもダルメーンドルでもなく、両腕を奪われた、元警官、村長のサンジーウ・クマールだ。真の主役が誰とは特定できぬキャステイングだが、結果的に、アミタブの存在が、この映画を歴史的なものに祭り上げた。インド映画の歴史に残る大名作の大元ネタが日本映画であるということが、大きな誇りに思える1作だ。HD整理のために見たというのもあるけれど、消去してしまうのは勿体無い気も。まあ、DVDは持っていたとは思うけど。以前は当時のフィルムセンターで観たのだけれど、これはまた劇場の大スクリーンで観てみたいと思える1作だ。色々やってるインド映画フェスとかででも、2年後の公開50周年記念の劇場公開を待望するぞ。
2023年12月27日
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CSムービープラスで放送の「戦神デヴセナ」、ようやく全24話を見終わった。まあ、何というか、「RRR」とかとはテイストは異なるけれども、展開や発想の自由さというのには、なかなか舌を巻かされるドラマであった。何せ、5000年前の誰も知らない時代のお話だから(以下、ネタバレあり)。11月に7話まで見た時点で日記に書いたけれど、話が一気に200年後に飛んでしまうのにはたまげた。早く言えば、主役の二人のデヴセナとヴァルンデヴ(後半はジャルデヴ)は転生して後の世でこそ結ばれるという話だったのだ。ま、色々あるんだけど、前半で描かれた女王の父殺しとか、アーリアとドラヴィダの対立とか、そういったものが、終盤は全て収束していくというか、そんな展開なのだ。そりゃあツッコミどころを上げればキリがないくらいあるけど、この際、細かいことは言いっこなしってとこか。しかし、最終盤で最も解せなかったのは、ジャルデヴの師匠で、アーリア人殲滅に燃えていたインドラミトラが、急に愛に目覚めて改心してしまうところ。デヴセナの暗殺者であったジャルデヴももっと葛藤があっておかしくなかった。そのジャルデヴを姉と取り合うことになりそうだった、妹のメクラは収まったのか?これ、実はカットされているところもある?デヴセナの兄と判明したマニカルニカの最期もアッサリ過ぎ。第三の性キンメルで異彩を放っていたにも拘らず。まあ、最後に至っては、ほとんど血が流れず、愛と平和で治まっていくあたり、作者のメッセージはわかるけれども、ちょっと安易な気もするなあ・・・主役二人の愛の結実も、案外あっさりなんだよね。ボリウッド映画並に、最後は喜びのミュージカルでも展開されればよかったのに(そういえば、歌や踊りはほとんどありません)。テーマ曲、前半は“パーラン・パーラン”だったけど、後半は“デーヴセナ〜ア〜ア〜”にチェンジ。そうそう、最終話でようやくコブラおばあの呪いが解けてぐるぐる巻きから解放される。タヌージャーという名女優が演じていたそうだ。他の脇役陣も名のある人を配していたようで、それぞれ風格は感じられた。でも、やっぱり、個人的には、肝心のデヴセナが今いちだったんだよな。ヴァルンデヴ=ジャルデヴのラジニーシュ・ダガルは女性に人気が出たことでしょう。とにかく、長丁場お疲れ様でした。
2023年12月26日
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昨日に続いて、「戦神デヴセナ」の続き、4話から7話目を。正確には、“デーヴセーナ”といった発音だけど(以下、ネタバレあり)。なかなか進展が早いというか、もう、この前半で、ドラヴィダ国の女王の本当の死因が明かされる。実はドラヴィダ国とアーリア人は以前にも交流があり、女王はアーリア人の商人と恋に落ちる。しかし、当然、二人が結ばれることは周囲の反対にあい、女王は自ら命を断つ事になる、娘も同じ道を歩むだろうと言い残して。そして・・・ドラヴィダ国とアーリア人の決戦の時が近づく。武器を持つことを禁じられたデヴセナは戦闘に参加できない代わりに、その父アラバムダンが先陣を切る。そして、ヴァルンデヴとの対決。だが、アラバムダンはヴァルンデヴに敗れて気を失う。とどめを刺そうと思えば刺せたのだが、アーリア人は陽が暮れたら戦ってはならないという決まりがあり、ヴァルンデヴはアラバムダンを見逃し、水を飲ませる。ドラヴィダ国的には、敵に同情を得ることは死罪に値するということでアラバムダンは死刑を言い渡される。その父に名誉ある死を与えるには・・・女王となるデヴセナ自らが手にかけないとならなくなる。なかなか強烈な展開だけど、3話で女王の即位式は中止になったけど、これを持ってデヴセナは正式に女王ということになったようだ。そして、戦闘での被害者を増やさぬよう、決闘で勝負をつけることになる。戦うのは、当然、デヴセナとヴァルンデヴだ。徹底的な女系社会のドラヴィダは、男は弱いものだと思われている。加えて、裸を晒すことは何よりも恥だと。一方のアーリア人は、身分の低いものは上半身裸が当たり前。でも、こちらも戦いの流儀は色々と定められていて、その流儀に反してまで勝利を得ようとはしない。史実かどうかはわからないけれど、昔のインドは、なかなかに誇り高く、高潔なる民族なのだったと。しかし、デヴセナとヴァルンデヴは、既にお互いビビビと響き合っている。戦いながらも、それぞれに惹かれ合い、一方で、それぞれ相手は親の仇だと思っているという複雑な関係。でも、この段階でここまで進んでしまうと、後10数話はどんな展開になるのやら。勝負は悪天候のため、翌日に持ち越しとなったが・・・ついでに見られた8話目で、もう二人はラヴラヴだ。今死んでしまえば来世で会えると、場外乱闘になった二人はお互いを刺して相討ちとなる。まあ、死んでないのだろうな(話続かんし)。ってことで、どうにか追いついた。来週の分も何とか時間を作りましょう、パーラン、パーラン(テーマソング)・・・
2023年11月17日
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インド映画に注力するCSムービープラス、今度はインドのTVドラマの放送が始まった、全24回とのこと、参ったね。でも、脚本があのS.S.ラージャマウリの父V.ヴィジャエーンドラ・プラサードだなんて聞けば、そりゃあ見ないわけにはいくまいね。先月、先行放送があった際には見られず、今月の本放送からようやく。「戦神デヴセナ」であります。60分枠の放送で、実質45分、まずは3話まで見てみた。時は5000年前のインド、国家建設を目論むアーリア人と、既に王国を築いているドラヴィダ人。この南北の対立と、多分、ラヴストーリーがお話の骨格。アーリア人の主人公は、甘い二枚目のラジニーシュ・ダガル=ヴァルンデヴ、そして、ドラヴィダ人の主人公はタイトルロールのデヴセナ、演じるはカルティカ・ナイアだ。デヴセナは、かなりのお転婆娘というか、そもそもドラヴィダ国は、とにかく女天下なのだ。だからというわけでは無いだろうけど、イケメンのヴァルンデヴに対して、デヴセナはあんまりきれいじゃないな(失礼)。そう、ドラヴィダの方は、国を治めるのは女王様であり、導師も戦士も女性だ。導師ハフマは、いつも5、6匹のコブラでぐるぐる巻きのコブラおばあ(失礼)だけど、あれはCGなのか?コブラが動いているのが気になる。デヴセナは女王の遺児なので、いずれ即位することは決まっているのだけど、権力争いの中で、色々と邪魔が入る。更に、実父であるアラバムダンも実は敵なのかも?という、一筋縄ではいかない状況だ。一方、アーリア人の方は、ヴァルンデヴがすんなり将軍に出世するのだけど、これも周囲の妬みもあって、最愛の父を失うことになる。父を殺したのはドラヴィダ人だったということで、ますますドラヴィダ征服の決意に燃えるのだった。そんな対立する両民族の二人が運命的な出会いを果たしたはずだけど、あれ、続きはどうなったの?しばらくは、それぞれの民族の話が個別に進んでいたけど、次回以降は双方が絡んでくるようだ。ラージャマウリ作品ほどの極端なCG使いとかはなく、自然に?見ていられるけれど、戦闘場面が多くなる今後はどうなるか。どこまで歴史に則っているお話かはわからないけれど、一応、真面目な作りなので、歌とか踊りとかはありません。月曜から木曜の週4日間放送で、既に8話分が溜まっている。ちょっと残量が危うくなっているHDを空けないことには。というわけで、がんばって、明日も続きを見るとしましょー。
2023年11月16日
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CSムービープラスの、先月の“ハマる!インド映画”は、「チャトラパティ」'05。「バーフバリ」のS.S.ラージャマウリとプラバースが初めて組んだ1作だそうな。なだけに、なかなか濃いぃ1作だ。展開もだけど、色々、神話的な暗喩もあるようで・・・(以下、ネタバレあり)。“チャトラパティ”とは、“民のために生きる人”とのことだが、マラーター王国のシヴァージの称号。だから、プラバース演じる主役も、名前はシヴァージ。そして、異父弟の名がアショクというのも意味深だ。映画は、冒頭で、母を巡る、この兄弟の確執が描かれ、それが成長後の終盤で再び話の核となっていく。最初の舞台はスリランカなのだけど、タミル難民というのがいたんだ。同じインド系民族とはいえ、やっぱり、差別はある。地元住民に迫害された移民たちは船でインドへ脱出。そこでも難民たちは苦労を強いられ、地元の顔役にこき使われる。シヴァージは素手で鮫を退治するような超人(ここでのCG?はこれくらいかな)。文盲の母親の世話をしていた子供が殺され、ついにシヴァージが立ち上がる。顔役を倒し、チャトラパティとして君臨するようになる。まあ、ほぼヤクザなんだけど(汗)。シリアスな話のはずなのだけど、そこはラージャマウリの娯楽性か、度々、ノー天気なミュージカルが挿入される。役所の職員のシュリヤー・サランと相思相愛になるのだけど、結局、結婚までは行かないのかな?一方で、やはり、インドに渡っていたアショクと母がシヴァージの近くにいたりする。子供の頃からシヴァージを憎んでいたアショクが、シヴァージの前に立ちはだかる。敵と組んでいるアショクにさえ、シヴァージは援助をする、それは母がいるからでもあるが。終盤のアクションはすごいことになってくるが、シヴァージはアショクをかばう母に拳銃で撃たれてしまう。シヴァージもアショクも倒れてと思いきや・・・最後はみんな揃ってるじゃないか!やっぱり、家族は何があろうと一つ。まさかのハッピーエンドかい。プラバースとシュリヤー・サランのミュージカルは結構エロいし、役所の小間使い?何だかコメディパートを担う三枚目も度々登場する。そんな具合に見せ場はたっぷり。現代インド屈指のフィルムメイカーでエンタテナーであるラージャマウリらしい盛りだくさんの1作だった。
2023年11月02日
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先日の「パターン」にも匹敵するインド映画の重要作と言える「K.G.F」。カンナダ語映画がロードショー公開されるのは日本初?でも、あの「RRR」を超えるヒットとなったという。これは観なきゃと思うも、桜坂劇場のスケジュール組がなかなか難物で、観たくても観られないという状況が続く。2部作をうまいこと観られるように組んでほしいが、どうにもタイミングが合わない。そして、とうとう・・・ホールAでの上映になったのはよしとして、3時間近い映画なのに夜9時からの上映とな。もうビールも飲んでまったりな時間から濃そうなインド映画を観るのか、しんどいなあ。でも、来週以降続くかどうかもわからないし、続いたとしてもホールAではないかも知れない。結局、ハヴ・ノー・チョイスで観ざるを得ず。今日パート1を観て、明後日パート2を観るという計画で。何やら女性ジャーナリストが、出版された本と著者にイチャモンつけるという、思わせぶりな始まり。その著者らしき初老作家の語りで物語が展開ということらしい。貧しく育ったロッキーは、絶対に金持ちになると誓って裏社会に入っていくのだけど、とにかく、向かうところ敵なし、世界はオレのもんだという超絶キャラ。昨今の状況何するものぞ、見初めた娘は、もう自分のものと決めちゃってる。そして、アクションもミュージカルも矢継ぎ早に展開。テンション上がりっぱなしの上に濃いぃまんまにドンドン話が進むが・・・回想的な話になってからか、とにかく、カットが全て2秒以内に切り替わる。その目まぐるしさが1時間ずっと続くって信じられる?そのうち落ち着くのかと思いきや、ずーーーーーっとなのだ。何かテレビドラマのダイジェスト版のようにも思えてしまうし、展開がわからなくはないけれど、ちょっと無茶過ぎる。暴力的なのは映画の内容のみならず、この映画の見せ方そのものが極めて暴力的なのだ。例えれば、10年前くらい?「ポケモン」のパカパカで子供が目眩を起こしたってニュースになったけど、そんな映像がひたすら続くのだ。もう、観ていて、やめてくれと悲鳴をあげたくなるくらい。これは目にも良くないし、何だか脳にも悪影響を及ぼしそうな気がしてきた。これをまともに観ていられる人っているの?自分は耐え難く、途中から、もう字幕だけ観て、あまり映像そのものは観ないようにしていた。これはもう思い立った、“観るのやめよう”と。ちょうど1時間ちょい経過、インターミッションらしきところで席を立った。インド映画では、「燃えよスーリヤ」って映画がうざくて途中で寝たけど、途中で出た映画ってのは、この数年来他にあったかな?とにかく、この映画はいくら何でも鑑賞に耐えなかった。内容がどうこうではない。とにかく、絵的な問題だ。2秒以内のカットの連続を人間が見続けたら、どんな影響が出るのかとかいう実験をされているようだった。インド映画は、ラージャマウリ作品にしても、またインド現地で観た、あれもカンナダ語映画だったか、これまでの映画の常識を超えるような見せ方の、規格外の作品というのはあるけれど、こんなフラッシュバックみたいな映像がひたすら続く1作ってありなのだろうか?僕が出た後も、或いは、パート2も、あの調子の映像がずっと続いたのだろうか?だとすると、これはもう、狂った映画だと言わざるを得ない。ということで、当然パート2を観る気は亡くなった。お陰で、夜9時台から、また3時間近い映画を観る予定は消え、スケジュールが空いたのは、むしろありがたい。この映画、日本での世間的な評判どうなのだろう?僕はラージャマウリ作品は、そこそこ楽しんだし嫌いじゃないけれど、どこか掟破り、反則だろって考えが残ったのも事実。ボリウッド映画「パターン」の常識的な?展開に安堵を覚えたほどだった。インドでもマイナーと言えるカンナダ語映画は、更に掟破りであった。これは流行りの倍速視聴とかで観てもキツい映画ではないか。大ヒットということは、これを喜んで鑑賞したインド人は数多存在したということか。目や頭は悪くならなかったろうか?いや〜、これはまいった。ある意味、インド映画は世界の最先端かも知れないという裏付けにはなる1作だが、誰がなんと言おうが、この映画は自分には無理だ。インド映画の凄さを改めて思い知らされた1作ではあった。
2023年09月26日
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コザ宿で朝6時に起きてチェックアウト。コンビニで朝飯とコーヒーを買ってバス停でブレックファスト。始発に乗って、向かうは・・・まずは普天間、そこで乗り換えねばならない・・・接続が可かどうか不安だったが何とか。普天間バス停で降りて、パルコサンエーシティ行きに乗る。浦添のパルコ、前にも行ったけど、あの時は自転車だったと思う。海沿いのバス停に着いたはいいが、この時間SCはまだ開店してない。どこから入ったらいいものか、周囲をぐるぐるする。駐車場の下から入れるらしいが、8時オープンということで、しばし待つ。やっと、開いてエレベーターで3階に登る。初めてのユナイテッドシネマ浦添へ。まずは会員にならねば。ユナイテッドシネマは埼玉にもあったので、かつては会員だったけど期限切れて久しい。500円の会費を払って会員証を。ネットで登録もする。そして、映画のチケットを。会員料金だけど、土日なので1500円、加えてアイマックス上映なので、プラス500円、都合、2,500円!それでも、観る価値はある!というのが、「RRR」も超えて、インド映画史上最大のヒットになったとかならないとかの(やたら、記録更新されるので、もうわけわからない)ボリウッド映画「パターン」だ(以下、ネタバレあり)。キング・オブ・ボリウッド、シャア・ルク・カーンは、「ブラフマーストラ」のゲスト出演はあったけど、本格主演作の日本公開は、かなり久々の印象がある。それはインドでさえ然りで、復活!とか謳われている。「パターン」は、ヤシュ・ラジ・フィルムのスパイ・ユニヴァースの1作ってことで、公開済の「「タイガー」等に連なる1作とのこと。あの、訳のわからないマーヴェルの世界観をインドも拝借ってことか、ままよ。こんな早朝に観客いるの?と思いきや熱心なファンがいて、僕の他に4人。さすがにアイマックスのスクリーンはでかいな。客席の最後列に座って、さあ、開映待ち。「ブラフマーストラ」でもボロボロにされていたシャアルク、この映画でも最初はズダボロにされている。それでも何気に復活してしまうのがスーパルスターだ。要は、この映画、シャアルク版の「ミッション・インポシブル」だね。因みに、パターンとはパシュトゥーン人のこと。かつてアフガンでのミッションの際にパシュトゥーン人に救われたことに由来する。いきなりミュージカル、スペイン・ロケ?そして、ディーピカー・パードゥコーンが登場。シャアルクとディーピカーといえば、「オーム・シャンティ・オーム」のコンビ。これに、悪役がジョン・エイブラハムとくれば、顔ぶれ的には最強ではないか。エイブラハムは、祖国インドに恨みを抱いて裏切るわけだけど、必ずしもパキスタンに共感しているわけでもなく、ここいらで、あまり愛国映画に傾くことを避けている作りになってる。結局、シャアルクは、ディーピカーの色香に迷わされた形になるのか。しかし、パキスタンの諜報部員だったディーピカーも最終的にはインド側につくわけだから無問題?彼女を庇ってボロボロになっても、また復活するシャアルクかな。結局、政府公認の任務に従事するシャアルクだけど、最大の危機に瀕する鉄道の移動場面で助っ人が。白黒のカフィーヤが出てきただけで、インドでは拍手喝采!?“スパイ・ユニヴァース”らしい、「タイガー」サルマン・カーンの登場。生憎、「タイガー」未見なんだけど、あれと、何かもう1作が、ユニヴァースらしい。とにかく、シャアルク&サルマンの、おやじカーン・コンビの活躍で危機を突破。ある意味、ここは最大の見どころかも知れない。クライマックスは、「007」の如く要塞のような敵陣に突っ込んでいくというもの。コロナを更に強力にしたような生物兵器を積んだミサイルを、デリーにぶち込もうとする陰謀を、シャアルクらが阻止する。フライングマシーン?みたいなのでのチェイスは、アイマックスの醍醐味を味わえる。ここらは、やっぱ、ボリウッド映画で、派手ながらも、そこそこ抑制が効いているというか。「RRR」とかのテルグ語映画だったり、「KGF」はカンナダ語?それにラジニ様のタミル語とか、インド映画は色々あるわけだけども、やっぱり、王道ヒンディー語のボリウッド映画が一番落ち着くというか。正直、ラージャマウリの映画は、「バーフバリ」のような神話世界の映画はともかく、近代の映画となると、CG等で、これはやり過ぎだろうという印象が強い。その辺、ボリウッド映画は、まだ常識の範囲内というか、違和感なく安心して観ていられる。しかも、きっちり楽しませてくれるし、やっぱ、インドといえば、何はさておきボリウッドだよな、という思いを改めて強くした。「OSO」以上にムキムキのシャアルク、露出度高めのディーピカー。そこそこシリアスな話だけど、やっぱり、ミュージカル場面は、2、3はある。でも、これぞボリウッドだ。スペイン、ロシア、トルコ、イタリアでもロケ?スケールもさることながら、何よりも前記の通り、そりゃあ無茶だろという手前の描写に抑えている。まさに、ボリウッドのお手本的1作。これは2,500円払う価値は充分にある作品だ。シャアルクは、この後に出た最新作も大ヒットしているようで、まさに完全復活。最後に、再びサルマンが登場して、”もう年だけど、まだやるしかないか”みたいなセリフを吐いていて、スーパルスターの意地を垣間見せる。何と、この二人、もう還暦近いんだね。勿論、インド映画界は、若い有望なスターは数多いるけれど、やはり、歴史に残るようなメガヒットを残せるのは、この二人、と後は数名ということか。いや〜、6時起きの甲斐はあった。この1作をアイマックスの巨大画面で観られたことは何物にも変え難い。サルマンの「タイガー」は未見ながら、ハリウッドのマーヴェルなんか目じゃない、このスパイ・ユニヴァース・シリーズ、もっと観てみたいね。書きたいことはまだまだあって、筆足らずではあるけれど、とにかく、久々にボリウッド映画の本領を堪能出来て大満足だった。やっぱ、インド映画は、カーンですよ。もっともっとボリウッドを!
