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というわけで、那覇市立図書館にリクエストして入れてもらった「ニューオーリンズR&Bをつくった男 ヒューイ・"ピアノ"・スミス伝 ロッキング・ニューモニア・ブルース」(ジョン・ワート著 ドゥブックス刊)を読了した。2段組で400頁超なので、これは手強いかなと思いきや、さすがにスラスラと読めた。ヒューイ・"ピアノ"・スミスは、バンドリーダーではあったけれど、フロントマンではなく、曲の作者でピアノ奏者で、演奏時も表面に出ることはなくバックでピアノを弾く、ある意味、地味な存在ではあった。それ故か、この本も、ミュージシャンの伝記にありがちなヤバい話とかえげつない話というのは、さほど出てこない。まあ、奥さんは何度か替えているけれど、3人目の奥さんで落ち着いた後は、エホバの証人の信者として穏やかな日々を送っていたという印象だ。勿論、彼の身辺は決して穏やかではなく、心中も然りではあろうが。ロックンロールのオリジネイターたちとの出会いやセッション、往年のニューオーリンズ音楽シーンの裏話も出てくるけれど、例えばドクター・ジョンあたりに比すれば、それほど波瀾万丈だったり、驚かされるようなエピソードはない。その存在と同様、むしろ控えめで、些かマニアックな内容とは言える。しかし、彼の音楽はといえば、彼のキャラクターとは対照に、狂的なまでに騒々しく、馬鹿馬鹿しさと楽しさに溢れている。だからこそ、本書の後半を占める、彼の後半生の顛末には、寂しさ、虚しさを覚えずにはいられないのだが。ジョニー・ヴィンセントのエイス・レコードでの録音がスミスの出発点だった。彼の最大のヒット作でもある“シー・クルーズ”がスミスの名義ではなく、白人シンガーのフランキー・フォードによりリリースされヒットを記録したあたりからスミスの不運が始まる感じだ。かつての時代、特に黒人のミュージシャンが白人の経営者によって搾取され、正当な報酬を得られなかったというエピソードは、他にも多く伝えられてはいるが、スミスは、まさにそんな典型的な一人であり、そのことが影を落とし、彼のキャリアすら正当な評価を得られない状況に陥ってしまう。エイスのヴィンセントから正当な報酬を得る、印税を得る戦いということならわかるが、スミスはそんな状況でも、決してヴィンセントを恨んだりはしていない。やはり、スミスは、“いい人”だったのだろうか。問題は、あなたの印税を回収してあげますよと声をかけてきた弁護士が、その代わりに報酬として50%を得るという条件を提示したこと。逆にスミスは、その弁護士から契約通りの支払いをしていないということで訴えられるのだ。その泥沼の裁判劇が延々と続く。チャック・ルービンなる、その弁護士は、他にも多くのミュージシャンを食い物にしてきたようだ。それでも後年は、スミスの再評価の機運が高まることもあった。いくつかの賞も受賞し、ニューオーリンズ・ジャズフェストへの久々の出演の話もあった。しかし、結局、それは実現しなかった。そういえば、僕がジャズフェストを訪れていた90年代初頭、フェスのライアンナップに彼の名前を見ることはなかった。一方で、言われてみれば、ボビー・マーシャンの名はあったのだ。クラウンズのフロントマンだったマーシャンは、スミスと別れた後もショウマンとして活躍し、後年はニューオーリンズのヒップホップの基礎も築き、フューネラル・パレードに送られて逝ったそうだ。むしろ、彼の方がスミスよりも派手な生涯を送った印象だ。2000年にR&Bファウンデーションのパイオニア賞を受賞した際は、スミスはパフォーマンスを行ったそうだ。ハウスバンドをバックに、スミスがピアノを弾きヴォーカルも取ったそうだが、それはスミス本来のプレイスタイルではなかった。彼はあくまでバンドを率いる人、だからこそ、先達のファッツ・ドミノやプロフェッサー・ロングヘア、少し後輩のアラン・トゥーサンら程には評価を得られてないという面もあろう。また、彼の曲にノベルティ的なものが多いことも過小評価の要因の一つだろうか。しかし、ドクター・ジョンの「ガンボ」を聞いても分かる通り、ニューオーリンズの音楽を語る上で、スミスの曲を欠かすことが出来ないことは明らかだ。内容的には辛い現実やハードな状況が綴られてはいるけれど、そんな彼の存在を改めてフィーチャーする意味で、この伝記の刊行と翻訳が重要、必要だったのだと考える。さて、やっと肝心の本を読み終えたところで、今度は、前にも書いた、「ヒューイ・"ピアノ"・スミス・データブック」が入手できれば。結局、頼んだダチが当てになりそうもないので、来月末の帰宅時に、自分でクリオール・コーヒー・スタンドなる店に乗り込んで購入しようかと考えている。その時に在庫があれば、ではあるけれどね。
2023年08月07日
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2月に取り上げた「ニューオーリンズR&Bをつくった男 ヒューイ・"ピアノ"・スミス伝 ロッキング・ニューモニア・ブルース」(ジョン・ワート著 ドゥブックス刊)だけど、初版は1000部くらい?増刷かかるのは難しいだろうが、出版社の在庫はそろそろ終了らしい。なので、那覇市立図書館に出したリクエストは難しいかなと思っていたら、徐に連絡が来て・・・めでたく入った!市立中央図書館に。本当は沖縄県立図書館の方に入って欲しかったけど、あちらはリクエストが中断中だったので市立の方に出していたのだ。県立の方が目に触れる機会は多いだろうけどもね。ともあれ、これで、ようやく読めるようになったので、早速借りてきた。本文は二段組で400頁超、これはなかなか読み応えありそう。翻訳も大変だったろうな。その翻訳の陶守正寛さんには悪いけど、何せ高価なもんで、とりあえず借りて読もうという次第。このところ、ひたすら読んでいた旅や移住関係の本は一休みして、こちらに集中しないと。さて、残るは、前にも書いた、「ヒューイ・"ピアノ"・スミス・データブック」の方だ。これは手に入れたいな。なわけで、9月末に帰る際に、同書を売っている東長崎のクリオール・コーヒー・スタンドという店に行ってみようかと考え始めた。3月にダチにあった際に行ったら買っておいてと頼んだけど、どうも当てになりそうにない。そもそも、そのダチ、昔ヒューイのCDを貸したことがあって、戻ってはきたけれどジャケットが紛失。なので、別のCDを買い直したという程度に、昔からあてにならない因縁の輩なのだった。多分、もう忘れてるのだろう。今のところ店には在庫があるらしい(本の方も)。行く前に在庫を確認して、あるなら赴いてみよう。あのニューオーリンズ好きだったIさんの旦那さんを誘ってかな。
2023年07月31日
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ゴールデンウイークの連休も終わり、大阪の春一番も終わり、ニューオーリンズ・ジャズフェストも無事終わったようだ。昨晩BSで放送された「街角ピアノ」は、そのニューオーリンズ篇。NOLAのピアノといえば、あの転がるようなセカンドラインの旋律。そして、街中にミュージシャンもいっぱい。どんなピアノの音色が聴けるかな。アーティストによってペイントされたピアノが11台。カメラが据えられたピアノは、公園に、校外なのかな?もう、弾き手一人一人にエピソードが満載だ。50歳の路上ミュージシャンが弾き始めた曲“ダウン・イン・ニューオーリンズ”はドクター・ジョンの曲、そんなんあったっけ?それは、ディズニーアニメ「プリンセスと魔法のキス」のランディ・ニューマン作の曲。あのサントラ持ってたけどアイチューンには入れてなかったのだ。次回帰宅時にチェックしないと。路上ピアノを訪ねる旅をしているオランダ人なんてのも。“サザン・ナイツ”を弾き始めた地元在住ミュージシャンは、バーボンストリートで演奏していたそうだ。プリザヴェーションホールも登場する。“ザット・ラッキー・オールド・サン”をブルージーに演奏したおっさんはバンジョー奏者とか。ピアノの絵に描かれたバンドが演奏を始め、周りで踊り始める人も。ああ、ニューオーリンズは幸せな街だね、と思いきや・・・ハリケーン・カトリーナから、早18年か・・・テキサスに移住したミュージシャンは、今も演奏のために、この街に戻ってくる。いや、ウルウルくるね。地元の15歳の少女は自作曲で感情を込める。天才だね、しっかり、ミュージシャンは育っているのだ。讃美歌を弾くホンジュラス出身の女性は、いとこをジャズ葬で送ったそうだ。ミシガンの音楽教師は、いきなり「戦場のメリークリスマス」を。坂本龍一の死を知って、初めて弾いたとか。キューバから移住したミュージシャンがキューバ音楽とジャズの融合を目指すなんて、ニューオーリンズならではだ。やはり、サッチモ率は高いね。最後は、”この素晴らしき世界”を弾き語る72歳のミュージシャン。人口は被災前の8割ほどに戻ったのだとか。音楽溢れるビッグ・イージーな街に、いつまでも幸あれ。
2023年05月07日
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今日からニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルがスタート。例年、行けないけれども、行った場合に見るステージを仮想して、それで悩んで寝るのが遅くなったりしてたけど、今回はステージが14くらいになっていて、ブラウザで表示し切れなくて選ぶのが、ますます難しくなっている。PDFファイルをDLして眺めるよりない。以前は、予約機能みたいなのがあったけど、それもないから、ざっと触れてみるだけにする。今日の大トリは、ロバート・プラント&アリソン・クラウスもあるけど、やっぱり、メイヴィス・ステイプルズに行くな。その前は、チャーリー・マスルホワイトとタンク&ザ・バンガズがかぶってるな。久々の(って、何を基準?)スティーヴ・ライリーを見つつ、その前はトミー・マクレイン&C・C・アドックなんて見ものが。29日、トリはスティーヴ・ミラー・バンドを見るな、まだ現役なんだね。その前はタジ・マハルにサニー・ランドレス、いずれも小さめのステージなんだよね。ゴスペルのザイオン・ハーモナイナーズも見てと、トリから頭に遡っていく感じで。30日、テデスキ・トラックス・バンドも見たいけど、久しく見てないロス・ロボスの方を選ぶ。その前はゲイリー・クラーク.Jrかな。ローカルのイグアナズも見たい。オープニングは、ニューレビアタン・フォックストロット・オーケストラ、健在なんだね、嬉しくなる。来週5月4日、トリは若いラーキン・ポーにも惹かれるけど、ジョエル・ソニエを見たいな。その前は、メインステージのバディ・ガイ、ロッキン・ドゥプシー.Jr、キャウボーイ・マウスで固めて。5日のトリは、やっぱり、旬のジョン・バティステを見てみたい。その前は、アーマ・トーマスも何だが、ブルーグラスの新星モリー・タトルを。マルシア・ボール、メインステージだけど早い時間だな。オープニングは、バックウィート・ザディコ.Jrを。最終日、こりゃあもう、デッド&カンパニー以上にジョン・ハイアット&ザ・ゴウナーズだ。その前は、ボーソレイユ、そして、トミー・マローン。早めの時間のジョージ・ポーター.Jrも見て、オープニングは、やはり、ゴスペルテントかな。結構ローカルなチョイスに偏っているけれど、ジャズフェストはこれでしょう。これでマルディグラ・インディアンズとブラスバンドどこかで加えれば、ジャンル的にはかなり網羅できる。これぞジャズフェストの魅力だねって、あくまでも仮想に過ぎないのだけどね・・・
2023年04月28日
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ニューオーリンズのマルディグラ、クライマックスのファット・チューズデイは一昨日だったけれど、今日あたりも、まだパレードが続いていたりはしないのかな?少し遅れてしまったけれど、3週間ほど前にBSで放送された「プレミアムカフェ」の「体感!世界の祭 アメリカ・ニューオーリンズ」を録画視聴。2002年の放送だそうで、これは当時も見た記憶がない。90分枠の放送。ドリアン助川(テツヤ)って人がリポーターだけど、この人、最近は出てる?とまれ、知ってるようで、意外と知らなかったマルディグラの様子が色々わかって興味深かった。マルディグラは、約1ヶ月に渡って開催されるけれど、あの山車のパレードは、市内の中心部だけで行われるわけではなく、実は市内全域、あちらこちらで展開されるそうだ。観光客が有料で参加出来るものもあれば、コミュニティメンバーだけのものもある。で、あのビーズは、投げる人自身が自腹で調達するそうで、中には何十万も支払って大量のビーズを仕込む人も。ここいら、日本の下町の祭りにも似ているところがあるね。山車は郊外にあるマルディグラワールドというところで1年をかけて制作される。この費用も、そのコミュニティやトライブの持ち出しなのかな。山車に乗って、求める人たちにビーズを投げるのは、一瞬スター気分。実際、夜の市中のパレードには結構セレブも登場するようで、番組内でもニコラス・ケイジが写されたりしていた。沿道で出迎える市民も、祭のための出費を惜しまず、1000匹のザリガニを用意して振る舞う人もいたりする。大量の玉ねぎ、じゃがいも、とうもろこし、ニンニク、レモン等をドラム缶状の鍋に突っ込んで豪快に煮込む、野趣溢れるクロウフィッシュボイル、最後に氷を入れてザリガニの味を引き締めるのがコツらしい。いや〜、見ていて懐かしいね。パレードの山車も、かつては女人禁制だったそうだけど、意外に早く1922年には女性フロートも登場。国別のテーマの山車もあって、日本の何ちゃってぶりには苦笑。しかし、このマルディグラにも、階層や階級は大きく横たわっているのだ。そもそもの始まりは、レックスという上流階級組織から。ニューオーリンズの富裕階級の組織で、今も続く秘密結社のような感じで、パレードのトリを飾るのは、このレックスのフロート。パレードのキング、クイーンもレックスの会員内から選出される。レックスのパーティはTV放送されて、それがマルディグラの締めとなるそうだ。これレックスの構成層は、当然、白人ばかり。何となく、かつてのプランテーションの伝統を引き継いでいるような感じで、ちょっと複雑な気分になる。一方の黒人たちもズールーという組織を作って、こちらもキングやクイーンを選出。そうか、ズールー・キングとか聞いたことはあったけど、これのことだったのね。レックスにしろズールーにしろ、結構、資金が必要だし、上下関係もありそうだ。そこに入れない人たちはどうするか、そこにマルディグラ・インディアンが登場する。マルディグラ・インディアンに扮するのは、本当に市井のブルーカラー等の人たち。あの衣装も自腹で調達し、1年の機会のために奮発する。アフリカからの奴隷と、ネイティヴ・アメリカンとの交流から生まれた、この風習だけど、実際に、ネイティヴ・アメリカンの血が混じっている人って、今どのくらい存在するのだろう?マルディグラ・インディアンのトライブ同士の張り合いは、沖縄のエイサーのガーエーを彷彿とさせる。ひたすらハッピーな印象のマルディグラにも、貧富の差や階層が大きく影響しているのだね。とはいえ、やっぱり、一度は体験してみたいものだ。あの祭を見られたら、何だか死んでもいいような感じさえする。行ったダチからビーズをもらったことがあるけれど、自分で受け取ってみたい。ああ、行きたいねえ、ニューオーリンズ。
2023年02月23日
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何と、残念なことに、このタイミングでヒューイ・"ピアノ"・スミスの訃報が入ってしまった。昨年、伝記本の邦訳が出て、ちょっとした話題になっていたのに。スミスを知ったのは、御多分に漏れず、ドクター・ジョンの「ガンボ」を聴いてだ。その後、Pヴァインから出ていた「ロッキン肺炎ブギウギ流感」というコンピを買ったが、そのCDをダチに貸したところ、戻ってきた盤のスリーブが無くなっていた(ディスクはあったと思う)。なので、「ベスト・ニューオーリンズ・マスターズ」というコンピを買い直した。やっぱり、ニューオーリンズのサウンドとして、これはちゃんと持っていないとという1枚と認識していたのだ。曲目とジャケの画像は、「ロッキン肺炎」と、ほぼ同じだったかと思う。伝記本の出版をきっかけに、スミスが存命であったことを知った次第。しかし、さすがに89歳では、いつ亡くなってもという状態ではあったろう。で、肝心の「ニューオーリンズR&Bをつくった男 ヒューイ・"ピアノ"・スミス伝 ロッキング・ニューモニア・ブルース」(ジョン・ワート著 ドゥブックス刊)だけど、まだ読んでないです。何せ、高価なんだよね。近年、この手のマニアックな音楽本はどんどん値段が上がっていて、よほど好きでないと手が延びない。読みたいけれども、図書館とかでどうにかならんかなあと。訳者の陶守正寛さんは、この本が図書館に導入されることを熱心に進めているようだ。では、僕も沖縄の図書館にリクエストを出して、それで読書にありつこうと。専ら利用してきた那覇市立図書館が、昨年の訳わからないサイバー攻撃のお陰で使い勝手が悪くなってしまったので、借りるのは沖縄県立図書館の方にしようと思っていた矢先、ちょうど、市立の方には無い本を借りたかったこともあって、久々に県立の方へ。で、早速リクエストをと思いきや、カウンターに貼り紙が、曰く、“今期の予算に達したので、リクエスト受付は終了しました”と、あちゃー。まあ、本は借りて帰ったけど、やっぱり、読みたいよな、スミス伝記。ようやく、市立の方も回復してきたようなので、市立の方でチャレンジするか。一方、陶守さんが自主制作で、「ヒューイ・"ピアノ"・スミス・データブック」というのを出していて、500円で販売。これ、本来は伝記本に収録したかったけど、別本にせざるを得なかったようだ。ただ、せこくて何だけど、これもなるべく送料かけないで入手したいところ。南長崎にあるクリオール・コーヒー・スタンドという店で販売しているそうだ。その店、僕は行ったことはないけれど、ダチが時々行くとか。なので、店に行ったら、買っておいてくれと頼んだ。何せ、そのダチには貸しがある。冒頭に書いたスリーブを失くした貸主は、そのダチなのだ。装置とは来月久々に会おうと考えている。そこまでに買っておいてくれりゃあいいのだけど。と、書いてきたところで、もう一つの訃報が届いた。6年前に亡くなった、僕のニューオーリンズ音楽の師匠Iさんのお母さんが先週亡くなったと、Iさんの旦那さんから連絡が。ご冥福をお祈りしますが、そういえば、来週はマルディグラだ。ニューオーリンズ関連の皆さん、賑やかなお葬式で送ってあげたいところだな。
2023年02月15日
