小さな宝物

小さな宝物

2007年09月11日
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カテゴリ: 愛読書


真鶴(まなづる)

失踪した夫の日記に書かれていた「真鶴」の文字。主人公は真鶴へと向かう。そして、失踪したままの夫のことを心の片隅に抱えながら、恋人とつきあい、一人娘を育てる。成長していく娘、不在の夫、現在の恋人などに心揺らされながら生きて行く女性を描いた長編小説。

川上弘美さんの作品、短編は2作ほど読んだことがあったのですが長編は初めて。
こんなに特徴的な文体で書く方だったんですね。
短編の時とは全く印象が違いました。
とにかく平仮名遣いが多くて、あっさりとした文体。
最初、文体に慣れるまですさまじい違和感を感じてしまいました。
現代小説なのに何故か古文を読んでるような印象。
それがとても不思議な感じで現代の話しなのにどこか異次元な感じがしました。
でも徐々に慣れてきて慣れると読むのが苦痛でなくなってきました。


内容についてはあっさりとしてるのにどこか生々しく読んでいて
辛くなる部分も少しありました。
特に娘の百を宿して産むまでの描写は母になりたくてもまだなれていない
私にとっては想像するしかない領域。
きっと母になった人なら同じような感覚を少しでも感じることが出来るであろう部分が
私には少し辛くて切なくて悲しかったです。

それにしても失踪した夫を忘れられずに別の男性と不倫の関係を持ち
家では母と娘と女3人で暮らしながら子育てをする主人公。
どこか大人になりきれていない女性が少しずつ前に進む感じが
共感出来る人も多いんじゃないかなあと思いました。
私はあまりにも主人公の女性が遠すぎて、神話のように思える作品でしたが。


何となく引きこんでいく魅力のある方だなあと思いました。
また別の作品も読んでみたいと思います。











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最終更新日  2007年09月12日 11時59分09秒
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