2023年09月09日
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重要なインド映画2作(3作?)が相次いで、公開中、公開予定。まずは、「パターン」。トリウッドもいいけど、やっぱり、ボリウッドだってことで、シャアルク・カーン新作は絶対観たいところだけど、沖縄では?何と、ユナイテッドシネマ浦添のアイマックスでのみ上映とな。よーし、では、今週末に観に行こうではないか。とっくに切れて久しいユナイテッドの会員証を作って会員割引で、それでも、週末となると1500円は払うよう、まあ、やむなし。更に、アイマックスならプラス500円。ええい、シャアルクなら2,000円くらい払ったるわい!それに・・・浦添行くなら自転車だ。一方、週末はパルコ側に在しますキャンプ・キンザーでフェスがある。土曜のステージのメインは、ケイシャ・コールという人、知らんけど、そこそこ有名なのかな。それよりも、日曜のトリは、バウハウス。去年のキャンプ・ハンセン・フェスにも出ていて、ちょっとした話題になったのだけど、およそ米軍基地イベントなぞには出そうもないピーター・マーフィの、あのバンドなのか。県外の基地イベントにも出るようで、ソロのボウイ・トリビュート・ライヴ以外に、クラシックロック営業で稼いでいるのかも知れない。ハッキリ言って、あまり趣味ではないタイプのサウンドではあるけど、レアという意味で見ておいてもいいかなと。「パターン」+キンザー・フェスの予定を考えたのだが・・・今日になってユナイテッドの上映スケジュールが出たが、「パターン」続映はよかったけど、何と朝8時半からの1回上映(爆)。早起きして行くだけでも大変だし、何より、これでキンザーとの合わせ技の目論みは崩れ去った。それでも、「パターン」は観るとしても、さすがにもう一度夕方に自転車で戻ってキンザーに?ってのはバカバカしい。バウハウス、やっぱり、縁がないか・・・一方、もう一つの重要作は、「K.G.F」だ。桜坂劇場での上映があるのはいいけれど、やたらに上映作品の多い桜坂は、このところスケジュールが発表されるのが、とてつもなく遅い。こちらも、ようやく出たけれど、チャプター1は朝いちホールBで、チャプター2は午後からホールAで、とか無茶苦茶な組み方だ。どっちもホールAで観たいに決まってるじゃないか!おまけに平日は、毎日1が昼、2が夜の上映で、観られるわけがない。これで、再来週の鑑賞予定はチャラ。まあ、上映はしばらく続くだろうけど、前記の通り、結構、週末は色々あるので、平日の夜に1、2が共に日を替えて観られるようなスケジュールにしてほしい。で、またスケジュールが出るのがギリギリで予定が決まらない。一体いつ、観られるかねえ・・・ということろで、沖縄のバスアプリは全く役に立たないものばかりだけど、ちょっとグーグルマップで、土曜のコザからの帰り(金曜にエイサー見物で泊まるのだ)の朝に「パターン」を観られないか出してみると、おお、不可能じゃない、6時起きだけど(爆)。基地があるもんだから大幅に回り道で、胡客まで行って、そこでバスを乗り換えて浦添パルコへ。それで、8時半の上映にはぎりぎり間に合いそう。よし、それで行くか。で、日曜は、自転車でキンザーに行く。く〜、我ながら、マジかい。でも、こうなったら行ったるで、ヤケだ。
2023年09月05日
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CSムービープラスの“ハマる!インド映画”、今月は、これはどこの映画なのかな?「ルートケース」'20。これは衒いなく面白いコメディ。スーパースターは登場しないけれど、インド庶民のちょっとしたハプニングを面白く描いている。見たのは昨日だけどね。まあ、フツー、スーツケースに入った大金なんて見つけたら、これはヤバい金だと思って放っておくもんだけど、主人公のナンダンは奥さんに金がないと言われ続けているので、ついつい魔が差してしまう。印刷工で地道に働いて、優秀社員賞までもらえるくらい真面目なのだけども、お隣の部屋の鍵を預かったばっかりに、その部屋で金の物色を・・・その金は、当然ヤクザの金。ヤクザの対立組織や汚職警官、政治家も交えての何巴えか。さすがに政治が絡んでいるから、次第に包囲が迫ってくる。ここらの組織の関係も面白く描かれていて、割と丁寧な作りのコメディという印象だ。ナンダンが何だかんだ奥さんともラブラブなのがいいね。貧しいけれども、そこそこ幸福に生きる3人家族。裏社会や贅沢の怖さを知って、つましい生活が一番だと元の鞘に収まる。本当は、結構、金を使ってしまっているので、返却したとしても色々問題あるだろうけど、そこらはスルーして、家族の本当の幸福に目覚めるという愛らしいお話。小品ながら、楽しめる1作。主役のクナール・ケームー、ラスィカー・ドゥッガルの夫婦もいい味だった。なかなかの拾い物。さあ、来月は、いよいよ、あの「ショーレイ」をやるらしいぞ!
2023年08月29日
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先週の金曜に放送されたEテレ「ドキュランドへようこそ」なる番組の“ボリウッド映画を超えて 〜インドの女性監督たち〜”、見ていたのだけどウツラウツラしてしまったので、録画で改めて視聴。原題は“ウーマン・ビヨンド・ボリウッド”だ。インド映画とて、当然、ミー・トゥー等の影響は受ける。というか、それ以前からインド映画における女性の描き方に疑問を感じ、インドを出てカナダで映画制作をしていたラヒラ・ブートワラという人を語り部に、インド映画の女性進出と描き方の変化を追う。だから、カナダ制作だ。番組中に女性製作者が語る通り、確かに、ボリウッド映画は、インド映画の一部に過ぎないという見方もあるだろう。ただ、それ以外の地域の映画が、ボリウッドとは対極の進歩的な内容なのかというのには疑問がある。ここでは、ボリウッドを中心に、インド映画の定番の描き方が批判される。まずは、“イブ・ティージング”、女性が根負けするまで執拗に男が付きまとうストーカー的なアレだ。それに、高身長で色白、高い露出度で男を誘う“チクニ・ガール”、そして、本筋とは何の関係もない“アイテム・ナンバー”。いやあ、インド映画好きが、とりわけ好んで見てしまう要素だな、反省、反省・・・アル・ナラジという監督は、早い時期から、かなり進歩的な内容の映画を撮っていた人らしい。代表作が田舎の農村部で上映され、その上映に監督自身とブートワラも立ち会う。彼女ら曰く、村の長らの方が進歩的な場合があり、むしろ、村から都会へ出た男の方が女性の社会進出を拒む傾向があるという。番組を見ると、インド映画界でも意識改革は進みつつあるようだ。しかし、それ以上に宗教的な内容については依然抵抗が強く、実際、近年のインド映画はヒンディー至上主義の映画が相当ハバを利かせていると聞く。番組中の、新進女性監督も、宗教について取り上げるのは止めるように両親から言われていると涙ながらに語る。まだまだ壁は高く、厚そうだ。先にも書いた通り、インド映画は、旧態依然の描写を面白く見てしまうという傾向があるので、見る側も意識改革が大いに求められてしまうのだ。僕らが面白いと思うインド映画の描写が現代の視点から見て肯定し得るものかどうか。インド映画は、他の国や文化圏の映画とは別と思ってきたし、そこが面白さだった故に、これはなかなか難しい問題だ。ちょっと複雑な気持ちになってしまう内容ではあった。
2023年08月21日
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CSムービープラス、今月の“ハマる!インド映画”は、先月に続きNTR .Jr主演のテルグ語映画「アラヴィンダとヴィーラ」'18だ。さすがに、先月の「ヤマドンガ」とは違って、今のNTR .Jrに近いルックスだ。タイトルが二人の名だけど、プージャ・ヘグデ扮するアラヴィンダはあくまで脇で、やっぱり、NTR .Jrのヒーロー映画ではあるのだが・・・何となく似たような設定の映画が・・・2月にムービープラスで放送された、S.S.ラージャマウリ監督の「あなたがいてこそ」だ。あれとこれは、同じ地域を舞台にしているらしい。何だか豪族みたいな一族が地域を支配していて、地域ごとの支配者が対立しているケースがある。それで、「あなたがいてこそ」同様に、末代まで対立が続いていて、今尚、血みどろの戦いが・・・って、こんな前近代的な世界がインドには残されているのか?映画の題材には頻繁になってるみたいなので、あるんだろうな、ひえ〜。で、故郷に帰るなり、父や叔父を殺されたNTR .Jr、当然、血みどろの復讐劇が始まるかと思いきや、さすがに現代っぽく、少しは思慮深い人物という設定。転がり込んだ都会の弁護士の家、正確には、ボディーガード的に雇われた形。その、護るべき存在がアラヴィンダで、クールそうに見えるヴィーラ(専らラーガヴァと呼ばれるが)=NTR .Jrだが、アラヴィンダにはひと目惚れだったみたい。実際、NTR .Jrとは違って現代風のルックスのプージャ・ヘグデは、なかなかイケてる。ただ、彼女をメインにしたミュージカルが少ないのは、歌や踊りは苦手な人?劇中、盛んに“派閥(ファンクション)”という言葉が出てくるけど、これが、地方特有の家父長制を表しているらしい。劇中にも出てくるけど、豪族一家の人間は政治にも進出していて、合法的に地域を牛耳るようだ。ファンクション映画はインド映画の一つのジャンルになっているくらいに盛んで、「あなたがいてこそ」は、そのパロディ版だったのそうな。インドのローカル、なかなかすごいな。それでも、NTR .Jrは、大学でファンクションの研究?をするアラヴィンダや、母や叔母といった女性陣の話にも耳を傾け、この無益な争いを終わらせようとする。血みどろのアクションは展開されるけれども、それなりに現代的に感覚に即した作りはなされている。NTR .Jrのクールだけど熱い演技、ヒロイン、プージャ・ヘグデの魅力も相まって、見どころは多い興味深い1作にはなっている。ボリウッド映画とは異なる、ローカルならではの闇をも娯楽映画として仕立て上げてしまう強かさに、インド映画の底の深さも感じた。やってくれるよねえ。
2023年07月24日
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CSムービープラス、今月の“ハマる!インド映画”は、あの「RRR」のNTR .Jr主演のテルグ語映画「ヤマドンガ」'07とな。また、スゴイの掘り出してきたね、でも、これ、S.S.ラージャマウリ監督作品なのだった。「RRR」は1日にしてならずというのは、よくわかる。前半はNTR扮するコソ泥ラジャのコミカルなアクションだ。格闘もカーチェイスもある。ラージャマウリは、虎を出すの好きだね。そして、金貸業らしい娘とのミュージカル。この映画のミュージカル場面は、全体的に結構エロい。とりわけ、この金貸娘は、なかなか魅力的なのだけど、彼女はあくまでNo.2で、本来のヒロインはまた別に・・・酔っ払ったラジャが、冥界の閻魔大王に悪態をつく。これを聞きつけた大王は、ラジャを寿命よりも早く殺して冥界へ送り込ませる。つまり、主役が途中で死んじゃうわけだね。まあ、それでは終わらないだろうが、というところで、この映画、いきなりの急展開。以後は冥界でのやり取りが延々。死んでもただでは起きない?ラジャは、新閻魔大王として旧閻魔大王に取って代わろうとする。因みに、ヤマが閻魔で、ドンガが泥棒の意味とのこと。閻魔泥棒というタイトル、まんまの展開だね。色っぽい天女たちを使って選挙戦を展開するとか、笑える趣向は色々あれど・・・インドでよくある神様映画にお笑いを交えたユニークな1作ではある。ミュージカル場面も豊富で、あの「RRR」と同様、NTRは、ツイスト効かせたキレッキレのダンスを披露するも、この監督のミュージカル場面は、いつも少しコマ落としというか、回転早めにしている気がする。サウンドもヒップホップ調で、この時代としては結構先端だったかも。とはいえ、これを3時間やられると、ちとキツイな。途中で眠くなってきてしんどかった。肝心のヒロインが地味で、先の貸金業娘や、アイテムナンバーで登場した女優よりも華がなくて残念。NTRはジュニアとついているだけあって、シニアもスターだったそうで、サラブレッド。その、シニアの主演映画がベースになっていて、色々、オマージュもあったのだそうな。それでも、大いにぶっ飛んでいるのは、ラージャマウリ作品ならではと言えたかな・・・
2023年06月26日
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CSムービープラスの、毎月恒例、“ハマる!インド映画”5月の放送は、何と、「ラジュー出世する」'92であった。これ、多分劇場だろうけど、20年以上前に一度見ているはずだ。「ムトゥ」に先駆ける、数十年ぶりの一般公開のインド娯楽映画であり、まさに、シャアルク・カーンの出世作。先日の「ピンク」のアミタブ・バッチャンに続き、共に「ブラフマーストラ」で久々に見た大物二人の出演作を相次いで見られるのは何よりだ。リマスター版らしく、画質は極めてクリア。最初の舞台はダージリンで、意気揚々と都会に出ていくラジューを、チベットっぽい顔立ちの人々も見送る。ボンベイでは、下町のおっさんたちのミュージカルで迎えられる。都会とはいえ、下町は義理人情の世界で、あてのないラジューは、いきなり、ナーナー・パテーカル扮するジェイの世話になる。このジェイという人物、口八丁で稼いでいるらしいが、海千山千の男で、映画の狂言回し的存在となる。タイトルソングとも言える、“ラジューが出世した”のミュージカルが楽しく、初々しいシャアルクが見られる。ヒロインは、ジュヒー・チャウラー扮する下町娘レヌと、レヌが勤める会社の社長令嬢アムリタ・シン扮するサプナーだ。有能なラジューは、サプナーに見初められるが、そのことを疎ましく思う周囲の不興を買う。それは、サプナーの父である社長も然りだった。ここでもインドならではの身分の違いや、出る杭は打たれる境遇にラジューも巻き込まれていく。終盤、痛めつけられるラジューで、しっかり、シャアルクの鼻血もある。ラジューの窮地を救うのは、ジェイ、そして、サプナーであった。個人的にはサプナーの方が好みだけど、やはり、ラジューはレヌの元へ戻る。二人を見守る下町おっさんたちの人情が嬉しい。近年のボリウッド映画からすれば、ミュージカル場面なんかも素朴そのものだけど、ラジューとレヌの場面では、なかなかセクシーなやり取りもある。やはり、シャアルクのフレッシュな魅力を堪能出来るのが、この映画の何よりの魅力。観賞後も爽やかな気分が残る娯楽作だ。シャアルクといえば、大ヒット中という、新作「パターン」の日本公開はありやなしや。日本では、テルグ語やタミル語の映画に押され気味ではあるけど、王道ボリウッドのヒット作もここは一発、気を吐いてほしいところだね。