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配信だけで提供される映画とかドラマが増えているけど、キリがないから、ほとんど見ない。だから、システムもよく分かってなくて、ネトフリだのアマプラだの月契約をしないと見られないものだと思っていたが、単発で見られるものもあるのだった。配信でのレンタル、ないしは映像購入というわけだ。利用してみようと思ったのは、「ジャズフェスト ニューオーリンズ・ストーリー」(正確には邦題表記では「ト」はついてない)という90分のプログラムがソニーより先月配信開始されたと聞いて。これは見るでしょ!楽天TVでHD画質のをレンタル視聴。ソニー・ピクチャーズで、監督に、スピルバーグ作品のプロデューサーとして知られるフランク・マーシャルが名を連ねているから、これは映画なのだろうか?ともあれ、あのニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルに関するドキュメンタリーだ。2019年のフェス開催50周年を記念して製作されたようだ。だから、映像は主に2019年のフェスのもの。過去の歴史的映像がそう多く登場するわけではないけれど、その構成と出演者たちのイタンビューで、このフェスが持つ独特な雰囲気を余すところなく表現。そして、歴史や伝統、このフェスならではの魅力を浮かび上がらせる。アース・ウインド&ファイアの“セプテンバー”のライヴ、マルサリス・ファミリーが揃った演奏、ゴスペル隊を率いたケイティ・ペリーの“ファイヤーワーク”等々、割とメジャーな出演者のものが中心で、ローカル・ミュージシャンの演奏場面はそう多くない印象だが、インタビューでは、アーマ・トーマス、サニー・ランドレス、ビッグ・フリーディア、タンク・アンド・ザ・バンガスのタリオナ・ボールらが登場する。そして、ブルース、ゴスペル、ケイジャン、ザディコといった、このフェス、そして、ルイジアナならではのステージや音楽、勿論、マルディグラ・インディアンも登場。音楽だけではない、ジャズフェストといえばフードだ。食べ物目当てでフェスを訪れる人も多いというのも納得。他の49州では食べられないような魅惑の美味の数々が、フェスでは気楽に味わえる。僕が最後にフェスを訪れたのは、もう20数年前なのだけど、この映像を見ていると、4回訪れたフェスの、あの興奮と感動がまざまざと蘇る。そして、2005年のハリケーン・カトリーナ。街そのものが沈下してしまうような大惨事、それでもフェスは開催されたのは驚きだった。その翌年のフェスにシーガー・セッション・バンドで出演したブルース・スプリングスティーンのライヴ、「ライジング」からの“マイ・シティ・オブ・ルーインズ”の歌詞は、まさに、あの時のニューオーリンズを表現しているようで、これは思わず涙した。カトリーナから17年、今は復興したとされているけれど、今でもあの地に戻っていないミュージシャン、人々も存在する。新世代のミュージシャンも紹介しつつ、締めはアーロン・ネヴィルの”アメイジング・グレイス”、そして、最終日のメインステージの大トリをネヴィル・ブラザーズから引き継いだトロンボーン・ショーティのステージで終わる。アラン・トゥーサンもアート・ネヴィルもドクター・ジョンも亡くなってしまったけど、ニューオーリンズの音楽、カルチャーはまだまだ元気。アメリカのフェスといえば、コーチェラ、ロラパルーザ、ボナルー等々あれど、このジャズフェストも独自のスタンスで健在、続いていくのだろう。結局、出演が幻に終わったストーンズの“無情の世界”をジミー・バフェットが歌うエンドクレジットもよかった。いつかまた行けるのかとかいうことは、過去にも何度も書いているのだけど、何だか、その日はどんどん遠くなってしまっているような気がする今日この頃。550円のレンタルで借りたこの映像、また見たくなったら2,750円で購入しようかな。
2022年12月17日
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BS「世界ふれあい街歩き」、ニューオーリンズ篇らしい。前にもやったと思うので再放送だろうと思っていたら、どうやら新撮みたい。前にやったのは「世界ネコあるき」の方だっけ?とにかく、これはしっかり見ないと、“人々が響き合う ニューオーリンズ〜アメリカ”。ナレーターは「ドキュメント72時間」常連の鈴木杏だ。おお、ミシシッピ、蒸気船、そしれ、まずはフレンチマーケットはカフェ・デュモン。もう日本からは無くなってしまったからなあ。店の前でのライヴ演奏の様子を。もうマスクしてる人なんて皆無だね。ストリートミュージシャンも前と同様にたくさん。そして、バーボンストリート、観光客もそこそこ多い。この街は、やっぱり黒人女性たちが実にイキイキとしているのが目立つね。ルイ・アームストロング公園とは紹介されず、コンゴ・スクエアとして、アフリカのダンスや音楽を練習する人々。今のあそこらの治安はどうなのかな?そして、マルディグラの紹介。やはり、忘れてはならないのはハリケーン・カトリーナのこと。そういえば、カトリーナの後でもマルディグラとジャズフェストは行われたんだったよな。マルディグラインディアンの衣装と山車を紹介。ニューオーリンズの人たちも1年はマルディグラのために生きているのだね。死ぬまでに 一度行きたや マルディグラ(季語はマルディグラ)。変わった商売や変わった店(ブードゥーショップとか)、それにコミュニティで愛される名物じいさん等。ブードゥーのあの人形は呪いをかけるというよりは願いを叶えるという明るい?意味合いのものだそう。音楽の街だから楽器の修理屋さんも大忙しだ。食べ歩きは、まずはガンボ、バーボンハウス・シーフードという店だった。次はどの店かわからないけど、何となく見覚えがあるような、シュリンプ・ポーボーイにビールはアビータかな。1位はちょっと意外?エトゥフェ。ジャズフェストの会場では食べたことあるけど、レストランではないんだよな。177年営まれる鍵屋さんはアンティークショップも兼ねている。NOでは泥棒はドアを蹴破って入るから鍵は無意味だってえけど・・・そして、ちょいと郊外へ。まさにカトリーナの被害が大きかったエリアだろう。住民が協力して家を再建、今は週末のホームパーティで楽しむ。廃墟に彩りを与えた壁画のようなペインティング。復興の苦労が色々と偲ばれる。ニューオーリンズは“死者の街”でもあり、事故物件もざら。でも、そんな家でも幽霊と同居して好んで住み人もいたりする。案外、寂しくないかもな。そして、最後は再び夜のバーボンストリートへ。今宵も音楽が鳴り響き、名物じいさんも踊ってる。カトリーナから17年、道のりは平坦ではなかったろうけど、元気を取り戻している街を見られたのは嬉しかった。そして、僕が最後にこの街を訪れて以来、27年。次に行ける時はあるのかな、いや、絶対にまた行きたいぞ!
2022年09月27日
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ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル第51回目のラインナップ発表。昨年ドタキャンに終わったストーンズに続いては・・・今年はザ・フーが出演。日割りも既に出ているのだけど、初日4月23日にブライアン抜きのビーチ・ボーイズが出るようだ。更に、こちらも昨年自らのインフルでドタキャンに終わったステイーヴィー・ニックスも。他に大物ではジョン・メイヤーも加わるのであろうデッド&カンパニー、ノラ・ジョーンズ及びノラも加わるプスン&ブーツ、フー・ファイターズ、リゾ、ルミニアーズ、復活したらしいブラック・クロウズ、エルヴィス・コステロ、レニー・クラヴィッツら。一方、渋い系では、間も無く来日のタンク・アンド・ザ・バンガス、ジョン・プライン、ジミー・クリフ、リッキー・リー・ジョーンズ、クリス・アイザック、サウスサイド・ジョニー、アスリープ・アット・ザ・ホイール、ダグ・カーショウ、リッキー・スキャッグスら。何よりも、終盤のスケジュールで予定されているトリビュート・プログラムだろう。当然とは言え、アート・ネヴィル、ドクター・ジョンのトリビュートを地元ミュージシャン主体で開催、これこそが今回の見どころ聞きどころであろう。まあ、勿論、行けないけれども。して、今日は暇だから年末に買った50周年記念CDボックス「ジャズフェスト:ニューオーリンズ・ジャズ&フェスティバル」を聴いたろうかと思ったのだけど、とりあえずビニールは破って開けて、アイチューンズ、もといアップルミュージックに落とすだけに終わった。5枚のCDは、主にハリケーン・カトリーナ以降のライヴ音源を中心に構成されているようだ。当然ながらニューオーリンズ地元の常連ミュージシャンのものばかりで、これが聴きたかったんだよという内容だ。例えばサブデューズとかジョン・ブーテーとか。残念ながらラディエイターズやザッカリー・リチャーズの曲は収録されてないけど、共に今回のジャズフェストには出演。彼らのライヴも久しく見てないから見てみたいよなあ。勿論、収録の権利的な事情もあるだろうけど、どちらかといえば大物優遇の感がある近年のフェスに比べ、CDの内容は地元ミュージシャンに寄り添った内容で、これこそがジャズフェストだと思う。何度書いているかキリがないけど、死ぬまでにはもう1回、いや、2回3回と行ってみたいものだな。ボックスは3月位の帰宅時に持ち帰って、家のオーディオでボリューム上げて聴くとしよう。
2020年01月19日
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とうとう、この日が来てしまった。ドクター・ジョン以上に体調不良は以前から周知だったアート・ネヴィルの訃報、享年81歳。ライヴにこだわり続けたファンク・パパもついに力尽きた。 正直、この10年くらいのアートの姿は少し痛々しいものがあった。ネヴィル・ブラザースとして最後の来日になった2009年、既に車椅子と聞いていたアートだったが、何とか杖をついて歩いていた。しかし、往年のネヴィルズからすれば少々短めの演奏時間はアートの体調を気遣ってのものだったのではないか。その、アートは、最後までステージに残って観客の声援に応えていたのが印象的だった。 2014年にはファンキー・ミーターズとしての来日。これがまた、オルガンに座っているのがしんどそうで、背中を少年に支えられての演奏だった。もう、それが最後かと思いきや、何と、アートは翌年も来日した、再びファンキー・ミーターズとして。それがアートの最後の来日になったのだが、それには行かず終いだったのだ。いや、ちょっと見てるのが辛いかもというのもあって。 でも、そのくらい本人はとことんライヴにこだわったようだ。あんなボロボロの体を押しても、その後もライヴ活動は続け、去年のニューオーリンズ・ジャズフェストでも誰かのゲストで出たのではなかったか。昨年の12月に引退宣言を出したけれども、それは遅過ぎるくらい。あの様子でライヴを続けていたアートだったけれども、いよいよ限界が来たのだろう。 自らも”ファンク・マン”と称していたようにファンク一筋。ネヴィルズでは、異なる音楽性の兄弟たちを束ね、優しく見守るお兄ちゃんであった。中毒性の高いミーターズのサウンドは、どんなに速かったり激しかったりするビートがあろうとも決して忘れられない。あの温かみのある歌声も勿論だ。まさに偉大なる兄貴を失った喪失感、これは寂し過ぎる。 それにしても、ドクター・ジョン、デイヴ・バーソロミューと続き、ニューオーリンズ音楽の最重要人物たちの相次ぐ訃報。勿論、彼らの音楽を継ぐ人材は、ニューオーリンズでは育ってはいるようだけれども。フジロックに出演するジョージ・ポーターは予定通り来るのかな。フジロックのためだけに来日するようだけど、アートの追悼の単独公演などがないものか。まあ、行けるかどうかは別として。とにかく、さらば、ファンク・パパ、天国でボントン・ルレ!
2019年07月23日
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ドクター・ジョンの訃報から2日が経った。間が空いたのは、言葉を失ったというか、何をどう書いたらいいか呆然としてしまったからだ。何度も見ているドクターのライヴだけど、詳細な記録をつけていたわけではないので、いつどこでという記憶が最早曖昧だ。この日記の過去を辿れば、いくつかの記録は見つかるだろうけど・・・とにかく、ニューオーリンズの音楽といえば、アラン・トゥーサンもそうだけど、まさにドクター・ジョンであった。勿論、長い歴史の中では70年代にソロとしてはデビューしたドクターは新参の部類だったかも知れないけれど、少なくとも僕にとってニューオーリンズ音楽の入口となったのは、何よりもドクターの「ガンボ」であり、そういう人は、かなり多いだろう。あの、不思議に跳ねるリズムに妙に明るい曲調。それまでに聞いたことがなかったような音楽が、ドクターの独特なダミ声で歌われ強烈な印象を残した。まさしく、ニューオーリンズ音楽を知った原点はドクターなのであった。ニューオーリンズという特定の地域・ジャンルに止まらず、70年代からのロックを中心とした音楽シーンでは、ドクターは常にどこかに存在していた。ありとあらゆるミュージシャンのセッションやバックにも参加し、ドクターというのは、いて当たり前の人だった。来日公演も数えきれない位行っていて、この数年のブランクも、いずれはまた戻ってくるのではないかと勝手に思えていた。でも、体調不良は現実の話だったのだ。享年77歳は、トゥーサンが没したのと同じ歳。一方で、アーロン・ネヴィルは一つ年上で、アート・ネヴィルに至っては80歳超え。でも、ドクターの方が先に逝ってしまった。勿論、「ガンボ」は文句なしの代表作だし、続編とも言える「ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ」も素晴らしい。でも、単にルーツを再現するだけの人ではなく、時折、挟まれるスタンダード集でも独自の解釈・演奏を聴かせたし、近年に至るまでファンクを追求するような意欲的な作品も発表していた。その人脈も同世代や同ジャンルの人にとどまらず幅広いものだった。それ故に音楽面でも停滞することなく、挑戦を続けていた。しかも全てを自己流に染め上げてしまう強い個性は、最後まで異彩を放ち続けた。ミュージシャンズ・ミュージシャン的レベルを超えて偉大な存在であったのだ。ブードゥー教の司祭を演じていた人だけど、本当のブードゥー教徒というわけではなかったようだ。実はアイリッシュの血が入っているなんて、今回初めて知った。てっきり、ブラックとかクリオールの血が混じっているのではと思っていた。その意味では、まさにニューオーリンズという土地で生まれ育ったならではの人。やはり、彼の地ならではの盛大なセカンドラインで送られたという映像がネットで見ることが出来た。ニューオーリンズを愛し愛された一生であった。心より、R.I.P
2019年06月09日
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なわけで、50周年記念ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルの勝手に仮想スケジュールの続き、2週目。ジャズフェストのサイトは、登録してサインインすると、実際にスケジュールが組めるのです。それを元に、自分がフェス見物に赴いたら、これを見ようこれを聴こうというチョイスを。ストーンズ騒動でリスケになった5月2日(木)トップはティン・メン。ウォッシュボード・チャズって、ごく最近来日してたんじゃなかった?次はちょっとゴスペル行きましょう、ジョーンズ・シスターズ。マーク・ブルサードて、ラディエイターズ人脈の人ではなかったかな?その次は、リタ・クーリッジをちょっと聴いてみたいね。トリ、こりゃもうメイヴィス・ステイプルズに決まり。裏にはトム・ジョーンズにジギー・マーリーではあるけれど。3日(金)ラテンロックのイグアナズ、久々に聴いてみたいなあ。ジョン・ムーニー&ブルージアナなんてのも地元で息長いねえ。そして、レオ・ノセンテリ、ファンクでいこう。一方で、クリス・スミザー、この人はいいけどね。よ、サニー・ランドレス。そして、トリは、もうこれ、グラディス・ナイト!!4日(土)土曜のトップは、ジョン・パパ・グロス。パパ・グロウズ・ファンクの人だよね。ソウル・レベルズ、ホット8ブラスバンドとブラス続きの後は、これも地元の雄マルシア・ボールを。そして、これはいいねえ、ジェリー・ダグラスのジ・アールズ・オブ・ライセスター。裏にアーロン・ネヴィルやギャラクティックもいるのだけど。そして、トリが渋い!ジョン・プライン。ダイアナ・ロスなんて目じゃない。最終日5日(日)は、ひとまずジョージ・ポーター.Jrでスタートだけど、やっぱ、ゴスペルですねえ、ゴスペル・ソウル・チルドレンも50周年なのかな。ジョン・クリアリーは結構色々見る予定なので、ここはニューオーリンズ・レヴィアタン・フォックストロット・オーケストラを久々に聴きたい。リトル・フィートは、今はどういうメンツなのかな。ラディエイターズもここはしっかり見ておきたい。裏がチャカ・カーンに加え、地元のC・J・シェニエ、カーミット・ラフィンズ、テレンス・シミエンらだけど。そして、大トリを飾るのはジョン・フォガティだ。バディ・ガイ、ハービー・ハンコック、マーヴェリックス、勿論、トロンボーン・ショーティもあるのだけど。所詮は仮想だから虚しい?いやいや、これはこれで結構楽しいし、真剣に悩むのであります。実際に見る段になったら、本当に悩み悶えるだろうけどね。ああ、50何周年かには、実際に現地で悩んでみたいものだね・・・
2019年04月26日
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気がつけば今日からニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル、通称ジャズフェストがスタートではないか。勿論、アメリカ時間ではもう少し後だけど、考えてみれば、こちらの連休ともろ被りで行こうと思えば行けたんだよなあ。ま、金があればだけど。50周年を迎えたジャズフェストは、稀に見るすったもんだでありました。鳴物入りだったローリング・ストーンズ出演は、ミック・ジャガーの緊急手術のためキャンセル。代わりに決まったフリートウッド・マックは、スティーヴィー・ニックスのインフルエンザで、これまたキャンセル。結局は、常連とも言えるワイドスプレッド・パニックが出演。まあ、ジャズフェストの歴史を彩った人たちが総出演という中では、あの人たちの出演で良かったんじゃないかな。なわけで、ストーンズの穴を埋めて、ラインアップが改められた5月2日も含め、毎年恒例、僕のジャズフェストの仮想スケジュールを発表いたします。例年以上に見たいものが重なって発狂寸前のスケジュールではあったけれど。4月25日(木)、今年は1週目の木曜からスタートなんだね。最初は、昨年のライヴマジックでも来日したナイジェル・ホールを。次にデューイ・ベルファの娘が引き継いだケイジャンのベルファ・トゥージャーズ。リヴォンの娘エイミー・ヘルム、一度聴いてみたいね。ジェフリー・ブルーサード&クリオール・キャウボーイズというのはザディコ・バンドかな。続けて同じステージでボーソレイユ、健在だったか。この日のトリはブルース・テントのタジ・マハル。因みに裏ではE,W&Fとかアラニス・モリセットとか。26日(金)はビッグ・チーフ・バード&ヤング・ハンターズ・マルディグラ・インディアンズで景気づけ。次はスティーヴ・ライリー&マムー・プレイボーイズ。やっぱりノリノリのケイジャン好きでね。そして、サブデューズ、復活していたんだなあ。メインステージでのファウンデーション・オブ・ファンクは、ジガブーにポーターのミーターズ組にアイヴァン&イアン・ネヴィルにトニー・ホールというネヴィル組の混声チーム。これで来日の可能性も?続けては久々のダーティ・ダズン・ブラスバンドを。トリはサンタナもいいけど、やっぱりロバート・クレイ・バンドを聴いてみたい。27日(土)、土曜だけどオープニングはゴスペル・テントでロックス・オブ・ハーモニー。次はこちらも健在だったんだね、元?タクシー運ちゃんのブルーズマン、メム・シャノン。ニューオーリンズ・ピアノ・プロフェッサーズは、ロングヘアやブッカーらのトリビュートで、ジョン・クリアリーらが出演。ちょっとオールダタイミーも聴いてみたいので、ラース・エドグランズ・ニューオーリンズ・ラグタイム・オーケストラに行ってみる。更に、プリザヴェーション・ホール・ジャズバンド。また来日しないかねえ。最後はおお〜!スティーヴ・アール&ザ・デュークス。来日は絶対無理な人(笑、えない)。裏のボズ・スキャッグス、リオン・ブリッジス、グレゴリー・ポーターも目じゃない。28日(日)はゴスペルではなくモーニングブルースか、セドリック・バーンサイドでスタート。メインステージでのトリビュート・トゥ・デイヴ・バーソロミュー&ファッツ・ドミノは、ボニー・レイット、アーマ・トーマス、ジョン・クリアリーらが出演。その、アーマ・トーマスが、次にメインステージに登場。更にその後がボニー・レイット。もう、この日はそのままメインで、トリはヴァン・モリソンだ。まあ、長くなったから続きの2週目は明日以降に、また・・・
2019年04月25日