2023年05月31日
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CSムービープラスの月いち、”ハマる!インド映画”、先月のは2016年の「ピンク」だった。これ、2019年1月のインディアンムービーフェスティバルだったかで観ているのだけど、不思議なくらい覚えてない。シリアスな作品ながら正月気分で観たせいと思しい。「ブラフマーストラ」で久々にアミタブ・バッチャンを見たので、改めて見たくなり、録画視聴。マスク姿のアミタブがハンニバル・レクターみたいで不気味。彼が弁護士を引退したのは自身の病気(呼吸器系?)もあったようだけど、奥さんが余命幾許もないということが大きかったようだ。しかし、一線を退いても世に蔓延る不正はどうしても気になる。たまたま、彼の家の向かいに住む独身女性たち3人の抱えるトラブル。確かに、インドでは女性たちの共同暮らしは珍しそうだ。さすがにインド映画も、その社会の後進性を真っ向から取り上げる題材が増えている印象だ。ストーカー恋愛当たり前だった印象のボリウッド映画ですらだ。女性たちへの差別、偏見、加えて、相変わらず有力者や金持ちが警察や司法をも牛耳る現実。そんな問題の数々を、この映画はミュージカルもソングもなく、至って真面目に取り上げる。それにしても、被害者女性を車の中に監禁するわ、アイコラをSNS拡散したり、男たちは、そこまでやるかの横暴ぶり。そして、ついにアミタブが彼女らのために立ち上がる。以後は、法廷劇。無愛想に見えたアミタブが、しかし、確実に論理的に被告の虚偽を暴いていく。3人娘の一人が、突然、金銭の取引があったと言い出すのは、ちょっとした転をもたらすためか。ここは、ちょっと解せなかったけど。一応、中身については、ある程度、初見の時に書いていた。いやいや、これは改めて見ると非常に秀れた内容で、何よりアミタブの重厚な演技が圧巻だった。一方で、それ以外の、娘たちの父親も含めた男たちの情けなさが際立つ。尤も、女性警官ですらも、やっぱり、権力者に絡め取られているのだけど。エンドタイトルでの“君よ、己の道を探せ”というアミタブの詩の朗読は、彼の父親のもの?インドの詩というのもいいね、タゴールとかをアミタブが朗読した録音なんてのも出ているかも。インドに行く機会があったら、きっとあるだろうアミタブの朗読CDを入手したいなと思った。でも、言葉がわからんか。わからんといえば、「ピンク」のタイトルの由来もわからず終い・・・
2023年05月16日
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桜坂劇場ホールAでインド映画「ブラフマーストラ」初日鑑賞。こちらはボリウッドだけど、かなり話題になったようで、「RRR」に劣らぬヒットになるかどうか?のっけの遊園地のような場所でのミュージカルがすごいスケール。これだけでも相当力入っている1作であることはわかる。ランヴィール・カプールはDJシヴァとのことだけど貧しい生まれらしい。そこで、アーリアー・バットに一目惚れするのだけど、これがあまりにトートツで、アーリアーは、実は何か企みがある存在なのではと勘繰ってしまった。何たって、アーリアー扮するイーシャは、シヴァの妻なわけだから、わかる人にはわかる運命の恋。それにしても、「RRR」の時も、これもアーリアーなの?と思えたけど、またまたまたアーリアーって印象だ。ちょっと、このロマンスは退屈感があるな。しかし、この映画、いい具合に盛り上がったところで、突如、謎の炎が燃え出して、展開が急転するというパターンが何度もある。ランヴィール=シヴァは、突如、別人の危機の様子を知る。それが、何とシャアルク・カーン。特別出演のようだけど、結構、傷だらけで奮闘。監督アヤーン・ムカルジーとの関係故の出演なのか。お話のキーであるアストラを所有する3人は、それぞれ大物が特別出演?しかし、シヴァとイーシャは、出会って以降はベタベタである。アーリアーは、大事な祖父の祝いも放り出してランヴィール、シヴァと共にヴァラナシへ。ここでまたラヴソングでミュージカルだが、アストラを持つもう一人を救うべく奮闘。ナーガールジュナ・アッキネーニという人はテルグ語映画の人みたいだけど、シャアルクや、もうひと方に匹敵する大物なの?そういえば、ブラフマーストラに使える殺し屋のボスの、モウニー・ロイという濃い系の女優さんは、どんな人なのやら。配給のツインのサイトって、こういう情報全然載ってないし・・・シヴァとイーシャが辿り着くのはヒマラヤのアシュラム。そこのグルというのが・・・これはもう後ろ姿だけでもすぐわかるアミタブ・バッチャンなのであった。高齢の村人だけでなく若者たちも指導する存在。そして、シヴァに炎の術?を授ける。“デヴァー、デヴァー”という曲にのって展開されるファイアー・ショウは、この映画の最大の見どころの一つ。そして、ブラフマーストラとの最終決戦。もう、わけのわからないくらいの炎の一大ページェントが展開される。この映画の原作ってコミックなの?ヒンドゥー神話とマーヴェル的な価値観を合わせた感じの壮大過ぎるお話は、もうちょっと理解不能レベルだけど、要は“愛は地球を救う”という結論に至る。そして、物語は大団円、と思いきや、これがパート1と出てずっこけた。パート2はデヴ篇で、パート3まである?もう、この1本で充分お腹いっぱいだけどな。マーヴェルというか、むしろ「スター・ウォーズ」の如し。そういえば、オープニング、20世紀フォックス調であった。クレジット上は、特出かと思われたアミタブがトップだった。ランヴィールとアーリアーって、この映画がきっかけで結婚したの?このところインド映画といえば、「バーフバリ」から始まったテルグ語映画の印象だけど、シャアルクにアミタブも動員しての総力戦で、ボリウッドも負けじと底力を発揮した1作ではある。でも、S・S・ラージャマウリのお墨付きも得ているとのことで、やっぱり、時代はテルグ語映画の方なのだろうか。でも、シャアルクの新作の「パターン」ってのが観てみたいな。これも、スパイ・ユニヴァースの映画?って、勘弁してちょーだい・・・
2023年05月13日
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CSムービープラス、月末恒例、ハマる!インド映画、今月は、割と最近日本公開された「スーパー30アーナンド先生の教室」'19だ。これも実話に基づく内容だそう。リティク・ローシャン、ちょっと色が黒めで地味な容貌なのは役作り故か。おしゃれなオープニングは数学大国とも言えるインドならでは。インド人の数学的才能は、旅している時もよく体験したけど、お店のおばちゃんが、お釣りがキリがいいように、何々ルピー出せとか、よく言われた。これ、アメリカのマックのいい年こいたバイトが、電卓片手じゃないとろくに仕事できなかったのと大違い。教育のシステムもあるだろうし、元々、数学面で優れた民族なのだろう。リティク演じるアーナンド先生は、その中でも突出した才能の持ち主。しかし、貧しさ故に埋もれてしまう才能というのは、インドでは相当に多そうだ。貧しさだけではない。階級や差別、利権や欲得で世間から葬り去られる人材がどれだけいることか。娯楽映画ながらも、この映画はここらのインドの憂うべき現実もしっかり描く。事実、アーナンド先生は、最近まで脅迫されたり襲われたりといったことが絶えなかったらしい。日本でも予備校のスーパー講師見たいのはいるけど、アーナンド先生は、その地位にとどまらず、自分と同じように貧しさ故に学習出来ない子どもたちを無償で、しかも全寮制、食事付きで指導する。すごい話だが、確かにインドはこれくらいやらないと才能が開花させられなさそうだ。いつものムキムキで踊りまくるリティクはここにはいない。教室の学習場面や、ホーリーで教え子たちが「ショーレー」を英語劇で再現して、いつしかミュージカルにといった場面はある。更に、ヤクザたちが病院を襲う場面では、教え子たちが、ありとあらゆる知恵を駆使して対抗。ボリウッド映画ならではの娯楽趣向には溢れている。しかし、インド工科大学に落ちた学生がマサチューセッツ工科大学に進むってのは本当の話?確かに、アメリカのIT大手のCEOってインド人が多くを占めている。既に、インドの才能は世界を席巻しているわけで、更に潜在的才能が活かされたら、どれだけの成果が生まれるか。翻っての日本、いずれ、インドの足元にも及ばなくなるんじゃないかなあ、映画に描かれた世界だけではは済まない話のような・・・
2023年04月24日
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CSムービープラスで月いち放送のインド映画、今回は珍しやマラヤーラム語映画の「ジャパン・ロボット」'19を録画視聴。マラヤーラム語というとケーララ州だが、生憎、行ったことはない。ここも、ハイダラーバード辺りと同様、IT先進エリアらしい。画像で見ると、いかにもだっさい日本製ロボットで、てっきり、これは、おバカなコメディなのだろうと思って見始めたけれど、なかなかどうして、含蓄と示唆に富んだ内容の1作なのだった。主人公の息子はIT技術者だけど、父の面倒を見るために故郷で不遇の身を囲っている。しかし、心機一転、ロシアの日系企業に職を得て故郷を離れる。高齢で気難し屋の父の世話を託すのは、その日系企業の開発したロボットだ。頑固で保守的でカーストなんかにもこだわる父が拒否反応を示すのは分かり切っていたが、事が進むに従い・・・IT先進エリアといえ、主人公の住む地はど田舎と言っていい郊外の地域。住民も保守的で噂話が大好き。そんな地域で、ペットか子供のようにロボットを引き連れて歩く老人が奇異に映るのは当然だ。その老人とロボットの、奇妙ながら次第に人間的な絆が芽生える過程を描く一方、老人の老いらくの恋も絡ませるのは面白い。ロボットが紡ぐSNSや現代のテクノロジーが、それをバックアップし応援する。主人公の息子のフィアンセになるのが日本人とケーララ人の混血だという女性。ケネディ・シルドという人が演じて、メガネ顔が割と可愛らしい。言葉が話せるとはいえ、保守的など田舎に飛び込んで平然としているあたりの度胸の良さ。しかし、この映画、後半はちょっと意外な展開に・・・老人がすっかり気に入ってしまったロボットに、息子が、ちょっと嫉妬のような感情を抱くに至る。このロボットは試作品で、日系企業に返さねばいけなくなるのだけど、老人は拒む。とうとう、二人による逃避行に至るのだけど、最後は、やはり、人間の絆こそという事なのか、解体されたロボットは放置され、老人は息子の元に戻る。あれはちょっと可愛そうだよな。マラヤーラム語映画は、インド映画の中でも得意な存在感を放っているようだ。この映画も歌や踊りはないし、何せ、主人公は老人だ。ヒロイックなところはないし、映える主演スターがいるわけでもない。日本に対する、やや差別的な表現はあるけれど、主人公の老人も中国と日本を取り違えるようなことはない。改めてインド映画の多様性と裾野の広さを知らされる1作だった。やっぱり、一筋縄ではいかないね、インド映画は。
2023年04月17日
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CSムービープラスの毎月定例インド映画放送の1本、「シャウト・アウト」'20を録画視聴。2年前にテレビ視聴した「タイガー・バレット」の続編的作品で、原題も""Baaghi3"だ。だけど、あるあるながら、前作とは、ほとんど繋がりがなく、関係なく見られる。共通項は、タイガー・シュロフがムキムキの無敵で超人的アクションを展開するというところ。今回は、弱々しい兄貴のシュラッダー・カプールをひたすら守る弟役。子供の頃から、兄貴のヴィクラムが“ロニー!”と呼ぶと、ロニーはどこからともなく現れて兄を助ける。ちょっと笑える兄弟愛アクション。警官だった父親ジャッキー・シュロフの遺言で、タイガーは、終生兄を守る使命を負うのだ。ただ、舞台がシリアとなると笑ってばかりもいられない。崩壊した街並みも映ったりするけど、本当にシリアでロケしたわけではないだろう。内戦のどさくさで暗躍し、国家を築き上げているというイスラム国みたいな連中が、他国から人をさらっては人間爆弾に仕立て上げるという恐ろしい作戦を展開。そのテロ組織を、タイガーがほぼ一人で壊滅させるという・・・そこはボリウッドだから、兄弟のコミカルなやりとりもあるし、ミュージカルもある。アイテム・ナンバーで、「タイガー・バレット」のヒロイン、ディーシャ・パターニも登場。ちょっとシリアの状況をおちょくっている感じもないでもないけれど、兄弟の絆は最後まで全うされる。強気なヒロイン、リテーシュ・デーシュムクもシリアまで同行して奮闘。タイガーとリテーシュがはっきり結ばれるわけではないけれど、事実上の義兄妹カップルだ。どうもタイガー主演作って軽々しい感じのものが多い気はするけど、あまり野暮なことは言わずに楽しむべきなのかな。4作目ってのも作られるのだろうか。その場合は、今日の表題のような邦題がどうでしょう?