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例年ならニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルのラインアップの発表があった時点で、その顔ぶれについて取り上げるものだけど、先月発表された今年のは、もう何をか況んや。50周年記念だそうな。だから噂に上がっていた ローリング・ストーンズの出演がとうとう発表された。でもねえ、ストーンズだけじゃないんだよ。もう、見ているだけで頭が狂いそうになってくる位のすごい顔ぶれ。ちょっと凄過ぎて、もーいやんなっちゃって・・・例えば、リトル・フィートあたりでも遥か後方に名がある。スティーヴ・アールなんて末尾の扱いだよ。地元勢は何をか、サブデューズとかも出るし解散したのかと思ったラディエイターズやボーソレイユも。でも、もうそういう人たちは目じゃない感じ。詳細はオフィシャルサイトで確認してもらうとして、ここでは書きませんというか、書く気がしませんな。それでも、既に日毎のラインナップが発表されていて、一日ごとに追えば、少し落ち着きを持って見られるかな。実際、色々見たいのはあっても時間帯は重なりまくって、迷い迷ってこれまた頭狂いそうになるのが必至だけど、まあ、今年も行けるわけではないので、やっぱりチェックはしておく。4月25日はタジ・マハルだよなあ。リヴォンの娘エイミー・ヘルムの名もある。26日はミーターズの二人によるコラボがあるじゃないか。27日、アールにマリア・マルダーか。28日はヴァン・モリソン、ジェリー・リー・ルイス、アル・グリーン等々。あれ、前半も4日やるんだ、合計8日間開催か。後半5月2日が問題のストーンズで、ここだけチケの料金も異なるそうだけど、既に売り切れ。昨年おフジロックのディランの時のようにストーンズの出番の際は他のステージの演奏はないらしい。しかし、この日もトム・ジョーンズ、メイヴィス・ステイプルズ、ジギー・マーリー、リタ・クーリッジとか色々出るんだけどねえ・・・3日はグラディス・ナイトにロス・ロボス、カマシ・ワシントンにアニー・ディフランコ等々。4日はダイアナ・ロスまで出るんだねえ。でも、ジェリー・ダグラスなんかもいるんだぞ、名前は遥か下方に。そして最終日、ああジョン・フォガティ、バディ・ガイ、マーヴェリックス・・・いやはや、やっぱ頭狂うでしょ?当初、ボブ・シーガーの名もあったような気がしたけど、さすがに外れたかな。もー、どーなっちゃうんだろう、ジャズフェスト。でも、肝心要のドクター・ジョンの名はない。アーロン・ネヴィルとシリル・ネヴィルは出るけど、引退宣言したアート・ネヴィルも出ないようだ。まあ、健在な地元ベテラン勢もいるけれど、一抹の寂しさは禁じ得ない。てか、ドクターはマジで大丈夫なのだろうか?アラン・トゥーサンやバックウィート・ザディコ、チャールズ・ネヴィルに続いてなんてことはないように願いたい。な訳で、今年は恒例の勝手に仮想スケジュール組みもやる気が起こらなそうだけど、やっぱりやっちゃうかな?今年の反動で、来年のラインナップは少し地味になってもらっていいと思うのだけど・・・
2019年02月02日
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CSナショナルジオグラフィックチャンネル、滅多に見ないけど、「ニューオーリンズ物語」というのがあると聞いて、これはチェックせねば。ナショジオ制作なのかね?内容からして最近のものらしい60分番組。原題は「ニューオーリンズ:シティ・オブ・ストーリーズ」。音楽、特にブラスバンド、マルディグラインディアンズ、酒、建築、そして食と色々な観点からニューオーリンズのユニークな文化を探る内容。子供たちによるブラスバンドのプロジェクト、ルーツ・オブ・ミュージックは、ギャラクティックと共演して活動のための寄付を募る。一晩の総額は10万ドル!クラウドファンディングとかもある昨今、やっぱり生の迫力は桁が違う。メリッサ・ウエバーというDJはワンアイドジャックというバーで2台のターンテーブルを駆使してパーティミュージックを醸し出す。ニューオーリンズのバーもカルチャーの一つ。ニューヨークから来た女性バーテンダーが、自分らしくいられる街とニューオーリンズの魅力を語る。ハリケーンは有名だけど、サデラックというカクテルは初めて知った。ライ麦ウイスキーベースでアブサン等も入る、まさにマルチカルチュラルなカクテル。大変歴史あるものなのだそうだ。マルディグラ・インディアンのトライブではイエロー・ポカホンタスが登場。あの衣装、何と1年がかりで手作りするそうだ。もっと仔細に見てみないといけなかったなあ。建築の方では、ハリケーン・カトリーナの時の廃材を使って家具を作る職人を紹介。北部で伐採された丈夫な木材は再利用が充分可能だそうだ。ノプシという電力会社が、工場跡に往年の雰囲気を再現させたホテルをオープンさせたなんて話も。最後は食、ポーボーイは1929年のストリートカーのストライキの際に考案されたものとか。一方で、それ以前にニューオーリンズを出たルイ・アームストロングがポーボーイを食べていたなんて記録もあり、その由来には諸説あるようだ。驚いたのは、ヴェトナム人によるベーカリーのパンがポーボーイに使われ人気とか。それはバインミーとポーボーイは間違いなく親戚関係だから親和性があるのは当然なのだった。この番組には出て来なかったけど、今季のNFLのニューオーリンズ・セインツは絶好調。2009年以来のスーパーボウル進出、制覇すら期待出来そうだ。39歳のQBドリュー・ブリーズは脂が乗り切っていて、今季は歴代記録更新ずくめだ。何とか再度の悲願を。もし、セインツがスーパーいったら、今度こそ仕事休むから(2009年の際は見てから出勤してしまった、爆)。
2018年11月01日
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まあ年に数回しかナイチ帰宅しないわけだから、どこもかしこも訪れるのは久々てなことにはなる。横浜では昨日ジャグバンドフェスティバルが開催されていたけど、ジム・クウェスキンを迎えた、そのフェスに行ったのは2014年のこと。さすがにそれ以来ではないと思うけど、昨日の日比谷も激変していたけど、横浜もまた、もう訳がわからないくらいに・・・目的地はみなとみらいなのだけど、その前に、少し早めに横浜に着いて寄りたいところがあった。ニュースパーク新聞博物館ってのはどこなの?2000年からあったそうだが、一昨年リニューアルされたとのこと。入っている建物は、よくわからないが横浜の歴史的建築物で堂々たる趣だ。そこで写真企画展「よみがえる沖縄1935」が開催されている。これは朝日新聞の大阪本社で発見されたネガを元に展示。写真集は昨年発売されて話題になっていたけど、展示は、この横浜でが初めてかな。当時、朝日の記者が訪ねた那覇、糸満、古謝、久高島の市民の生活ぶりが写し出されている。那覇の想像以上の賑わい、糸満の海人たちのたくましさ、古謝の農村、そして、久高の神秘、神性と。生き生きとした庶民たちの表情から、沖縄戦で全てが焼かれてしまう前の南国の賑わいと活力が溢れている。つい先日訪れた糸満の現在の姿と重ねあわせた写真も。こうして見ると、辺野古とか基地建設だけでなく、沖縄は自ら相当に海を埋め立ててしまっているのがわかる。糸満なんて、昔はひたすら海だったのだ。この日はちょうどギャラリートークがあったようで、16時を過ぎたところで多くの人が展示会場に入ってきた。そのギャラリーを出て、一応、上の階のコレクションギャラリーも見物。巨大な輪転機がモニュメントとして在している。しかし、ここで謳われているような真実を届ける報道の役割を、現在の新聞はキッチリと果たしているのか?それは甚だ疑問である。結局、複雑な思いで瀟洒な建物を後にした。集合場所に指定された、ぷかり桟橋までは徒歩だと20分以上かかるらしい。結局、地下鉄を使ったはいいが、巨大SCを出ると遊園地のような施設があって、目的地は一体どこやら?見慣れない光景ばかりで呆然とさせられる。どうにか時間ギリギリに目的地に辿り着き面目は保てた。今日4月15日は、昨年亡くなったIさんの一周忌なのだった。沖縄では10回目のてるりん祭が行われている今日、まさに昨年、9回目のてるりん祭に行った後、そのことを書いたメールをIさんに送ったが返事がなかった。なぜなら、Iさんはその前日に亡くなっていたのだから。そのことが胸に引っかかっていて、今回はてるりん祭をスルーしてもこの場所へと思ったのは、ある種、罪滅ぼしのような心情もあった。Iさんのご主人を始めとして、自分を含め10人程の顔ぶれは、主に親族の皆様だった。桟橋より花を手向け黙祷をする。葬儀は昨年の4月に、この海で散骨が行われたのだった。グランドインターコンチネンタルホテルの最上階にある中華レストランでの食事会。横浜の海や街を一望に出来る最高のロケーションでのコース料理だから、一応、自分が御佛前として包んだ金額など遥かに超えるものだろうと後ろめたさを感じつつ。横浜在住のIさんのご両親は80代だが、お二人揃って至ってお元気。ご主人の兄弟やIさんの従兄弟さんらに加え、尼崎から来られた友人お二人。自分は沖縄からということで話題に上がったけれど、まあ、自分で勝手に遠方に住んでいるだけなので。出席者によるIさんの思い出が語られる。自分はIさんを勝手に“音楽の師匠”として私淑し、その出会いの場を提供してくれた、もう一人の師匠・鈴木カツ氏の逝去と合わせて、昨年は非常にショックな一年であったことを語った。Iさんは、とにかく音楽、文化に造詣の深い人で、またそれを人に知らせることに積極的だった。尼崎のお二人も僕も、Iさんの方から声をかけられて交流が始まったのだった。活発過ぎて寿命を縮めたのではないかとは、父君の弁。一方で穏やかで優しいご主人Aさんは、気性が激しくもあったIさんを優しく包み続けた。スピーチの場で思わず涙するAさんは、1年経った今も喪失感から脱け切れていないようだった。昨年初めてお会いした際は、僕ですらAさんを励ます必要を感じた程だ。しかし、こういう場を設けるべく奔走され、そのことでひととき生命力を漲らせたことだろう。完全に自らの生を取り戻すには、まだまだ時間が足りないことではあろうが。いい会だった。ゴージャス過ぎる横浜の光景は、自分にとってはアウェイ感満点で複雑ではあったけれど。尼崎からのお二人からは、神戸チキンジョージで90年頃にザッカリー・リチャードが公演を行っていたことなどを聞いた。Iさんの友人の人たちともっと知り合いになれていたら、これはまた楽しかったことだろうな。帰りの電車内、頭に浮かんだ音楽はランディ・ニューマンの“ルイジアナ1927”。1927年の大洪水を歌ったその曲は、2005年のハリケーン・カトリーナの時にもよく流れた。アーロン・ネヴィルも切々と歌った、あのメロディ。Iさんが愛したニューオーリンズでは今年もジャズフェストがまもなく開催される。
2018年04月15日
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夜、ちょうど一週間前にナイチで飲んだばかりのダチよりメール。今、”ニューオーリンズの番組やってるよ”と。え?NHKFMの「ザ・ソウルミュージック」なる番組。そーいえば、そーゆーのあったなあと思ったけど、これまであまり聞かずにはいた。題して”ニューオーリンズ now&then特集 第1回” 。どうやら山岸潤史が帰国中でゲストのよう。既に聴き始めたのが中盤だったのだけど、トロンボーン・ショーティから始まって、ホット8ブラスバンド、ギャラクティック等、まあ比較的新しい世代のニューオーリンズ音楽を取り上げていたよう。終盤はハリー・コニックJr.、アーロン・ネヴィルらだったけど。一応、今回がナウの方だったのかな?2回に渡る特集なので次回がゼンになるのだろうか。山岸氏もジャズフェストを終えたタイミングで来日と相成ったのか。次週も山岸が登場しての特集、NHKFMの番組は忘れがちなのだけど、予定表に加えておいて・・・
2017年05月11日
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帰省直前に知った音楽の師的存在Iさんの突然の死。飛行機に乗る間際、お報せを下さったご主人に”たまたま帰るのでお線香の1本もあげさせてもらえないですか?”とハガキを送ったところ、お返事が。そこで、本日は一緒に昼ご飯を食べながらということになった。向かうは板橋。長年そちらにお住まいだったそう。下板橋駅で待ち合わせしてIさんご夫婦のマンションのお部屋へ。葬儀は親族のみで簡素に済ませたとのこと。夫婦とはいえ、なかなかその友人関係を全て把握するのは難しく、ご主人もアドレス帳を見ながら少しずつ連絡を送っておられるとのこと。このタイミングで僕に知らせてもらえたのは本当にありがたかった。仏壇もごく簡素なもの。20年前のものという、まさに僕が知るIさんの遺影に、花とCDが数枚供えられている。そのCDというのが、ニューオーリンズR&Bのコンピレーション、ドクター・ジョンのベスト盤、そして、サブデューズにラディエイターズにイグアナズ。まさに、その辺は僕がIさんに、その存在を教えてもらったローカル・バンド、思わずグッときてしまう。非常に読書家であったというIさんだが、國分功一郎、木村草太といった人たちの本が並べられていて、おそらくIさんも今の世を憂いながら亡くなっていったのではないかと、自分とも思いが一致していたかも知れず、その意味では少し嬉しくも思えた。昼食は外でかと思いきや、幕の内弁当を部屋で二人で食べることに。近所の店は行きつけている店ばかりで、どうしても思い出してしまうという。ご主人も、まだまだ伴侶の死を受け入れられていないようだ。お二人の新婚旅行がニューオーリンズだったそうで、その後、Iさんは単身でも何度か彼の地に行っているそう。ご主人はどちらかといえば正統派のロック好きで、学生時代はバンドでストーンズやCCRのカバーをやっていたそう。カントリー系も好きで、並んでいるCDは実に傾向がハッキリしている。例えば産業ロックみたいなものは1枚もなく、何というか僕の感覚からすればハズレのない盤ばかりが並んでいる。一方、Iさんの方のCD棚。これは日本では手に入らないだろうというニューオーリンズのローカル・バンドのものが多々。例えばキャウボーイ・マウスなんてそうだろう。彼の地のルイジアナ・ミュージック・ファクトリー等で買ったのであろう、今となってはレアなものばかりだ。前にも書いたけど、ニューオーリンズと言ってもR&B、ジャズ、ザディコ等のみならず、彼の地のロックや非黒人系のミュージシャンのものにも詳しかったIさん。まさしく、そんな盤が並ぶ棚を眺めて、またグッときた。洋書も多く並んでいる。Iさんはアメリカの演劇にも詳しかった。音楽通で読書家で、人生を大いに楽しんでいると思われたIさんが、病気なのがわかってからはあっという間だったらしい。入退院を繰り返し、最後は車椅子に乗る体力もなくなってしまったという。まだ若かったから病気の転移も早かったのだろう。ご主人もつくづく残念そうだった。ご本人の意向で遺灰は海に撒かれるのだそう。実は板橋は僕の故郷だ。Iさん宅から子供の頃によく訪れた商店街を歩いて15分もすれば、かつて生家のあった場所が。ここへ来たからということで、昨年来半年ぶりに89歳になる叔母に会いに行った。そして、夜はかつて一緒にニューオーリンズにも行った学生時代からのダチとの飲み。直接Iさんとの面識はないが、まさにその辺の話が通じる連中なので、僕自身もどこか救われた気分になった。彼の地では今まさにジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル開催の真っ最中。ご主人も語っていたように、本当はIさんは今ニューオーリンズに行ってるのかも知れない。僕もそんな風に思えている。
2017年05月05日
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明日からニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル開催だ。今回も1週目3日、2週目4日の計7日間に渡って行われる。オフィシャルサイトでは、プログラムで見たいミュージシャンを選んで仮想スケジュールを組むことが出来る。例年、このスケジュールを勝手に組んで、勝手に悩んだいるのだけど、今回もノー天気にそれをやろうとしていたところ・・・届いていた一通のハガキを読んで絶句した。それは東京在住のIさんの訃報。Iさんはフリーランスで仕事をしていた人だが、職業ライター等ではなかった。しかし、ニューオーリンズの音楽シーンには誰よりも詳しく、現地のミュージシャンにも友人は多かった。いわば、僕にとってのニューオーリンズ音楽の師匠的存在。彼の地の魅力や音楽を僕に知らしめてくれたのは、まさにIさん、その人だった。最後にお会いしたのは、もう10年くらい前だったかも知れない。彼女とも仲のよいミュージシャンの来日公演に誘われて一緒にライヴを見物した。その後も年賀状のやり取り等は続いていたけど、何分、自分が放浪生活を送ったり沖縄に移住したりということもあって疎遠にならざるを得なかった。そもそも、自分がニューオーリンズ・ジャズフェストを訪れたのは、もう20年以上前の話。あのハリケーン・カトリーナで、彼の地が甚大な被害を被った時期には、彼女との交流はしばし途絶えていた。そして、今となっては、彼女を知る共通の知人との連絡も絶えて久しい。そもそも、彼女との出会いは日本であったか、ニューオーリンズであったか。そうだ、築地にあった、音楽ライター、鈴木カツさんが営んでいたロック・バー、エニイ・オールド・タイムでの出会いだった。むしろ、ニューオーリンズ現地では彼女と会ったことはなかったかも知れない。しかし、現地の、非常にレアな情報を折りに触れ伝えてくれたし、未知のミュージシャンの存在を教えてくれた。R&Bやブルース、ファンク等にとどまらぬ、彼の地の音楽の深く幅広い魅力に触れさせてもらった。僕自身が今もってニューオーリンズに非常に愛着を覚えているのは、まさに彼女の導きのお陰だ。まさに、音楽面での恩人なのだった。年齢は僕とさほど変わらないと思う。その意味ではまだまだこれからの人だった。今年の年賀状の返信が最近届き、メールを送って欲しいと書かれていたので、今月に入ってメールを送付し、やり取りをした矢先だった。最後にもらったメールは10日。僕はその返信を、てるりん祭の様子を交えて16日に送ったのだけど、実は彼女はその前日に亡くなっていたのだそうだ。あと1日早ければ・・・明日からのジャズフェスト、彼女もいま一度ニューオーリンズに行きたかったことだろうな。全くもって人生は残酷だ。でも、湿っぽいのはやめて、ニューオーリンズ式の葬式で陽気に彼女を送れたら、どんなにいいことだろう。いつかまた彼の地を訪れて彼女の分まで楽しんできたい。明日からは猫を連れてのナイチ帰宅だ・・・
2017年04月27日
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BSでおもむろに放送された「2度目のニューオーリンズ」という番組を。のっけにトム・ウェイツの歌が流れて郷愁をそそる。よくある観光名所巡り+アルファくらいの内容。食べ物ネタ多い。まずはセントラル・グローサリーという店の行列が出来るサンドイッチ。ハム&チーズにオリーブと野菜がミックスされたイタリアンな一品。巨大サイズで2000円ながら4人で食べられる感じ。ストリートカーは24時間運行なんだっけ?郊外に出て辿り着くのは有名店キャメリア・グリル。行ったことないけど、案外、質素な店なんだ。オムレツにチリビーンズ、ホットソースがニューオーリンズ流。1000円近くだけどこれもでかいし。プリザヴェーション・ホール・ジャズバンドのベーシストらしいリチャード・モーテンという人が案内役で音楽の紹介も。メゾン・バーボンやロイヤル・ストリート。ドリーン・ケッチェンスというのけぞるようにクラリネットを吹く人は女王と呼ばれているそうな。菊池ハルカという日本のミュージシャンはラジオ番組で名前は聞いたことがあるかも。ルイ・アームストロング公園で朝の待ち合わせってヤバくないの?今は大丈夫なのかな?とまれ、彼女がオススメのディストリクト・ドーナツ・スライダー・ブリューなる店のドーナツ版クロックムッシュ、ほとんどハンバーガーでありました。エアボートで湿地帯散策、意外やウヨウヨいるかと思われたアリゲーターは、たまにしか見られないという。減っているのかな?しかし、あの巨大扇風機の騒音は環境に影響与えるんじゃないかな?スワンプ・ツアーは1万円也。牡蠣どころも色々。サミュエルズ・ブラインド・ペリカンなる店、生牡蠣が激安!オイスター・ロックフェラーは、アーノーズでは食べたことあるけど、登場したのはアントワンズで、お得なのはそのバー。ほうれん草ベースじゃないんだね。ニューオーリンズ観光局長は、当然ながら熱狂的セインツ・ファン。ルイジアナ・ミュージック・ファクトリーも健在であった。お土産にオススメは、スーパーマーケットで買うホットソースとチコリのコーヒー。関東ではカフェ・デュモンはもうないみたいだから、大阪行った時に買って来ておけばよかったな。してみると、彼の地も観光っぽい場所はそこそこの物価だけど、スーパーの食料品とかは案外リーズナブル。いや〜、やっぱり死ぬまでにもう一度、絶対に行きたいな。ジャズフェスとやマルディグラでなくてもいいから、とにかく今一度彼の地の土を踏んでみたい。湿地帯にズボッでもいいし!
2017年01月11日
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昨晩深夜、突然飛び込んできた訃報に愕然とした。近年、重要なミュージシャンの訃報というのは色々伝えられてはいるが、個人的にこれほどの衝撃はなかった。ニューオーリンズの重鎮アラン・トゥーサンが9日にスペイン・マドリッドでのライヴ後に心臓発作で急死。享年77歳だった。それは、かつてニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの報に接した時に匹敵する、例えようのない驚きと悲しみだった。そのカトリーナの際、ルイジアナ・スーパードームの避難者の中にトゥーサンがいたという報道もあった。その真偽の程は定かでないが、トゥーサン自身がハリケーンで心身共に大きな痛手を蒙ったことは間違いない。しかし、その後の来日公演の際、ハリケーンがあったからこそ芽生えた絆や出会いもあったと、トコトン前向きに物事を捉えていたトゥーサン。その言葉を裏付けるように、以後の活動は精力的だった。近年は来日公演も頻繁で、2年おき位のペースで行っていた印象だ。ビルボードライブでの公演は何度も見ていて、かつてに比すれば、それは夢のような状況だったわけだが、ちょっと頻繁過ぎて、この2回くらいは、ついスルーしてしまっていた。今年の1月にも公演を行っていたのだが。そういう意味では名演は何度も目にはしている。トゥーサンのライヴに関しては、ある意味思い残すことがない位に堪能はさせてもらったと思う。バンドでの演奏も、ピアノソロも、「サザン・ナイツ」再現も、提供曲のセルフカヴァーライヴも・・・そうは言っても、やはりこの喪失感は計り知れない。ニューオーリンズの豊かな音楽遺産を受け継ぐ人材も年々減ってきてはいる。ネヴィルズの面々もドクター・ジョンももう年老いてきている。勿論、新世代のミュージシャンも育ってはいると思う。しかし、世にもユニークな、そのカルチャーを身をもって表現出来る、トゥーサンのような人物は他には代え難い存在だ。転がるような、エレガントで、甘い、それでいてファンキーで軽やかなピアノの調べ。ソングライター、プロデューサー、アレンジャーとしての影響力が絶大ながらも、パフォーマーとしての存在感も唯一無二。いつでも聴けるかと思っていた、あの小粋なパフォーマンスも最早聴くことが出来ないのだ。ジャズの街として知られるニューオーリンズは、実はR&Bの街だ。それを決定づけたのは、トゥーサンが多くを手がけた60年代のヒットチューンの数々による。そして、70年代にはリトル・フィートやザ・バンドといったロックバンドにも強い影響を与えた。過小評価と言っていいのかどうかわからないが、現在に至る欧米のロック・ポップにおけるトゥーサンの影響、存在は想像を超える浸透度だろう。”生きる伝説”なぞと、よく軽々しく使われる表現も、彼にはまさにふさわしい呼び名と言って過言ではない。ニューオーリンズは、そして、世界のロック・ポップ・ミュージック界は、その指標となるべき偉大な存在を突如として失ってしまった。とりわけ、ニューオーリンズ。ハリケーンの後、静かに、しかし、確実に失われつつある伝統や遺産はどうなっていくのだろう。トゥーサン自身も、故郷の真の復興への道半ばという無念さはなかったろうか。あの軽やかなピアノの音色がもう二度と生では聴くことが出来ないとは、俄には信じがたい。その、あまりに巨大な喪失感を前に為す術が思い浮かばない。彼の血が、肉が、一部でも次の世代に、少しでも確実に受け継がれ、語り継がれていくことを祈るのみだ。R.I.P。
2015年11月11日
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虚しいけど恒例?ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル、もし見に行ったらの仮想スケジュールをサイトで組んでみた。4月24日(金)ジョニー・サンソン(アキュラ・ステージ)〜ニューオーリンズ・ヒップホップ・エクスペリエンス(ジェンティリー・ステージ)〜ウェイン・トゥープス(アキュラ)〜テデスキ・トラックス・バンド(アキュラ)〜ウィルコ(ジェンティリー)TTBにウィルコが続く豪華な日。アキュラがメインステージでジェンティリーがサブだ。4月25日(土)ニュー・レビアタン・オリエンタル・フォックストロット・オーケストラ(エコノミー・テント)〜トミー・マローン(ジェンティリー)〜エリス・マルセリス(ジャズ・テント)〜ヴュー・ファルカ・トゥーレ(ブルース・テント)〜サニー・ランドレス(ブルース)〜ライアン・アダムス(ジェンティリー)楽しいフォックストロットに次いで、サブデューズのマローンは今回はソロ。オーソドックスなマルセリス父も聞いた後、ヴューはアリの息子なのだろう。裏にカサンドラ・ウィルソンがいるが、ここはランドレス。そして、メインステージのザ・フーも捨て難いが、アダムスを初めて聴いてみたい。4月26日(日)ロックス・オブ・ハーモニー(ゴスペル・テント)〜ジョン・クレアリー(ジェンティリー)〜キャウボーイ・マウス(アキュラ)〜ベラ・フレック&アビゲイル・ウォッシュバーン(フェドードー・ステージ)〜クリオール・ストリング・ビーンズ(フェドードー)〜ボーソレイユ(フェドードー)日曜の朝とくればゴスペルだ。続いて来日も記憶に新しいクレアリー。暴れん坊バンドキャウボーイ・マウスは健在であったか。フレックとウォッシュバーンのコラボは見逃せないな。次のバンドは実はよく知らない。時間的な関係のチョイス。裏にアラン・トゥーサン、アーマ・トーマス、リバース・ブラスバンドが重なっているのはあんまりだ。最後はトニー・ベネット&レディー・ガガにも惹かれるが、ここは結成40周年のボーソレイユを。チャールズ・ネヴィルとジョエル・ソニエもゲスト参加!4月30日(木)ルビー&ザ・ローグス(ラニャップ・ステージ)〜ヤング・セミノール・ハンターズ・マルディグラ・インディアンズ(ジャズ&ヘリテイジ・ステージ)〜テレンス・シミエン(コング・スクエア)〜スティーヴ・ライリー&マムー・プレイボーイズ(フェドードー)〜ニューオーリンズ・ナイトクローラーズ(ジャズ&ヘリテイジ)〜アリソン・クラウス&ユニオン・ステーション(ジェンティリー)マルディグラ・インディアンも見ないとね。ザディコのシミエン、ケイジャンのライリー、ブラスバンド、そしてアリソン・クラウスはジェリー・ダグラスも参加か!5月1日(金)ユニヴァーシティ・オブ・ニューオーリンズ・ジャズ・オールスターズ(ラニャップ)〜ジャンバラヤ・ケイジャン・バンド(フェドードー)〜パロマ・フェイス(アキュラ)〜ギャラクティック(アキュラ)〜ヴォイス・オブ・ウエットランズ・オールスターズ(ブルース)まずはオーソドックスなジャズで。ケイジャンに続いてはイギリスの旬の歌姫。メイシー・グレイをフィーチャーしたギャラクティックの後は、ドクター・ジョン、シリル・ネヴィル、ジョージ・ポーター.Jrらによるオールスター・セッションを。5月2日(土)マリアッチ・ハリスコUS(ジャズ&ヘリテイジ)〜マルシア・ボール(アキュラ)〜ニューオーリンズ・クラシック・R&B・ディーヴァズ(ブルース)〜ジェリー・リー・ルイス(アキュラ)〜タジ・マハル(フェドードー)〜プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド(ブルース)土曜の朝はマリアッチでスタート。マルシアの後は、ディキシー・カップス、ジーン・ナイトらの共演。“キラー”は一度見てみたいな。タジ・マハルがこのステージはあんまりでは?エルトン・ジョンにエド・シーランという強力な裏だけど、トリはPHJBでキマリ。5月3日(日)ニューオーリンズ・スピリチュアレッツ(ゴスペル)〜ストーリーヴィル・ストンパーズ・ブラスバンド(ジャズ&ヘリテイジ)〜ミーターズ(アキュラ)〜レニー・クラヴィッツ(アキュラ)〜ドクター・ジョン(ジェンティリー)勿論、ゴスペルでスタート。そしてブラスバンド。ミーターズはオリジナル・メンバー+シリル。ファンキーではなく、この顔ぶれで来日して欲しい。来日公演が中止になったレニクラ、裏にスティーヴ・ウインウッド。最後はトロンボーン・ショーティ以上にドクターのサッチモ・トリビュートでいきたい。と、来たけど、やっぱり今年も春一番なんだよねえ・・・
2015年03月26日
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たまたまやっていた、BS日テレの番組「世界水紀行」 は“ジャズが生まれた河口の街ニューオリンズ”だった。これは見ねば。まずは定番のご紹介。ミシシッピ川を行く観光遊覧船ナッチェス号。蒸気オルガンの懐かしい音色。ジャクソン広場にルイ・アームストロング公園、フォークナー専門の書店。そしてバーボンストリート。勿論、カフェ・デュモンも登場。とりあえず、ここいらの中心街はハリケーン前と変わらぬ風情だな。初めて見たのはチャパトゥラス通りにあるというコショーンというケイジャン・レストラン。カジュアルな雰囲気だが、フランス料理のような凝ったケイジャン料理が食べられる。ベイクド・オイスターも独特なレシピだった。これはハリケーン後に出来た店なんじゃないかな。郊外セント・チャールズの豪勢なプランテーション屋敷も紹介される。その後はラフィエット国立公園のクルーズ。ワニがウヨウヨ。でも、沖縄のマングローブような湿地帯はいい雰囲気だ。そこいらのザリガニは格別にうまいらしい。ああ、懐かしやニューオーリンズ、ルイジアナ!今頃はマルディグラの真っ最中かな。死ぬまでに一度行きたやマルディグラ(←季語)。
2015年02月19日
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もう既に先々週の話、いつも発表が早いニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルのラインナップが発表されていた。今年もやっぱり行けないだろうけど、今回も顔ぶれはなかなかだ。まずは地元勢以外のメンツをチェックしてみると・・・大物系;エルトン・ジョン、ザ・フー、トニー・ベネット&レディ・ガガ、ジョン・レジェンド、ノー・ダウト、キース・アーバン、ジミー・バフェット、ピットブル、エド・シーラン、シカゴ、スティーヴ・ウインウッド、ジミー・クリフ、カサンドラ・ウイルソン、バディ・ガイ、ロバート・クレイ、オージェイズ、クリスチャン・マクブライド・ビッグ・バンド&ダイアン・リーヴス+ジェフリー・オズボーン・・・さすが、もう一ローカル・フェスを超えた大物揃いであります。一方、個人的に惹かれるのが・・・ウィルコ、ライアン・アダムス、テデスキ・トラックス・バンド、アリソン・クラウス&ザ・ユニオン・ステーション、タジ・マハル、アンジェリーク・キジョー、ジミー・ヴォーン、ベラ・フレック&アビゲイル・ウォッシュバーン、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ等。そして、ジェリー・リー・ルイス!そろそろ見ておかないと、もう・・・何て言ったら失礼だけど。“キラー”の火の玉ピアノ、一度聴いてみたいな。地元勢では、何と、オリジナル・メンバー4人が揃ってのミーターズ!アート・ネヴィルは、何かもうヨボヨボなんだけど、ライヴやるぞという気概には溢れているようだ。アイヴァン・ネヴィルのバンドのゲストとしても登場。アーロン・ネヴィルはソロでの出演だ。昨年は出なかった?ドクター・ジョンはめでたく復帰して、アルバムまんまのサッチモ・トリビュートをやるらしい。ギャラクティックはメイシー・グレイをゲストに迎える他、ボーソレイユは結成40周年記念だそうな。しかし、昨年は出ていたザッカリー・リチャードの名前がまた消えてしまった。最近ソロで新譜を出したサブデューズのトミー・マローンも出ないみたい。どうも地元勢に冷たい近年の(いや、前から?)ジャズフェストの風潮が気になるのだけど・・・ま、どっちにしろ行けないけどもね。今年は春一番行きたいもんなあ(笑)。またタイムテーブルが発表されたら、去年みたいに仮想スケジュールを組んで遊んでみるくらいしかないな・・・
2015年01月27日
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スカパー無料お試しでCSチャンネルを操っていたら、旅チャンネルで「音楽と旅するアメリカ」なる番組が。ホストはあのピーター・バラカン氏。さすがに「バラカンビート」では告知できなかったのかな?第1回は、わお!“ニューオーリンズ”篇だ!僕がニューオーリンズを訪れたのは、もう15年前位の話だ。でも、番組に登場する名所や店は、もう懐かしい限りの場所ばかり。ハリケーン・カトリーナの大被害があって、おそらく郊外の貧困エリアは今尚復旧ままならぬ状況ではないかと思うけど、こと中心部、フレンチクオーター、バーボン・ストリートに関する限りは、かなり以前の様相と活況がよみがえっているようだ。まずは日本でもお馴染みのカフェ・デュモン。先日は行きそびれたけど、池袋の駅前の店に寄ってこないと。多分、プチ・ベニエってのは日本にしかないもので、ここはやはり、現地と同じ本来の大きいベニエを食べて来ないと、カフェオレと共に。お馴染みのレストランも多々。アーノーズのオイスター・アーノー!食べたいな!アイリッシュ・パブのダブリナーズでは昨年まで牡蠣のオーブン焼きという、これっぽいメニューがあったのだけど、今年はないなあ。そして、ケイジャンのK・ポール。やっぱり、この店のガンボが食べたいなあ。ルイ・アームストロング・パーク、そしてコンゴ広場も。昔、僕はこの公園の前でタクシーの運ちゃんに“こんな危ない場所でタクシー拾うな!”と怒られたもんだけど、今は治安はどうなのだろう?でもって、この音楽ソフト逆風の時代にあっても、あのルイジアナ・ミュージック・ファクトリーは立派に営業中。この店の前で色々な無料ライヴを見せてもらったよなあ。更にミシシッピ川の蒸気船ナッチェス号の蒸気オルガンも健在なのだった。いや~、涙もんだ。そして勿論ライヴハウスも。観光紹介として定番だったプリザヴェーション・ホールだけど、今となってはこの店も新鮮だ。つい先日のバンドの来日も記憶に新しい。って、自分は行けなかったけど。DBTなるライヴハウスでは、これまた来日したばかりのジョン・クレアリーが登場した。盛りだくさんなこの番組、何気にバラカン色が濃厚だ。かつて一緒にニューオーリンズに行ったダチは最近病に倒れてしまったり。でも、またいつか一緒に行ける日が来たら・・・ドクター・ジョンがルイ・アームストロングをカヴァーしたアルバムのCDを持って見舞いに行くとしよう。
2014年11月08日
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最近またちょろちょろCDを買ってしまっているけど、那覇の部屋ではガンガン聴けるわけではないし荷物を増やしたくないので、基本ナイチ帰宅の際に家に持って帰って聴く。那覇の部屋ではもっぱらアイチューンで聴く。なので今回持ち帰ったのを聴かないと。今日はこれでいきませう、プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド「ザッツ・イット!」。ニューオーリンズはフレンチ・クオーター(の確かバーボン・ストリート)にある老舗ジャズ・ホールの大長老バンドのスタジオ録音盤。結構、CDも出していたようで、前作なんかは他ジャンルの多彩なゲストを招いてのパーティ仕様だったよう。でも、メンバーだけが参加のこの盤の方が話題になって今夏には来日も果たす。どうやら全曲がメンバーによるオリジナルらしい。本場ホールには2回くらい行っていて生演奏を聴いたことがある。ただ、正直言えば、あそこは“観光名所”であって、いわば骨董品とも言える古風な演奏を聴くというところなので、演奏や彼らのサウンドそのものに新鮮さや発見は求めていなかった。あくまで原初的なスタイルのジャズが聴ける貴重な場所ってことで。でも、今は彼らのスタンスも少々変わって来たようだ。メンバーも若返り、伝統を継承しながらも伝統だけに囚われない“新生面”をアピールしているようだ。そのきっかけは、やはり、あのハリケーン禍がきっかなのだろう。古くて新しいオリジナル・ナンバーの数々。地元の若手ブラスバンドも彷彿させる活き活きとした演奏に味わいのあるヴォーカル。いぶし銀ではあるけれど、決して枯れてはいない演奏ぶりが楽しい。デキシーランド・ジャズにとどまらぬ、ブルースありソウルありの、よりニューオーリンズらしいガンボ・ミュージックが聴ける。以前の印象では、近所に住むご老体が杖つきながらホールまでやって来て、坐したままゆったり演奏という感じだったけど、今は演奏旅行にさえ耐え得るブラスバンドのようなメンバーが元気いっぱいにライヴを繰り広げるようだ。初来日と言っても、そもそも以前は海外になぞ繰り出す必要がなかった人たちだった。今はニューオーリンズ復興の象徴として、更なる復興のために人々を彼の地に招く親善大使としての役割を担っているのだろう。フジロックに加え、ブルーノートでの公演が予定されている。このアルバムのナンバーに加え、ニューオーリンズ・クラシックスも披露され、最後は“聖者の行進”で賑やかに締められるのだろう。想像するだけでもワクワクする。現地のホールで見てこそなんぼのバンドだったけど、こうなると来日も見てみたいなあ。そんなことばっかりやってたら、いずれ財政破綻しちまいそうだけど。いや、やっぱりうんと金貯めて現地に行けるまで我慢するか・・・?