2023年03月14日
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CSムービープラスで月いち放送のインド映画、「あなたがいてこそ」'10は、あのS.S.ラージャマウリ監督作。「マッキー」がそこそこ評判を読んだ後に公開されていたようだが未見だった。製作順では「マッキー」よりも前で、「マガディーラ」の次に当たる。タイトルから軽いラブコメなのかと思いきや・・・(ネタバレあり)ラブコメではあるけれど、地方のヤクザめいた一族同士の争いから数十年後の話。「ロミオとジュリエット」的なシチュエーションなのだけど、スニール扮する主人公は、かなり冴えない男。乗っているボロ自転車がベラベラ喋ったりするのは、「マッキー」を撮った人らしく、CGも随所に駆使される。しかし、電車内から見れる蛍は相当に過剰で、この人は昆虫CG大好きなのかなあと思える。スニールが電車内で知り合ったサローニと再会するのが、実は因縁の相手の本拠。そのことを後で知ったスニールは、敷居を跨いだら殺されると、何とか屋敷内に留まろうと、あの手この手。ここが笑わせる。とうとう、恋敵?とサローニを無理やり結びつけて婚礼を行わせることで屋敷内に留まろうとするも、会場が寺に変更になって、とうとう屋敷を出なければならなくなる・・・最後はスニールが断崖絶壁の橋の上に孤立無縁で追い詰められるも、サローニのお陰で救われる。しかし、あれだけの因縁があったはずなのに、嫌に簡単に許されてしまう感じだけど、それを問うのは野暮というものかな。で、あのお喋り自転車、案の定、最後の方に再登場するのだ!随所にミュージカルも入るが、尺は130分程。スニールという人、ちっともいい男じゃないし本当に冴えないけれど、コメディ演技はまずまず。一方のサローニ、ルックスから少し西洋の血が混じってる?のかと思えたけどそうではないよう。そもそも、これ、「荒武者キートン」のリメイクだそうだけど、見てたかな?この後に、「バーフバリ」とか「RRR」といった弩級大作を連発するラージャマウリとしては、やっぱり、軽めの力を抜いた1作だったかも知れず、その力の抜け具合が、いい具合に作用してる佳品というところかな。
2023年02月27日
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シネマパレットでインド映画「エンドロールのつづき」、グジャラート語映画、って、日本で公開されたことあったかな?グジャラート語映画がどのくらい作られているかわからないけれど、この映画の劇中に登場する映画館でかかるのは主にボリウッド映画だった感じ。古い時代の話かと思いきや、割と最近の「ジョーダー・アクバル」(機内上映で見た)が上映されていて、実は監督の自伝的な物語だそう。そういう意味では、インド版「ニュー・シネマ・パラダイス」というよりは、インド版「フェイブルマンズ」(未見だけど)といった方が相応しいかも(なので、フィルムは燃えません)。インドでは職業には貴賎は大いにあって、「スラムドッグ・ミリオネア」でも描かれていた通り、チャイ売りというのは最下層の仕事のようだ。ところが、主人公サマイの父は、バラモンのカーストなのに訳あってチャイ屋だということで、ますます周囲から見下される。それでも、サマイや周りの子供たちは元気一杯。こちらがハラハラさせられるような大胆な行動に出る。お母さんの弁当と交換に映写室への出入りを許されたサマイは、映画を撮る方ではなく、映写する方に情熱を傾け始める。仲間たちと共に廃材をかき集めて、俄の映写機を作り上げてミニ上映会を催す。フィルムは倉庫から失敬して・・・巻が欠けた映画を上映した劇場は大騒ぎ、アミタブの映画をカットするとは!と激怒する観客。一昨日の「バビロン」よろしく、この映画もインド映画の名作の場面が色々と登場する。しかし、この映画に込められた映画愛は、「バビロン」なとどは段違いだ。サマイが出入りしていた映画館が、突如デジタル上映に転換して映写技師は失職、大量のフィルムや映写機はトラックで運び出されスクラップに・・・そのトラックをサマイは追いかけて、映写機やフィルムの末路を見届ける。フィルムは、何と溶かされて、インドの女性たちがジャラジャラつけている装飾品の腕輪等になっていったのだ。まあ、あの装飾品にも映画の思い出が込められているということだけど・・・映画の重要なモチーフは光だ。サマイは光の勉強をすべく旅立っていく、ちょっとその辺が哲学的ですらある。しかし、まだ小学生くらいで家を出て修行というのは、まあ、インドではよくあるかな?映画も勿論なのだけど、この映画の料理の描写もなかなか丹念で、サマイのお母さんが作る手料理は本当に美味しそうだ。お母さん役の女優チャー・ミーナーの演技もとてもよかった。もちろん、サマイのバヴィン・ラバリ(9歳!)の良さは言わずもがな。監督パン・ナリンが感謝を捧げた映画人の中には、インドやハリウッド、ヨーロッパの人たちの他に、小津、勅使河原宏、黒澤、キン・フーらの名も。ただ、この映画の原題は「ラスト・フィルム・ショー」で、そのタイトルのままの邦題でもよかったのでは?とも思えたけどね。終わりではなく、続くことをアピールしたかったということかな。
2023年02月19日
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CSムービープラスの、月いち、ハマる!インド映画、今月は、おお、ラジニカーント主演「ダルバール 復讐人」、これは楽しみ。“ダルバール”とはネパールの定食ではなく、裁判所みたいな意味らしい。言ってみれば、ラジニ様版“俺が掟だ”かな。去年公開されたんだっけ?これがラジニ様目下の最新作だ。この前の「ペーッタ」もそうだったのだけど、70歳を超えたスーパルスターは、些か過激というか、殺伐とした役どころで、やたらに人を殺しまくる印象がある。それでも、この映画は、「ペーッタ」よりはコミカルさが目立つのだけど、それが後半の深刻な復讐劇とは、ちょっとギャップがある作りだ。まあ、こういうの、以前のインド映画では当たり前ではあったけど・・・警察庁長官のラジニ様、刀でヤクザを殺しまくったのちの回想場面で、“やってやれ!”と早速ミュージカル。年取ったラジニ様仕様の上半身ダンスだから、老若男女、あまり激しくは踊らず人数で勝負だ。“「ビラ」は名作、何度も観た”って歌詞があるけど、これは日本未公開の割と近年のタミル映画のヒット作のよう。ラジニ様、珍しくパパなのだけど、娘さんのニヴェーダ・トーマス、案外地味だね。この映画でのムンバイは、「ロボコップ」みたいな無法都市と化していて、麻薬と人身売買が蔓延る。そこにニューデリーからラジニ様が就任。早速、“王のテーマ”にのって悪人を成敗しまくるが、救い出した麻薬中毒者たちが、禁断症状で暴れたりするのが却って問題となる。親玉を捕らえたものの、いつの間にか替え玉が刑務所に入っていたり、敵もさるもの。一方で、独り者の父(妻は早死にしたのかとか背景は描かれない)を案じて、ナヤンターラを結びつけようとするが、さすがに歳の差があり過ぎるようで、さしものスーパルスターでもロマンスには発展せず、むしろパシリみたいに使われてしまったりする。コメディアンのヨーギ・バーブも加わっての、この結構ノー天気な前半に比し、後半は・・・・いや、後半も結構ノー天気なところあるのだけど、何せ、ラジニ様の娘が殺され、自身も脳震盪で昏睡状態に陥る。そこからなりふり構わぬ復讐劇と化すのだけど、敵役の親玉が二転三転するのがミソかな。私怨で殺しまくるラジニ様を国際人権団体が問題視するのだけど、問題は人権以上に、ラジニ様の体力の方だったりする(笑)。負けてはならぬとトレーニングに勤しむラジニ様、筋骨隆々ではないけれど、締まったシャープな体つきだ。この人は、歩き方とかがスタイリッシュで、そこに若々しさを感じる。まあ、かつらやメイクをはじめ、色々と設られてはいるのだろうけども。最後は、27年前の警官大量殉職の犯人も仕留め、警察の威信はラジニ様によって保たれるという。前作のような政治臭は無いけど、ちょっと全体的にゆるさが目立ってしまう1作だな。まあ、「ムトゥ」等々にしてから、ラジニ様映画ってこういうものかも知れないけど。これも、やっぱり、ヒットはしたのだろうね。正直、ラジニ様主演作は、最早、「ロボット」みたいなひと工夫が必要に思えるのだけど、まあ、まだこういう映画でもウケるんだろうからいいのかな・・・
2022年11月28日
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期待の「RRR」を桜坂劇場で。「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリ監督の新作で3時間の大作ながら、これは、さすがに面白かった。ただ、何というか、鑑賞環境が色々と不幸で、100%満足出来たとは言い難い。これは、作品そのものとは関係ないことなのだけど、我ながら、この日は何とも不運が重なった(以下、ネタバレあり)。ともあれ、主人公二人は実在の人物で、インド独立の英雄なのだそうだ。ただ、史実に沿った描き方をしている訳ではなく、ラーマに扮するラーム・チャランと、ビームに扮するNTR .Jrを共演させたらという前提で、監督が想定した物語だそうだ。まあ、「バーフバリ」同様に、のっけからCG使いまくりであり得ない場面の連続だ。警官のラーマは、数千人の暴徒を一人で鎮圧する。一方のビームはジャングルで虎と格闘として仕留める。RRRとは、Rise Roar Revoltなのだそうだが、一方で、Story Fire WaterのRでもある。このRがフィーチャーされる度に、側の席の客がキャハハと笑い声を挙げ・・・ままよ。二人が遭遇するのは、川に落ちて炎に囲まれた少年を救うためのサーカスのようなパフォーマンスで。名コンビとなった二人は友情で結ばれるのだが・・・ビームの目的は、さらわれた村の娘の救出にある。この映画の中では数少ない人の心を持ったイギリス人女性ジェシーと仲良くなり、娘が囚われているインド総督の屋敷に潜入するが、救出は後日に敢行となる。まずはジェシーに招かれて屋敷のパーティへ。この時代にイギリス人女性がインド人の、それも田舎っぽいビームに惚れてしまったりとかはあり得なさそうだけど、まあ、ご都合主義とは言う勿れ。そう言ってしまうと、この映画そのものが成立しなくなってしまうから。ビームとラーマはガチガチのダンスでイギリス男たちを圧倒し、イギリス女性たちを大喜びさせる。このダンス場面、ちょっとコマ落としのような撮影。しかし、実は敵同士の二人、そこにラーマの毒蛇治療のエピソードも含み、その間にビームは、何と猛獣たちを引き連れて屋敷に殴り込み。猛獣たちがビームには馴れているのかというと、そうではなくビームさえも襲ったりするのは面白い。そこに、蛇の毒から回復してしまったラーマが現れビームの乱を鎮圧。目出たく、インド人ながらイギリス警察のトップに昇進する。しかし、ラーマも、実は壮大な復讐劇を秘めていて、全てはそのための前段。故郷でラーマを待つ許嫁の名がシータで、おお、ここでアーリヤー・パットが登場、出てたんだね。以後、映画は、まさに「ラーマーヤナ」のような神話的な展開が進んでいく。捕らえられたビームを鞭打つのは警察のトップであるラーマ。まるでキリストの如く、鞭が肉体に食い込んでいくビームは、そこで、コムラム・ビームと歌い出す。何か、歌っていれば鞭打たれても平気そうに思えてくるのが何とも。この後は、ラーマ、ビーム、共に超人度がマックスになっていく。裏切りがバレて地下牢に閉じ込められたラーマの救出劇。牢をどう開けるかなんて悩んでいる場合ではない、ビームは素手で扉をこじ開ける。足を折っていたらしいラーマを、ビームが肩車で運び、その間、迫り来る敵は肩車上のラーマが蹴散らしていく。もう、ここまで来ると、笑うしかない。しかも、森の中に入った二人、ラーマは弓を持ったラーマ像?に遭遇し、その弓を使って次々と敵を打ち倒す。折れてたはずの足は、毒蛇の時と同様、ビームの薬草治療で瞬く間に回復。本物のラーマと化していくのだ。ビームはビームでバイクをぶん投げる活躍。まさに、主人公二人の神話的、超人的な活躍で、物語は大団円を迎える。勿論、大悪のイギリス総督は高価なイギリス製弾丸で撃ち抜かれて絶命、血まみれ好きだった妻は自分が血まみれになり、屋敷は崩壊する。そして、ビームは無事、娘マリを取り戻し、ラーマは目的通りに武器を手に入れてシータと共に故郷に帰る。エンドクレジットでは、インド独立の闘士たちを称えるダンスで、監督も飛び入り。闘士たちの顔ぶれは数人しかわからなかったけど、この人選には、歴史描写以上に異論があったそうだ。そもそも、ここまで神話チックに描かれると、歴史うんぬんを問おうという気は失せてしまうと思うけど。さて、冒頭に書いた件、とにかく、この日は不運だったのだろう。本来はホールAで上映だったろうけど(実際、結構入っていた)、下地勇のライヴがあった関係でCだったか。この劇場ではありがちなのだけど、その下地の演奏の音がまる聞こえで、映画の雰囲気が削がれたリモした。それ以上に何より、自分の隣席の親子?三人がイカれていた。特に娘だかは、Rのタイトルが出てくる度にキャハハハと大笑いしていて、関係ないシリアスな場面でも笑い声を聞かせる。こういう映画だから賑やかに観るのはいいけど、笑うような場面ではないところで笑い声を響かされたりすると、興醒めする一方だ。結局、頭に来て、途中で席を移る羽目になった。応援上映等も増えて、ますますカルト化しつつあるインド映画の、マニアックな変な人ってのは、ままいるのだけど、そういう類の人かと思いきや、娘さん、ちょっと障害持ってた人なのかも知れない。だから、直接とやかく言うのはやめておいたけど、僕自身の鑑賞の大いなる妨げになったことは間違いない、ハッキリ言って恨み骨髄だ。そもそも、これまで書いてきた通りに情報量満載の映画だから、1回だけの鑑賞では何か掬いきれない感じもするし、関東ではアイマックス上映等もあったようだから、別の機会にどこかで再見したいものだ。映画の雰囲気にふさわしいハコで。と言うことで、何とも不幸な映画鑑賞体験だったわけであーる。
2022年10月29日
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「ニールジャー」'16という映画、劇場で公開されたのは知っていたけど見逃していて、CSムービープラスの月いちインド映画放送でめでたく見られた。これはボリウッド・メジャー作品だが、歌も踊りもなし、上映2時間ちょいの極めてシリアスな作品だ。ニールジャーとはヒロインの名前(以下、ネタバレあり)。ソナム・カプールはパンナムのキャビンアテンダントで、初めてチーフを務めるフライトはニューヨークへ向かう。経由地がフランクフルトの他、カラチにも。ソナムの家での平和な様子と並行してパキスタンでのテロリストの暗躍が描かれる。パキスタン人ではなくパレスチナのアルニダルという組織の一員。4人程度でハイジャック敢行って結構無謀な気はしたが。ニールジャーの通報で、パイロットたち(白人)がハイジャックを知り、一応規則ということで機内から早々に脱出してしまう。だから、飛行機は飛ばない、空港に止まったままだ。これがテロリストたちの最大の誤算であり、ニールジャーの“功績”でもある。飛んでいる機内でのハイジャックではなく、空港での機内の室内劇というのがユニーク。プロとは言えないテロリストたちは結構隙もあるが、パキスタン政府もなかなか動けず時間稼ぎに始終する。当然、内部の人間がその分苦労する。パイロットたちがいないから、機内のことはCAたちが司るしかない。ニールジャーの咄嗟の判断は、数々の危機を乗り越える。アメリカ人のパスポートを隠させたり、乗客に水や食事を与えることも忘れず。次第に苛立ってボロを出し始めるテロリストたち。まさかヒロインのソナムが最後に死ぬとは思わなかった。でも、これは実話の映画化なのだから仕方ない。果敢に危機に立ち向かったニールジャーも子供たちを守るために銃弾を受けてしまう。乗客の大半を避難させたのも彼女の機転による。それにしてもCAというのは難儀かつ大変な仕事だと改めて思った。エンドクレジットで実物のニールジャー・バノートの画像が映されるが、本人も美しく上品で聡明な感じの人だった。350名余の乗客の命を救った人、これぞまさに国葬ものでしょう。特にインド映画ならではの意匠がある作品ではないものの、飛ばない飛行機の密室サスペンスとして上出来、ヒューマンストーリーとして印象に残る。そういえば、モディ首相は例の“国葬”に出席する予定らしいけど、いいよ来なくても。国葬はラタ・マンゲシュカルだけで充分でしょ(あちらはまさに国葬に相応しかった)。
2022年09月26日
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いよいよ“大物”に手を、いや、目をつけねば。CSムービープラスで放送された「M・S・ドーニー」'16。ボリウッド作品のようで大ヒット作だそうだ。それもそのはず、インドNo.1スポーツのクリケットの現役(当時)選手の伝記映画ということ。堂々の192分。しかし、主演が何と・・・スシャント・シン・ラージプート・・・数ヶ月前に遺作の「ディル・ベチャーラ」を録画で見たばかり、こういう大作に主演していて、本当に有望な人だったんだな。さて、クリケットの映画といえば、アーミール・カーンの「ラガーン」が忘れ難いが、あれは、クリケットのルールも何もわからなくても大いに楽しめた。でも、こちらは・・・実に何ともストレートな伝記映画だ。だから、先日の「ビギル」みたいに権謀術策渦巻く波瀾万丈のストーリーではない。マヘンドラ・シン・ドーニーの、少年時代からの家族との葛藤、学業、そして仕事とスポーツの両立、恋愛模様、選手としてのスランプと、その克服、そして、クリケット・ワールドカップでインド28年ぶりの優勝に導くまで。クリケットが盛んな国と言えば、まずは発祥の地のイギリスだけど、意外や、あまりワールドカップでは買ってない。インドも然りで、オーストラリアとか、隣国のパキスタン、スリランカ等が勝っていたりする。ドーニーを中心とした、その辺のインド代表チームの歩みを淡々と?描く一方で・・・恋愛の方は、最初にディーシャ・パターニ、「カンフー・ヨガ」に出ていた人だね。この人は、あっさり交通事故で死んじゃうけど、これ本当なの?で、それからあまり間も無く、今度はホテルで知り合ったキヤーラー・アードヴァーニーと仲良くなり、結局、結婚。これが後半にあるから、結構余分な感じがする。現役選手の伝記映画だから、本人の意向は強く反映されているのだろう。アルコールを飲まない真面目な人で、家族や友人も大切にする。ドーニーという人はクリケットのスター選手の中でも、とりわけ、CMによく出ている人のようで、その様子も描かれている。ただ、別に批判的に描かれているわけではないので、一体何のため?って感が否めない。つまりこれ、ドーニーを知るインド人ばかりが一方的に楽しめる映画で、クリケットやドーニーを知らない国外の観客や部外者には、何とも平板な映画でしかない。スポーツ映画としての興奮ってのも特になくて、ワールドカップに勝ちました〜の足跡をおさらいしているだけだもの。これは劇場で観なくてよかったってか、日本では劇場ではやってないんじゃない?それにしても、確かにラージプートは惜しいな。スター街道を走りつつあった俳優の、この自殺は、インド映画界の影の部分を象徴する感じで、むしろ、そっちを映画にした方が良さそうな気がするけど、そりゃタブーかな?さて、これすぐに消してHDの容量たっぷり空けよう。