2014年05月31日
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はい、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル、勝手に仮想スケジュールの2週目の予定でございます。5月1日(木)オリジナル・デキシーランド・ジャズ・バンド(エコノミー・ホール)〜マックス・バカ&ロス・テックスマニアックス(フェドードー)〜ソウル・レベルズ(コンゴ・スクエア)〜スタントン・ムーア(ジャズ・テント)〜グリーンスキー・ブルーグラス(フェドードー)〜ライル・ラヴェット(ギャラクシー・ステージ)まずは、結成96年!らしい、オーセンティックなデキシーランド・ジャズ・バンドでスタート。バカさんたちはグラミー賞受賞経験もあるテックス・メックス・バンド。ギャラクティックのドラマー、ムーアのソロも一度は見てみたい。次のグリーンスキー・ブルーグラスも、近年のマムサンあたりの流れの若手フォーク系。トリは、これも来日公演は期待出来そうにないラヴェット。メインステージのストリング・チーズ・インシデント、それにボーソレイユも見たいけどね。5月2日(金)レッドホーク・ハンターズ・マルディグラ・インディアン(ジャズ&ヘリテイジ)〜ネイティヴ・ネイションズ(ネイティヴ・アメリカン・パウワウ)〜カウボーイ・マウス(アキュラ・ステージ)〜フーレイ・フォー・ライフラフ(ギャラクシー・ステージ)〜マーク・ブローズ・ニューオーリンズ・ジャズ・ジャイアンツ(エコノミー・ホール)〜ニューオーリンズ・クラシック・ディーヴァズ(ブルース・テント)〜アラバマ・シェイクス(ギャラクシー・ステージ)スタートはマルディグラ・インディアンズでいこう。次にパウワウのパフォーマンスを。ルイジアナの暴れん坊カウボーイ・マウスは健在だったか。しかも、メインステージだよ。フーレイは女性シンガー中心のフォーク系。ブローズは、これもトラディショナルなジャズ編成。デキシー・カップスらが出演のクラシック・ディーヴァも楽しそう。トリは旬のシェイクス。チャカ・カーンはともかく、クリスティーナ・アギレラよりはよっぽど聴いてみたい。5月3日(土)ボビー・キュア&サマータイム・ブルース(ギャラクシー・ステージ)〜トミー・マローン(ギャラクシー・ステージ)〜ヴォイス・オブ・ザ・ウエットランド・オールスターズ(アキュラ・ステージ)〜ブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンド(アキュラ・ステージ)懐メロっぽいけど、ボビー・キュアのショウにはロバート・パーカーやアル・ジョンソンも参加。今もちゃんと歌えるんだろうかね?サブデューズのマローンは今回はソロで参戦。ウエットランドってのは、シリル・ネヴィル、タブ・ベノワ、ジャンピン・ジョニー・サンソン、ウエイロン・ティボドー、更にビッグ・チーフ・モンク・ブドローと、無茶苦茶なすごい顔ぶれだ。大メジャーだけど、さすがにスプちゃんは見たいな。何か来日しそうな気もしているのだけど。裏はフォスター・ザ・ピープル、アル・ジャロウ、そしてジョニー・ウインター!5月4日(日)ザ・ロックス・オブ・ハーモニー(ゴスペル・テント)〜ジョージ・ポーターJr&ランニング・パードナーズ(ギャラクシー・ステージ)〜ザイオン・ハーモナイナーズ(ゴスペル・テント)〜マリガン・ブラザーズ(ラニャップ・テント)〜アーケイド・ファイア(アキュラ・ステージ)〜ジョン・フォガティ(ギャラクシー・ステージ)やっぱり日曜はゴスペル。でも、ポーターのステージも見逃せないね。それにしてもフォーク系の出演者は多いね。まさに現在のトレンドか。旬ものとはいえ、アーケイド・ファイアは好きなんだ。トリはトロンボーン・ショーティも捨てがたいけど、やはりJFTを今いちど見てみたい。裏にアーロン・ネヴィルってのは複雑だなあ。ああ、うむしるん。マルディグラともども、死ぬまでには一度行きたいね。
2014年04月11日
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なわけで、昨日の続き。今年のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル、前半の勝手に組んでみた仮想スケジュール発表であります。ステージ詳細は昨日の日記を参照のこと。4月25日(金)バンブーラ2000(コンゴ・スクエア)〜バイアナシステム・オブ・バイーア・ブラジル(コンゴ・スクエア)〜ローラ・マヴーラ(アキュラ・ステージ)〜ルベン・ブラデス(アキュラ・ステージ)〜アヴェット・ブラザーズ(ギャラクシー・ステージ)バンブーラは地元のラテン・バンド。以前にも見たことがあるかも知れない。今回のジャズフェストはブラジル系フィーチャーらしく、様々なバンドが出演予定なのでバイーアのバンドをとりあえず見ておきましょう。ローラ・マヴーラは既に来日も果たしているイギリスの女性歌手。メインステージでの出演か。パナマの大統領候補にもなったブラデスは、近年は再びミュージシャとしての活動が活発化しているようだ。一度聴いてみたいね。トリはマムサンに続く現代フォーク系の雄アヴェッツ。裏はジョー・ルイ・ウォーカーにパブリック・エナミー。あ、メインステージはサンタナね。4月26日(土)ザッカリー・リシャール(アキュラ・ステージ)〜ロウ・オイスター・カルト(ギャラクシー・ステージ)〜トレメ・ブラスバンド(エコノミー・ホール)〜サニー・ランドレス(ブルース・テント)〜マーヴェリックス(ギャラクシー・ステージ)〜ロバート・プラント(ギャラクシー・ステージ)何と言ってもザッカリーだ。昨年位からジャズフェストに復帰したよう。こんな早い時間に登場するのは何だけど、彼のパフォーマンスが披露されるだけでも目出度い。ロウ・オイスターは、ラディエイターズのメンバーによるオヤジ・ロック・ユニット。昨年来日も果たしたランドレスともども、この日はロックな1日かな。マーヴェリックスもまだ活動してたんだね。かつて、好きだったもんなあ。トリはサマーソニックでもやって来るプラント。彼とてサブステージか。メインの方は復活したフィッシュ。そして、裏にロビン・シック!これも見てみたいな。ボズ・スキャッグスも出るよ。4月27日(日)ニューオーリンズ・スピリチュアレッツ(ゴスペル・テント)〜ノース・ミシシッピ・オールスターズ(アキュラ・ステージ)〜リバース・ブラス・バンド(コンゴ・スクエア)〜ゴールデン・イーグルス(ジャズ&ヘリテイジ)〜ジョン・ハイアット(フェドードー)〜ロドリゲス(ギャラクシー・ステージ)日曜の朝はゴスペルで決まりでせう。次に昨年だか来日してなかった?のミシシッピズ。リバースのライヴも久々に見てみたいな。マルディグラ・インディアンの老舗イーグルスも。しかし、ジョン・ハイアットがこんなセコいステージで?大トリは、あの、ロドリゲスだ。来日の可能性はなくなったらしいし、これは見てみたいなあ。裏はクラプトンにヴァンパイア・ウイークエンドと大メジャーだけど、断然シュガーマンだね。・・・後半週に続く
2014年04月10日
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富山からの帰りの電車内、高崎からJR八高線に乗り換えたところで、ようやく車内が空いたので、遅ればせに、駅で買い求めた清酒立山の小瓶を開け、白えび煎餅をかじりながらの一杯でひと心地ついた。どうも、翌日からの現実に立ち返る気が起こらず、もう少し楽しいことを考えていたいという気分、そこでネット検索で見つけた、今年のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルのタイムスケジュールが目についた。このタイムスケジュールは、メールアドレスを登録してログインすれば、自分の鑑賞スケジュールを作ることが出来る。勿論、今年だって行けやしないのだけど、例年、仮想のスケジュールを立てて楽しんでいる。否、実は楽しめないのだ。何せ、近年は大物や見たいミュージシャンが多過ぎて、同時間帯のステージで重なることが多々。だから、仮想ながらも何だかストレスを感じたりすることが多い。まあ、だからこそ行けなくとも気が済むってことでもあるけど、“行ったって、重なってて見たいもの見れやしないさ”って。ま、とにかく、今年も仮想スケジュールを組んでみるとしよう。あ、まずは基本から。今回のジャズフェストは、10のステージが用意されていて、アキュラ・ステージというのがメインステージで大物が出演する。それに次ぐサブステージがギャラクシー・ステージ。ルーツ系やベテランが主。コンゴ・ステージはワールド・ミュージック系、ジャズ・テント、ブルース・テント、ゴスペル・テントは言うまでもないでしょう。エコノミー・ホール・テントは、割とトラディショナルジャズ系か。フェドードー・ステージは、ケイジャン、ザディコといったルイジアナ地元ミュージック中心、ジャズ&ヘリテイジ・ステージは、マルディグラ・インディアンやブラス・バンドの出演が多い。ラニャップ・ステージはおまけステージ?これも結構昔からあるけど、割とアクースティック、フォーク系かな。これらに加え、1日に何度かマルディグラ・インディアンのパレードがある他、今回はブラジル音楽がフィーチャーされるようで、どのくらいの規模かわからないけど、カサ・ド・ブラジルというステージもあるようだし、ネイティヴ・アメリカンのパフォーマンスも1日に何度か行われるみたい。等々、書いていたら長くなったので、肝心のスケジュールは、明日、明後日に分けてまた(笑)
2014年04月09日
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レギュラー・シーズンもたけなわというのにソチ五輪のお陰でサッパリ放映されないNBA。でも、さすがにNBAオールスター戦だけは時間を割いて放送、ようやく録画視聴。今回の開催は6年ぶりのニューオーリンズだ。前回は、まだハリケーン・カトリーナの傷痕も生々しかった頃。復興を祈るように、ニューオーリンズのミュージシャンが結集してのセレモニーが繰り広げられたのが思い出深い。さて、今回は・・・オープニングはファレル・ウィリアムス。この人は非常に得な役どころだったというか、自身の曲は勿論、フィーチャーリングされた2曲が2013年を代表するビッグヒットになった。その、ロビン・シックの“ブラード・ラインズ”、ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”も勿論、披露。ネリー、バスタ・ライムス、パフ・ダディ(今は違う名前?)、スヌープ・ドッグらの客演も得ての大盛り上がり。選手紹介へと繋げる。因みに出場選手だけど、ご贔屓のロサンジェルス・クリッパーズのブレイク・グリフィン、それに、あのマイクの甥!ミネソタ・ティンバーウルヴズのケヴィン・ラヴ(→ビーチ・ボーイズが出てもよかった?)がウエストのスターターを務めた。国歌斉唱は、カナダがセリーナ・ライダーという人。そして、アメリカ国歌はゲイリー・クラークJr.がレイドバックしたスライドギター演奏で渋〜くキメた。ハーフタイムショーは、今やニューオーリンズの音楽シーンを背負って立つトロンボーン・ショーティの登場だ。今回のジャズフェストには出演しない?大先達のドクター・ジョンも“アイコ・アイコ”で参加。更に、先のゲイリー・クラークが今度は歌も歌い、頭がリトル・リチャードみたいなジャネル・モネイが引き継ぐ。そして、締めに登場はアース、ウインド&ファイア。フィリップ・ベイリーもしっかり参加、モネイもヴォーカルを取っての“シャイニング・スター”。勿論、ショーティは座長的に全体に参加。ニューオーリンズ音楽ファンも納得、満足のショーが展開された。肝心の試合の方は、グリフィン、ラヴを擁したウエストがリードしていたものの、最終的にはレブロン・ジェームスらのイーストに逆転負け。クリッパーズはプレイオフでの健闘を祈ります。
2014年02月21日
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例年通り早々と、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルのラインナップが発表されていた。もう、この顔ぶれを見れば、ニューオーリンズだルーツだ云々は関係ない、フツーのアメリカの旬のフェスの顔ぶれとしか言い様がない。いずれにせよ、今年も行けはしないのだけど、これはもう行っても手に負えないというか、何だかかつて自分が足を運んでいたフェスからは遠く離れてしまったような印象だ。それに少々衝撃的な事実も。問題のラインナップを見てみれば・・・まず大物、前半の大トリがエリック・クラプトンなんだろう。そして、後半は最終日じゃないけどブルース・スプリングスティーンが。二人を筆頭に、サンタナ、ロバート・プラント、ジョニー・ウインター、ジョン・フォガティ、ボズ・スキャッグス、チャカ・カーン、アル・ジャロウ、ボビー・ウーマック、ジョン・ハイアット、チック・コリア、ブランフォード・マルセリスらが出演。まあ、ロートルと言える顔ぶれではあるけど。一方でオルタナ系、旬ものも色々。ヴァンパイア・ウイークエンド、アーケイド・ファイア、フォスター・ザ・ピープル等。少しルーツ系でもアラバマ・シェイクス、アヴェット・ブラザース、ストリング・チーズ・インシデントら。更に、クリスティーナ・アギレラ、ロビン・シックなんて人も。自分が知らなかっただけかも知れないけど、え?いつの間に復活してたのってのが、フィッシュ、パブリック・エネミー、それに地元勢では解散したんじゃなかったの?ラディエイターズ、マーヴェリックスら。昨年はサブデューズが出ていたと思ったけど、今回はトミー・マローンがソロで、みたい。そして、波乱の地元勢。衝撃と述べたのは、ドクター・ジョンの名がないのだ。これはフェス始まって以来?何があったのだろうか。ネヴィルズの名もない。アーロン・ネヴィルと、アイヴァン・ネヴィルのバンドでのアート・ネヴィルのゲスト出演はあるようだ。しかし、先日来日したファンキー・ミーターズの名はなく、ジョージ・ポーターは自分のバンドだけでの出演らしい。シリルやチャールズは出ないのだろうか?チャールズの娘シャーメインの名はあった。これは嬉しかったのだけど、ザッカリー・リチャードの名があった。昨年も出てたっけ?久しくフェスを離れていたザッカリーは。今年のグラミー賞の候補にも上がっている。グラミーといえば、やはり候補のアラン・トゥーサンは健在なのに、ドクターは一体?ネヴィルの解体もやっぱり寂しい。今回も大トリはトロンボーン・ショーティなのだろうし、ブラスバンド勢も健在というのに。またしても陰ながら?見守るしかないのだけど、まさに悲喜こもごもという感じの今年のフェスだ。自分が“復帰”を考えるとしたら、誰が出ればと理由を考えておこうとは思っているのだけど・・・
2014年01月22日
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ビルボードライブ東京でファンキー・ミーターズの公演。ジョージ・ポーター(Jr、とはもう呼ばないというアート・ネヴィルの弁)率いるミーターズ・エクスペリエンスなる公演も過去にはあったけど、このメンバーでの来日は初めて?ファンキー・ミーターズ名義では5年位前だっけか、フジロックで来て単独公演を行って以来。健康が懸念されたアートに、ポーター、そして、ファンキーでのオリジナルのギタリスト、ブライアン・ストルツにドラムはバティステ家のラッセル・バティステだ。カジュアル席の横の方で奇声を発していたのがラッセル。彼を先頭にメンバーがステージに登場するが、アートは杖をついて介助つきでやっとという感じで最後に登場。まずはセンターのポーターがMC。“今夜はセットリストなし”の宣言。演奏曲目はラッセルの手さばきで決まるとか。それを受けてのアートの発言が、先のジュニアの件。もう一人のジュニアであるラッセルは、アートとは好対照に若々しく元気いっぱい。まあ、セットリストなしと言っても、披露される曲はミーターズではお馴染みのナンバーだ。ポーターとストルツがジャムるような感じで始まった演奏からアートのオルガンが遅ればせに乗ってきて“ファンキー・ミラクル”となる。体は衰えてもアートのオルガンはグルーヴィ。そして、またしても好対照に叩きまくるラッセル。やたらにドラムセットが動いちゃうようで、ミックスのスタッフが演奏中に修正に出てくることしばしば。更に、のっけからスティックを折りまくりだ。しかし、やはりアートが気になる。本来はアートがヴォーカルのナンバーでも大半はポーターが歌う。時折、MCするアートの声はかなりガラガラだから無理もない。よくポーターがアートの側に行って何か耳打ちしてたけど、あれは“どっちが歌う?”って感じだったのかも。更に、何曲目かでアートが“疲れた〜”って感じでオルガンの椅子でグッタリ。どうも彼は足というより腰がキツイらしい。ついには、介助で現れた若人(息子か孫?)に腰を支えられての演奏に。辛そうだなあ。それでもオルガンはしっかり。相変わらずラッセルのドラムは手数が多く、既にスティック交換は4,5本目という勢い。若造っぽいラッセルだが、実は御年49歳とか。勿論、年配ながらもポーターとストルツの弦楽器組の演奏もファンキーにうねる。この3人、アート抜きで、ポーター、ストルツ、バティステでも活動しているそう。というか、むしろ来日公演のためにアートが加わった形ではないか。 、アートが元気なくてもセッションバンドとしてこなれた演奏ぶりは“ファイアー・オン・ザ・バイヨー”等の定番曲でも証明。白人ながらストルツの活躍ぶりも光る。ジャム的演奏で10曲程度ながら、切れ目なく11時過ぎまで演奏は続いた。最後に至ってアートがマイクを取り、感謝の言葉だけは長めに述べていた。痛々しい姿ながらもライヴ演奏へのこだわりは今も持ち続けているようだ。曲目は詳しくは書かないけど演奏そのものは満足行くレベルで、老舗ファンク・バンドの意地を見せつけた形。でも、アートのヴォーカルで“マルディグラ・マンボ”とかをもう一回聴いてみたいってのは、あるなあ・・・
2014年01月17日
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旧聞なんだけれども、先月号(No.113)の「ブルース&ソウル・レコーズ」誌の付録CDを今頃聴き、雑誌そのものも今頃目を通した。特集が“ニューオーリンズの今”とあっては、ちと高くても買わざるを得なかった。ニューオーリンズには毎年行きたい行きたいと喚きながら、彼の地を離れて早10数年。最早、現在のシーンにはスッカリ疎くなってしまったし、この雑誌に寄稿しているライター陣にもスッカリ遅れを取ってしまった感で歯痒いばかり。とはいえ、付録CDに収録された顔ぶれを見れば、あながち知らない面子ばかりではない。オープニングのカーミット・ラフィンズを始め、ジョン・ブッテ、ウォルター・ウルフマン・ワシントン等覚えのある連中もまだまだ健在のようだ。11頁程を割いている58枚のディスク紹介。メジャーなものでは持ってるものも数枚あったけど、新顔の台頭も著しいらしい。本誌にも書かれている通り、ハリケーン・・カトリーナの後は、豊穣なニューオーリンズの音楽シーンが失われるという懸念が大いにあった。しかし、災害から8年、復興は半ばなものの、ミュージシャンたちは再び彼の地に戻り、音楽シーンそのものは活況を呈しているという。それは、災害を経てニューオーリンズへの愛着が増し、復興への強い思いがミュージシャンたちの結束も高めたのだという。アメリカンのバイタイリティがいい意味で発揮された好例でもあろう。前にも書いたと思うけど、ニューオーリンズのこの災害後の様相は、日本も大いに参考に出来るものがある。特にメンタルの部分でだ。そういえば、サントラ盤だけは聴いていた、災害後のニューオーリンズを描いたドラマ・シリーズ「トレメ」は、今年の前半まで続いていたのだそうな。輸入版とはいえ、DVDはいずれ購入して見てみないことには。まあ、来年もニューオーリンズ行きは無理だろうけど、目下のところ、“いつの日か”と目指す指標の最たるものはこれかも知れない。そう、いつの日か。とりあえず浅草のハブにガンボ食べに行きたいな。
2013年11月13日
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BSの「世界ふれあい街歩き」がニューオーリンズ篇。ハリケーン・カトリーナの影響が今尚残るらしい郊外エリアは一切登場せず、すっかり“復興”を遂げている感じの中心部のみの紹介。とはいえ、やはり懐かしく愛おしく眺めてしまう。僕が彼の地を最後に訪れたのは、勿論、カトリーナよりも前の十数年前。あの頃のセントラル・マーケットといえば、飲食出来る場所は、日本でもお馴染みのカフェ・デュモン位しかなかったけど、今はオイスターバーなんかもあるんだ。ちょっとしたフードコーナーのようなのが並んでいて、より魅力的になっていた。しかし、ヤカメインなる麺料理は、僕は初めて知ったぞ!猫で溢れかえる絨毯屋さん、フレンチ・クオーターの近くらしいが、行ってみたいもんだな。40℃台到達が話題の日本だけど、彼の地は4月位でもそのくらいの気温になっちゃうんじゃないかな?それでも、バーボンストリートでは昼からカクテルを一杯引っ掛けるジモティが。バーボンストリートったって、高田渡でもない蒲田でもない本物だ。言ってみれば那覇の国際通りみたいなところで、当時は俗っぽすぎると敬遠気味だったけど、今となっては無性に懐かしい。番組に登場するストリートミュージシャンも、大道芸人も、皆一様に明るく元気そうだった。そこにはハリケーン被害の後遺症は全く見当たらず。でも、そのことが却って気になってしまった。とはいえ、観光や音楽といった強力なファクターがある彼の地は、東北よりは有利な点は多いのかも知れない。裏通りの味わいが今尚残されていたのには、救いを覚えた。“被災”の影の感じられない表面的な観光地だけでもいい。今一度彼の地を訪れてみたいもんだよ!
2013年08月13日
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これ、今日のような昨日のようなビミョーな時間帯の話だけど、昨晩深夜0時から大阪のFMココロで放送の、大塚まさじDJの「ムーンライト・マジック」。夕方の時点でラディコは東京エリアだったけど、深夜に至って大阪に変わりどうにか聴けた。“月夜の客人”ことゲスト・コーナーは先週に引き続き山岸潤史。今はパパ・グロウズ・ファンクの活動を休んで還暦記念ライヴ等でしばらく日本滞在とのこと。山岸といえば、2005年のハリケーン・カトリーナで“被災”した日本のミュージシャンでもある。大塚がその辺の話を引き出してくれた。PGFで来日公演を行いアメリカも回っていた山岸、そろそろ家に戻って休みたいと考え、ハリケーン襲来は知ってはいたけど、敢えてニューオーリンズに戻ったという。ルームメイトと共に家に篭ったが風邪がうるさくて今のソファーで寝て爆睡したとか。しかし、翌朝目覚めてみると周囲は廃墟。大木が倒れて下敷きになっている家などもあり、山岸の家は丈夫だったのか幸運だったのか。しかし、しばらくは平穏だったらしい。周囲のバーも営業中で、残った人たちはすることがないのでパーティしていたという(苦笑)。しかし、堤防が決壊して状況が変わった・・・その後の事は語られなかったけど、山岸自身も出演したNHKのドキュメンタリー等で伝えられたという。見たはずなんだけどな。しかし、アメリカのミュージシャンのユニオンに入っていた山岸には、ミュージケアからの支援金も支払われたという。この辺はアメリカは進んでいる。日本には被災したミュージシャンへの支援制度なんてないもんね。ボランティアでの演奏を求められるばかりで。PGFは解散したわけではなく、あくまで活動休止中とのこと。それにしても、ニューオーリンズでの山岸のギターへの評価は想像以上に高いようだ。被災はあったものの、ギター1本、憧れの地での地に足がついた活動ぶりは、関西のおっちゃんならではの痛快なエピソードだ。やっぱり、黒人に対抗出来るのは関西人だけなんとちゃいますか?
2013年07月16日
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いつの間にか、夜帯番組状態から日曜に移動していた「エル・ムンド」。つぶやき眺めていたら、先日の放送ではニューオーリンズ・ジャズフェストが取り上げられていたとか。チェックしてなくて失敗したな〜と思いきや、今日の日中に再放映あり。家にはいたのだけど録画予約してリアルタイムには見てなかったが、途中で、チャンネル設定を間違えていたことに気づいた。あの番組はBSのプレミアムではなく1の方だったのだ。慌てて切り替えたが、既に20分経過。肝心の話題は終わっちゃっていたかも・・・で、夜に録画を見てみたが、どうもやっぱりジャズフェスト取材は終わっちゃっていたっぽい。しかし、ハリケーン・カトリーナからの復興の話題が続いていた。あれから8年、今も復興が進んでいるとは言い難い最貧地区のロウワー9thワード地区にミュージシャンズ・ヴィレッジという施設が建設されていた。そこはレコーディング・スタジオを備えたライヴ会場でもあり、地域の子供たちに無償で音楽を教える場所でもある。そこを立ち上げたのは、ハリー・コニック.Jrとブランフォード・マルセリスで、ブランフォードの父エリスの名を冠している。親子もインタビューに登場。さすが彼ら、いいことやってるなあ。故郷への愛をひしひしと感じる。しかし、そのセンターは、まさにポツンという感じで建っていて、周囲はまだ何にもない感じなのは気になった。日本の震災と同様、やはり、現実は厳しいのだろうな。いい加減、何とかしてドラマ「トレメ」も見たいな。そして、勿論、彼の地の方にも・・・
2013年06月03日
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前回、2011年12月の公演の際、アンコールの“フォーエヴァー・ヤング”で感涙にむせんだアーマ・トーマス。再びビルボードライブに登場だ。場内はほぼ満席の盛況ぶり。今回のバンドは、ギター、ドラム、キーボードx2にサックス、トランペット兼パーカッション(侍Tシャツ)、それに前回はいなかったベーシスト(白一点?)の計7人。まずは前回同様にバンドのインスト演奏から始まり、夫らしき人物に同伴されてアーマが歌いながら登壇。前回、想像以上の歌声の深みと歌唱力に驚かされたけど、今回も全く変わらぬ素晴らしさだ。冒頭の2曲聴いただけで既にウルウル来ている自分って・・・彼女は基本的にはバラーディアだと思う。しかし、ニューオーリンズのソウル・クイーンにふさわしく、ファンキーなナンバーでも、その持ち味は遺憾なく発揮される。椅子に腰かけてじっくり聴かせた“イン・ザ・ミドル・オブ・イット・オール”で昨年の感動が蘇ってきた。惜しむらくはギタリストが今ひとつ。スライドも聴かせるのだけど、これがサニー・ランドレスあたりならなあと無いものねだり。次の“レット・イット・ビー・ミー”ともども、その艶のある歌声が実に味わい深い。一方で“ブレイクアウェイ”では会場もノリノリに。まさに緩急自在。問題は次!前回は聴くことが出来なかった“タイム・イズ・オン・マイ・サイド”。これでもう僕の涙腺は一気に爆発してしまった。以下は、もう、ほぼ泣きっぱなしでのライヴ鑑賞と相成った・・・しかし、聴きどころはまだまだ続く。“ドント・メス・ウイズ・マイ・マン”を勢いよく聴かせた後、最前列のマニアックな客が並べたCDを手にとって談笑も。そして、今度はジャズィに歌い上げるナンバー。全く、その実力の程には舌を巻かされる。“ルーラー・オブ・マイ・ハート”等のヒット曲が披露され始め、ライヴもいよいよ佳境。“アイ・ダン・ガット・オーヴァー・イット”から“アイコ・アイコ”、“ヘイ・ポッキー・ウェイ”のニューオーリンズ・クラシック・メドレーへと突入。前回同様に観客はハンカチやタオルを頭上で振って応える。長年、自分のライヴハウスでショーをこなしてきた人だけあって、観客のノセ方は心得ている。お祭りの賑やかさから“イッツ・レイニング”の切なさへの転換もお見事。さあアンコール。アーマが全てのファンにと語りかけ、ああ、再び“フォーエヴァー・ヤング”だ。まさしく圧倒的名唱。もう、彼女のナンバーではないけど、涙枯れるまで・・・という感じだ。1曲1曲が本当に素晴らしかった。人生の様々な苦難を乗り越えてきた人だけが醸し出せる、真の心の底からの声、歌。それが聴く者に深い感動を与える。しかしまあ、こんなにもボロボロ泣けたライヴってブライアン・ウイルスンのソロ以来かも。酔いもあったかも知れないけれど、これは前回にも劣らぬ本当に素晴らしいライヴだった。その余韻は終電近い帰りの電車に揺られている間中続いたのだった・・・
2013年05月30日
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今年もアッという間にゴールデンウイークが終わり、ニューオーリンズ・ジャズフェストも多分盛況のうちに終わったと思う。例年この時期はニューオーリンズ絡みのCDを聴くのだけど、今日になって遅ればせに2枚を。まずは、リバース・ブラスバンドが結成27年余にして初のグラミー賞を受賞したことでも記念すべきアルバムリバース・オブ・ニューオーリンズ」'11。まさに、ニューオーリンズの力強い復活を印象づけるような勢いタップリの1枚。曲はオリジナルが多いのだけど、まるでクラシックとしてニューオーリンズで昔から演奏されてきたかのような、親しみやすくオーソドックス、かつファンキーなブラスバンド・チューン。リーダーのフィル・フレイジァーのチューバが牽引するブイブイのホーン陣は、30年近いキャリアの大ベテランとは思えぬイキの良さ。ライバルとも言うべきダーティ・ダズンの近年の渋さとは好対照。いい意味でのパーティ・バンド的な賑やかさに溢れる。5曲目ではトロンボーン・ショーティの曲を取り上げている他、7曲目の“ドゥ・イット・アゲン”は、NFLニューオーリンズ・セインツ応援歌なのだとか。デイヴ・バーソロミューの“シュリンプ・アンド・ガンボ”のカヴァーに、締めはワイルド・マグノリアスらマルデイグラ・インディアンの定番曲“レッツ・ゴー・ゲット・エム”で。まさに新たに生まれ変わるかのような、不屈のニューオーリンズ賛歌の数々。この調子でこれからもブイブイ言わせてくれ!もう1枚は、まさに大御所、ドクター・ジョンの目下の最新盤「ロックド・ダウン」'12だけど、これはブラック・キーズのダン・オーバックをプロデューサーに迎え、彼が集めた若手ミュージシャンをバックに迎えて、ドクターの新境地として大いに評価された1枚だ。と書きつ、実はブラック・キーズって聴いたことないので、どういうサウンドの人たちなのかはよく知らない。でも、このアルバムは、ドクターのダミ声はそのままに、初期のブードゥー・ロックの雰囲気も想起させるような妖しくヤバめな雰囲気がいい。勿論、演奏の勢いもすこぶる快調。曲はドクターとバンド・メンバーとの共作名義になっていて、シニカルな詞はドクター担当で、サウンド面を皆で構築していったという感じか。ドクターの持ち味を存分に活かしつつ、過去のパターンに囚われないコンテンポラリーかつ濃厚な音を築いているという点では、ジョー・ヘンリーあたりのプロデュースに通じる好サポートだ。とりわけ終盤の展開が秀抜で、ドクターの呪文?が冴える“エレグア”なるナンバーから、穏やかな表情を見せる“マイ・チルドレン、マイ・エンジェル”。そして、新世紀のゴスペルと言うべき“ゴッズ・シュア・グッド”で幕を閉じる。ドクターの新規ビルボード公演の日程も決定したようだけど、このアルバム制作にあたってか、ハウスバンド、ロウワー911を解散させたというドクター。次はどんな面子を率いて来るかがキーだね。
2013年05月20日
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ビルボードライブ東京でのアーロン・ネヴィル公演は当初は行く予定がなかった。というか、行けないはずだったのだけど、行ける状況ならば行かないでかだ。2ndショウをカジュアルシートで。しっかりフルバンド編成だが、何とサックス抱えて現れたのはチャールズ・ネヴィルではないか!間際に取ったので情報を確認してなかったのだけど、今回の公演は、正式にはアーロン・ネヴィル・クインテット・フィーチャーリング・チャールズ・ネヴィルであったのだ。これでビルボードライブのステージを踏んでいないのは、兄弟でアートだけということになった。バンドは、MCも担当のドラムのアール・スミス.Jr、キーボードのマイケル・グッズ、ベースのデヴィッド・ジョンソン、そしてギターは、日本人かな?まずはチャールズ主体のインスト1曲。“ベサメ・ムーチョ”だね。ちょっとドラムがうるさめで、バンドの音量そのものも大きい印象で、ちょっと大丈夫かな?とも思えたけど。いよいよアーロン登場。インプレッションズの“イッツ・オールライト”をステップも軽やかに歌う。前回のネヴィルズの公演の際も感じたのだけど、正直、アーロンの声の艶やハリは往時に比すれば劣らざるを得ない。それでも、アーロン自身が元気そうなのが何よりだ。続けて“フィーヴァー”。アーロンのマイクの音量はかなり上げられているようで、フルバンド演奏の中でも埋没はせずに声が通る。“エイント・ノー・サンシャイン・・”はレゲエ調のアレンジで。サプライズというか、これはCDに収録されたことあったっけ?アーロンが次に歌ったのはヴァン・モリソンの“クレイジー・ラヴ”だ。しかも、チャールズのソロもタップリ。兄弟揃い踏みでこの曲を聴けるなんて、何という贅沢。かつてよりは衰えたとはいえ、やはりアーロンの歌声は格別。感激に思わず涙がこぼれてしまいましたよ!更には、キーボードだけをバックに“アヴェ・マリア”を切々と披露。近年のアーロンはヨーデル唱法を駆使し過ぎのきらいはあるのだけど、これでヴォーカルを巧みにカヴァーしてはいるのでしょう。チャールズの存在故に、ハイライトは、やはり“イエロー・ムーン”だろう。チャールズのサックスと、ギターの福田眞國が応酬を繰り広げる。実は前回のネヴィルズの公演にも、この福田さんは同行していたのだそうな。現地調達日本人ではなく、山岸潤史やヒロナリさん同様、ニューオーリンズ現地で活躍する日本人ギタリストの一人なのだった。他の曲では控え目な演奏だったが、ここぞというところでキャッチーなソロを聴かせる職人ぶりが唸らせた。1stショウとのセットリストの違いがあったかどうかは定かじゃないけど、このステージは、必殺バラード・ナンバーは抑え目で、むしろアップテンポのニューオーリンズらしい楽しさを伝える演奏が印象に残る。バンドの演奏そのものも、アーロンのヴォーカルに遠慮することなく結構ガンガン。でも、やっぱり締めは“テル・イット・ライク・イット・イズ”だね。正直、アーロンのソロといえば聴きたい曲はもっともっとあったのだけど、短めではないかと予想はしていたので。しかし、新譜から皆無というのは、ちょっと意外だったけど、あのアルバムのバックがジョー・ヘンリー人脈だったから故だろうか。アンコールに、ドゥーワップの名曲“グッドナイト・イッツ・タイム・トゥ・ゴー”というのもアーロンらしい。ライブそのものは1時間ちょいくらいだったけど、密度の濃いステージだったから、これはこれで大いに満足。“アメージング・グレイス”は聴きたかったけどね。アーロン自身も70代を超え、この人たちの演奏がいつまで聴けるだろうかという点では、この晩の兄弟共演は誠に貴重な機会だった。ビルボードライブに改めて感謝。ネヴィル兄弟ともども末永くあらんことを。
2012年05月14日