2022年09月03日
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スポーツシーズン開始を控えて、録画ストック消化もいよいよ本気で取り組まないと。いよいよ大物、つまり長尺のインド映画を見ないことにはHDが空かない。ということで、CSムービープラスで放送の「ビギル 勝利のホイッスル」’19を。177分、気張っていこー(以下、ネタバレあり)。主演はヴィジャイ。タミル映画界で、ラジニカーントが“スーパースター”なら、ヴィジャイは“大将”だそうだ。しかし、作品がテレビ放送されたのは、これが初めてとか。劇場の方では、「サルカール」等がフィルムフェスでは上映されているけど。何となく、機内上映や海外でこの人の作品を観たことがあるような、ちょっと見覚えのある親しみのある顔なのだ。当然、彼のヒーロー映画である一方、これは女子のスポコン映画でもある。先日の「ミッション・マンガル」といい、インドの女性の社会進出の映画は相当に盛んに作られている印象だ。ヴィジャイ扮するビギルはヤクザのドンの息子であり、その父もヴィジャイが演じている。前半は結婚式を巡るドタバタで、いきなりミュージカルもあり、お気楽な調子だ。しかし、かつてサッカーの花形プレーヤーだったビギルの物語が語られるうちにシリアス味を帯びてくる。父の代から因縁のあるサッカー協会会長にジャッキー・シュロフが招かれている。こういうスポーツ協会の長ってのも、常に汚職や疑惑が取り沙汰されるもんだな。インドは日本以上にあるあるだろうか。中盤は、サッカー選手の女子たちのストーリーに。色々な背景を持った選手たち、ただでさえ性差別の強いインドだから、並々ならぬ苦労と試練を経て代表戦へと進む。試合の方も、ビギルが監督に就任したが故に、会長経由で様々な横槍が入る。スポーツ映画としての高揚と、ヤクザ映画的アクションの双方の見どころを備える。逆に、ちょっと両方のいいとこどりで欲張り過ぎた印象はあるけど、当然の如き勝利のハッピーエンドは、逆境に打ち勝った女性によってもたらされるのがミソだろう。少し童顔のヴィジャイは、ラジニほど完全無欠のヒーローではないものの、ダンスのキレも見せつけて若々しい魅力がある。勝利の興奮で忘れかけたけど、巨悪シュロフの始末は?と思いきや、しっかりエンドクレジットのバックでカタがつけられるのでありました・・・
2022年08月27日
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CSムービープラスで恒例の月1インド映画放送、今月は「ミッション・マンガル」'19、これは劇場で観られなかったので、待望の1作だ。「パッドマン」に続き、アクシャイ・クマールが女性たちの活躍を盛り立てる内容。インドが宇宙開発の先進国だということは知らなかったが、やはり、中国への対抗心が強いようだ。その中国はアメリカやロシアの技術を取り入れて、手っ取り早い開発に取り組んでいるようだけど、インドは敢えて独自技術で持って対抗と。どの辺までが本当なのかは定かではないけど、独自にやろうとすれば、それは失敗もつきもの。それを打開するには女性たちの活躍が不可欠であると。この映画で、クマール以上の存在感で事実上の主役なのがヴィディヤー・バーラン。冒頭は、彼女がバリバリの主婦として奮闘する様が描かれ、その苦労を物ともせずに仕事の方にも果敢に打ち込む。すごく美人ではないし少し太めでもある彼女、どこかで見た記憶はあったけど、機内上映で観た「ダーティー・ピクチャー」で主役を務めた人だった。あの映画、かなりのヒット作になったそうだ。“崖っぷちチームの火星打上げ計画”という副題通り、火星探査のプロジェクトは、そもそも無理な話だと思われていて、いわば閉職の扱いだ。故に、チームには女性ばかり、加えて、意気地なしの男と定年間際の技術者らが配属される。一応、科学者のはずの童貞男が、女性運がないことに対し、占いに頼り縁起を担ぐのがおかしい。プロジェクトに参加した女性たちも、それぞれに訳あり。とりわけ、女性ならではの壁に阻まれることもしばしば。バーランとクマールの助力で、それぞれの問題が少しずつ克服され士気も高まっていく。計画の延期に次ぐ延期というサスペンスも加わルガ、最後は、バーランの主婦ならではの機転(プーリーの揚げ方とか)がプロジェクトを成功に導く。バーランの息子が、A・R・ラフマーンに憧れてムスリムに改宗しようとしたりするのも面白い。インドも、性差別のみならず、少しずつ宗教等にも寛容になりつつあるのかどうか。映画に描かれるように、インドのNASAのような機関にあんなに女性が配属されているものなのか、ミッションがどこまで実話かもよくわからない。ただ、女性たちが主役故に、愛国調は程々に、気持ち良く見られるサクセス・ストーリーにはなっている。クマールも出しゃばらずにナイス・アシストという感じだ。「パッドマン」に続いて、俳優としての評価も高めたことだろう。
2022年08月22日
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CSムービープラスで月いち放送のインド映画、今月はボリウッド作品、アクシャイ・クマール主演の「弁護士ジョリー」'17だ。近年はタミル映画やらテルグ映画やら色々あるけど、やっぱり、ボリウッド・メジャー作は安心して見られるというか、かっちりと面白く出来ているなと感心。原題は“ジョリー・LL.B2”て、あれ?「パッドマン」といった社会派作にも出ているクマールらしく、タイトル通り弁護士資格を持ちながらも、なかなか弁護士になれない男の苦闘を描く。のっけから、公然カンニングの手伝いで稼いでいたり、なりふり構わぬ調子を明るく描いている。インドも、さぞ、出世の妨げになる障害は様々あるのだろうなとは想起させるけれど、それで道を誤りかける主人公ジョリーが、正義に目覚めて(ヴァラナシのガンガーで泳いで身を清める)、手練れの裁判官や悪徳弁護士を向こうに奮闘する痛快篇だ。しかしまあ、インドの法廷、ここまでえげつなくどす黒いかと呆れさせはするけれど、三権分立の原則がしっかり説かれているところは、今の日本よりは幾分マシなのかも知れない。とにかく、勝訴のためなら何でもありで、悪徳弁護士は不利な証人の証言を妨げるために座り込みまで行う。対抗して、ジコチューでしかないと思われた裁判官も座り込み。一方の警察官の汚職っぷりも凄まじく、カシミールのテロリストすら、金を貰えば無罪放免、似たような名前の無実の人間に罪をなすりつけて殺すって、これ、実話じゃないだろうね?クマールが露骨に脅しの銃撃まで受けるような、えぐい展開にあって、救いになるのは、カカア天下のクマールの女房役フマー・クレイシー。ホーリーを舞台にしたミュージカルなんかもあり。エンディングのNG集でもわかるクマールのスターらしからぬ天然なキャラもいい。判事役のソゥラブ・シュクラー、悪徳弁護士役のアンヌー・カプール、いずれも、なかなかの強者で、それぞれ見せ場はたっぷりだ。最後は裁判官が良識を発揮してのハッピーエンドとなるけれど、この人は、前作でも同じ役を演じていたそうな。「2」のタイトル通り、これは2作目なのだけど、前作のジョリーはクマールではなかったのだそうな。でも、役どころはクマールがピッタリだったな。来月のムービープラスは、やはり、クマール主演の「ミッション・マンガル」の放送とのこと。そちらも楽しみだ。
2022年07月25日
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ぼちぼちHDRの録画ストックを消化していかないと。更に録画したいものが出て来そうだから。ということで、久々にインド映画、先月だったかにCSムービープラスで放送された、「ディル・ベチャーラ」'20を。これ、コロナ禍の影響で、インドでも劇場公開されずに配信で終わった作品だそうだ。日本では公開されたの?ともあれ、割と短い映画なので録画視聴(以下、ネタバレあり)。「ディル・ベチャーラ」とは、“やるせない心”といった意味らしい。主演はスシャント・シン・ラージプート、「きっと、またあえる」とかにも出ていた、まあまあの二枚目。ただ、ここでは、ちょっとふざけ過ぎくらいの役どころ(前半は)。のっけに表題曲をバックにソロでダンスを披露。音楽がA・R・ラフマーンで、振付がファラー・カーンという豪華な布陣で、それなりに力入ったボリウッド映画だったことがわかる。華麗に踊ったスシャントだったが、実は骨肉腫の影響で義足だったことがわかる。更に、彼の相棒のお調子者も、緑内障で視力を失う。そこに絡んでくるのが、幼い頃からガンで、常に酸素ボンベを持ち歩いているサンジュナー・サーンギー。ぱっと見すごく美人でわけじゃないのだけど、どういうわけかスシャントが彼女に一目惚れする。インド男らしい、ストーカーまがいのくどさ、しつこさのうちに、とうとうヒロインが折れてしまうというのは、よくあるインド映画のパターンだ。スシャントはコルカタに近いジャムシェドプルというところの生まれだけど、ラジニカーントがヒーロー的存在。一方のサンジュナーは、アフリカ生まれのベンガル人で、パリに住む歌手の大ファン。二人はお互いの病気を労わりあいながら付き合っていくのだが・・・当初は、サンジュナーの方が余命いくばくもない様子で、彼女が最後にはと思わせたが、後半は、スシャントの方の病状が悪化していく。そのパリに住む歌手の“パリに来れば会うよ”てなメールの無茶振りを受けて、サンジュナーと母、スシャントが無茶してパリにまで赴く。ところが、そのシンガー(サイーフ・アリ・カーン?)は何だかイカれた奴で、まともな話をしない。あのキャラは、どういう意味合いがあったのだろう?そもそも、この映画は、「星のせいじゃない」なるハリウッド映画のリメイクだそうで、オリジナルは結構ヒットしたらしい。インド版リメイクは若干設定を変えているようだけど、オリジナルを見ていないので、そもそもの設定はわからない。とまれ、無理してパリに行って体調を悪化さえたのはスシャントの方だった。彼はアッサリ死んでしまうが、サンジュナーをヒロインに撮っていた“映画”は、いつの間にか完成していて、その上映を見ながら、残されたサンジュナーと両親が互いの絆を確かめ合うみたいな終わり方。泣けるかって?いや〜話が腑に落ちなかったり、描写不足のところもあるので、物語が真に迫ってこないんだな。サンジュナーの両親、特にお父さんはインド人には珍しく(失礼)理解ある父で、いいキャラなのだけど。で、この映画の肝はもう一つ、撮影の後、スシャントが自殺してしまったということだ。何でもインド映画界の縁故主義に嫌気が差したとかで。それは深刻な話だな。映画の冒頭及びエンディングでは、在りし日のスシャントのアルバムのように画像が映される。ミュージカル場面もそこそこあり、ラフマーンによる歌も悪くないのだけど、涙の感動作には、今ひとつなり切らない。泣くべきは、死んでしまったスシャントの方を思ってだろうな。そんな悲劇は起こらぬよう、インド映画界も変わっていかねば、というのは、簡単には無理な話だろうなあ・・・
2022年06月08日
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何と、パンディット・シヴ・クマール・シャルマの訃報だ。インドの古典音楽、サントゥールの巨匠。インドの古典音楽そのものは久しく聞いていなかったけれど、シャルマ師の音楽の素晴らしさは忘れ難い。ダルシマーのような打弦楽器サントゥール。インドの古典音楽の楽器でも、シタールやタブラ程にはポピュラーでないかも知れないが、スプーンのような撥で弦を叩いて音を出す。よく響くが繊細な音色を出す楽器で、そのサントゥール奏者として頂点の位置にいたのがシャルマ師だ。生憎、シャルマ師の音楽を聞いていたのは、もう20年以上前の話になる。来日公演は2回見ていると思うし、何よりも、インド・ムンバイで古典音楽のフェスティバルに遭遇した際に、あのラヴィ・シャンカールらと共に、シャルマ師の演奏も現地で聞く機会を得た。確か、タブラのザキル・フセインとの共演だったと思う。当時の記録を紐解く余裕が今回はないのだけど、あの頃は、自分の音楽体験人生の中でも、最も充実した時を送っていたのではないかと思う。そのムンバイのライヴの後にも、日本の会場でシャルマ師の演奏を聞いた。特に、2007年の浜離宮朝日ホールでの公演時には、感動のあまり、夜も眠れなかったという記憶がある。真に素晴らしい音楽というのは、本当に心を浄化し精神を高めてくれるような効果があるのだ。ああいう音楽体験というのは、なかなか得られるものではない。その後は、インド古典音楽に関心はありながらも少し縁遠くなってしまった感は否めない。かつては、ああいう本格的な巨匠の演奏というのが、東京で気軽に頻繁に聞けたものだったが、状況は変わってしまった。1曲1曲の演奏が長いから、CD等でちょいちょい聞くというものではない。何より、録音で聞くのと生で聞くのでは、非常にインパクトが異なるタイプのサウンドなのだ。それでも、あの時の感動というのは忘れ難い。今となっても、シヴ・クマール・シャルマという、その名は、僕にとって輝き続ける名前であることは、全く変わっていないのだ。享年84歳。ラヴィ・シャンカールが亡くなって、早10年。そして、声楽の巨匠ジャスラジも2年前に亡くなっていたのだった。そして、今、シャルマ師と。それでもインドの古典音楽の伝統は、優秀な後継者たちに受け継がれているに違いない。2007年に父と共に来日したラフル・シャルマも今や巨匠の域だろう。真の感動をもたらす至高のインド古典音楽、また日本でも生で聞ける日が訪れないことか。インドにも行きたいな。前にも書いたかも知れないけど、インドでの合掌にあたる言葉は何というのだろう。とにかく、ひとまず、合掌。
2022年05月11日
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CSムービープラスで月いち放送のインド映画で、「ムンナー・マイケル」'17を録画視聴。これ、日本で劇場公開されたの?これは楽しい映画だ。映画の元ダンサーに育てられた孤児が、マイケル・ジャクソンのポスターを心の支えに本格的なダンサーを目指す。そこに、やはりダンサーを目指す家出娘と、デリーのヤクザの親分が絡んでくる。当然、歌と踊りにアクションもいっぱいの娯楽篇だ。ムンなー・マイケルに扮するタイガー・シュロフ、正直、そういい男だとは思わないけど、ダンスに関してはキレッキレ。さすがに、もろにマイコーの曲をパクったようなナンバーは、あまりないけど、ダンスのスタイルはトリビュートが感じられる。一方、ニディ・アグルワール扮するヒロインは、ディーピカー・シャルマと、アヌーシュカとパードゥコーンを足したような名前で、彼女も随所で見事なダンスを披露。その彼女の気を引くためにムンナーにダンスを習うヤクザの親分マヘンドラ(ナワーズッディーン・シッディーキー)がおかしい。緊張感を与える存在である一方、純情男ぶりが憎めない。ムンナーはダンスのみならず、喧嘩も滅法強くて、“ムンナーは戦わない、一掃するだけだ”が決め台詞。マヘンドラへの刺客を一人で片付けてしまって兄弟の契りまで結ぶ。でも、目的を同じくするディーピカーと恋が芽生えるのは当然の成り行きだ。後半に至って、ようやく二人で踊るミュージカル場面が出てくるけど、あのモニュメントヴァレーのような光景はCG?ローマ劇場のようなところも登場するので、或いは、あちこちでロケしているのか。終盤はステージでのダンス中心だけど、街中でのミュージカル場面も豊富で楽しめる。ムンバイのダンスコンテストの審査員の一人にファラー・カーンが。そういえば、ディーピカー・パードゥコーンは、カーン監督の「オーム・シャンティ・オーム」がデビュー作だった。アグルワールという人も新人みたいだけど、パードゥコーンのようになれるかどうか。ムンナーは彼女を守るために足に銃弾を喰らいながらも、ちょっと精彩を欠く彼女の踊りを見て、自らもコンテストに参戦。父や観客に“がんばれー”と声援を受けるも、いや撃たれて血出てるんだからねえとツッコミは入れたくなる。それでも“ダンサーの体”だから常人以上にタフなのだ。病気のはずの父親も結局事なきを得るみたいだし。コンテストは、ディーピカーの優勝で終わるけれど、ムンナーの方が目立っちゃって、それでいいのかとも思える。最後も結局、何となくマヘンドラが身を引く感じで、ちょっと呆気ないハッピーエンドだ。斯様にツッコミどころはままあれど、恋とダンスとアクションを織り込んだ見どころ多い1作なので許しませう。エンディングのNGはマヘンドラのシッディーキーが中心で、本当に少しでも踊れるようにと精を出していたみたいだ。さすがにインドとはいえ、著作権の問題か、マイコー風味は意外と薄めだったけど、あの世のダンスマスターにも気に入ってもらえる映画ではないか。パウ!
2022年03月24日
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インドの歌手ラタ・マンゲシュカルの訃報、享年92歳。歌手と言っても、いわゆるプレイバック・シンガー、インド映画で主役の俳優が歌うミュージカル場面の吹替歌唱を担当してきた歌手だ。実を言うと、この人のことは知らなかった。しかし、インド人、インド映画を長く見続けてきた人にとっては大偉人。何たって、5000曲以上の歌を歌っていて、その死については、モディ首相も哀悼の言葉を発表し、何と国葬が営まれるという。そして、今日から二日は全国土が喪に服すと言う。すごい存在なのだ。具体的に彼女が歌った歌とはどれか?あの、例のインド映画でよく登場するキンキン声の歌唱の相当多くは、この人によるもので、自分でもそれとは知らずに聞いて覚えがあるかも知れない。何せ1942年にデビューして近年まで、70年余現役で活躍し続けてきた人だから。確かに聞いたことがあるというのは、まずアカデミー賞外国映画賞にもノミネートされた「ラガーン」'01のナンバー。その時点で70代だったが、独特の抑揚と声量が耳を引く。そして、「ラガーン」と同時期、記録的なヒット作になったオールスター映画「家族の四季」のメインテーマも彼女の歌唱だったようだ。なるほど、あの声かというのが認識できる。更に、「ディル・セ」や、「DDLJ」でも彼女の歌はフィーチャーされていると。それはもう、間違いなく聞いているな。今の今まで、それがラタ・マンゲシュカルによるものとは認識していなかったものの、相当数の曲を耳にしているだろう。これから過去のインド映画を観ていく際に、流れる曲が彼女のものではと意識しながら探っていくよりないか。今週の「オリエンタルミュージックショー」あたりで追悼特集が組まれればありがたいな。彼女の存在の巨大さを辿っていきたい。インドの言葉ではどう表現すべきかはわからないけれど、とりあえず、RIPとしておこう。
2022年02月06日
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噂には聞いていた「囚人ディリ」は2019年のタミル語映画。桜坂劇場での上映となって初日鑑賞。言ってみれば、「マッドマックス」+「要塞警察」、最後は「ワイルドバンチ」みたいな爆裂アクションだが、人間ドラマもある。歌も踊りもないけど、このところ観たインド映画の中では圧倒的に面白い1作だった。インドの警察というのも相当タチが悪くて、自分達の都合で、庶民を半ば強引に自分達の捜査の道連れとして巻き込んでいく。ディリは解放されたばかりの囚人だし、道案内をさせられるのはケータリング業者の若造。立て篭もる警察署では、右も左もわからぬ新任の警官と、酔っ払って騒いで逮捕された大学生と、その引き取りに来た親族が巻き込まれる。警察署長のゲストハウスで退任のパーティみたいなのが開かれ、ウイスキーが振る舞われるが、それが毒入りで、数十人の警官が倒れる。飲まなかった警官ビジョイだけが無事だったが、事を穏便に済ませたい署長の依頼で応援を頼めない。それで、先の一般庶民を巻き込んでの、命懸けの道中となる。そもそも、犯罪組織に追われることになったのは、ビジョイらが大量のコケインを押収したからだった。ディリのキャラクターが面白い。バケツ一杯のビリヤニを食い尽くし、寡黙だが信心深く、サイのように強い。冒頭に登場する孤児の父で、人生をやり直そうとするところで事件に巻き込まれる。しかし、約束と信頼を信奉し、理不尽な境遇にも立ち向かう。インド人魂ここにありみたいな義侠心溢れる人物である。だから、多少刺されたりしても死なない!トラックの逃走劇に加え、田舎の警察署の籠城のサスペンスも。新任の中年警官がディリの言葉に感化され、学生たちと共に果敢に戦う。タミル語映画ながら、過剰なCG等を多用しておらず、シリアスなアクションで勝負しているところが潔い。何より、ディリや周囲の人物がきっちり描けていて、ハッピーエンドにもほっこりさせられる。145分、これでもかのスリルとアクションが続くが、静の場面にも味わいがある。初めて見たディリ役のカールティというチェンナイ出身の役者も快演。「バーフバリ」等とはまた違う、インド映画の多様性、可能性を感じさせる1作だった。
2022年01月29日
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CSムービープラスの、定例インド映画放送、今月はテルグ語映画の「ミルチ」'13。主演は、「バーフバリ」のプラバース。少し若くて更に精悍な顔立ちだ。舞台がイタリア・ミラノ、現地のインド人女性を襲うのがイタリアンではなく、なぜか現地のインディアン。それを助けるのがプラバースだが、深夜のバンド練習でキーボードを抱えたまま、戦闘趣味レーションを語って敵を撃退する。もう、のっけからプラバースはスーパーヒーロー然としていて、それが最後まで揺らぐことはない(以下、ネタバレあり)。とはいえ、留学生マナサを前に少しデレデレした感じ。早速ミュージカルもあって、“ヤフンヤフン”とな。しかし、マナサには憂いがあって、故郷のハイダラーバード郊外の村は常に争いが絶えないということらしい。そのマナサを追って、プラバースは彼女の家に転がり込んでしまう。こう書くと、ストーカーのラヴストーリーみたいだが、そこはインド映画らしく二転三転、プラバースの真の目的が次第に明かされていく。インドに行ってからは、農村ダンスが炸裂して、ちょっとサダジット・ライの映画を思わせたり。だが、ミュージカルから一転、復讐のどろどろした争いに展開していく。シチュエーションとしては、ちょっと「椿三十郎」風だが、プラバースは、争う両家を潰そうとするわけではなく和解させようとするのだ。愛を与えれば愛で帰ってくると。彼がそう目論んだのは、勿論、訳があった。プラバースが潜入したマナサの家は、実はプラバースの実家の宿敵で、母を殺された因縁の敵であった。しかし、その母の死をきっかけに争うことの虚しさに目覚めたプラバースが、両家に和平をもたらそうと奮闘するのだ。3時間近い後半の1時間、プラバースの実家で恋仲のアヌーシュカ・シェッティが登場。マナサはどうも地味だなと思っていたけど、案の定、真のヒロインはアヌーシュカ出会ったのだ。しかも何と、プラバースの父を演じるのがサティヤラージ、「バーフバリ」のカッタッパである(今回は髪がある)。他にも「バーフバリ」組は数名出演していて、まさに「バーフバリ」に連なるプラバースの準備作の如し。なわけで、まだソフト化もされてないようで、この映画の貴重さはよくわかった。ミュージカルもアヌーシュカ登場で加速し、“ダーリンゲー”とかいうえげつないくらい派手なナンバーも。いくつかの犠牲を経て、両家は和解する。プラバースは、一体どこで鍛えたのかというくらい、徹底徹尾、無敵、最強である。平和の王子様として劇中に君臨。まさに、バーフバリになるべくしてなった人という感じだ。敵役がラーナーだったら、もっと良かったのに?因みに、ミルチとは、テルグ語で唐辛子らしい。それがプラバースの愛称だったのかな。見応え充分のインド映画らしい1作。プラバース健在な限り、テルグ語映画の快進撃は続いてきそうだ。彼を称えよ、マヒシュマティ王国は永遠に!
2021年12月27日
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CSムービープラスで放送の毎月定例放送のインド映画で、今月は「ピザ」'14という作品を。チェンナイ製作のタミル語映画だが、98分ほどのインド映画にしては小品。松岡環さんの解説によれば、インドには児童映画というジャンルがあるそうだ。この映画は結構ヒットしたそうだけど、これだけあからさまにスラムを舞台にしていて、インド人観客は観るのかね。だとしたら、インドもインド映画も時代がかなり変わってきたということだ。スラムの光景は何度も映される。小さな家では家族5人が雑魚寝状態で寝ている。一家の主人は事情はよくわからないが刑務所にいて、母が家計を支えている。幼い息子二人も学校には行かず石炭拾いで僅かな収入を得ている。でも、子供だから色々誘惑には駆られる。彼ら、スラムの近くに出来たピザ店で映画スター(シンブという人が本人役で出演)がピザを頬張るのを見て、俄然ピザを食べたくなる。ピザは300ルピーで日本円にして1,000円近い?家族の1ヶ月の生活費に匹敵するので、子供たちが口にするのは遠い道のりだ。まずは店に出入りするための服を買い求めようと、郊外のSCへの冒険から。彼ら遊び場を通じて裕福な子とも仲が良いが、彼が持ってきてくれた食べ残しのピザには手を出さず、あくまで自分で買うんだと毅然とした対応をする。現代らしく、スマホやネットを通じたクレイマー・ネタで一大スキャンダルになる騒動を描く。さしものインドでも露骨な貧困差別は社会的な問題になる昨今のようだ。そこには力を誇示しようとする地元議員が絡んできたり、一攫千金を狙うスラムのチンピラも絡んだり、なかなか説得力のある描写に感心させられる。騒動を収めるためにピザ店の経営者から三顧の礼で迎えられるようになる少年たち。でも、ついに口にしたピザは、“ドーサの方がおいしい”と。それなら、ドーサでピザを再現しようとしてくれた、亡き祖母に謝らなくては。長兄の方は、“食べて寝るだけだろ”なんてひどい言葉を投げかけさえしたのだから。原題は、“カラスの卵”。開発されて無くなってしまう前の遊び場で、兄弟が、いつもカラスの卵をくすねて飲んでいたことから。愛すべきインドの下町人情物語と言いたいところだけど、インドの貧困は下町だの人情だのを突き抜けたところにあるので、定型な言い方はできない。でも、どこにでもいい人がいて悪い人もいて、やっぱり人情はあって愛すべき人たちも存在するのだということがしっかりと描かれていて、ほっこりさせられた。
2021年12月23日
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日本にインド映画の存在を知らしめたのは、なんと言ってもラジニカーントの「ムトゥ踊るマハラジャ」であった。そして、日本のシネコンでインド映画が上映されるようになったのも、ラジニの「ロボット」であった。日本においては、インド映画といえばボリウッド以上にコリウッド、ラジニのタミル映画(更にテルグ映画の「バーフバリ」が続く)なのだった。その「ロボット」の続編、「ロボット2.0」'18は、大ヒットした前作を更に上回るインド映画史上最高の製作費をかけて製作された。当初はアーノルド・シュワルツェネッガーにオファーされたという敵役、シュワちゃんは降板したが、ボリウッドのアクシェイ・クマールでもラジニの敵としては遜色ない。当然、前作並かそれ以上の反響が日本でもと期待されたのだけど、宣伝がうまくなかったのかどうか、あまり話題にならぬまま短期で上映が終了してしまった。だから劇場では観られず終い。どこかで観る機会はないかと探ってきたが、とうとうテレビ放送の時期になってしまった。当然、録画はしたが、6月以来、なかなか見ることに踏み切れずにいた。まあ、でもそろそろ見るとしよう。HD容量も空けないとならないし、何より12日はラジニの誕生日でもあるから。ということで、「ロボット2.0」、満を辞して。あんだけ破壊し尽くして人を殺しまくったチッティを復活させるのは、相当にハードルが高そうであったが、窮地の大臣たちの力技でお膳立てされる。前作の、無数のチッティが集合して巨大化するのと同様、今回は無数のケータイが巨大な鳥となって人類を襲う。これは鳥の保護に一生を捧げた博士のオーラの成せる技であったと。電磁波が渡り鳥の方向感覚を失わせるという事実はあるそうだ。この映画でのパクシ・ラジャンは、影響を軽減させるために法定内に基づいた電磁波の発信に留めるべきと訴えるのだが、正直、これはどこまで真実に沿ったものかはわからない。それでも、意外と説得力ある動機とはいえ、脚本上の不備はないと思う。ケータイ軍団がラジニ扮するバシー博士の体を乗っ取り、チッティたちがおいそれと手を出せなくなるというのがミソだ。チッティの再生されたモデルはアシモフの三原則に沿った従順なロボットだったが、パクシとケータイ怪物を倒すために、前作の、あの野蛮なチッティが復活する。再び無数のチッティによる巨体と、ケータイ怪物によるサッカー場でのロボット対決みたいなのがハイライト。チッティ復活等に奮闘するのは、やはりロボットであるエイミー・ジャクソンによるニラーだ。バシー博士の妻になったらしいサナは電話の声だけの登場で、勿論、アイシュワリヤ・ライではない。シャンカール監督の前作「マッスル 踊る稲妻」にも出ていたジャクソンは純粋にイギリス人みたいだ。チッティとニラーの間に恋がと思いきやプラトニックなレベルにとどまる。但し・・・アクシェイは主に老け役を演じているのだけど、ラジニのチッティにしても、ロボや怪物になって以降は、本人がどの程度演じていたのだろう。して、劣勢だったチッティ側の大逆転は、ロボット3.0によってもたらされる。これが、アントマンみたいなミニロボット、クッティ。大量に出てくるとことは、ちょっとヤッターマンとかのメカ軍団のようだった。前作にも劣らぬイマジネーションの爆発は堪能出来るし、事の発端となる動機についても、なかなか考えさせられる。続編ながらも前作のレベルはクリアしている出来と言えるのではないか。惜しむらくは、前作のようなミュージカル場面がないなと思っていたら、最後にチッティとニラーによるソング&ダンスが。これも実際、ラジニがやっていたのかどうか。音楽はやっぱりA・R・ラフマーンであった。スーパースター・ラジニも、12日で71歳になるそう。それでも、近年、新作は続いていて、まだまだ活躍が見られそうだ。この映画も含めた、劇場でのラジニ映画祭でも開催されないことかな。盛り上がること間違いなしだね。
2021年12月09日
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「サンジュ」'18は、勿論、劇場で観たし、当時、日記にも書いたけど、ちょっと途中でウツラウツラしたところもあって、CSムービープラスの恒例インド映画放映の1本であったので再見した。結構、見逃した場面あったかも?サンジェイ・ダット、色々とスキャンダルまみれの人だけど、この映画は本人公認だから、描写は抑え目なのだろうと思う。セックス、ドラッグ&ヴァイオレンスの人だけど、特に、インド映画だから、セックスの部分は描けなかったろう。代わりにドラッグの部分は、結構、赤裸々目に描かれている。瀕死の母親が入院する病院の付き添いの合間にもクスリをやりまくっちゃうのだから。アメリカの更生施設では2週間ものトイレ休憩を取って、ホームレス生活も体験したとか。基本は、家族、友情の映画として描かれている。特に、ヴィッキー・コウシャル扮するカムレーシュとの関係だけど、親族でも何でもなく、元々、サンジュの母ナルギスのファンであったという繋がりだけ。それにしても、何年もサンジュと交流を持たなかったことの原因が、単なる勘違いであったというのは、これは本当なのか?サンジュのテロ疑惑は、完全にでっち上げ的に描かれているけど、でも、実は?銃を所持していたのは、政治活動をしていた父の護衛のため、武器を積んだトラックが家の前に停まっていたというのも誤解、だそうで、それをカムレーシュは真に受けたのだけど、実は“真”だったりして。伝記作家のアヌーシュカ・シャルマの視点で描かれる部分は多いけど、彼女も様々な情報に翻弄される。その伝記に忠実に映画化されたのかどうか。それにしても、さすがに豪華キャスト。母ナルギス役がマニーシャ・コイララ、妻役がディア・ミルザ、昔の彼女がソナム・カプールだ。エンディングにはサンジェイ・ダットその人も登場する。因みに、特に劇場鑑賞時にウツラウツラきたのが、サンジュがヤクザと縁を切るあたりだったのだけど、そこはさほどの描写ではなかった。本当はもっとドロドロあったんじゃないかなあ?結局、この映画でもってダットに対する、様々な疑惑や憶測が晴れるのかというと、それこそ疑わしいのだ。ランヴィール・カプールの甘いマスクで演じさせたけれど、実際は、あの、どう見ても悪そうな面こそが・・・って思えるのだけど。でも、これ以上は、“バッソガヤ!”(やめてくれ)ってか?