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いよいよ明日からニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバル。毎年“来年は行く行く!”と喚いてきたのだけど、今年あたりの顔触れを見ると、もうフツーの大型フェスになってしまって、ニューオーリンズに行って見るフェスとしての魅力は薄れてしまっている気がする。いっそ、一度開催ストップして、今いちど小じんまりと地元のミュージシャン中心に集めたフェスに立ち戻って欲しい気もするけど、やっぱり横目で眺めながら色々と気になってしまうフェスであることには違いない。して、フェスト開催を記念して、こちらもニューオーリンズ関連のCDを。まず、ドラマの方はシーズン2まで放映されたらしいけど、その後は?の「トレメ」のサウンドトラックを。HBO製作でジョン・グッドマンやデヴィッド・モースも出演したシリーズ、サントラ盤はブラスバンド勢を中心に賑やかな顔触れが揃った。ブックレットには1曲毎に詳細な解説が添えられている。オープニングを飾るのはクリオール系のシンガー、ジョン・ブッテによる“トレメ・ソング”。ドラマシリーズの前身となったドキュメンタリーから使用されたという99年の曲。この曲が作られた建物は、やはりハリケーンの津波で流されてしまったそうだが。リバース・ブラス・バンドの代表曲“フィール・ライク・ファンキン・イット・アップ”はライヴ・ヴァージョンで収録。そのリバース出身のカーミット・ラフィンズは、アフリカン・ルーツのナンバー“スコーキアン”をファンキーにプレイ。トロンボーン・ショーティのライヴでも披露されていた“ウ・プ・パ・ドゥ”は兄ジェームズ・アンドリュースとの共演。何とアンドリュース兄弟はオリジナルのジェシー・ヒルの孫だったのだった!ジョン・ムーニーがヴォーカルとスライドギターで加わったソウル・レベルズ・ブラス・バンドの“ドリンカ・リトル・ポイズン”は賑やかさ満点。初めて名を聞くフリー・エージェント・ブラス・バンドの、“ウィ・メイド・イット・スルー・ザット・ウォーター”はヒップホップを取り入れた新世代らしいチューン。ドクター・ジョンの“アイ・ビーン・フードゥー”のフレーズも挿まれている。そのドクターの名盤「ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ」に収録されていた“マイ・インディアン・レッド”は、トロンボーン・ショーティも加わったライヴ・ヴァージョンで。“インディアン・レッド”は更に2ヴァージョン、マルディグラ・インディアンズ大競演版とサックス奏者ドナルド・ハリスンによるジャズィーなアレンジで。来日ライヴでは聴けなかったアーマ・トーマスの“タイム・イズ・オン・マイ・サイド”はアラン・トゥーサンとの共演。デイヴ・バーソロミュー(生きてたのか!失礼)まで参加の、涙もののゴージャスな演奏。異色の1曲はスティーヴ・アールの“ディス・シティ”。T・ボーン・バーネットのプロデュースによるによるアール書き下ろしの1曲。“この街は流された。でも、この街は溺れはしない”と歌われる、ドラマの第1シーズンを締めくくるにふさわしい佳曲だ。トレメ・ブラス・バンドによるフューネラル・ナンバー“ジャスト・ア・クローサー・ウォク・ウィズ・ジー”を挿んで、アルバムの最期は、サブデューズのジョン・マグニー、トミー・マローンらがバックを務めるリル・クィーニーによる“マイ・ダーリン・ニューオーリンズ”。ドラマそのものは未だに日本での放映はなくソフト発売予定もないらしい。海外版を買ってでも見るしかないかな。その前に「シーズン2」のサントラも出ていたのだった。メンツは、ギャラクティック、サブデューズ、レディエイターズ、イグアナズ、ヘンリー・バトラー、ジョン・クリアリー.etc。これも聴かないと!もう1枚、アーロン・ネヴィルのソロでの来日というのは初めて?ビルボードライブでの公演の頃には日本脱出の予定だったけど、今のところ目途が立っておらず、どーしたもんか?というところで最新盤「アイ・ノウ・アイヴ・ビーン・チェンジド」。アーロンがゴスペルを取り上げたアルバムはこれで3枚目だけど、過去の「デヴォーション」と「ビリーヴ」は聴いていたっけ?他にも、スタンダード曲を取り上げた「ネイチャー・ボーイ」、ソウル・クラシックスを取り上げた「ブリング・イット・オン・ホーム」等もあったけど、極めつけの名曲をアーロンがあの声で歌えばと期待はしたものの、近年はやはり声の衰えは隠せず、かつこの人の声質からしてアレンジ次第では甘い方に流れていってしまう嫌いがあり、今ひとつ響かない出来栄えだったというのが正直なところだ。しかし、今回はプロデュースがジョー・ヘンリーの上、アラン・トゥーサンがピアノで全面参加ときては良くないはずがない!アカペラで始まる“スタンド・バイ・ミー”(ベン・Eのあれではない)からして、アーロンのヴェルヴェット・ヴォイスを存分に活かした作りだ。勿論、アーロンの声には往年の張りは欠けているのだけど、彼の独唱だけに頼らずコーラス陣を配してのアンサンブルで聴かせる。バーズの「ロデオの恋人」でもお馴染みの“アイム・ア・ピルグリム”といった選曲等、アーロン自身もルーツの一部と言っているカントリー風味も巧みに織り込む。トゥーサンの優雅に転がるピアノに加えて、弦楽器陣も好サポート。スピリチュアルながらも、力まずに“小粋な”アーロンの歌唱が心地良い。さすがジョー・ヘンリー、いかにすれば素材の良さを引き出せるかを心得ているプロデュースぶりだ。う~ん、これを聴くと、やっぱりアーロンの公演は行った上で先に進むことに?ちとチケ代は高いのだけどね・・・もう一つ、明日からのジャズフェストに行ったとしての仮想予定をと思ったけど、それは明日のネタにしましょうかね。
2012年04月26日
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体調激悪で、薬局で1100円もするドリンクを飲んで(そこそこ効いた!)クラブクアトロへ向かう。2枚目のアルバムをリリースしたトロンボーン・ショーティ2度目の来日公演。前回も寒い時期の来日だったし、フジロックの時も疲労困憊状態で見たのだった。しかし、開演が近づくにつれこちらもテンションあがってきた。10分遅れくらいでスタートだが、バンド、オーリンズ・アヴェニューは前回と同じメンバーのよう。グラサンで現れたショーティことトロイ・アンドリュースにの他、ギター、ドラム、バリトンサックスは白人、ベースのみ黒人の計5人。オープニングは2nd「フォー・トゥルー」の1曲目“バックジャンプ”から。これはトロイはトロンボーン。続く1stからの“サバービア”はトロンボーンとサックスのユニゾンで盛り上げる。アラン・トゥーサンの“オン・ユア・ウェイ・ダウン”は、よりファンキーなアレンジで、キャッチーな間奏を最後にもってくるあたりもニクい。トロイはトロンボーンを吹き、歌い、トランペットを吹き、かつ観客の盛り上げ役でもある。ロンボーンのソロを披露した後、“アンコール”ではソウルフルな歌声を聴かせる。“ハリケーン・シーズン”では、驚異のトランペット・ロング・ブロウも披露。まさに八面六臂の活躍ぶりだ。一方、改めて、トロイ以外のメンバーはギタリストにしろドラマーにしろロック・マナーのタイプだ。演奏が進むにつれ、各人のソロがフィーチャーされたジャムっぽい演奏が目立ってくる。ドラマーのジョーイ・ピーブルズはセカンドラインは叩かずワールドミュージック的なダイナミックな叩きっぷり。黒人ベーシスト、マイク・バラードでさえそうで、どことなくレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンあたりを想起させる重いベースラインを弾きだす。ニューオーリンズ音楽ファンとしては、セカンドラインやもったりしたファンクが好きだけど、25歳の若いトロイは、伝統を踏まえながらも、それを超えたところに目線を向けている。それが彼の強みであり、ロック・ファンをも取り込む幅広い支持を受ける理由だろう。ダーティ・ダズンの“マイ・フィーツ・キャント・フェイル・ミー・ナウ”で始まったニューオーリンズ・メドレーでは、トロイのトロンボーン、ギター、サックスの三者が交互に1フレーズずつのソロを延々と続ける。圧巻ながらも、些か長かったかな。ピート・ムラーノはファンキーなギターもお手の物の器用な人。終盤は恒例のJBセッション。自然と腰が動かずにはおられない。アンコールで披露された“ローズィズ”で終了かと思いきや、太っ腹な2度目のアンコールで“サムシング・ビューティフル”。改めて、ロックもファンクもR&Bもソウルもヒップホップもジャズもミックスした新世代のガンボ・ミュージックに魅了された。ニューオーリンズのカルチャー・マガジン、オフビートのミュージック・アウォードでも、トロイはアーティスト・オブ・ザ・イヤー、アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。まさに、名実ともにニューオーリンズの未来を背負って立つ人になりつつある。それを実感させるライヴだった。
2012年02月02日
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というわけで来年のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテイジ・フェスティバルの出演者であります。まずは前半週(地元勢以外)。トム・ペティ&ハートブレイカーズにアル・グリーン、うん。ジョン・メイヤー、ファイスト、ふ~ん。シェウン・クティ、スティール・パルス、おお。僕的に最大の目玉はこれだ!フラコ・ヒメネス&オーギー・マイヤーズにショーン・サーム(ダグの息子だろう)によるテキサス・トルネードーズ。でもって、BB5と。まあ、前半週は、割と以前のジャズフェストの雰囲気だね。問題は?後半週。イーグルス、ゲゲ。フー・ファイターズ、ザック・ブラウン・バンド、マイ・モーニング・ジャケット、う~む。ボニー・レイット、バニー・ウェイラー、ロドリゴ・イ・ガブリエラ、うんうん。そして、おお!レヴォン・ヘルム&メイヴィス・ステイプルズ、スティーヴ・アール!アニー・ディフランコ、アスリープ・アット・ザ・ホイール、ブルース・ホーンズビー・・・以前ならホーンズビー位でメインステージのトリだったけど、これでは影が薄いな。しかし、アールやヘルム、ステイプルズでも充分なのに、彼らの扱いはかなり小さい。イーグルスだのフーファイだのはNOでなくたってどこでも見れるだろに。テキサスあたりに行けよって感じ。まあ、でも冷静に見てみれば、まあ悪くない顔触れかな。後半はとにかくアールにヘルム。前半はBB5にトルネイドーズが見たい。考えてみればトム・ペティってまだライヴ未体験だったっけ。まあ、どっちにしても来年は無理だろうな。再来年はもっと無理になったりして・・・仮に行けたとして、出て欲しいのは誰か?アールもブライアンも出てしまった後は、最早・・・?いや、地元勢だけでも見られれば充分なのだ。アーマ・トーマスとかボーソレイユとかサニー・ランドレスとかね。
2011年12月20日
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アーマ・トーマスの来日というのは、過去、相当前にあって以来ではないか(本人曰く20年振りとか)。ニューオーリンズ関係の中でもとりわけフェイヴァリットというわけではないけど、とりあえずニューオーリンズなら何でも見るという程度の調子でビルボードライブの2ndショウへ。結構な賑わいで客席も埋まっている。やっぱり、ニューオーリンズ系は根強いファンがいるよう。開演10分程遅れでバンドが登場。ハモンドオルガン、ドラム、ギター、キーボードに、サックスとトランペットまでいる。ベースはキーボードが兼ねているようだ。若いドラマーがヴォーカルでソウル・ナンバーを1曲。そして、紹介されたアーマ、そうか、「アフター・ザ・レイン」'06は彼女としては初のグラミー賞受賞作だったのか。なかなか姿が見えないが、声は艶やかで伸びやか。この人は決して声を張り上げて力技で聴かせるタイプではないけど、そのニューオーリンズらしいもったりした親しみやすさが持ち味だ。とはいえ、その凛とした歌声は非常に味わいがある。観客もかなりの盛り上がりで歓迎。やや甘めのソウル・バラードがこの人の本領だとは思うけど、3曲目の“ストーリー・オブ・マイ・ラヴ”には思わず引き込まれた。意外と言っては失礼なのだけど、この人の唄及び歌声は、こんなに魅力的だったろうか。朗々と張り上げるわけではないけども、その感情表現が絶妙なのだ。既に、この時点でちょっとウルウルくる。一転してアップテンポのファンキーなナンバーでも過不足なく聴かせ盛り上げる。実に硬軟自在で安定感のある歌いっぷり。再びソウル・バラード“レット・イット・ビー・ミー”をじっくり聴かせる。グラミー受賞作「アフター・ザ・レイン」からの“イン・ザ・ミドル・オブ・イット・オール”は、歌詞をじっくり聴けば、ハリケーン・カトリーナで全てを失った人々の再生が歌われている。実は彼女自身も自宅を流され、あのライヴハウス、ライオンズ・デンも失われてしまったのだそうだ。しかも、彼女は以前にもハリケーンで移住を余儀なくされていて、これが2度目の被災だったとか。そんな苦難を乗り越えてのステージ故に、真の“ソウル”が込められた渾身の歌声となっているのだろう。それは観客側にも強く伝わってきた。しかし、本人は控え目な雰囲気の人で“被災”についてのコメントも特にないし、MCも少なめ。淡々と歌を聴かせることに徹する。アラン・トゥーサンの“クライ・オン”からは、いよいよ彼女の代表曲オンパレード。“涙のブレイクアウェイ”(数日前の日記表題はこの曲に由来)“ルーラー・オブ・マイ・ハート”、そして“イッツ・レイニング”。雨を歌った名曲数あれど、この曲の良さも改めて思い起こさせた。そして、お楽しみは更にそれからだった。アーマがナプキンを振ってのニューオーリンズ・メドレー。“アイヴ・ダン・ガット・オーヴァー”“アイコ・アイコ”“ヘイ・ポッキー・ウェイ”等。観客も総立ちでナプキンふりふり、僕はマフラーふりふり(笑)。“ウイッシュ・サムワン・ウッド・ケア”で締め。1時間弱ながら、本当に素晴らしい内容。9時まで時間をつぶしていたのだけど、こんなことなら1stショウから見ておけばと後悔頻りだったが・・・バンドは引っ込まずに、そのままアンコールへ突入。“タイム・イズ・オン・マイ・サイド”かな?と思いきや、アーマが“心から皆さんに捧げます”と歌い始めたのは・・・ディランの“フォーエヴァー・ヤング”ではないか!一語一語語りかけるように歌われるその歌詞は、殊更に胸に響いた。誠に余談ながら、つい先日また一つ歳を食って、最早オヤジ街道まっしぐらと少々凹み気味であった昨今。ヒジョーに月並みな言い方だけど、何だか彼女の唄に“元気をもらった”感じだ。数々の困難を経ても毅然と歌い続ける彼女の姿勢と、その歌声から自然と浸み出てくる、痛みを知った人ならではの“ソウル”に、アイ・キャント・ストップ・クライング状態でありました。ニューオーリンズ系のライヴで泣けたのは何回目かわからない(泣笑)けど、この晩のアーマ・トーマスのライヴはとりわけ強く心に残るものだった。今、書いていてまたウルウルきた(苦笑)。ああ、ニューオーリンズへの想いがまた募る・・・
2011年12月02日
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この数年この時期に開催されているアンタル・フェスティバルって、つまるところ何のフェスだかよくわからない。でも、とりあえずライヴステージに興味があるので、予報外のそぼふる雨の中、代々木公園へ向かう。露店は小規模ながら、アフリカンを中心としたエスニック系。ガーナビールを1本買ってステージ前へ。既に知久寿焼のライヴが始まっている。「たまの映画」で再評価された割にはギャラリーが少なめ。昨年に続いての出演らしいけど、告知が不充分なのだろうな。でも、あの“変な声”で歌うライヴを一度聴いてみたかった。たまの“らんちう”まで披露するサービスぶり。例の声は健在ながら、MCの時の喋りはあまりよく聞こえない。“月が見てたよ”をほのぼのと?聴かせて終了になってしまった。もっと聴きたかったなあ。しかし、ミュージシャンの前に出て撮っているオフィシャル?キャメラマンってのも無茶だよね(左画像)。エジプト料理の屋台で、異様に時間のかかるファラフェルを待つうちに石田長生のライヴが始まってしまった。先の知久よりも更に少ない観客。大阪の府民的人気者も東京では所詮ローカル・ヒーローか。曲は春一番の時と同じながら、やっぱりこの人の唄とギターはなかなか聴かせる。共演者として登場の、トーキング・ドラムのオスマン・オランド・ビングルとは春一でも共演経験あり。そして、このフェスの主催者が彼なのだった。どこかでお店をやっているらしいガーナ人で、その繋がりでこのフェスがということみたい。でも、彼のドラムよりも石田のギターの方がパーカッシヴだったりして、彼のサポートは演奏上、あまり意味がない感じがしないでもなかった。石田は“アイコ・アイコ”等数曲を聴かせた。ちょいと時間をつぶした後、ミッドタウンのビルボードライブへ。正直言って、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドは前回の公演が今イチだったので、さほど期待はしてなかった。ニューオーリンズだから、とりあえずって感じで。5分程遅れでギター、ドラム、スーザホンの3人が登場して演奏スタート。スーザホンがベース代わりで白人のギターはワウワウ。ドラマーは割と若いみたいでイキがいいが、体型はジャバ・ザ・ハットみたい。程なくフロントのホーン陣4人が登場。こちらは皆おっさんだ。ダズンならぬ汚れた七人による演奏がスタート。まあ、ファンキー・ジャズといった趣。でも、オヤジな割には演奏に活気がある。これはちょっといいかも。このバンド、以前はもっとニューオーリンズ色の濃いバンドだった。でも今はセカンドライン一辺倒ではなく、ファンキーなジャム・バンドという感じの演奏になっている。ホーン陣は基より、ギター、更にはドラム、スーザホンもソロを聴かせ、各人が達者な腕を競う。音量もでかく、コンテンポラリーなバンドとして十二分にアピールする。JBのナンバー登場でいよいよ盛り上がってきた。そして、“シシー・ストラット”、これは最高。いいぞDDBD!皆に唱和させた“ミー・ライク・イット・ライク・ザット”はカリブ風味ののほほんとしたナンバー。やっぱNOだねえ。“ダーティ・オールド・マン”では、前列にいたイケイケなおば、お姉さま方をステージに挙げてダーティ・ダンスで共演。この人たち、アルバムでは意欲的ながら、ややコンセプトに偏っていた感があるのだけど、ライヴの方では、より観客を楽しませる方向に舵を切り直したみたいだ。結果、成果の程はお見事。今年のライヴの中でも屈指の快演というべき楽しさだった。生憎、“マイ・フィート・キャント・フェイル・ミー・ナウ”は披露されなかったけど、ホーン二人とドラマーだけ残って埋葬曲のようなブルースを聴かせて終演。これまた粋な趣向だった。ああ、ガンボかジャンバラヤが食べたくなったよ!