2021年09月30日
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3日続けてCSムービープラスで放送のインド映画、何せ、スポーツシーズンが始まるのでHDDを空けないといけない。で、インドでは大ヒットで、日本での劇場公開時にもそこそこ話題になった(と記憶する)「マニカルニカ ジャーンシーの女王」'19を録画視聴。劇場で観たかったんだけどねえ。脚本のK・V・ヴィジャエーンドラ・プラサードは、あの「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリの父だそうな。その人が脚本を書いて監督だったはずだが、彼が別の作品のために現場を離れた隙に?主演女優のカンガナー・ラーナーウトが監督を務め、大幅に再撮影を行って、最終的には監督クレジットは彼女の名の方が先になった。プラサードは、その出来栄えに不満を示したらしいが、結果的には映画は大成功を収めたという、なかなか曰くつきの1作で、その辺も公開時に話題になった(と記憶する)。マニカルニカことラクシュミー・バーイー、実在の人物だそうな。勿論、映画なりの脚色はあるのだろうけど、これだけの大ヒロインぶりなら、ジャンヌ・ダルクなんぞ遥かに超えている。19世紀にこれだけの女傑が存在していたとは驚きだ。映画で描かれていたラクシュミーは無敵の戦士であり、不屈の指揮官。植民地状態であったイギリスの将校たちにも全く引けを取らず、舌を巻かせる勇猛降り。王亡き後に幼い息子の摂政として国を統治したのに加え、英軍との戦闘で城を終われた後も、別の藩王国の城を無血奪取して拠点とし、執拗に英軍に対抗する。1857年に始まったインド大反乱の代表的人物の一人がラクシュミーだそうだ。その勇猛ぶりに加え、実際に美貌の持ち主でもあったそうで、これ以上の映画の題材はないだろうという逸材だ。更に、冒頭に書いたように、まるでラクシュミーが乗り移ったかのように映画を自分のものにしてしまったカンガナー・ラーナーウトの活躍ぶりもすごい。ラクシュミーはヴァラナシ生まれだそうで、まさに神の子の如しで、その存在がヒロインに憑依したのであろうか。尺は148分程でドラマ部分も無駄無く練られている印象だ。当然、戦闘シーンがクライマックスなのだけど、「バーフバリ」よりはCG使用も抑えめな印象で、マンガチックなものではない。数で劣勢のジャーンシー軍は、女性も戦士として参加、更に、剣を鋳造するために家庭からの金属徴収まである。独立運動を志してだから第二次大戦時の日本帝国との違いはあれど、ここらはちょっと抵抗はある。まあ、当時のインドはまさにイギリスに踏み躙られていたわけだから仕方なかったろうが。インドがイギリスから実際に独立するのは、この90年後の話だから、いくら無敵なラクシュミーとはいえ、ここでは敵の前に倒れる。大事に匿った息子も母の志を果たすことはなく病弱のうちに没したらしいので、そこは悲しい。しかし、これは確かに記録すべき、後世に語り継ぐべき武勇伝である。インド人の愛国心は大いに奮い立たされたろう、特にインド女性たちに。尚、ナレーションはアミタブ・バッチャン担当であった。
2021年08月31日
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続けてインド映画だ。CSムービープラスの毎月恒例の放送、7月は「ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル」'19というのが放送された。これ、日本で公開されたの?このタイトルの付け方はうまいと思うけど。ようやく録画視聴。ヒンディー語映画だからボリウッドなのか?監督に「イレイザー」等のチャック・ラッセルを迎えている程だから、そうなのかな。でも舞台はケーララあたりらしい。なぜかというと、ヒーローがカラリパヤットというケーララ地方に伝わる武術の達人という設定だから。チャンドリカという地名は架空かも知れないけども。このカラリパヤット、カンフーの蛇拳とかに通じる色々なスタイルがあるみたいだけど、この映画のアクションを見る限りではカンフーに近いものがあった。「ラッシュアワー」等の武術指導のニッキー・リー担当なので、そういうことなのかも知れないが。俳優陣にも知った顔がいない。主演のヴィドゥユト・ジャームワール、まあまあいい男なんだけど、本当にカラリパヤットの使い手らしい。道理で、獣医のはずなのに異様にムキムキだ。生まれ育ちはジャングルなので、ターザン並に動物の言葉がわかったりする。彼が幼馴染の象と父を密猟者に殺されて復讐に立ち上がる。象はCGではなさそうだが、全部仕込んだのかな?密漁側のハンターも、それなりに哲学を持っているようだけど、あっさり人間も殺してしまうのは解せない。酒に溺れていたジャームワールの武術の師が、実は息子の背反に悩んでいたことがわかり、ヒーローの窮地には、本当のガネーシャ(これはCG)に姿を変えて後押しをする。やはり、幼馴染の象使いと動物保護の記者役の女性陣も、主張も腕っぷしも強いキャラに描かれている。一応、環境保護の視点もあるので、まあ、現代的な作りというか。やはり、ハリウッド監督だけに内容はコンパクトにまとまっている。上映時間2時間弱で、劇中にミュージカルはなく、歌が流れるくらい。ジャームワールは無敵に近い強さで、ほぼ肉弾戦で、大勢の敵を薙ぎ倒す。象牙の買い手は日本人?いや、やっぱチャイニーズかな。警察がヤクザ並の酷さで描かれているけど、最終的には一部の悪徳警官の仕業だったということでまとめられる。出来は悪くないと思う。ジャームワールもアクションもキャラも良かった。エンドクレジットでミュージカルが流れるのだけど、これがなかなかゴージャスで、ちょっと勿体なかった。本編中でやってもよかったろうに、アメリカ人監督が反対したのだろうか。おそらく、その場面は別のインド人監督が撮ったのだろうけど。ヒロインたちの魅力ももうちょっと活かして欲しかったしね。やっぱり、インド映画はインド人監督が撮ってこそなのじゃないかな。
2021年08月30日
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CSムービープラスで、このところ毎月定例のインド映画放送をやっていて、先月は「ガネーシャ」なんてのも放送。でも、その前に録画したのを見ないことにはHDの容量が空かない。「ロボット2.0」もあって、そろそろ見ないと行けないけど、その前にシャンカール監督が撮った「マッスル 踊る稲妻」'15を見ることにする。ヴィクラムという人、初めて見たけど、髭とヘアスタイル如何にもダサい。この人が主役なの?と思ったけど、あれは初期のシュワルツェネッガーを意識していたそうだ。ただ、イケメンモデルに変身して後も、それほどいい男には見えないのだけどな、やっぱり、おっさん。それが更に容貌怪異なせむし男に変貌し、劇中の半分くらいはそのルックスなのだから、何ともまあ。シャンカール監督作だけに作りは豪華。大半を中国雲南省でロケし、ヴィクラムの感情が上がる度にミュージカル場面になる。ヒロインのエイミー・ジャクソンというのはイギリス人?ちょっと反則な感じはするけど、タミル語が話せるからいいのか。ある意味、陰惨な復讐劇なのだけど、彼女の存在というのは少し救いな感じがする。邦題になってるマッスル、ムキムキ男が登場するのは前半部分。ここから始まってヴィクラムは、図らずも各所で恨みを買い、その連中が皆結託して彼を陥れる。で、その一人一人へのリヴェンジが、全体の中でフラッシュバックしつつ挿入されるという構成。音楽はA・R・ラフマーンだし、アクション監督に何とユエン・フーピンを招いている。だから、ミュージカルにアクションと見どころは色々あるわけだけど、どうも主役二人の魅力が今一つに思えるな。特にヴィクラムは華がない。「美女と野獣」物語に「ノートルダムのせむし男」をプラスし、そこに陰謀ミステリーに復讐アクションと。詰め込み過ぎの188分、まあ退屈はしないけど、あまり感心もしない。ラジニカーントが出演断ったらしいけど、宜なるかな。シャンカール監督は、やっぱり、「ロボット2.0」の方を期待するとしよう。お陰でHD容量は一気に空いたぞ。
2021年08月29日
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CSムービープラスで、毎月放送されているインド映画、先月放送の「アクション」を録画視聴。2019年のタミル映画。主演のヴィシャールという人は“中堅スター”とのことだけど、「バーフバリ」のプラヴァースとかに較べると、あまり華がない感じはする。のっけに、その「バーフバリ」のヒロイン、タマンナーが登場するので、恋の相手は彼女かと思いきや、ヴィシャールにはフィアンセがいる。となると、これは、の予想通り、そのフィアンセは殺されてしまうのだ。彼女のみならず、タミルナードゥ州次期首相である兄まで殺されたら、これはもう我慢ならん。ヴィシャールは復讐の鬼と化して、タマンナーと共に世界各地を駆け回る。言ってみれば、私怨版「ミッション・インポシブル」の趣だ(以下、ネタバレあり)。テンポはいい。タミルからイスタンブール、ラホール、更に、カリブ、ロンドンと舞台は移るが、どうやら、全部違う場所でのロケらしい。言われてみれば、ロンドンもどうもロンドンっぽくなかったりするし。そのロンドンでは、フィアンセと兄の二人を殺した女殺し屋を追うが、無敵のように思えた彼女はあっさりやられる。カリブでのミュージカル場面も担っていたのだけど、あれ何て女優だったのだろう?しかし、ミュージカル場面は、やはり、タマンナーの出番である。のっけからヤケに露出度が高かった上に、軍服姿から、後半の華麗なドレス姿まで、「バーフバリ」以上に彼女の魅力は堪能出来るかも知れない。たまんなーいなんて言ってる場合ではない。イスタンブールも別の場所なんだろうけど、カッパドキア風の場所も出てくるけど、あれは実はセットだったり?トルコにはアルゴルゴアだかという、マフィアに牛耳られた、かつての九龍城みたいな街があったりするし、パキスタンは露骨にテロリストを匿っている設定だし、ちょっと国家関係的には問題のある描写はちょいちょい見られる。とはいえ、アクション的にはなかなか見応えはある。「サーホー」あたりのプラヴァース作品程、CG過剰ではないのがベター。結局、テロリストは、インド政府の黒幕とつるんで、タミルナードゥ州を貶めるために、要人暗殺を企てたということで、最後はヴィシャールが私怨を晴らし、それは幼い甥にも認められる?ロンドンや空港でのハッキングやテクノロジーを駆使しての駆け引きもまあまあで、そこそこ手に汗握る感じだ。斯様に世界各地で展開された内容だけど、冒頭で、“この映画は全部タミル語で話されます”と説明で登場するのは、タミル映画界のスター?ここいら、まだまだ勉強不足でわかりませぬ。そんな具合に、色々と大雑把なところはあるけど、割と楽しめるから良しでしょう、それでこそインド映画だからね。
2021年06月24日
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沖縄の部屋に不在中の番組録画のためにHDDの容量をまた空けないと。時間を稼ぐ意味ではインド映画、ムービープラスで放送された「ケサリ21人の勇者たち」を。ヒンディー映画だったんだ、アクシャイ・クマール主演だもんね。これ、いつの間に公開されてたの?これ驚きの実話らしい。シーク教徒が主役だが、クマールは違うのだろうな。イギリス支配下でシーク教徒だけの部隊というのが結構あったようで、ターバン巻いて、名前はシンばかりの兵士の部隊だ。現代では、ターバン巻かないで髪を纏めただけのシーク教徒というのも見かけるけど、かつては、ターバンは絶対外さずに触れさせないという神聖なるもののようだ。当然、彼らのプライドも高い。事は、そもそもクマールがアフガニスタン人に殺されそうになる女性を救うことから。アフガン人の恨みも買うし、命令違反でイギリス人将校に左遷もされる。その左遷先をアフガン人が攻めてくるのは、結局、やっぱり、その事件が発端のようで、まあ、勇気ある行為ではあるけど、全てはクマール扮する軍曹が招いた出来事というわけだ。左遷先の砦はわずか21人の兵士、しかも通信基地だったからろくに戦ったことがない兵隊たち。その彼らをクマールが、絶望的な戦闘に巻き込む。イギリス軍からの伝令が“撤退せよ”はウソで、本当は“待機せよ”だった。つまり、兵隊たちを騙して、やっぱり自らが発端になった戦闘に巻き込むのだ。結局、クマールのエゴでまわりが犠牲になるってことじゃないの?非常に愛国的な内容だ。兵隊たちは、皆、進んで自らを犠牲にする。クマールにも新婚の妻がいるようで、回想でちょいちょい出てくる。一応、歌が流れる回想場面がある一方、唯一のミュージカルは砦の兵隊たちによるもの。クマールも歌い踊る。21人対1万人という、「300」どころではない多勢に無勢なのだけど、特に奇策はなく普通に戦うもんだから、そんなに持つわけはない。けど、結局、半日ぐらいは持ち堪えるのは、とにかく勇猛果敢に戦ったからということなのだけど、実際にはどうだったのだろうか。とにかく、勢いだけで最後まで戦うから、知恵を使った戦法の面白さみたいのは、ない。ひたすら、神よ!誇りよ!で戦うのみ。あまり芸の無い描き方と言わざるを得ない。ケサリとはサフランのことで、クマールは、いざということろでサフラン色のターバンを巻いて士気を鼓舞する。インドで最も好まれる色とのことで、そういう風俗習慣的には興味深いところはあるけど、全体的にはインド人だけが上がる映画だなと思えたのは僕だけか?