2011年10月30日
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図書館で借りた「カトリーナが洗い流せなかった貧困のアメリカ」を読了。ハリケーン・カトリーナの件は、個人的にこの数年で最も強い関心を持っていた話題だったが、本を読んでみて、自分が知らなかった事実が実に多かったことを思い知らされた。チャリティ番組でのカニエ・ウエストのブッシュ&政権批判、白人エリアを救うために黒人貧困エリアに水が流れるよう堤防をダイナマイトで破壊したという陰謀説、ミシシッピ川沿いの精油や化学工場が被害を受けて、水没した街は汚水に溢れていたこと、時の副大統領チェイニー傘下のハリバートン社が復興事業の契約をせしめたこと等々。事実を知るにつれ、改めてブッシュ政権の無能さ、おぞましさ、卑劣さを思い知る。これだけ最悪の政権はアメリカ合衆国史上なかっただろう。未だに、ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルドらが犯罪人として処分されないことが不思議でならない。“天罰”は奴らにこそ下されるべきなのに。“神”なるものは誠にアンフェアだ。信じる価値はない、と僕は思わざるを得ない。カトリーナ災害の最中に思ったことは、ニューオーリンズが果たして元の姿に戻れるか否かということだ。被災に伴う人口移動で、人種構成は変化を余儀なくされた。例え貧しくとも、ニューオーリーンズをニューオーリンズたらしめていたのは、被災前に人口の7割を占めていた黒人層であろう。今はバーボン・ストリートやフレンチ・クォーターは元の通り、何事もなかったように復興を遂げているのかも知れない。でも、ローワー・ナインス・ワードは?その他の黒人貧困層が住んでいたエリアはどうなったろうか?元には戻れなかった住民も多いだろう。黒人だけではない。白人ながらも決して裕福ではなく、湿地帯に多く住んでいたケイジャンたちはどうなったろう?ニューオーリンズをニューオーリンズたらしめていた要素はどの位復活しているのか?エリートたちによる復興計画は、白人中心に人口構成を変えた金持ちによる復興を目指していたという。それでは、あの街を彩った人種、文化の混合のガンボ的な魅力は失われてしまう。彼の街の“復興”は実のどころどのように進んでいるのか?どうすればその状況を知ることができるのか?何とかの一つ覚えで“来年こそはニューオーリンズに”と毎年書き続けている。現時点でも同様、“来年こそは”だ。しかし、行けたとしても自分はどこに行って何を見るべきなのか。フェスや音楽文化を体験して金を落として復興に協力することは勿論大切だ。しかし、ニューオーリンズが、あの魅力的な元の姿に戻れるのか?その真実をこそ知りたい。こーなったらジャズフェストの前にマルディ・グラか!?よし!(マジ?)
2011年10月14日
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Pヴァイン・ブックスは結局スペースシャワーの部門として存続するんだっけ?その同社から出ていた「カトリーナが洗い流せなかった貧困のアメリカ」('08 マイケル・エリック・ダイソン著)を図書館で借りる(買わなきゃダメだねえとは思うけど)。黒人活動家であり神学者でもある筆者が、ハリケーン・カトリーナでの“人災”を通じてアメリカの格差社会を告発する内容だ。意外にもブラック・コミュニティでのヒップホップ、ラッパーたちへのネガティヴな感情というのが強いらしいけど、筆者は、黒人知識人の中では珍しくヒップホップを肯定的に捉えている人だ。災害直後のチャリティ番組で、カニエ・ウエストがTVの生放送を通じて痛烈な政権批判の発言を行っていたことを、僕は今更ながら知った(で、カニエを見直した)。その辺が、Pヴァインからこの本が出版された理由でもあろう。あの災害から6年余が経過しているけど、貧困地区での復興はどの位進んでいるのだろうか?今のニューオーリンズの人口構成や貧困率には変化が見られるだろうか?今起きているウォール街でのデモというのは、何が目的なのかよく掴めないところがある。デモに従事しているのは白人知識層てな話だけど、標的は一体誰なのか?いずれにせよ、モーガン・フリーマンも語っていたように、最近のアメリカの政権批判の背景には明らかにオバマ大統領への差別的感情があると思える。ティー・パーティなどという訳のわからない時代錯誤の団体が支持を集めるあたりに、根底はどうにも変りようがないアメリカ合衆国のバカさ加減が透けて見えてウンザリくる(ハンク・ウイリアムス.Jrも同じ穴のムジナであったか?)。フレンチ・クォーター、バーボン・ストリートといった中心地はそれなりの繁栄を取り戻しているらしい。しかし、取り残されているニューオーリンズの貧困エリアの今は?災害から時が経った今こそ、改めてその状況を検証すべきだろう。本はまだ第2章までを読んだのみ。更に、洋書で面倒臭いからと積んでおいた"1 Dead In Attic"というペーパーバックもある。来年のニューオーリンズ行きに向けて?そろそろ読んでおかないと・・・
2011年10月07日
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BSで放映された「旅のチカラ マイ・ラスト・ミュージックを探して」(の録画)を見る。癌で余命の短さを意識している鳥越俊太郎が、“自分の最後の音楽”を探しに行く先がニューオーリンズだ、ということで。しかし、“本物のジャズが聴きたいよ”と言って鳥越がまず向かったのは、やはりというかバーボン・ストリート。それって??そも、ジャズを求めてニューオーリンズってことは、原初的スウィング・ジャズが聴きたいってこと?鳥越は40代の頃にオスカー・ピーターソンにハマって以来ジャズ好きというが、番組を見る限り、ピーターソンから先に広く深くジャズにハマっていったというわけでもなさそうだ。この人、基本は“仕事の人”だから、音楽を聴くと言ってもドップリ傾倒するよりは、あくまでも仕事の合間に直感的な出会いをしたという程度なのかなと思う。それ故にプリザヴェーション・ホールの存在すら知らなかった。でも、“本物のジャズ”を求めてプリザヴェーションに行くのか?まるで、ただのおのぼりさんである。教会のゴスペルや葬式でのセカンドラインも、彼にしてみれば異国のエキゾな風物のレベルみたい。音楽を聴いてのリアクションも、そこいらのおっさんそのものだし。ここいらが、もっと音楽に通じた作家とかであれば、また違ったろうし、番組に深みも出たかも知れないが。結局、彼はNOで数曲(“アイル・フライ・アウェイ”、“アイ・ウォント・コンプレイン”“ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ジー”)を候補として挙げたものの、“最後の音楽”には出会えぬまま、彼の地を後にする。結局、悪いけど、この人は“音楽の人”ではないのであろう。つまるところ、子供の頃に聴いた童謡とか、仕事絡みで聴いた流行歌が彼にとって適した最後の音楽になるのではないか?意地悪な書き方かも知れないけど、そんな具合に鳥越は音楽に関してはごくフツーの人なのだろう。ま、僕らがごくフツーじゃあないってことだけど(苦笑)。因みに僕のラスト・ミュージックは決まっております。オリジナル・アルバムからのはちょっと軽いから、ヴァージョンがどれって問題はあるものの、曲はブライアン・ウイルソンの“ラヴ&マーシー”。よろしく(って誰に?)・・・
2011年09月29日
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ちょっと旧聞だけども、今年の出演者が発表されたニューオーリンズ・ジャズフェスト。どーしちゃったんだろ?あまりにも過剰に豪華過ぎっすよ。名を挙げてみると、まずはメジャー系・・・ボン・ジョヴィ、キッド・ロック、アーケイド・ファイア、ジョン・メレンキャンプ、ウィルコ、ウィリー・ネルソン、ストロークス、ロバート・プラント、ローリン・ヒル、グレッグ・オールマン、ワイクリフ・ジョン、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、ジョン・レジェンド、マムフォード&サンズ、シンディ・ローパー、ジェーソン・ムラーツ、ケニーG・・・これに常連&ルーツ系では・・・ジミー・バフェット、リッキー・スキャッグス、ロバート・ランドルフ、アヴェット ブラザーズ、ボビー・ブルー・ブランド、ジェシー・ウインチェスター、アーロ・ガスリー、ルシンダ・ウイリアムス、エイモス・リー、ロバート・クレイ、エディ・ブリッケル、チャーリー・マスルホワイト、ミシェル・ショックト、イヴァン・リンス、メイシオ・パーカー・・・加えて、いつもの地元勢はネヴィルズは勿論、ザッカリー・リチャードも復帰。ギャラクティックやトロンボーン・ショーティも。ラディエイターズは解散?いや~、これじゃあまるでグラストンベリーだよ。あの競馬場は人で溢れかえるな。結局、今年も行かないけど、フェスがこういう風な規模になっていったら、最早敷居が高くて?もー行けなくなっちゃいそう・・・
2011年02月01日
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NFLプレーオフ2試合とNBAをテレビ観戦したので大したことはしてないです。CDは、昨晩のアラン・トゥーサンの余韻も冷めやらぬ感じなので、セインツは既に敗退してしまったけどニューオーリンズ系でいく。コンテンポラリーなギャラクティックよりは、もう少しオーソドックスなところでいきたい。そこで、CDの山から見つけ出したのは、4年程前に偶然遭遇した大阪ニューオーリンズ祭りで購入した1枚。そのイベントは、カトリーナ後の復興イベントとして、現地在住のギタリスト、ヒロナリこと真野博生さんが市に働きかけたイベントで、あのシリル・ネヴィルが、バンド、トライブ13とビッグ・チーフ・モンク・ブドローまで引き連れて中之島でライヴを行ったのだ。そこでさり気なく売られていたのが、シリルの「4・ザ・ファンク・オブ・イット」。シリルのソロとしてアルバムが出ているはずだけど、その会場で売られていたのは、なぜかCD-Rのコピー(売ってた人によれば、本人が1枚1枚焼いてたってな話。確か1000円だか)で、ジャケもいかにも手作りの素朴なもの。或いは、オフィシャルに発売になったのは後のことなのかも知れない。のっけの曲の音こそ、打ち込みっぽいショボさが目立ったが、以後はなかなか充実した内容だ。ジミヘンの“フォクシー・レイディ”はハードなアレンジが聴きものだし、その他の曲も、かなり意欲的なアプローチが目立つ。シリルらしく、レゲエやワールド・ミュージック、更にはラップまで織り込んで、アグレッシヴかつポシティヴな内容だ。カーティス・メイフィールドのカヴァー“アイ・ニード・トゥ・ビロング”はじっくり聴かせる。終盤にはビッグ・チーフ・ジョリーを讃えたナンバーから、ユニークなアレンジの“マイ・インディアン・レッド”もある。8分超で聴きごたえ充分だ。コーラスを聴くとチャールズあたりは参加しているのではないか。コピーっぽい?くぐもった音を差し引いても、これは一聴に値する出来だ。ネヴィルズのソロというと、アーロン位しか聴いてなかったけど、シリルのソロも一度まとめてちゃんと聴くべきかもと改めて思った。ニューオーリンズ・ジャズフェストは今年もお預けながら、その前にマルディグラがあるじゃない。今年は来月19日スタートだそうな(クライマックスのファット・チューズデイは3月8日)。もっとも、ジャズフェスト以上に宿や飛行機が取れないだろうけど。いつか行かねばねえ。そこで一句、“死ぬまでに 一度行きたや マルディグラ”(←季語、笑)。
2011年01月10日
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張り切って朝6時に起きて生中継を見たにも拘わらず、ニューオーリンズ・セインツはプレーオフ1回戦で敗退してしまった。よりにもよってシアトルに敗れるとは。当分スタバに寄る気はないね(てか、元々あまりシアトル系には行ってない)、カフェ・デュモンの方に行くべし。なことはあともあれ、サッチ・ア・デイにアラン・トゥーサンの一昨年5月以来の来日公演。この数年で3回目と、すっかりビルボードライブの常連だ。新年初ライヴには、敗れたとはいえ、セインツ・ジャンパー着用で出動!前回のライヴは少々空いていた記憶があるけど、今回はいっぱいだ。久々に下の自由席、ステージ近くでトゥーサンの顔が見える位置に陣取る。バンドは前回のメンバーに加え、パーカッションでクラレンス“レジナルド”トゥーサン(血縁関係あり?かなりのデブ)がプラスの5人。間近で見るギタリストのレナード・ポーチェは、かなり顔がでかく、かつ裸足だ。サックスのブライアン“ブリーズ”カヨリは、ドクター・ジョン系の渋い白人(クリオールかな?)。登場のマエストロは、青紫のスーツで変わらず飄々と。インスト曲でピアノのウォーミングアップの後、メドレーではなく“スニーキング・サリー・・・”を単独で。パーカッションが加わって、更に音の厚みが加わった。ブリーズはサックスにクラリネット担当だが、横にトロンボーンも置いてあるけど、あれまで吹くのかな?と思っていると・・・4曲目では徐に、ポーチェがギターを置いて2本のリコーダーを吹くイントロ。ちょっとブードゥー風味のスロー・ナンバー。この曲では更にポーチェがフルートも披露。だてに顔はでかくないな(失礼)。前回も披露された「ブライト・ミシシッピ」からのトラッド“セント・ジェームズ・インファーマリー”では、パーカッションのデブ・トゥーサンが色々工夫を凝らす。ただ、この人は体躯の割にあまり目立たないんだな。何かやってんのかな?とか思える位(また失礼)。アーマ・トーマスでお馴染みの“ルーラー・オブ・マイ・ハート”をかなりファンキーなアレンジでインスト披露。ここいらの演奏はなかなか意欲的だ。驚きはその次、ライヴではかなり久々に聴いた“プレイ・サムシング・スウィート”。これはサイコー。この粋、エレガントさがトゥーサンの真骨頂。この曲が聴けただけでも今夜は満足って感じ。“あの子に何をして欲しいの”に続いて、ブリーズ活躍の“バーボン・ストリート”。サッチモ唱法とクラリネット・ソロが楽しい。そして、そこでポーチェが見事にトロンボーンを吹く!何気に実に多彩な人なんだな。アンコール前のトゥーサンの言葉じゃないけど“シンジラレナイ!”(今回はビーズ投げはなかったが)。終盤はやっぱり“サザン・ナイツ”。このピアノの美しさは恍惚ものだ。アップテンポに転じては、さすがにキツかったかキーをひとつあげて。バックの演奏が続く中、トゥーサンが引っ込んでと思ったら、そのまますぐ戻る。「ブライト・・・」からの“ロング・ロング・ジャーニー”をブルージーにと思ったら、徐にトゥーサンの“鼻歌ピアノ・コーナー”の始まり始まり。“スキヤキ”も交えて盛り上げた後、ポップからクラシックまでありとあらゆる曲を奏でること6分超。“ティピティナ”や“ビッグ・チーフ”も交えながらも、長くは続けないのが、却ってニクい。更に“チャタヌガ・チューチュー”やら様々披露し、再び“サザン・ナイツ”に戻ってフィナーレ。ブラボー!やっぱマエストロの演奏はワン・アンド・オンリー。カトリーナ後の緊張も少し薄れリラックス・ムードの演奏がまた格別だった。キッチリ90分。明日はスカパ生中継もあるそうなので、さすがに今回はこれ1回。次に彼らの演奏を聴くとしたら、これはもー、ニューオーリンズ現地しかないね!
2011年01月09日
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