2021年04月29日
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2年前に観て、その年のベストワン級だった1作、「ガリーボーイ」。歌と踊りでお馴染みのボリウッド映画の、新手の1本としても興味深かった。CSムービープラスの放送で再見。ムンバイのスラムで暮らす主人公のムラド。狭い家の寝床でライムを作るが、階下の祖母に聞こえて“独り言は不吉だからやめなさい”なんて言われる。そんなラップも、考えてみれば、“詩”であるんだな。ムラドは詩は書けるが、これをビートに乗せてグルーヴを得るまでをMCシェールに手助けしてもらう。そして、バークリー卒というカルキ・ケクランにも。ランヴィール・シン扮するムラドがスラムから抜け出す物語である一方、やたらめったら自己主張の強いガールフレンド、サフィナも女子医学生としてのガラスの天井を感じている。母親自身が女に学問は不要といった考え方の人で、サフィナは、どうにか父親に泣きついて大学に通うことを許される。ムラドはムラドで現状からの脱出を試みるが、サフィナも学問を続けることに情熱を燃やしている。加えて、自分の男に手を出すものには容赦しない。ケクランは頭にビール瓶を喰らわされもする。ハイライトであるラップ・バトルの場面、今でもラップって、相手をディスってなんぼの世界なのだろうか。MCシェール曰く、相手をスキャンして、必ず持っている弱みを見つけて攻め、絶句させろと。そのMCシェールが、バトルでは、アル中の父親のことをディスられて絶句してしまう。そんなムラドを取り巻く仲間たちの描き方もいい。150分の中身に、しっかり内容が詰まっている。その点でも、この映画は革新的だと思った。最後にムラドが決勝で勝利するのが、“俺の時代が来た”と唱えられる、この映画のテーマを象徴するナンバー。ヒンディー語ラップのソラミミでは、“オタガイマエダ〜”と聞こえるのだけど、これはアイチューンでも購入した。でも、数曲ではなく、やっぱりアルバム全体を購入するべきだったな。以前は4,000円したけど、今は1,500円位に下がっていることだし。再見しても、ボンベイを舞台にしたラップは熱く響く。まさに新世代のボリウッド映画。そういえば、サフィナのアーリアー・バットはコロナ感染が伝えられたけど、もう回復したのかな?お大事に!
2021年04月22日
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桜坂劇場で「きっと、またあえる」。日活配給ではないけど、きっとシリーズの趣ながら、これもボリウッド製作らしい。「うまくいく」に通じる学園青春ドラマに一捻り加えた形。ボンベイ工科大学の寮4棟・通称H4が、なぜ負け犬の巣窟の如く言われるのかは、主人公が入学入寮してしばらくしてわかる。実はエリート校のようで、卒業後はみなバリバリ働いているのだけど、GCと呼ばれるスポーツ選手権があって、それに勝てないと負け犬呼ばわりされるのだ。冒頭の水かけ騒ぎはすごくおバカっぽかったけど、実は、割と中身のある人生ドラマなのであった。どう見ても大学生には見えない面々が、あの手この手でGCに勝利すべく奮闘。実は、その青春物語は、病室で昏睡状態に近い主人公アニの息子に語りかける形で進む。そのために、実物の物語の登場人物、つまり、かつてのアニの悪友たちが仕事をおっぽり出して全員集合。まさに“君の友だち”の歌の如し。当然、同じ役者が老いも若きも演じているのだろうけど、歳食った方がしっくり見られる。学生時代の方が若作りなのだろう。そのGCとやら、本当にインドの大学にあるのかは知らないけれど、サッカー、クリケット、バスケットボールから、卓球、カバディ、果てはチェスやボードゲームに至るまで種目がある。これで勉強する暇はあるのかなと思えるけど、そもそもがエリート校故に、卒業後はみな負け犬どころか重要な役割を担ってるようだ。結末も爽やかながら、正直、出来過ぎな話なので個人的に共感度は今ひとつ、と思ったら、フィナーレのミュージカルがすごかった。新旧、つまり若き日と現在の主要人物が一堂に会して共演。これは見事、実にハッピーなエンディングだ。ちょっとルックスは冴えない脇役も含めて盛大に歌い踊る。この幸福感と斬新さこそが、この映画の肝だ。受験に失敗して思い詰めて自殺を図るアニの一人息子。一方で、アニを演じたスシャント・シン・ラージプートが映画の日本公開前に本当に自殺してしまったというのは、何とも皮肉だ。鬱病を患っていたらしいが、モディ首相まで弔意を寄せる程、将来が期待される存在だったようだ。イルファン・カーンに続く、インド映画界の大きな損失と言えようか。ともあれ、入場時に配られたプレゼントは、エンディングテーマの歌詞付であった。インド映画に、インド社会にも希望を。
2020年09月12日
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インディアン・ムービー・ウイーク2019で最も人気を集めたのが、2016年のヒンディー映画「フライング・ジャット」だったそうだ。実は、本国ではあまり評価されず興行的にも今一つだったらしいけど、CSムービープラスで放映された本編、これはいいね、面白い。人気を集めたのも、よくわかる1作だった。やはり、ムービープラスで放送された「タイガー・バレット」では、「ランボー」パクリのようなマッチョマンが今ひとつハマってなかった印象の二世スター、タイガー・シュロフ。でも、この映画のような線が細めのコミカルな役どころは、むしろピッタリだ。マザコンの弟で、シーク教徒の伝統も否定しがちなヤワな男、一応、武術教師だが、メンタルが如何せん弱い。そんな彼が神の力でスーパーヒーローとなり・・・ハリウッドのマーベル映画の影響は受けてはいるものの、家族関係や、ヒーローの成り立ちは、これはインドそのものだ。コテコテのミュージカル場面が続々なのも嬉しい。それでも環境問題を主軸に据え、インド人観客にも変革を求めようとしている姿勢にも好感が持てる。ヒロインのジャクリーン・フェルナンデス、終始、メガネの地味なルックスだが、この人、「サーホー」でも「タイガー・バレット」でもアイテム出演で、ケバ目の存在感を示した。ミス・スリランカだそうだが、ルックス通りにラテン系の血を引いているらしい。後半には、彼女のケバさ全開のミュージカル場面もある。敵役のネイサン・ジョーンズは、オーストラリアのプロレスラーだそうな。悪魔の毒々モンスターの如く、汚染された環境が彼に力を与える。彼の力を弱めるには環境を改善させなければならないのだ。営利追求の大企業の経営者も娘の病気で心を入れ替える。何よりも母は強し、主人公アマンとローヒドの母は、アル中みたいだけど、とにかく真っ直ぐで強い。神頼みの展開なのが不評の原因だろうか。でも、インドのスーパルヒーローは欧米と同じではつまらない。最後は、宇宙空間でのバトル。さすがに中国のロケットをぶっ壊すのはヤバい気がしたけど、インドは、本気出せば世界一なんだぞという気概は大いに感じさせた。神や神話に彩られたインドのスーパルヒーロー、むしろ、これこそインド映画の進む道。いいじゃないか、これで。インド映画好きには大満足の150分余。タイガー・シュロフは、リティク・ローシャンと共演の「ウォー」がもうすぐ公開だが、都内まで行って観に行くのは、まだデンジャラスかなあ。沖縄でも何とか公開を・・・
2020年07月11日
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さて、週末はまたHD録画ストックの消化に努めませう。今宵はCSムービープラスで放送されたインド映画「タイガー・バレット」'18を。これ劇場公開されたの?主演のタイガー・シュロフ、名前はよく聞くけど、映画見るのは初めてかも知れない。ひょろ長い顔で美形でもないが、この映画は、ランボーばりのマッチョ、格闘マシーンとなって暴れまくる。尤も、前半では軟派な学生を演じていて、ボリウッドらしい作りだ。で、タイガーが虎の如く変貌するきっかけを作るのがディシャ・パターニ。どこかで見た人だなと思ったら、ジャッキー・チェンの「カンフー・ヨガ」に出ていた人だった。女児誘拐というシリアスな題材を扱いつつも、学生時代の青春篇でイケイケのミュージカル場面もあったりする。その誘拐事件が実は本当なのかというミステリーが描かれ、その辺の展開はそれなりに引っ張る。マトリックス風スロー映像を駆使して、マッチョになったタイガーが警察署で大暴れしたり。押さえつけられて拷問も受けるけれど、カシミール帰りは警察の拷問なんて屁でもないといった調子だ。そんな警察の闇が諸々描かれていて、ちょっといいのかなという感じもする。何と鍵を握るパターニが途中で自殺してしまって、後半の展開は急転直下。しかし、謎解き部分は、ボリウッド映画の中でも、ちょっと無理あり過ぎで、上質の脚本とは言い難い。何より、今更「ランボー」というのが、どうしても古臭さを感じさせる。黒幕を倒したタイガーの元に軍隊の上官が駆けつけるあたりも、本当にもろ。バングラ・ビートのミュージカル場面もあって、敢えて、懐古的?な作りをしたのかも知れないけど。「地獄の黙示録」を彷彿させる場面もあったし。タイガーといえば、父はジャッキー・シュロフで、「サーホー」では父親役で助演していた。更に、「サーホー」同様に、アイテム・ナンバーでスリランカのジャクリーン・フェルナンデスが登場する。この映画の原題は、"Baaghi 2"だけど、続編的中身では全然なかったようだ。LSDなる変な警部が前作に続けて出てきたのかと思いきや、そうでもないらしい。邦題はタイガーの名からつけられたと思しい。そういえば、やはりムービープラスで放送されて録画した「フライング・シャット」もタイガー主演作だったのだ。他のボリウッドスター程の魅力を感じないのだけど、一応、この映画は結構ヒットしたそうで、人気上昇中ではあるそうだ。まあ、勿論、「フライング」の方にもつきあいまっせ。
2020年05月09日
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インド映画ファンにとっては、かなりショックな訃報、しかも立て続けにだ。コロナが死因ではないものの、ちょっと衝撃が収まらない。まずは昨日訃報が伝えられたイルファン・カーン。いわゆるボリウッド・スターではない。デビュー作もミラ・ナイール監督作だから、どちらかというとアート系映画の地味な存在だった。でも、ヨーロッパで評価を高めハリウッドにも進出。オスカー受賞の「スラムドッグ・ミリオネア」等の話題作にも出て、次第に顔が知られるようになった。逆輸入的にインドでも活躍が目立ち始め、昨年日本公開の「ヒンディー・ミディアム」は、かなりのヒット作になったそうだ。国際派ながらも、インドにおいても地位を確立。脂が乗り切った50代前半、まだまだこれからというところでの急死。現役バリバリの人だった故に驚きが大きい。悪役から思慮深い脇役、コメディから社会派まで幅広くこなす稀有な演技派俳優。本当に惜しい。もう一人は、インドにおいてはイルファンを凌ぐ大物だ。リシ・カプール、今やランヴィール・カプールのお父さんではあるけど、リシも大監督ラージ・カプールの息子で子役時代から活躍。70~80年代はトップスターで、年を取ってからも重厚な脇役として活躍。この数年、ようやく日本で公開されるようになった何作かでも、その顔を見ることが出来た。主役を張っていた頃の作品はDVD等でしか見られないけど、最晩年、アミタブ・バッチャンと共演した「102ナット・アウト」なる作品、「おかしなカップル」を彷彿させる老優共演のコメディ作でそそられる。癌で治療中だったようだけど、とうとう、神の下に召された。インドでは、合掌、RIPにあたる言葉はどう言えばいいのか、不勉強にして知らない。とにかく、まだまだスクリーンでその姿を観たかった二人の名優の死は残念でならない。ご冥福をお祈りします。
2020年04月30日
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「バーフバリ」のプラバース主演の新作がめでたく日本公開になったのはいいけれど、沖縄では那覇以外での上映。当初、美浜での上映だったはずだけど、美浜が休館になったために南風原の劇場での上映になったようだ。サザンプレックスで映画観るのは初めてだが、映画そのものはポイント利用で観るとして、バス代片道390円をかけて観に行くとする。「サーホー」、とはこれ如何に?”万歳”の意味らしいけど、実はその本当の意味がわかるのは映画の中盤、つまりインターミッション前というのが何とも。若いけど、やたらに渋いプラバース。でも、履歴書の写真だけ見て女性警官にデレデレして自らのチームに引入れる。こいつ単なるスケコマシなだけかと思うが、後になってみると、そこにも何か意味があって然るべきだった。ヒロインのシュラッダー・カプール、僕的には些か地味な印象なもので。少なくとも、この導入部を見る限り、インド、まだまだ露骨に男尊女卑社会って感じだけど。でも、ボリウッドよりも保守的であろうタミル映画ながらも、やたらに酒を飲む描写は出てくる。喫煙場面も然り。特にプラバースは酒好きで、ビールはハイネケンを愛飲。もう、この人はラジニとかに匹敵するヒーロー・キャラらしく、とにかく終始クールかつ超人然としている。しかも、ある種のセレブであることも終盤に判明する。正直、映画のモチーフとなる事件の描写は凝り過ぎていて何が何だかわからない。一方、悪そうなおじさんもいっぱい出てくるけど、これも誰がどういう役割なのか分かったようなわからないような。暗殺された大ボスがジャッキー・シュロフで、その跡目を巡る争いが展開され、そのために様々な事件が起こるということのようだ。まあしかし、情報量の多い映画だ。それはアクション場面も含めて。「カンフー・ハッスル」みたいな長屋の格闘から始まって「007」顔負けの空中パラシュート・ゲット着地、車を壊しトラックを壊し、ジョン・ウーのような華麗なるコラボ・アクションもあれば、「マッドマックス」のような砂漠のガチ格闘もある。終いには、フライング・プラバース?空中でのアクション。「バーフバリ 」もそうだけど、CG使い過ぎ、やり過ぎの劇画感はちょっと引き気味にもならざるを得ないが・・・ミュージカルもしっかり。プラバースのクールな低音とは対極なバックアップシンガーの声が何だけど、歌と踊りでは、地味めなカプール嬢が露出度も満点で活躍。ヴェガスのバーニングマンらしき場面も出てくるけど、一番印象に残ったのは、後半の”テル・ミー、テル・ミー”のナンバー。あの巨大仏像は実在するの?ロケはアブダビ、オーストラリア等で行われているようだが、よくもまあというゴージャスさ。虚虚実実の展開ながら、プラバースがカプール嬢に寄せる思いだけは、最後まで真摯なもののようだ。お話的にはプラバース版「ドン」に「インファナル・アフェア」少し混ざってるというか。「踊るマハラジャ」もそうだったけど、タミル映画は最終的にはヒーローは、実はセレブであったというのが好きみたい。続編が作れそうな終わり方だけど、そうなると、ますます「ドン」だな。まあ、こういうご時世に観るにはいい、大娯楽巨編ではある。首都圏の今週末の上映は中止になってしまったようだけど、南風原のシアターの入りもまずまずであった。「バーフバリ」ファンであれば大いに楽しめる1本だろう。いやでも、観終わっても、しばらく、その情報量の多さは整理がつかないままでいるのだが・・・
2020年03月29日
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